電子レンジは手軽で便利な調理器具ですが、使い方を誤ると爆発や火傷、食中毒の危険性があります。
そんな電子レンジの落とし穴を徹底解説!
爆発しやすい食材や、生焼けを防ぐ、焦がさずに香ばしく仕上げるなど、食材別・調理別で安全な加熱方法を詳しく解説します。
さらに、冷凍食品の解凍・加熱方法や、電子レンジを安全に使うための基本的な注意事項も紹介します。
電子レンジを安全に使って、料理を楽しみましょう。
卵爆発!NG加熱法
卵の爆発的破裂
電子レンジで卵を加熱すると、その殻や膜が内部の蒸気圧に耐えられず爆発的に破裂する危険があります。
卵の内部では加熱により水分が蒸気に変わり、圧力が急激に増加します。この圧力が卵の殻を破裂させ、中身が飛び出すのです。
レンジ内部で破裂した場合は、レンジ内がひどく汚れてしまいます。また加熱後、触ったとき、取り出したときに破裂することもあります。その際には火傷などの怪我を負う可能性があります。
このため、殻つきのままの卵(生卵、茹で卵、温泉卵)を電子レンジで加熱することは止めてください。
電子レンジで卵を安全に加熱する方法
電子レンジで卵を加熱する際には、内部の圧力管理と適切な加熱が重要です。
圧力管理
○ゆで卵の殻と膜を取り除き、圧力が逃げるようにして、耐熱容器に入れます。
○生卵を耐熱容器に割り入れ、黄身に小さな穴を開けます。これは内部圧力を逃がし、卵が均等に加熱されるようにするためです。
○耐熱容器をラップで軽く覆いますが、密閉しすぎないように注意してください。ラップの一部を少し開けておくことで、蒸気が逃げることができます。
加熱方法
○電子レンジの出力を500W程度に設定し、約30秒加熱します。電子レンジの機種によって加熱時間が異なる場合があるため、最初は短めに設定して様子を見ることが大切です。
○加熱中に卵が膨らみ始めたら、すぐに電子レンジを停止します。これは内部の圧力が予想以上に高まっている可能性があるためです。
○加熱後は、卵を電子レンジ内にしばらく置いて余熱で火を通します。これにより、卵はゆっくりと均等に加熱され、中心までしっかりと火が通ります。
電子レンジで起こる恐怖!爆発を防ぐための食材別対策
卵以外にも、使い方を誤ると爆発する可能性のある食品があります。
爆発の危険性がある食品と安全な加熱方法をご紹介します。
ただし、これらの食材は安全性に不安があるため、電子レンジ調理はお勧めしません。対策を施し、温める程度に留めましょう。また加熱後すぐに取り出さずに、庫内でしばらく放置し、余熱を利用しましょう。
薄い皮や膜に包まれている食材
ウインナー、トマト、明太子、イカなど、薄い皮や膜に包まれている食材も、内部の圧力が高まって爆発する可能性があります。
加熱する際は、以下のいずれかの方法で水蒸気の逃げ道を作ってください。
- 皮や膜に切り込みを入れる。
- 数か所穴を開ける。
- ラップをかけずに加熱し、途中で様子を見る。
殻付きの食材
栗や銀杏などの殻付きの食材も、内部の水分が蒸発し、圧力が高まって爆発する可能性があります。
安全に温めるためには、以下のいずれかの方法で殻に圧力を逃す逃げ道を作っておきましょう。
- 殻をむく。
- 殻に切り込みを入れる。
- 穴を開ける。
飲み物
コーヒーや豆乳などの液体は、電子レンジで加熱すると突沸現象が起こり、爆発する可能性があります。
突沸とは、液体の一部が瞬間的に沸騰し、飛び散る現象です。
電子レンジでコーヒーなどを温めると、局所的に高温になりやすいという特徴があります。そのため、液体全体が均一に加熱されず、一部だけが過熱状態になり、突沸現象が起こります。
- 沸騰する前に加熱を止め、加熱しすぎないようにしましょう。
- 底面が広い容器(寸胴型)の方が突沸しにくいです。
- 加熱途中でかき混ぜることにより、液体全体を均一に加熱することになり、過熱状態を防ぐことができます。
- 砂糖や顆粒状のお茶などは、加熱前に加えると、刺激となって突沸を誘発する可能性があります。加熱後に加えましょう。
とろみのある液体
カレーやシチュー、みそ汁など粘度の高い液体も、突沸現象が起こりやすいので注意が必要です。
