先日、『さらば、食料廃棄ー捨てない挑戦』という本で、ダンプスター・ダイビングという存在を知りました。
私にとっては、かなりの衝撃でした。
そこで今回は、ゴミダイバーとも言われるこの言葉について、お伝えします。
ダンプスター・ダイビングとは?
ダンプスター・ダイビングとは、食べ物や様々な商品を売っている店のゴミ箱の中からまだ食べられるもの・利用できるものを拾う行為のことです。
日本語では「ゴミ漁り」と訳されることもあります。
ダンプスター・ダイビングの目的
ダンプスター・ダイビングをする人の目的は主に2つに分かれます。
食品ロスなどの大量生産・消費の文化に警鐘を鳴らす
ドイツやオーストリア、アメリカで
大量消費に反対するために行われているエコ活動で、
違法を承知でスーパーのゴミ箱から食品を拾っています。
ダンプスター・ダイバーであるマーコ・マリケンズ氏は、
アメリカの大量消費社会に憤りを感じて、活動を開始しました。
一方で、先進国では経済を回すために大量消費が推進されている側面もあり、難しい問題となっています。
(参考 ゴミ箱漁り という エコ活動:マーコ・マンリケズ氏インタビュー :lifehacker)
生活費を節約するために生活必需品を得る
生活費を抑えたい人々が野菜やお肉を拾う以外にも、価値のある家電製品を拾うこともあります。
デンマークなどの一部の地域に当てはまります。
一方でドイツなどでは違法と判断され、罰金を課せられるケースもあるようです。
(参考 「ゴミ箱あさり」は違法なのか? :ビッグイシュー)
食品ロスの存在を社会に伝える手段
日本でも、食品ロスを減らすために、個人・企業・自治体が様々な行動や広報をしていますが、ダンプスター・ダイビングは違法となるためできません。
しかし、海外のダンプスター・ダイバーの活動のように、食品ロスの存在を社会に伝えるための努力は必要です。
また、ダンプスターダイビング以外の方法を使って、スーパーやコンビニの食品ロスを減らす方法も考えなければいけません。
消費者もできる、身近な食品ロス削減対策
毎日の食品を買う際に、私たちにできることはたくさんあります。
例えば、スーパー・コンビニ・市場などで「棚の前から商品を取る」ことや「地元の食品を買う」ことです。
棚の前の商品は賞味期限が近いものになるので、スーパーに期限切れの食品が残りにくくなります。
また、地元の食品を買うことで、移動距離が短い分新鮮な食材を購入することができます。
結果として、家で消費するまでに十分な時間を有することができ、廃棄することが少なくなります。
このシンプルな2つの行動を自分だけではなく、周囲に広めることで、少しでも食品ロスの量を減らすことはできます。
食品が売れ残ってしまう原因
商品の需要の正確な予測ができない
食品の流通や小売においては、消費者が購入すると予想されるよりも多めに商品を入荷するため、基本的に食料ロスが起きやすい仕組みとなっています。
節分の名物である恵方巻きに関しては毎年大量の食品廃棄が問題になり、近頃では完全に予約制で生産する店も増えました。
(参考 恵方巻があっという間に豚の飼料へ 食品廃棄とリサイクルの現場を歩く:ITmediaビジネス)
ITの発展で消費者の動きがより正確にわかるようになれば、仕入れの量の問題は解決する可能性があります。
捨てる以外の選択肢が少ない
スーパーやコンビニでは賞味期限が過ぎたものが販売されません。
しかし、現在では賞味期限切れの商品を売る専門店も広がりつつあります。
(参考 お財布にも環境にも優しい 「賞味期限切れ」専門店が登場 どんな商品が購入できる?:FNNプライムオンライン)
賞味期限は、食べられなくなる期限ではありません。
少し味は落ちても、まだ食べられる食品を廃棄する以外の選択肢が選べるようになると状況の改善が見込めます。
ダンプスター・ダイビングは良くない活動なのか
日本では生きるためにゴミ漁りをしている場面を見ることもあるでしょう。
しかし、食品ロスなどの大量生産・大量消費の文化への反対運動として行う人や食費を節約するためにゴミ漁りをする人はいないと思います。
「ダンプスター・ダイビング=ゴミ漁り」と訳せてしまう活動に対して、批判的な感情を持ってしまう人も一定数いると思います。
しかし先進国では、ゴミ漁りができてしまうほど食べ物を捨てている状況であると考えるとまたそれは違った一面が見えてくることになります。
多くの消費者が食料廃棄の現状を知る機会になる
私は、無駄になる食品を減らすという意味で、活動として起こっている海外でのダンプスター・ダイビングには賛成です。
日本では、食品が廃棄されている場面が日常から切り離されています。
そのため、私達1人1人が実際起こっている食料廃棄の現実を認識できていませんが、ダンプスター・ダイビングの活動は日本の食品ロスの現実を知るきっかけになるでしょう。
まとめ
今回は海外で主に行われているダンプスター・ダイビングの活動から現在の食料廃棄の問題について考えました。
ダンプスター・ダイビングが違法とされる場合が多いですが、食料を無駄にしないことが違法というのは、納得いかないです。
SDGs2番目の目標は「飢餓をゼロに」
先進国では食べ物が余る一方、途上国での飢餓の状況に大きな変化はありません
「少しでも捨てられる食品を減らし、飢餓に苦しむ国へ行き渡らせることができるのなら。」
先進国でダンプスターダイビングの活動を行う人達には、そんな意図もあるのです。
「社会に問題提起をするためにダンプスターダイビングの活動をする」
そんな必要がなくなるくらい食料廃棄物がない社会になれば良いと私は思います。