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捨てちゃう前に!ジャムで食品ロス削減

公開日: 更新日:2024.04.22
捨てちゃう前に!ジャムで食品ロス削減

冷蔵庫の奥で忘れられがちな果物や野菜、ありますよね?

そんな食材を、捨てずに美味しく活用できる方法があります。それは、ジャム作りです!
ジャム作りは、食品ロス削減にもつながるだけでなく、手作りのおいしさも楽しめます。

ジャムの基礎知識から、規格外食材を使ったジャム作り、家庭でできるジャム作り、余ったジャムを使ったレシピまで、ジャムに関する情報を詳しくご紹介します。

この機会に、ぜひジャム作りに挑戦して、食品ロス削減に貢献してみませんか?


ジャムって何?

ジャムとは

ジャムの定義と歴史

ジャムとは、果物や野菜を砂糖と共に煮詰めて作る保存食です。この方法は、食材の旬の短さと保存の難しさを克服するために古代から用いられてきました。

ジャムの歴史は古く、古代ローマ時代にはすでに存在していたと言われています。当時は、果物を蜂蜜で煮詰めたものがジャムと呼ばれていました。その後、中世ヨーロッパでは、砂糖の普及とともに、現在のジャムに近いものが作られるようになり、特に冷涼な気候の地域で保存食としての価値を高めました。

現在でも、ジャムは世界中で愛されており、地域によってさまざまな果物や砂糖の代替品を使用したバリエーションが存在します。


果物と砂糖の化学

ジャムの基本的な成分は果物と砂糖です

砂糖はジャム作りにおいて重要な役割を果たします。特に、ペクチンという自然なゲル化剤が含まれる果物を使用する場合、砂糖はペクチンのゲル化作用を助ける効果があります。
砂糖は水分を吸収し、加熱することでペクチンの分子が絡み合ってネットワークを形成しやすくなります。このネットワークが形成されることで、ジャム特有のとろみと固さが出来上がるのです。このとろみは、ジャムが冷えるとさらに強まります。
ペクチンの量は果物によって異なり、リンゴや柑橘類に多く含まれています。

砂糖は甘味を与えるだけではなく、果物の風味を引き立てる重要な役割も担っています。また砂糖は微生物の増殖を抑え、ジャムの保存性を高める役割も果たしているのです。


ジャムの種類

ジャムにはさまざまな種類があります。基本的には、果物を砂糖と一緒に煮詰めたものですが、加える果物の種類や砂糖の比率、調理の方法によって異なる名称がつけられます。

ジャム (Jam)
砂糖と共に果物を煮込んで作るもので、果物の破片が見える状態のものを指します。果物の味が濃厚で、色も鮮やかです。

ジェリー (Jelly)
果汁と砂糖、そしてゲル化剤(通常はペクチン)を使って作られます。ジェリーは透明または半透明で、スプレッド時に滑らかな質感が特徴です。

マーマレード (Marmalade)
主に柑橘類の果皮と果汁を用いて作られ、苦みが特徴的です。オレンジマーマレードが最も一般的ですが、レモンやグレープフルーツを使ったものもあります。

コンフィチュール (Confiture)
ヨーロッパ特有のジャムで、果物を丸ごとまたは大きな破片の状態で煮込みます。果物の食感を楽しめるように少し煮込むことが多いです。

プリザーブ (Preserve)
果物を大きめにカットして作るジャムで、果肉の存在感が強いのが特徴です。フルーツの一部がそのままの形で残っていることが一般的です。

フルーツバター (Fruit Butter)
リンゴ、バナナなどの果物を長時間煮込み、ペースト状にして作られます。スパイスを加えることもあり、非常に滑らかなテクスチャーが特徴です。

フルーツカード (Fruit Curd)
レモンやライムなどの果汁を卵とバター、砂糖と一緒に加熱して作るクリーミーなデザートタイプのジャムです。レモンカードが特に有名です。

これらの違いは製法だけでなく、味わいや食感、利用シーンもさまざまです。


ジャムの保存方法

開封前の保存

【直射日光を避ける】
直射日光が当たる場所に置くと、ジャムの色が変わったり風味が損なわれる可能性があります。涼しく暗い場所、例えば食品庫やキッチンの棚などが適しています。

【常温保存が基本】
開封前のジャムは常温で保存することができます。ただし、製品によっては冷蔵を推奨している場合があるので、ラベルの指示に従ってください。


開封後の保存

【冷蔵庫で保存する】
開封後のジャムは、空気中の細菌が入りやすくなるため、必ず冷蔵庫で保存してください。これにより、ジャムの鮮度と品質を保つことができます。

【清潔なスプーンを使う】
ジャムを取り出す際は、毎回清潔なスプーンを使用してください。使用済みのスプーンを再度ジャムに触れさせると、細菌が繁殖しやすくなり、カビの原因となります。

