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世界のエネルギー自給率ランキング!再生可能エネルギーの普及率は?

公開日: 更新日:2023.12.22
世界のエネルギー自給率ランキング!再生可能エネルギーの普及率は?
  1. エネルギー自給率とは?
  2. 世界のエネルギー自給率ランキング
    1. 日本のエネルギー自給率はどれぐらい?
  3. エネルギー生産量世界ランキング
  4. 自給率の高い国のエネルギー政策と取り組み
    1. デンマークの再生可能エネルギー推進政策
    2. ドイツのエネルギー転換と課題
    3. 北欧諸国の環境対策とエネルギー効率向上
  5. 再生可能エネルギーと自給率の関係
    1. 輸入エネルギー源と再生可能エネルギーの比較
    2. 日本の再生可能エネルギーの普及状況
    3. 世界の再生可能エネルギー普及状況
  6. エネルギー輸入に頼る日本のリスクと対策
    1. 日本のエネルギー輸入依存度と問題点
    2. エネルギー供給の安定化対策
    3. 石油・天然ガス輸入国のリスク管理
  7. 低エネルギー自給率国のエネルギーセキュリティへの影響
    1. エネルギー消費と国内生産のバランス
    2. エネルギー供給不安定国の対応策
    3. エネルギー輸入国の経済発展と自給率
  8. エネルギー自給率向上のための国際協力と技術開発
    1. 先進国間の技術協力とエネルギー政策
    2. エネルギー効率向上のための投資と開発
    3. 国際エネルギー機関の取り組みと目標達成
  9. 国・地域別のエネルギー自給率と経済発展
    1. ロシアのエネルギー資源と自給率の高さ
    2. 中東地域の石油・天然ガス生産とエネルギー自給率
    3. アメリカのエネルギー自給率向上と経済成長の関係
    4. アジア地域のエネルギー需要と自給率の変化


世界のエネルギー自給率は、エネルギーセキュリティや経済発展に直結する重要な指標です。

各国のエネルギー政策、トレンド、それに伴うリスクと対策を深掘りするこのブログを通して、一緒に未来のエネルギー戦略を探りましょう。

エネルギー自給率とは?

Q&A

エネルギー自給率とは、必要な一次エネルギーのうち、他国からの輸入に頼らず自国内でどのくらい一次エネルギーを確保できるかを表す割合です。

一次エネルギーとは、石油や石炭、天然ガス、原子力、太陽光、風力など、加工前のエネルギーの元をいいます。

エネルギー自給率は以下のように計算されます。



エネルギー自給率(%)=国内産出分の一次エネルギー量÷国内産出と輸入分を合計した一次エネルギー供給量×100



エネルギー自給率が高いということは、海外からのエネルギー資源の輸入に頼らなくても済むので、エネルギーの安定供給に有利です。

逆に、エネルギー自給率が低いということは、海外で何か問題が起きた場合には、資源を確保することが難しくなるというリスクがあります。

世界のエネルギー自給率ランキング


経済産業省資源エネルギー庁 :日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」より

 

2017年のデータによると、世界の主要国のエネルギー自給率ランキングは以下の通りです。

 

1位:ノルウェー - 792.6%

2位:オーストラリア - 306.0%

3位:カナダ - 173.9%

5位:アメリカ - 92.6%

11位:イギリス - 68.2%

18位:フランス - 52.8%

22位:ドイツ - 36.9%

28位:スペイン - 26.7%

33位:韓国 - 16.9%

34位:日本 - 9.6%

35位:ルクセンブルグ - 5.3%

(参照元:IEA「World Energy Balances 2018」の2017年推計値)

 

日本のエネルギー自給率はどれぐらい?

2023年7月現在、日本のエネルギー自給率は約13.4%(2021年)と、世界的にもかなり低くなっています。

東日本大震災前の2010年の日本のエネルギー自給率は20.3%でしたが、11年の震災で原子力発電所が停止したことで11.6%に減少し、14年には6.4%まで下がっています。

エネルギー自給率の遷移

(参照元:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2021年速報値)

エネルギー生産量世界ランキング

エネルギー生産

順位 国名 エネルギー生産量(千TOE) 前年比(%)
1 米国 299,900.0 -1.0
2 中国 199,800.0 2.9
3 ロシア 163,000.0 -4.7
4 サウジアラビア 131,000.0 -8.4
5 カナダ 97,500.0 -5.2
6 イラン 78,000.0 -1.3
7 イラク 66,000.0 -8.8
8 インドネシア 64,000.0 -3.0
9 オーストラリア 63,500.0 -2.3
10 ノルウェー 62,500.0 -5.1

