こんにちは、布川です。
前回はプラスチックについての問題点や現状などをお伝えしました。
今回は具体的に私達がこれからどうすべきかを考えていきます。
プラスチックをなくすには?
リサイクル?
では、どうしたら地球のプラスチックを減らし、最終的に根絶することができるのでしょうか。
もちろん、ビーチや街中の清掃活動も有効です。
そこで回収された分は海に流れ着くことなく、ゴミとして処理することができるからです。
しかし、そこでいう「処理」は、ほとんどの場合「リサイクル」ではありません。
プラスチックのリサイクルはコストがかかります。
適切な回収施設の設置というハードルに加え、多様なプラスチックを分類するという手間もあるからです。
バイオプラスチック?
また、近年注目を集める「バイオプラスチック」も実は様々な問題点を含んでいます。
「バイオプラスチック」と言っても、100%植物由来の物から、石油由来だけれど生分解されるものまで、そこには様々な分類があります。
しかしたいていの場合、消費者やリサイクル業者はそんなに細かい分類を把握することはできません。
「自然由来だから」と堆肥の山にバイオプラスチックを捨てたら実はそこには化学物質が添加されており、そこで採れる野菜やそこで暮らす生物に悪影響を与えてしまう、ということも考えられます。
作らない・使わない?
本当にプラスチック問題を考えるなら、清掃活動に取り組むことやバイオプラスチックの開発に尽力することよりも、そもそもプラスチックを「発生させないこと」とが何より大切です。
例えば、身近な例でいうとスーパーの個包装があります。
少量ごとの包装は多くのプラスチックを使用してしまいます。
その解決例としてスペインでは特殊な焼き印で直接野菜にロゴを入れる技術が開発され、その導入はヨーロッパを中心に広まりつつあります。
また、多くの消費者が積極的にプラスチックが含まれていない商品を選ぶことで、メーカーのプラスチック製品の製造を間接的に抑制することができます。
とはいえ、冒頭でも述べたように今やプラスチックを完全に排除して生活することはほぼ不可能でしょう。
そこで、2011年にオーストラリアで一人の女性が始めた「プラスチック・フリー・ジュライ」という挑戦を紹介します。
これはその名の通り、7月の一か月間使い捨てプラスチックを使わないで生活する、というチャレンジです。
この取り組みはどんどん世界に広まっていき、2017年には、世界159か国200万人以上の人々が実践しました。
ホームページでは、一人一人の生活に沿ったプラスチック削減のためのヒントを見ることができます。
ぜひ覗いてみてください!
(Plastic Free July ホームページ)
ここでいうプラスチック製品の自粛とは個包装の野菜や食品を控えることに加え、プラスチックを原料として使用する化粧品や洗剤、衣類やカーペットなどを避けることも含みます。
安価な化粧品や洗剤には研磨剤の役割として、「スクラブ」というマイクロプラスチックが含まれていることがあります。
マイクロプラスチックはとても小さいので、そのうちのおよそ75%が排水処理施設を通り抜けると言います。
一回に使用するスクラブ製品を5mlとすると、その一回分には4600~9万4500個ものマイクロプラスチックが含まれており、それらのほとんどが河川や海に流れ出ているということです。
また、衣服などの布製品に含まれる合成繊維もプラスチックの一つです。
一般的に環境にやさしいと考えられているペットボトルから作られたリサイクル衣料ですが、それらが洗濯機で洗い、乾燥されたときに発生する細かいマイクロファイバーは下水へ排出されることになります。
一度皆さんの持っている身の回り品も、原材料をチェックしてみてください。
最後に
近年「プラスチックスープ」は国際問題として広く認知され、国連環境計画(UNEP)も、解決に向けて動き出しています。
(UNEP日本語情報サイト https://ourplanet.jp/ )
それに伴い各国政府も独自の対策を打ち出し、この問題は、一種の「ブーム」になりつつあります。
そうした大規模な改革は確かに大きな効果を持ち、世界規模の解決に向けて必要不可欠なことは事実です。
ですが、私たち個人の一つ一つの行動が積み重なって今のような世界規模の問題が発生したことの逆をとれば、消費者一人一人の行動が変われば、解決への大きな動きとなるということです。
知識を得ただけでは何も変わりません。
プラスチックが地球や生命に与える影響を知ったうえで何をするのか、皆さんも自身の消費行動を見直してみませんか。