また加熱しすぎると、水分が蒸発して、味が濃くなったり、焦げたりする可能性があるので注意しましょう。
- 底面が広い耐熱容器を使用しましょう。深めの容器は吹きこぼれる可能性があるので、避けてください。
- 一度に長時間加熱するのではなく、様子を見ながら数回に分けて加熱しましょう。
- 500W程度の低出力で加熱し、加熱後は、必ずかき混ぜて、熱を均一に分布させましょう。
- ラップはかけずに加熱してください。
- 温めムラが気になる場合は、ターンテーブルを回したり、容器の向きを変えたりしてください。
菌撃退!生焼け知らずの肉加熱術
生肉の加熱ムラ問題
電子レンジで生肉を加熱する際、加熱ムラが問題になります。
電子レンジのマイクロ波は食品内部に不均一に作用すため、生肉の一部が適切に加熱されず、他の部分が過剰に加熱される可能性があります。特に、肉の厚みが均一でない場合や不規則な形状をしている場合、内部まで均等に熱が伝わりにくくなります。
これは食中毒のリスクを高める可能性があります。
生肉を電子レンジで加熱する際は、肉の厚みや形状を均一化し、し、適切な加熱時間を設定する必要があります。
表面焼きの重要性
生肉をそのまま電子レンジで加熱すると、表面が十分に熱せず食中毒の原因となる菌が死滅しない可能性があります。
そこで、電子レンジで生肉を安全に美味しく温めるためには、フライパンでの表面焼きが重要です。
表面焼きは、食中毒予防、美味しさアップ、香ばしさプラスの重要なステップです。
表面焼きのメリット
- 高温で肉の表面を素早く焼き固めることで、肉汁の内部に閉じ込めることができます。
- 表面焼きによって形成された外皮が、内部への熱の伝わり方を均一にする助けとなるため、加熱ムラが減少します。
- 高温で迅速に表面を加熱することで、表面の細菌を効果的に殺菌できます。
- 肉の表面をフライパンで焼くことで、メイラード反応が促進され、肉の味わいが深まり、食欲をそそる香りが引き出されます。
表面焼きのポイント
- フライパンは十分に熱してから肉を入れましょう。
- 強火で短時間、表面に焼き色を付けましょう。
- 焼きすぎると肉が固くなるので注意してください。
安全な肉の加熱方法
生肉を電子レンジで加熱する場合の加熱ムラに対する注意点は以下の通りです。
- 肉は薄くスライスするか、均一な厚みにしましょう。
- 加熱中に数回、肉をかき混ぜたり、ひっくり返したりして、マイクロ波が均等に当たるようにしましょう。特に、ピースの大きさが異なる場合にはこの工夫が有効です。
- 加熱が終わった後、数分間そのままにしておくことで、余熱が肉の内部に行き渡り、加熱ムラをある程度解消することができます。
- 高出力で短時間に加熱するとムラが生じやすくなります。低出力で時間をかけて加熱することで、内部までゆっくりと熱が伝わり、ムラを減らすことができます。
これらのポイントに注意することで、生肉を安全かつ美味しく電子レンジで加熱することが可能になります。
香ばしく!焦がさないドライフルーツの加熱
加熱時のリスク
ドライフルーツを電子レンジで加熱する際には、発火リスクが存在します。
- 過加熱:ドライフルーツは水分が少ないため、電子レンジで加熱するとすぐに高温になり、焦げるリスクがあります。特に砂糖分が高いフルーツは焦げやすく、不快な味や臭いの原因になります。
- 火災の危険性:度に加熱すると、ドライフルーツが発火する可能性があります。特に油分を含むナッツ類を含むドライフルーツの場合、注意が必要です。
- 品質の劣化:適切な温度管理を行わないと、ドライフルーツの風味や栄養価が損なわれる可能性があります。
安全な加熱方法
ドライフルーツを電子レンジで加熱する際の適切な時間設定は、発火リスクを減らす上で重要です。一般的に、ドライフルーツは短時間、低出力で加熱することが推奨されます。具体的には、数十秒から1分程度が目安です。
- 低出力で加熱:ドライフルーツを加熱する際は、電子レンジの低出力設定(解凍モードや最低出力設定など)を使用し、短時間で加熱します。加熱時間は、フルーツの種類や量によって調整してください。