【瓶の口周りは清潔に】
ジャムの蓋を開けた後、瓶の口周りにジャムが付着していると、カビや雑菌が繁殖しやすくなります。布巾などで拭き取って清潔に保ちましょう。

【蓋をしっかり閉める】
使用後は、ジャムの蓋をしっかりと閉めてください。これにより、ジャムが外気に触れるのを防ぎ、長持ちさせることができます。


その他の注意点

【保存期間に注意】
市販のジャムも自家製のジャムも、開封後はできるだけ早く使い切るようにしましょう。一般的に、開封後は1ヶ月から3ヶ月以内に消費することが推奨されていますが、製品によって異なるため、パッケージに記載されている消費期限や推奨される保存期間を確認してください。

【品質の変化に注意】
開封後はジャムの色や味、香りに注意を払い、変化が見られた場合は消費を控えるましょう。特にカビが生えたり、異臭がする場合は食べないでください。


冷凍保存

ジャムは冷凍保存が可能です。冷凍することでジャムの品質を長期間保持し、長く楽しむことができます。

【冷凍保存できるジャムの種類】
基本的に、市販のジャムや手作りジャム、どんなジャムでも冷凍保存することができます。
ただし、果肉やナッツが多いジャムは冷凍・解凍を繰り返すと、果肉やナッツの食感が損なわれる場合があります。また、ゼリー状のジャムは解凍すると、水分が分離してべちゃっとなる場合があります。

【冷凍保存の方法】
○適切な容器を選ぶ:ジャムを冷凍保存する際は、冷凍に適した容器を使用してください。エアタイトなプラスチック容器や冷凍用のジップロックバッグがおすすめです。
○空気を抜く:容器にジャムを移す際は、できるだけ空気を抜いてから密封します。これにより、冷凍焼けや風味の劣化を防ぐことができます。
○少量ずつ分ける:使用する分だけ小分けにして冷凍すると便利です。一度解凍したジャムを再冷凍するのは避けるべきなので、使い切りやすい量を各容器に入れます。
○ラベルを付ける:冷凍した日付と内容物を記載したラベルを容器に貼り、管理しやすくします。

【解凍方法】
○冷蔵庫で解凍:冷凍したジャムは、冷蔵庫でゆっくりと解凍するのがおすすめです。こうすることで、ジャムの風味が損なわれにくくなります。
○電子レンジで解凍:時間がない場合は、電子レンジで解凍することもできます。ただし、解凍しすぎるとジャムの風味が損なわれるので、様子を見ながら解凍しましょう。

【注意点】
○質感の変化:ジャムは砂糖分が高いため完全に固まることは少ないですが、解凍後に水分が分離することがあります。その場合はよくかき混ぜて元の質感に戻してください。
○再冷凍は避ける:解凍したジャムは再冷凍しないでください。品質が落ちるだけでなく、食品安全の観点からもお勧めできません。


規格外の活用:ジャムで食品ロス削減

野菜のジャム

規格外野菜・果物でジャム作り

形やサイズが基準を満たさないため通常の市場で販売されにくい野菜や果物は規格外となり、廃棄されることが多々あります。農林水産省によると、2020年度の規格外果物の発生量は約170万トンと推定されています。

しかし、これらの野菜は味や栄養に問題がなく、むしろ完熟しているものが多いため、ジャム作りに最適です。規格外の果物や野菜を使ってジャムを作ることで、食品ロスを減らすとともに、コストを抑えることが可能になります。


ジャムで食品ロス削減の取り組み

食品ロス削減は、使われることなく廃棄される食品を減らす活動です。世界的に見ると、食品の約1/3が廃棄されています。
ジャム作りはこの問題への有効な対策の一つとされており、果物や野菜を活用してジャムを作ることで、使われずに余る食材の量を減らすことができます

自治体や民間企業、または個々の事業者が、規格外の果物を集めてジャムに加工し、販売する取り組みが増えています。これにより、食品ロスの削減だけでなく、新たな市場が生まれることも期待されます。

さらに、これらの事業者や自治体は地域の農園と密接に連携しています。農園側は市場の基準に達しない、いわゆる「規格外」の果物を提供し、これらを有効活用してジャムとして再生することで、農園も食品ロスを減らしながら収益を上げることができます。
一方、消費者は新鮮で品質の高い、環境に優しい製品を手に入れることができます。これらのジャムは、地域内で販売されるほか、インターネットを通じて全国の消費者にも届けられることがあります。

このような取り組みにより、地域の農産物が有効活用されると同時に、食品ロス削減への意識が高まり、持続可能な食品供給のサイクルが確立されつつあります。また、地域文化の促進にも寄与し、新たな食文化の拡がりを見せています。


家庭で食品ロス削減:手作りジャムを作ろう

手作りジャム

自家製ジャムの食材選び

【ロス食品を利用】
ジャム作りは、賞味期限が近い果物や野菜、傷や虫食いで販売できない規格外品など、ロスになりやすい食品を有効活用できます。以下のようなロス食品がジャム作りに適しています。
○果物:いちご、ブルーベリー、桃、りんご、キウイ、バナナ、ぶどう、マンゴー、パイナップルなど
○野菜:トマト、かぼちゃ、さつまいも、にんじん、玉ねぎ、ピーマン、なすなど

