ロスゼロブログ

カテゴリ一覧

海に魚がいない??将来魚を食べられなくなる!?

公開日: 更新日:2023.06.30
海に魚がいない??将来魚を食べられなくなる!?

(画像 https://unsplash.com/@fx24)

 

初めまして。大学生インターンの西村です!

大学では獣医学を学んでいます。

獣医学は「動物のお医者さん」だけではなく、実は、食、人の健康、環境とも関わりの深い分野なんですよ。

 

気候変動や海洋汚染、食料問題など地球の将来に関わる問題に興味があり勉強しています。

学んだことを皆さんとひとつずつシェアしていきたいと思いますので、よろしくお願いします!

 

海の魚が減っている

という話を本やニュースで聞いたことはありますか?

具体的にはどれくらい減っているのでしょうか。

ちょっと予想してみましょうか。

海の中のことはよく見えないので、イメージしづらいですね。

 

実は、海には50年前と比べて半分しか魚がいません!

世界の海の生物の減少グラフ

WWFによると、1970年から2012年までの間に、世界全体でなんと約50%の海洋生物がいなくなってしまったそうです。

( Living Blue Planet report|WWF)

 

さらに、マグロやカジキといった大きな肉食の魚の場合、事態はもっと深刻です。

すでに本来の数の10%以下まで減少していると推定されています。

(Rapid Worldwide Depletion of Predatory Fish Communities)

 

庶民の魚、「さんま」も手が届かない高級魚になるかもしれません。

サンマの水揚げ量は2008年以降ものすごい勢いで減少しています。

さんまの水揚量(年)|全国さんま棒受網漁業協同組合

 

つい先日、2021年2月25日には、サンマの歴史的不漁が続いていることを受けて、サンマの漁獲量を40%削減することが、日本を含めた8カ国間で取り決められました。

日本経済新聞『サンマ漁獲枠、40%削減で合意 日中など8カ国・地域』)

 

以前はどれくらい魚がいたの?

データとしては残っていなくても、昔の人たちが残した日記や絵から、当時の様子を垣間見ることができます。

 

例えばマグロ。

江戸時代には陸のそばで、大量のマグロをとることができたそうで、その様子を描いた絵も残されています。

( 山梨県立博物館 -Yamanashi Prefectural Museum-

 

今ではマグロといえば、遠くの海まで船を出してとる魚であり、この絵のような様子は想像もできません。

 

現在、太平洋クロマグロは、過剰漁業(とりすぎ)により数を減らし、漁業が始まる前の2.6%まで減少した『枯渇状態』と指摘されています。

より強固なマグロ漁業の監視・管理体制の構築を 2017年WCPFC会合 | WWFジャパン

 

他にもタラ。

北大西洋にすむタイセイヨウダラは、かつて最も数の多い生物のひとつでした。

1497年に現在のカナダにやってきた探検家ジョン・カボットは

あまりにもたくさんのタラがいて、バケツを沈めるだけですくうことができた」と書いています。

 

タラは一大産業になり、たくさんの国々がタラをとり続けた結果、「船を阻むほど」いたタラは今では1%以下になってしまいました。

Carved Cod-in-a-Coffin | National Museum of American History)

 

これらの記録から、かつての海には私たちが想像するよりも、ずっと多くの魚が生息していたことがわかります。

 

私たちは、海が本来どのような姿をしていたのか、もう忘れてしまっています。

 

今私たちが見ているのは「すでに魚が消えた」海だということを、少し気に留めておく必要があるかもしれません。

 

魚がいなくなると何が問題なの?

ひとつには人の生活への直接的な影響。

 

船の上に魚が並んでいる

(画像 Tadeu Jnr on Unsplash)

 

全世界で、約33億人の人が蛋白源の20%を魚に頼っています。

栄養を魚に頼っている割合は、先進国より発展途上国の方が大きいです。

また、漁業が立ち行かなくなれば、そこに携わる人は収入を失います。

魚がいなくなることは、食料問題や貧困問題そのものなのです。

(​FAO. 2020. FAO yearbook. Fishery and Aquaculture Statistics 2018 http://www.fao.org/documents/card/en/c/cb1213t)

 

もうひとつは生態系への影響。

魚が減れば、魚を食べて生きているイルカや海鳥、アザラシなども数を減らします。

逆に、クラゲやプランクトンといった、魚に食べられることでちょうど良い数を保っていた生き物は大発生してしまいます。

魚がいなくなることで、自然のバランスが大きく崩れる可能性があります。

 

それに、こういった問題を差し引いたとしても、豊かな海が存在し続けることは、それだけでとても意味があることだと私は思います。

 

私は海が好きで、夏には必ず海水浴に行きます。

海では魚や他の生き物を探して遊びます。

 

もし、私が見る海の生き物が、本当は2倍3倍、もしかするともっといたかもしれないと思うと、それはどれだけ賑やかで楽しい景色だっただろうと想像します。

 

逆にもし将来、慣れ親しんできた魚を食べることができなくなり、海に魚の姿を見つけられくなる時が来るとしたら、とても悲しいです。

 

私たちができることは?

まずは、環境への負荷の少ない水産物を選ぶところから始めてみましょう!

 

1.MSC、ASC認証の水産物を買う

MSCマーク

ASC認証マーク

(画像 https://www.wwf.or.jp/corp/info/77.html

 

MSC、ASC認証は持続可能な漁業及び養殖業に与えられる認証です。

認証水産物を選ぶことでより環境への負荷が少ない水産物を選ぶことができます。

この認証については以前に、ロスゼロのブログでも取り上げているので、ぜひ読んでみてください!

これからもずっと魚を食べていける海に!「サステナブル・シーフード」のお話

 

2.おさかなハンドブックを活用する

おさかなハンドブック

「おさかなハンドブック」は、海の環境問題や魚の状況を日本の消費者に知ってもらうために、WWFが作成したものです。

 

日本人にとって馴染み深い、マグロ、アジ、タイなど23種の魚種ごとに、漁法や資源状況がわかりやすくまとめてあります。

 

買い物の際に「おさかなハンドブック」を参考にして、数の少ない魚を避けるなどの選択をすることができます。

「おさかなハンドブック」消費者の視点で海のサステナビリティを考える|WWFジャパン

 

3.人に伝える

今はもう魚が本来の数の半分しかいないということ、でも今ならまだ、私たちの行動によって豊かな海を残すことができるということ、ぜひ家族や友達に伝えてください。

 

魚は私たちが思っている以上に数を減らしています。

あまり知られていないですが、残念なことにこれは事実です。

 

でも皆が適切な行動をいますぐ選択すれば、私たちは将来もおさかなを美味しく食べ続けることができ、生き物を育む海は存在し続けることができます。

できる限りのことを、まずは手の届く範囲からぜひやってみてください。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

 

ロスゼロブログ一覧へ