(参照:国際エネルギー機関(IEA)「Key World Energy Statistics 2023」)

 

2022年の世界のエネルギー生産量は約15億TOEでした。このうち最も多く生産した国は米国で約3億TOEでした。米国は近年、シェールオイルやシェールガスなどの非在来型資源の開発が進み、2018年にはロシアを抜いて世界最大のエネルギー生産国となりました。米国では2022年にも非在来型資源の生産が増加しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で需要が減少したため、全体としては1%減少しました。

次に多いのは中国で約2億TOEでした。中国は世界最大のエネルギー消費国でありながら、自給率は約60%程度と低く、海外から大量にエネルギー資源を輸入しています。そのため、中国では自国内でのエネルギー資源の開発や多様化しています。

自給率の高い国のエネルギー政策と取り組み

デンマークの洋上風力発電

デンマークの再生可能エネルギー推進政策

デンマークは、世界をリードする再生可能エネルギーの普及国として、その政策が高い評価を受けています。同国は2050年までに化石燃料に依存しないエネルギーシステムを構築するという目標を掲げており、特に風力発電が注目されています。

2020年時点で、風力発電はデンマークの電力供給の約50%を占めており、今後もさらなる拡大が期待されます。また、デンマークは欧州連合(EU)の再生可能エネルギー目標達成にも積極的に貢献しています。

ドイツのエネルギー転換と課題

ドイツは、エネルギー転換(Energiewende)と呼ばれる政策を通じて、再生可能エネルギーの割合を増やし、原子力発電を段階的に廃止することを目指しています。2020年時点で、再生可能エネルギーはドイツの電力供給の約40%を占めており、風力や太陽光発電が主力となっています。

しかし、再生可能エネルギーの供給が不安定であるため、火力発電に依存せざるを得ず、二酸化炭素排出量削減が困難な状況にあります。

北欧諸国の環境対策とエネルギー効率向上

北欧諸国は、環境対策とエネルギー効率向上に力を入れており、その取り組みが世界的に評価されています。

例えば、スウェーデンはバイオマスや水力発電を活用したエネルギー供給が盛んで、再生可能エネルギーの割合が高いことが特徴です。

また、フィンランドは、エネルギー効率を向上させる政策の一環として、ウォースト・トゥ・エナジー(WtE)技術を活用し、廃棄物処理を通じてエネルギーを生み出す取り組みが進められています。これにより、廃棄物の量を削減しつつ、同時にエネルギー供給に貢献しています。

日本でも廃棄物処理においてサーマルリサイクルの技術が活用されていますが、ウォースト・トゥ・エナジーは焼却のみならず、ガス化、発酵、そして堆肥化など、多様な技術が含まれます。

さらに、ノルウェーは、水力発電を主力としてエネルギー供給を行い、電気自動車の普及を促進する政策を展開しています。これにより、環境に優しいエネルギー供給と交通手段の脱炭素化が進んでいます。

再生可能エネルギーと自給率の関係

   

輸入エネルギー源と再生可能エネルギーの比較

再生可能エネルギーは、石油やガスなどの輸入エネルギー源と比較して、地域での自給が可能であり、エネルギーセキュリティの向上に寄与します。また、再生可能エネルギーは、二酸化炭素排出量が少ないため、地球温暖化対策にも有効です。

ただし、再生可能エネルギーの発電量は天候や地形などの自然条件に左右されるため、安定したエネルギー供給を確保するための課題が残されています。

日本の再生可能エネルギーの普及状況

2019年度の日本の発電量に占める再生可能エネルギーの割合は18.5%でした。

その内訳は水力7.8%、太陽光6.7%、バイオ2.6%、風力0.7%、地熱0.3%でした。

(参照元:環境NPO法人 環境エネルギー政策研究所「

2019年(暦年)の自然エネルギー電力の割合(速報)

世界の再生可能エネルギー普及状況

世界各国では、再生可能エネルギーの普及が進み、エネルギー自給率の向上が期待されています。国際エネルギー機関(IEA)の報告によれば、2020年時点で再生可能エネルギーは世界の電力供給の約30%を占めており、今後もその割合は増加が見込まれます。