【家庭菜園の恵み】
家庭菜園で収穫した、食べきれない野菜や果物もジャム作りに活用できます。完熟した果物は甘味が強く、ジャム作りに最適です。

【お買い得食材で賢く節約】
スーパーで安売りされている果物や野菜も、ジャム作りにおすすめです。旬の食材は栄養価が高く、風味も豊かです。


ジャムの作り方

ジャムの作り方は、果物や野菜の種類によって異なりますが、基本的な手順をご紹介します。

【手順】
1.果物や野菜をよく洗い、水気を拭き取ります。
2.果物や野菜を適当な大きさに切ります。種や芯、痛みの激しい部分は取り除きます。
3.鍋に果物や野菜と砂糖を入れ、中火~弱火で煮詰めます。
4.途中、果物から出る泡を取り除きます。また、煮詰まってきたらお好みでレモン汁を少し加えて風味を調整します。
5.果物や野菜が柔らかくなったら火を止めて、ジャムを瓶に移し、蓋をします。

【ポイント】
○砂糖の量は素材や好みによりますが、果物と同量から70%程度です。
○白砂糖ではなく、はちみつや黒糖を使うことで異なる風味のジャムを楽しむこともできます。
○ジャムを瓶詰めする際は、瓶と蓋を事前に煮沸消毒し、完全に乾燥させてください。
○熱いうちにジャムを瓶に詰め、蓋をして逆さまにすることで、真空状態を作り出すことができ、保存性が高まります。


ジャムの保存

ジャムの瓶は、直射日光を避け、涼しく乾燥した場所に保管するのが最適です

開封前は常温で保存できますが、開封後は冷蔵庫に入れ、できるだけ早めに使用しましょう。

ジャムは砂糖の量が多いため自然な防腐作用がありますが、保存方法が不適切だとカビが生えることがあります。特に開封後は、清潔なスプーンを使用し、毎回蓋をしっかりと閉めることが大切です。

また、ジャムが変色したり、異臭がする場合は食べないでください。


おいしく使い切るためのジャムレシピ

ロシアンティー

ジャムはトーストに塗る以外にも、ヨーグルトやアイスクリームのトッピング、ソースとして肉料理に利用するなど、さまざまな料理に活用可能です。
でも、ついつい冷蔵庫の奥で忘れられてしまったり、賞味期限が近づいて困ったりすることもあるのではないでしょうか。
ジャムを活用したちょっと変わったレシピをご紹介します。

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☆野菜ジャムのスパイシーディップ
野菜ジャム(例えばトマトやズッキーニのジャム)を使ったスパイシーなディップは、チップスやクラッカーにぴったりのアクセントになります。

【材料】
野菜ジャム - 100g
クリームチーズ - 50g
ホットソースまたはチリパウダー - 小さじ1
レモン汁 - 少々
塩と黒胡椒 - 適宜

【作り方】
1.クリームチーズを室温に戻して柔らかくします。
2.ボウルにクリームチーズと野菜ジャムを入れ、滑らかになるまでよく混ぜ合わせます。
3.ホットソース、レモン汁、塩、黒胡椒を加えて味を調整します。
4.冷蔵庫で1時間ほど冷やし固めた後、お好みのスナックと共にお楽しみください。

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☆果物ジャムのアジアンドレッシング
果物ジャム(例えばブルーベリーやラズベリージャム)を使用したアジアンスタイルのドレッシングは、サラダに新しい風味を加えます。

【材料】
果物ジャム - 50g
しょうゆ - 大さじ2
ごま油 - 大さじ1
酢 - 大さじ2
おろしにんにく - 1片分
すりごま - 大さじ1

【作り方】
1.ボウルに全ての材料を加えます。
2.泡だて器などでしっかりと混ぜ合わせてドレッシングを作ります。
3.冷蔵庫で少し冷やしてから、混ぜたサラダや冷製麺類にかけてお召し上がりください。

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☆瓶の底のジャムで作るフルーツティー
瓶の底に少しだけ残ったジャムを利用して、フルーツティーを作ることができます。特に柑橘系のジャムがおすすめです。

【材料】
残り少ないジャム - 瓶の底に残ったもの
ホットティーまたはアイスティー - 1杯分
レモンスライス - 1枚(オプション)

【作り方】
1.熱湯を沸かしてお茶をいれます(アイスティーの場合は冷やしておきます)。
2.ジャムが残った瓶に熱いお茶を注ぎ、瓶の内側に付着しているジャムを溶かします。
3.よく振ってジャムを完全にお茶に溶かし込みます。
4.混ぜたお茶をカップに注ぎ、オプションでレモンスライスを加え、さわやかなアクセントをプラスします。



ジャム作りは、食品ロス削減だけでなく、手作りのおいしさも楽しめる、一石二鳥の活動です

手作りの楽しさを通じて、食品ロス削減の一歩を踏み出しましょう。



日本ジャム工業組合:JAM SATORY



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この記事を書いた人

村上

サステナブルライターとして、SDGsや生活の知恵を発信しています。育児をしながら、子どもと一緒に地球に優しい生活を目指し中。趣味は料理と美術館巡り。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。