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国連のFAOってどんな組織?

公開日: 更新日:2023.12.26
国連のFAOってどんな組織?


FAO(国連食糧農業機関)は、世界の飢餓と貧困問題に対応するため、1945年に設立されました。

第二次世界大戦が終わり、戦争による農地の荒廃、人々の生活基盤の崩壊、経済の混乱などが生じ、食糧危機と向き合う必要があった世界が、国際的な組織を通じて食糧安全保障に取り組むことを決定したのです。

FAOは、国際連合の専門機関として、世界各国からの参加と支援を得て、創設から数年で多数の国からの資金援助を得ることができ、各地での食糧支援や農業改善プロジェクトを実施することが可能になりました。


FAO(国連食糧農業機関)の主な役割

畑

飢餓と栄養不良の改善:FAOの主要な目的

FAOの設立以来の主要な目的の一つは、飢餓と栄養不良の問題に対処することです。
そのアプローチは多角的で、穀物価格の安定化や農業教育の支援、地域の自立した食糧生産力の強化などにも繋がっています。例えば、FAOは2022年に発表した報告書により、約69億人に栄養的な食事を提供するためには、全世界の農産物生産量を60%増やす必要があると指摘しています。
このような根拠を基に、飢餓と栄養不良を解消するための取り組みを行っています。

持続可能な農業:FAOの主導するプログラム

FAOは持続可能な農業を推進するための様々なプログラムを主導しています。
その一つが「Save and Grow」です。これは農業生産性を向上させつつ、自然環境の保護に努めるプログラムで、2011年から展開されています。このプログラムでは、生態系に配慮した農業方法を提案し、それを地域農家へと広めています。
FAOのデータによると、「Save and Grow」はこれまでに100以上の国で実施され、農業生産性の向上と環境保全の両立に成功しています。

食糧安全保障の向上:FAOのイニシアチブ

FAOは食糧安全保障の向上を目指した数々のイニシアチブを推進しています。
その一つが「Codex Alimentarius」で、これは全世界で受け入れられる食品の安全基準を制定することを目指しています。
FAOと世界保健機関(WHO)の共同プロジェクトとして1963年に開始され、現在では180以上の国と地域でこれらの基準が採用されています。これにより、食品の品質と安全性が世界的に向上し、消費者の健康保護が強化されています。

農業技術の普及と教育:FAOの行動計画

FAOは農業技術の普及と教育に関する多くの行動計画を展開しています。
特に途上国の農家に対して、持続可能な農業技術の普及を行っています。また、青少年に対する農業教育や、女性農家への支援なども行っています。
例えば「Farmer Field School」プログラムは、農業技術の教育を通じて農家の自立を支援しています。このプログラムは1990年代初頭から始まり、現在では90以上の国で適用されており、農業生産力向上に大いに寄与しています。

FAOと他の国連機関との関連性

国連

国連体制内でのFAOの位置づけ

FAOは、国連システムの中で特殊化された機関の一つと位置づけられています。これはFAOが食糧、栄養、農業、林業、水産業といった領域での専門知識を持ち、これらの課題に対して政策提言や支援を行う役割を担っていることを意味します。
FAOの独自の地位は、1945年の設立以来、飢餓や栄養不良の撲滅といった目標に向けた国際社会の取り組みにおいて、不可欠な存在として位置づけられてきました。

他の国連機関との協力:連携の取り組み

FAOは他の国連機関と積極的に協力し、各種の課題に対する取り組みを推進しています。
例えば、世界保健機関(WHO)とは食糧安全と公衆衛生の領域で、国連児童基金(UNICEF)とは栄養不良の子どもたちへの支援で、国連環境計画(UNEP)とは持続可能な農業と生物多様性保全の領域で、共同作業を行っています。
これらの協力は、各機関の専門性と資源を組み合わせ、より効果的な解決策を実現するためのものです。

世界の飢餓問題解決へ向けた共同作業

飢餓と栄養不良の問題は多面的で複雑なため、これらを解決するためには多様な分野の専門知識と多様な利害関係者の協力が必要です。
FAOはこの観点から、他の国連機関とともに「国連食糧安全保障改善プログラムWFP」を推進しています。このプログラムは、国連の各機関がそれぞれの専門知識を活かしながら連携し、飢餓や栄養不良問題の解決に取り組むものです。現在、このプログラムは16カ国で実施されており、食糧安全保障と栄養改善に向けた具体的な進展を遂げています。

FAOの資金調達

資金調達

国際的な資金源:FAOの運営資金の出処

FAOの運営資金の大部分は、会員国からの正規の拠出金によって賄われており、その運営とプログラムの実施に不可欠な資金を提供しています。
FAOの194か国の会員国は、組織の二年間の予算に基づいて拠出金を支払います。2022年-2023年の二年間での予算は約27億ドルで、これは飢餓と食糧不安全の撲滅、持続可能な農業と食糧システムの推進といったFAOの重要な目標の達成をサポートします。