- 均一に加熱:ドライフルーツを皿の上に均一に広げ、加熱ムラを防ぎます。加熱の途中で一度かき混ぜることで、さらに均一に加熱することができます。
- 湿度を加える:ドライフルーツを柔らかくするためには、少量の水をスプレーするか、湿らせたキッチンペーパーを上に置いてから加熱します。これにより、フルーツが適度に蒸され、柔らかくなります。
- 監視:加熱中は電子レンジの中を常に監視し、ドライフルーツが焦げたり、異常に熱くなっていないか確認してください。必要に応じて加熱を早めに停止しましょう。
- 加熱後:すぐに取り出し、余熱で火が通りすぎるのを防ぎましょう。また、加熱後はすぐに食べず、少し冷ましてから食べるようにしましょう。
これらのポイントを守ることで、ドライフルーツを安全に電子レンジで加熱し、その美味しさを楽しむことができます。
ただし、電子レンジの機種やドライフルーツの種類によっては、加熱の挙動が異なる場合があるため、最初は慎重に少量から試すことをお勧めします。
栄養満点!野菜の焦げない加熱法
焦げやすい野菜の特性
電子レンジで加熱すると焦げやすい野菜があります。これらの野菜は、水分量が少ない、糖分や油分が多い、薄くスライスされているなどの特徴があります。
加熱によって温度が急上昇したり、糖分が高温で容易にキャラメリゼーション(糖の焦げ)を起こすため、焦げやすくなります。
【焦げやすい野菜の例】
- 根菜類:さつまいも、にんじん、じゃがいも
- 葉物野菜:ほうれん草、キャベツ、小松菜
- きのこ類:しいたけ、エリンギ、ぶなしめじ
- その他:アスパラガス、ブロッコリー
リスクの低減方法
焦げやすい野菜の加熱時には、焦げや過加熱を防ぐために、十分な注意が必要です。
- 水分を加える:野菜を加熱する前に、少量の水を振りかけるか、野菜を湿らせたキッチンペーパーで包みます。これにより、蒸気が発生し、加熱が均一になります。
- カバーをする:耐熱容器に野菜を入れ、ラップや専用のカバーで覆うことで、水分が逃げにくくなり、野菜が均等に蒸されます。ただし、ラップは少し開けておき、蒸気を逃がすようにしてください。
- 電力設定と加熱時間:電子レンジの電力設定を低く(500W程度)し、加熱時間を短めに設定します。必要に応じて加熱を中断し、野菜の状態を確認しながら徐々に加熱時間を延長します。
- 均一に配置する:野菜を耐熱容器の中に均一に配置し、加熱中に一度かき混ぜることで、加熱ムラを防ぎます。
焦げやすい野菜は、これらの対策を講じて焦げないように注意しましょう。
焦げると苦味が出たり、栄養素が損なわれてしまうので、美味しく安全に食べるために重要です。
【注意点】
- 加熱時間は、野菜の種類や量によって異なるので、様子を見ながら調整してください。
- 加熱ムラを防ぐために、野菜は重ならないように並べましょう。
- 様加熱後すぐに取り出し、余熱で火が通りすぎるのを防ぎましょう。
- 加熱後すぐに冷まして温度を下げることで、食感や風味を良好な状態で保つことができます。
ムラ無し!家庭で冷凍した食品の解凍と加熱
冷凍食品の加熱ムラは、食感、栄養、食中毒などのリスクを高める可能性があります。
- 食感:解凍ムラがあると、食品の食感に悪影響が出ることがあります。例えば、肉や魚は解凍ムラがあると、一部分がパサパサになったり、硬くなったりすることがあります。また、野菜は解凍ムラがあると、一部分が水っぽくなったり、ぐちゃっとしたりすることがあります。
- 栄養:解凍ムラは、食品の栄養価にも影響を与える可能性があります。例えば、ビタミンCは熱に弱いため、解凍ムラがあると、ビタミンCが壊れてしまうことがあります。また、タンパク質は加熱しすぎると変性してしまうため、解凍ムラがあると、タンパク質の質が低下してしまうことがあります。
- 食中毒:解凍ムラは、食中毒のリスクを高める可能性があります。食品が完全に解凍されていない場合、細菌が繁殖しやすくなります。特に、肉や魚は食中毒菌が繁殖しやすいので、解凍ムラには注意が必要です。
- 火傷:解凍ムラがあると、食品の一部が高温になっていることがあります。加熱後に触ると火傷をする可能性があるので注意が必要です。
冷凍食品の解凍技術
