2月といえば、節分やバレンタインといったイベントが楽しみなシーズンです。
しかし、恵方巻きやチョコレートの売れ残りが食品ロスになるなど大きな問題があるのも事実。
こうした食品ロスを発生させないためにどのような活動が行われているのか、最新の情報をレポートします。
恵方巻きの食品ロス対策、46社が削減活動に参加
節分の日に「恵方」と呼ばれる吉をもたらす方角を向いていただく恵方巻きは、全国にすっかり浸透しました。
毎年コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで恵方巻きが販売され、多くの人が楽しんでいます。
しかし、節分の当日にいただくことがよしとされる恵方巻きは翌日には売れなくなってしまいます。
そのため、節分後の売れ残りが食品ロスになるとして問題視されてきました。
そこで、農林水産省は2018年度から恵方巻きの食品ロスを減らすための呼びかけを行っています。
翌年の2019年度からは、恵方巻きの食品ロスキャンペーンに参加する事業者を募って社名を公表したり、どのような方法で食品ロスを減らしているのかを紹介したりして、食品ロス削減につなげようとしています。
今年もこの取組みが行われていて、2022年1月14日現在、全国のコンビニエンスストアやスーパーマーケット、百貨店など46の事業者から応募が集まっています。
参加事業者の募集締め切りは、節分当日の2022年2月3日(木)です。
昨年度の参加者は65社だったので、より多くの参加事業者が集まるといいですね。
(参考:https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/220118.html)
恵方巻きの食品ロス、企業はどうやって減らす?
こうしたキャンペーンに参加している事業者は、実際にどのようにして食品ロス削減に取り組んでいるのでしょうか?
昨年度の取組みを参考に、具体的な方法を抜粋して紹介します。
関東でスーパーマーケットを展開する株式会社シェルガーデンは、例年より予約の受付を早めたり、当日の売れ行きによって値引き時間を早めるなどして対応しました。
また、3店舗にスタッフを配置し、そのスタッフが店舗間を移動して在庫の調整を行うといった取組みも行っています。
その結果、昨年度の廃棄率0.00%を達成することに成功しました。
一方で、九州でスーパーマーケットを運営する株式会社ニシムタは、製造する数量から調整を行い、前年度の売れ筋商品を増やすなど販売計画をしっかりと策定しました。
また、節分当日に対応するスタッフを充実させ、当日の値引き判断を店舗責任者に任せるなどの工夫を行ったとのことです。
こうした取組みによって、売上本数を増やしながら廃棄率を引き下げることができました。
他の事業者も、人気アニメとコラボしたノベルティをつけたり、ハーフサイズの恵方巻きなどラインナップを充実させたりして食品ロスの削減に取り組んでいました。
アプリで予約をできるようにするなどの取組みを行った事業者もいて、商品開発から販売計画、予約システムや当日の対応など、さまざまな面から工夫を行っていることがわかります。
事業者の規模などによって行える対策とそうでない対策があると思われますが、それぞれの事業者が取り組むことができる対策から行うことが大切だと思います。
(参考:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/kisetsusyokuhin-15.pdf)
ロスゼロが提案! 恵方巻きのアレンジレシピ
事業者の努力だけでなく、私たち消費者も恵方巻きを残さず美味しく食べ切ることが大切ですね。
もちろん、これは恵方巻きに限らずすべての食品に当てはまることです。
ロスゼロブログでは以前、恵方巻きの残りを美味しく食べ切るアレンジレシピをご紹介しています。
ボリュームたっぷりの「揚げ出し恵方巻き」や、ごま油などで香ばしく焼き目をつけた「焼き恵方巻き」などなど。
もし、恵方巻きが余ってしまったという方はぜひトライしてみてくださいね。
我が家では、些細なことですが、白米の量をなるべく少なく巻いて食べ切れるようにしていますよ。
(参考:https://blog.losszero.jp/blogpost/news_004/
https://blog.losszero.jp/blogpost/news_0295/)
あまりにももったいないチョコレートの食品ロス
2月といえば、節分の次にバレンタインがやってきますね。
毎年、自分のためにもチョコレートを選ぶのを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
この時期にしか買えないチョコレートもあったりして、素敵なパッケージや美味しそうな商品を眺めているだけでも楽しいですよね。
そんなチョコレートも、恵方巻きと同じく2月14日を過ぎると購入量がガクッと減ってしまいます。
そのため、売れ残ったチョコレートが食品ロスになってしまうという悲しい現状があるのです。
実は、チョコレートの原料であるカカオの木を栽培するために、毎年広大な森林が伐採されていることをご存じでしょうか?
環境NGOの調査によると、2020年だけでコートジボワールのカカオの栽培地域で、47,000ヘクタールの森林破壊が発生したとのことです。
47,000ヘクタールはパリ市の4倍の広さ、東京ドーム(約4.7ヘクタール)で換算すると約1,000個分です。
(画像出典:Mighty Earth )
カカオの栽培がもっとも多い国はコートジボワールですが、ガーナやインドネシア、ナイジェリアといった西アフリカ・東南アジア諸国で栽培が盛んに行われています。
こうした国々を合わせると、森林伐採の面積はもっと大きいかもしれません。
チョコレートの食品ロスには、このように広大な森林伐採の背景があることもぜひ知っておきたいですね。
もちろん、チョコレートに限りませんが、食品ロスは、原材料の生産だけでなく加工や輸送、販売といったプロセスのすべてを無駄にしてしまうことに他なりません。
食品そのものだけでなく、それに関わるエネルギーまで無駄にしてしまう、とてももったいない行為なのです。
このことを改めて心に留めて、2月のイベントによる食品ロスを少しでも減らせるように心がけたいですね。
(参考:Mighty Earth )
食品ロス削減には、消費者と企業両方の取組みが欠かせない
2月だけでなく、クリスマスのケーキやお正月のおせちなど、イベントで食べられる食品はロスになりやすい傾向にあります。
このことはニュースでもよく取り上げられるようになりました。
しかし、食品ロス削減の取組みはまだまだ十分とはいえません。
冒頭の恵方巻きの食品ロス削減活動に参加する事業者も、2桁に止まらず3桁、4桁とどんどん増えてほしいと思います。
私たち消費者も季節のイベントを心から楽しめるように、自分たちが食品ロスを出さないようにするとともに、企業がどのような食品ロス対策に取り組んでいるかもしっかりとチェックしていきたいですね。