各国が再生可能エネルギー政策を推進し、技術開発やインフラ整備を行うことで、エネルギー自給率の向上と持続可能なエネルギーシステムの実現が可能となります。  

エネルギー輸入に頼る日本のリスクと対策

日本のエネルギー輸入先

日本のエネルギー輸入依存度と問題点

日本はエネルギー自給率が低く、近年では10%程度に過ぎません。

石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料を大量に輸入しています。これは、日本のエネルギー安全保障における重要な課題です。

特に、2011年の東日本大震災以降、原子力発電所の運用が厳しく制限され、エネルギー輸入依存度が一層高まっています。輸入エネルギーに依存するリスクとして、地政学的な緊張や輸送インフラの脆弱性、為替変動などが挙げられます。

エネルギー供給の安定化対策

エネルギー供給の安定化を図るため、日本は多様なエネルギー源の開発・普及を推進しています。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が急速に進み、2020年代後半には電力供給のおおよそ30%を占める見込みです。また、エネルギー効率の向上や蓄電池技術の進化もエネルギー供給の安定化に寄与しています。さらに、エネルギー輸入元の多様化を進めることで、地政学的リスクを低減しています。

石油・天然ガス輸入国のリスク管理

日本は石油・天然ガスの主要輸入国であり、エネルギー価格変動や供給途絶に対するリスクを抱えています。そのため、日本政府は石油備蓄制度を設けており、約200日分の石油消費量を国内にストックしています。

また、液化天然ガス(LNG)の輸入も多様化し、アジア・中東以外の国からも調達しています。これにより、一部の国・地域に依存するリスクを軽減できるよう努めています。  

低エネルギー自給率国のエネルギーセキュリティへの影響

エネルギーセキュリティのイメージ

エネルギー消費と国内生産のバランス

低エネルギー自給率国では、エネルギー消費量が国内生産量を大幅に上回るため、エネルギーの輸入が不可欠です。しかし、エネルギー輸入に依存することで、地政学的な緊張や供給途絶、価格変動などのリスクが高まります。

このため、エネルギー消費と国内生産のバランスを改善し、エネルギーセキュリティを確保することが重要です。国内生産量の増加や、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入などが求められます。

エネルギー供給不安定国の対応策

エネルギー供給が不安定な国は、エネルギーセキュリティ確保のため、政策や技術革新に取り組む必要があります。具体的には、エネルギー輸入元の多様化や、国際的なエネルギー協力の強化が求められます。

また、エネルギー貯蔵施設の整備や、インフラ投資を通じたエネルギー供給網の強化も重要です。さらに、地域間でのエネルギー供給ネットワーク構築が、供給の安定化に寄与するでしょう。

エネルギー輸入国の経済発展と自給率

エネルギー輸入国の経済発展は、エネルギー需要の増加に直結し、自給率への影響を与えます。

発展途上国の場合、産業構造の変化や人口増加によってエネルギー需要が急速に拡大し、自給率が低下する傾向にあります。このため、エネルギー効率の改善や、地元資源を活用した再生可能エネルギーの導入を進めることが求められます。また、エネルギー供給インフラの整備や技術革新を通じて、持続可能な経済発展と自給率向上を目指すべきです。  

エネルギー自給率向上のための国際協力と技術開発

   

先進国間の技術協力とエネルギー政策

エネルギー自給率向上のためには、国際協力が不可欠です。先進国間では、技術協力やエネルギー政策の共有が進められており、再生可能エネルギー技術やエネルギー効率向上技術の開発・普及が促されています。

例えば、欧州連合(EU)では、2030年までに再生可能エネルギーの割合を40%に引き上げる目標を掲げ、各国が連携して技術開発や政策策定を行っています。こうした取り組みにより、エネルギー自給率の向上が期待されます。

エネルギー効率向上のための投資と開発

エネルギー効率の向上は、エネルギー自給率を高める上で重要な要素です。

政府や企業は、省エネ技術やエネルギーマネジメントシステムの開発・導入に積極的に投資しています。また、研究機関や大学との連携を通じて、技術革新を促進し、効率的なエネルギー利用を実現することを目指しています。エネルギー効率向上のための投資は、エネルギー供給の安定化や環境負荷の軽減にも寄与するため、持続可能なエネルギー政策の柱となります。