電子レンジでの解凍ムラは、さまざまなリスクを伴います。美味しく安全に食べるために、適切な対策を心掛けましょう。
- 解凍設定の使用:多くの電子レンジには「解凍」設定があります。この設定を使用することで、食品がゆっくりと均一に解凍され、一部が調理されてしまうのを防ぎます。
- 食品の配置:冷凍食品を電子レンジに入れる際は、できるだけ均一に配置します。大きな塊よりも平らに広げることで、解凍が均等に行われます。
- 途中で返す:解凍の途中で食品を返したり、かき混ぜたりすることで、より均一に解凍できます。
- 低出力で解凍する:手動で解凍するときは、500W程度の低出力で解凍すると、ドリップを抑えられます。
【注意点】
○冷凍肉類を解凍する場合は特に注意が必要です。肉が均一に解凍されない場合、食品安全のリスクが高まります。可能な限り、解凍後すぐに調理しましょう。
○冷凍食品を解凍後は再凍結せず、可能な限りその日のうちに使用しましょう。
冷凍食品の安全な加熱
安全に冷凍食品を加熱するためには、適切な対策が重要です。
- 適切な設定を利用する:自動加熱、手動加熱、あたためなどのモードがある場合は、用途によって適切なモードを使用しましょう。
- カバーをする:食品を耐熱容器に入れ、ラップや専用のカバーで覆うことで、蒸気が食品内部に閉じ込められ、均一に加熱されます。ラップを使用する場合は、蒸気が逃げるための小さな穴を開けるか、端を少し開けます。
- 加熱の均一化:特に厚みのある食品や大きな塊の場合、途中で一度食品を返すか、かき混ぜることで加熱を均一にします。
- 完全に加熱する:食品を安全に摂取するためには、中心部まで十分に加熱することが必要です。厚みのある食品や大きな塊の場合は特に、中心温度が高くなるまで加熱を続けます。
【注意点】
○解凍後すぐに加熱すると、食品の内部が冷たいままになることがあります。解凍後、数分置いてから加熱すると、より均一に仕上がります。 ○加熱後は、中心部まで十分に加熱されていることを確認しましょう。
○高温になる可能性のある場合は、事前に容器の耐熱温度を確認しましょう。
安全に電子レンジを使うための注意点
電子レンジでは、金属製の容器やアルミホイルを使用することはできません。
金属は電磁波を反射し、その結果、電子レンジ内で火花が発生する可能性があるためです。
これは、電子レンジやその他の物品への損傷、さらには火災を引き起こす可能性があるため危険です。
○火花やアーク放電:金属は電磁波を反射するため、電子レンジ内の金属部品や壁との間で電気が飛び交い、火花やアーク放電が発生する可能性があります。
○加熱の不均一:金属容器は熱を均一に分散させることができず、食品の一部が過熱される一方で、他の部分が十分に加熱されない可能性があります。
○電子レンジの損傷:金属は電磁波を反射し、これが電子レンジのマグネトロンに損傷を与える可能性があります。マグネトロンは電子レンジの熱を生成する部分であり、これが損傷すると、電子レンジが故障する原因となります。
電子レンジでの調理や加熱時には、金属製の容器やアルミホイルの使用を避け、陶磁器や電子レンジ対応のプラスチック容器を使用しましょう。
【例外】
一部の金属製品は、電子レンジで使用しても安全な場合があります。例えば、以下の製品は電子レンジ対応のものがあります。
- 金網
- アルミホイル(少量で、食品に触れないように使用する)
- 金属製の調理器具(耐熱温度が100℃以上のもの)
ただし、これらの製品を使用する場合は、取扱説明書をよく読んで、正しく使用することが重要です。
電子レンジは、手軽に料理を温めたり解凍したりできる便利な調理器具です。
しかし、食材の特性を理解せず不適切な方法で加熱すると、爆発や火災、食中毒などのリスクを招きかねません。
食材に合わせた適切な加熱方法を選択することで、安全においしく調理することができます。
安全性を第一に、電子レンジを賢く活用して、毎日の料理を楽しみましょう。
【参考】
一般社団法人日本機械工業会:オーブンレンジ・電子レンジ 安全/正しい使い方
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