初めまして!
東京都在住、高校生インターンの三枝です。
「持続可能な食生活」とはどのようなもので、どうしたら私たちがそれに近づくことができるのか知りたくて、食品ロス問題について学びはじめました。
海外で行われている食品ロス問題への解決策のうち、日本でも取り入れられそうなものや、日本にもあったら良いな、という事例を調べ発信して行きたいと思っています。
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「食品ロス削減に向けた世界の取り組み」を紹介するシリーズ。
今回は、マーライオンやユニバーサル・スタジオ・シンガポールなど、最近は観光でも人気なシンガポールです。
非常に国土が小さい上に、人口密度がとても高いシンガポール。
シンガポール全体の人口密度は、なんと東京都の人口密度よりも高いそうです。
そんなシンガポールの食料事情の大きな特徴は、食料はほぼ輸入に依存しているということです。
国内で消費される食料の90%以上は輸入されています。
また、様々な宗教的・民族的な背景をもつ人々が暮らすシンガポールは、多様性に富む食文化をもっています。
シンガポールライスやロティなど、日本でも人気な料理も多いですね。
では、シンガポールの食品ロス事情はどのようなものなのでしょうか。
【シンガポールの食品ロス発生状況】
シンガポールでは、過去五年間、毎年70万トン以上の食品ロスが発生しています。
このような廃棄される食品がリサイクルされる割合は20%以下。
リサイクル率は上がりつつあるものの、シンガポールで発生する廃棄物のうち、約1割が食品ロスであるという状況です。
シンガポールでは、「National Environment Agency」(以下NEA)
と呼ばれる、環境水資源省が管轄する機関が食品ロス対策を行っています。
今回は、NEAが行った「Love Your Food」というキャンペーンのプログラムをいくつか紹介します。
【取り組み① Love Your Food @Canteen プログラム】
Love Your Food @Canteen プログラムとは、飲食店における食べ残しを削減するためのプログラム。
飲食店の経営者が自分たちの料理の完食を促すためのコンテストを開催することを推進しています。
コンテストの内容は、お客さんが料理を完食したら飲食店からスタンプをもらうことができ、そのスタンプをためていくというもの。
コンテストの期間中にスタンプが一定数溜まれば、顧客は「賞品ルーレット」を回すことができ、賞品をもらえる可能性があります。
消費者にも楽しく食品ロスを削減することを推進できる取り組みの一つですね。
【取り組み② Love Your Food @Schools プログラム】
こちらのプログラムは、2017年から二年間の間行われた、学校10校を対象としたプログラムです。
シンガポールの生徒に食品ロスに関する周知や関心を広めるために行われました。
このプロジェクトでは、参加校で発生する廃棄物を削減する活動の他、生徒や教職員へゴミの分別を推進する活動が行われました。
ゴミの分別によって食品廃棄物を他の廃棄物と区別し、校内に設置したコンポスト化機械でそれらを堆肥へとし、再利用することも行われたそうです。
また、プログラムへの参加校数は10校と比較的に少ないものの、各参加校の近隣の学校や、その学校のコミュニティーにも食品ロスを削減する運動を広げる試みもありました。
近隣の学校やコミュニティーに対して、プログラムの情報や、食品ロスを削減するために自分たちが行ってきた活動の情報を生徒自身が共有することが求められたのです。
また、学校の廃棄物を利用して作られた堆肥は、生徒が情報を共有するために開催されたワークショップの参加者や、近隣のコミュニティーガーデンへと配られたそうです。
参考: シンガポール国家環境局:NEA、青少年が食料を無駄にせず、感謝することを推進するために「Love Your Food @ Schools」始める
つまり、このプログラムは学生が食品ロスの発生状況や事情について教室で学ぶだけではなく、学生自身が食品ロスを削減する行動を実践することを促し、支援するプログラムです。
食品ロスの発生状況について学ぶだけでなく、学生が主体となって食品ロスに関する周知を高め、食品ロスを削減していく。
このようなプログラムが増えることで、食品ロス問題を解決することへの学生の関心や、食品ロス問題を含む様々な社会課題の解決策を自分で考え実施する能力が高まるのではないでしょうか。
今後学生が自らこのようなプログラムを自分の学校で行う、ということも可能性がありそうです。
もちろん日本の食育など、教育課程にこのような学生が主体となったプログラムが取り入れられることは魅力的ですが、学生自身がアクションを起こし、フードロス問題の解決に携わることも大切だと思います。
自分も是非学校を巻き込んだアクションを起こしたい、そう考えさせてくれる取り組みでした。
世界の取り組みシリーズ
第4回:世界の取り組みーアメリカー