国際エネルギー機関の取り組みと目標達成

国際エネルギー機関(IEA)は、エネルギー自給率向上に向けた取り組みを支援しています。

IEAは、各国のエネルギー政策や市場動向の分析・評価を行い、政策提言を行っています。また、エネルギー効率や再生可能エネルギーの普及を促進するプログラムや、エネルギー技術の研究・開発を支援しています。これらの取り組みにより、IEAはエネルギー自給率向上を目指す国々に対し、技術や知見の提供を行い、目標達成を支援しています。

さらに、IEAは、国際的なエネルギー協力を推進し、エネルギーセキュリティの向上や気候変動対策にも取り組んでいます。このような国際エネルギー機関の働きかけにより、各国はエネルギー自給率向上に向けた戦略や政策を策定しやすくなり、エネルギー供給の安定化や環境負荷の軽減に繋がると期待されます。

総じて、国際エネルギー機関の取り組みは、エネルギー自給率向上を目指す国々に対して重要な支援を提供し、持続可能なエネルギー政策の推進に貢献しています。

国・地域別のエネルギー自給率と経済発展

エネルギーのイメージ

ロシアのエネルギー資源と自給率の高さ

ロシアは、世界有数のエネルギー資源国であり、エネルギー自給率が非常に高い国です。主要なエネルギー資源として、石油と天然ガスがあり、世界の石油埋蔵量の6%、天然ガス埋蔵量の約24%を占めています。エネルギー自給率は100%を超え、エネルギー輸出による収入が国家経済の重要な柱となっています。

ただし、資源に依存した経済構造は、エネルギー市場の変動による影響を受けやすく、経済の安定性が課題となっています。

中東地域の石油・天然ガス生産とエネルギー自給率

中東地域は、石油・天然ガスの生産量が世界の約40%を占め、エネルギー資源に恵まれた地域です。サウジアラビア、イラン、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)など、各国のエネルギー自給率は100%を超えています。

しかし、地域の政治的な不安定さや石油市場の変動が、エネルギー供給や国内経済に影響を与えるリスクとなっています。このため、エネルギー資源に依存しない経済発展が求められています。

アメリカのエネルギー自給率向上と経済成長の関係

アメリカは、エネルギー自給率向上に成功した国の一つです。過去数十年で、シェールガスやシェールオイルの開発により、石油・天然ガス生産量が大幅に増加しました。2019年には、エネルギー自給率が約95%に達し、エネルギー輸入の減少による経済効果が現れました。

エネルギー自給率の向上は、アメリカのエネルギーセキュリティを高め、経済成長を支える重要な要因となっています。ただし、環境負荷の問題や化石燃料への依存の継続が課題となっており、持続可能なエネルギー政策の推進が求められています。

アメリカは、再生可能エネルギーの普及を進めるとともに、エネルギー効率の向上や低炭素技術の開発にも力を入れています。これらの取り組みが成功すれば、エネルギー自給率の向上と経済成長を維持しつつ、環境負荷の軽減やエネルギーの持続可能性を追求することが可能となります。
アメリカの経験は、エネルギー自給率向上と経済発展を両立させるための参考となるでしょう。

アジア地域のエネルギー需要と自給率の変化

アジア地域は、急速な経済発展に伴い、エネルギー需要が増加している地域です。その一方で、エネルギー自給率は国によって大きく異なり、資源国と輸入国の格差が拡大しています。特に、中国やインドは、人口増加や都市化に伴うエネルギー需要の拡大に対応するため、国内資源の開発やエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの普及が求められています。

 


エネルギー自給率を高め、持続可能なエネルギー供給を実現することは、SDGsの目標7 「手頃でクリーンなエネルギーを全ての人に」 の達成に欠かせません。

節電や再生可能エネルギーへの投資、エネルギー効率の高い技術の採用など、個々の行動が集まることで、地球規模のエネルギー問題解決につながります。

一人ひとりが可能な範囲でエネルギー問題に取り組むことが、持続可能な未来を実現する鍵となります。

【参考】

経済産業省資源エネルギー庁:日本のエネルギー
IEA:World Energy Balances 2021

 

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この記事を書いた人

村上

サステナブルライターとして、SDGsや生活の知恵を発信しています。育児をしながら、子どもと一緒に地球に優しい生活を目指し中。趣味は料理と美術館巡り。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。