プロジェクト資金の確保:FAOの資金調達戦略

FAOは特定のプロジェクトに対する資金を確保するため、多様な資金調達戦略を採用しています。これには、国際的な援助機関や財団からの資金提供や、特定のプロジェクトに関心を持つ企業や個人からの寄付の募集が含まれます。
これらの取り組みは、FAOが広範な専門分野における具体的なプロジェクトとイニシアチブを推進し、世界の食糧と農業の課題に対応するための資源を増やすことに寄与しています。

FAOの影響力:世界の食糧問題への取り組み

飢餓

飢餓対策:FAOのグローバルな影響力

FAOの活動は全世界に及び、飢餓対策におけるその影響力は大きいものがあります。
その一例として、「The State of Food Security and Nutrition in the World (SOFI)」報告書の発表が挙げられます。SOFIは、全世界の食糧安全保障と栄養状況に関する最も権威ある年次報告書で、政策立案者や研究者に広く利用されています。最新の2023年版によると、全世界で約7億6千万人が飢餓状態にあり、その大半がアフリカに集中していることが明らかにされています。
FAOの取り組みは、このような現状把握と共有を通じて、飢餓対策に大きな影響を与えています。

持続可能な農業の推進:FAOの取り組み

FAOは持続可能な農業の推進に力を入れています。
その一環として、FAOは「Agroecology」という新たな農業パラダイムを全世界で推進しています。この取り組みは生態系に優しい農業の普及を目指し、小規模農家の生計向上や地球温暖化対策にも寄与しています。FAOの調査によれば、「Agroecology」の取り組みは40以上の国で進行中で、そのうちの80%以上で生産力の向上が確認されています。

世界の食糧危機への対応:FAOの役割と影響力

FAOは世界の食糧危機への対応にも大きな役割を果たしています。
例えば、FAOは「Food Price Monitoring and Analysis(FPMA)」というシステムを通じて、世界各地の食糧価格を監視し、食糧危機の早期発見と対応に取り組んでいます。このシステムにより、2007-2008年の世界食糧危機のような事態を早期に察知し、対策を講じることが可能となりました。
これにより、FAOは食糧危機への迅速な対応を可能にし、その影響力を確固たるものとしています。

FAOが直面する課題と批判

地球の周りにいる人

効果性と効率性に関する疑問:FAOへの批判

FAOはその効果性と効率性について一部で批判を受けています。
いくつかの評価報告では、FAOのプログラムと政策が目標を達成するのに十分な影響を持っていないと指摘されており、これは組織の管理と実施の問題を浮き彫りにしています。また、その運用の透明性や資金の使い道についての懸念も表明されています。
FAOはこれらの課題に取り組むため、継続的な改革と改善に努めています。

資金調達の課題:FAOの経済的な挑戦

FAOの最大の経済的挑戦の一つは、十分な資金を調達し続けることです。
これは特に、その活動が多岐にわたり、需要が高まり続けている一方で、国際援助の予算が限られている現在の状況下で難しい課題となっています。さらに、会員国からの拠出金が不足する場合、FAOの予算とプログラムが影響を受ける可能性があります。

持続可能性と現実的な目標設定:FAOの直面する問題

FAOが直面するもう一つの主要な課題は、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った現実的な目標設定です。特に、飢餓の撲滅や持続可能な農業の推進といった目標は、地球規模の課題であり、それを達成するためには広範な協力と巨額の資金が必要です。
FAOはこの課題に対処するために、各国と協力し、イノベーションを推進し、効果的なパートナーシップを築くことを目指しています。

FAOの将来展望

畑

食糧と農業の未来:FAOの長期計画

FAOは長期的には、持続可能な食糧生産システムを形成し、飢餓と栄養不良を根絶するというビジョンを追求しています。このため、生物多様性の保全、地域の気候変動への適応、農村地域の持続可能な発展を推進するためのプログラムと政策を開発し、実施しています。

持続可能な食糧生産:FAOの目指す方向性

FAOは、持続可能な食糧生産を目指しています。これは環境に配慮した農業手法の採用、農業の多様性と耐性の強化、生態系サービスの保全と改善を意味します。
また、FAOは生産者と消費者の間に情報と知識を共有することにより、食糧システム全体をより持続可能で公正にすることを目指しています。

世界の食糧問題解決への挑戦:FAOの未来像

FAOは世界の食糧問題解決への挑戦に取り組んでいます。これには、食糧生産の持続可能性を高め、飢餓と栄養不良を撲滅するための包括的なアプローチが必要です。
また、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた全世界の取り組みを支えるため、FAOは国際的なパートナーシップと連携を深化していきます。
未来のFAOは、食糧と農業に関するグローバルなリーダーシップを維持し、世界中の人々が持続可能な食糧生産と消費の恩恵を受けられるように努めていくでしょう。


国際連合食糧農業機関(FAO) 

国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所

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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。