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北欧の食品ロス削減アプリ3選! 人気の秘訣は楽しむこと

公開日: 更新日:2023.06.23
北欧の食品ロス削減アプリ3選! 人気の秘訣は楽しむこと

こんにちは、サステナブルライターの山下です。

北欧と聞くと、みなさんはどんなイメージを持っていますか?

デンマークの「ヒュッゲ」に代表されるような、居心地がよく肩の力が抜けた快適な印象を持つ方も少なくないでしょう。

そんな北欧のデンマーク、スウェーデン、フィンランドで愛されている食品ロスの削減に役立つアプリをご紹介します。

 

デンマーク発の「Too Good To Go」

Too Good To Go

(画像出典:https://toogoodtogo.org/en/press/downloads/lifestyle

 

レストランやホテルなどの食品ロス削減をサポートするアプリToo Good To Go」は、デンマーク発のアプリです。

2016年にスタートし、現在はオランダなどさまざまな国で4,000万人を超えるユーザーに利用されています

 

アプリには、自分がいる場所の近くにさまざまな飲食店が表示されます。

販売されるのは、それらの飲食店で売れ残ったまだ食べられる食品。

通常の価格より割安で買うことができ、アプリ上でネット決済できるため便利です。

決済が終われば、自分が指定した時刻に飲食店に受け取りに行くだけです。

 

「Too Good To Go」のコンセプトはとてもユニークです。

アプリのユーザーを、食品ロス削減のヒーローに見立て、楽しみながら取り組めるように工夫されています。

例えば、販売される食品は「マジックボックス」と呼ばれ、実際に開けるまで何が入っているかわかりません

ユーザーにワクワク感を与えながら上手に食品ロスを減らすアイディアのひとつといえます。

 

飲食店の閉店時間が近づくと売り切れも続出し「買いたいのに買えない」というユーザーもいるのだとか。

多くの方がお得で楽しい「Too Good To Go」を愛用している証拠ですね。

 

(参照:https://toogoodtogo.org/en

コロナ禍ではサプライヤーとも協力

新型コロナにより飲食店が営業をストップすると「Too Good To Go」の売上は6割以上も減少してしまったといいます。

 

そこで「Too Good To Go」は新たに食品メーカーなどのサプライヤーと協力関係を築きました

ダノンやネスレなど、生鮮食品を取り扱うメーカーの食品ロス削減をサポートすることで、売上のV字回復に成功。

なんとコロナ禍にありながら売上が6倍になったというから驚きです。

 

さらに、3,000万ドルを超える資金を投資家から集め、アメリカやカナダへの進出も計画しています。

食品ロスの削減とビジネスをマッチングさせた素晴らしいケースといえます。

 

(参照:https://www.wired.co.uk/article/startups-after-pandemic

 

世界初といわれるデンマークの食品ロス専門スーパー「Wefood」は、以前ロスゼロブログでも学生ライターの橋本さんが紹介してくれました。

ぜひこちらもチェックしてみてくださいね!

(参考:ロスゼロブログ『世界初!デンマークの食品ロス専門スーパー「Wefood」とは?』)

 

 

スウェーデンの「Karma」

続いてご紹介するのは、スウェーデンのアプリ「Karma」です。

「Karma」は、2016年にスウェーデン・ストックホルムのスタートアップによってつくられました。

2018年にはイギリスに、2019年にはフランスに進出しています。

 

「Karma」も同じく、小売店で余った食品を格安で消費者に販売する仕組みです。

これまでに140万人がアプリを利用し、1,200トンを超える食品ロスの発生を防いでいます

 

「Karma」は小売業者にとっても使いやすいアプリを目指し、余った食品のアップロードが簡単にできるだけでなく、小売店のターゲットとなりそうな客層に向けたマーケティングなども無料で行っています。

こうしたサービスが評価され、レストランやカフェはもちろん、スーパーマーケットなどの小売店や卸売店でも利用されています。

 

ユニークでスマートな「Karma冷蔵庫」

Karmaの隣に立つ人

(画像出典:https://karma.life/fridge

 

Karmaは2018年、スウェーデンの電機メーカー・エレクトロラックスと共同で、

消費者に食品を受け渡すためのスマート冷蔵庫を開発しました。

スマート冷蔵庫の興味深い使い方は、以下の通り。

 

あらかじめ、小売店などがスマート冷蔵庫に売れ残り食品を入れ、アプリに登録しておきます。

消費者がKarmaアプリからスマート冷蔵庫の中の食品を購入すると、店舗側にもアプリで通知されます。

スマート冷蔵庫にはカギがかかっており、購入したユーザーのアプリに表示されるQRコードで開ける仕組みになっています。

 

小売店にとっては対面での接客に要する時間を節約できるメリットがあります。

テクノロジーを駆使したユニークなアイディアではないでしょうか。

 

(参照:https://karma.life/

 

フィンランドの「Froodly」

最後はフィンランドのスーパーマーケットで活躍するアプリ「Froodly」です。

これは、消費者の協力をうまく取り入れた仕組みになっています。

 

「Froodly」では、消費者自身がスーパーマーケットで期限間近で値引きされた商品の写真をとり、割引額とともにアプリにアップロードします。

割引された商品がアップされると、近くのユーザーのアプリに通知され、

必要としているユーザーが買う仕組みです。

写真をアップした消費者には、エコポイントが付与され、ポイントがたまると値引きなどの特典を受けることができます。

 

アプリでは、値引き対象商品とそうでないものを間違わないように「Alennus(フィンランド語で『値引き』の意味)」という文字が識別できるようになっています。

また、同じ商品を何度も登録しないように、商品ひとつにつき1回のアップロードとする仕組みも設けられています。

 

「Froodly」は、消費者どうしの協力によって小売店の負担を減らす画期的なアプリです。

小売店は、このアプリを使うことで売れ残りを減らすだけでなく来店数を増やすことができるでしょう。

 

(参照:https://froodly.com/

まとめ

スマホをみて笑う若者

 

北欧3ヶ国のどのアプリにも共通するのは、食品ロスを減らし、環境への負担を軽くしたいという思いです。

各社のウェブサイトを見ると、食品ロスが環境に与える影響に危機感をもっていることが伝わってきます。

 

今回ご紹介した3社は、気候変動という問題に危機意識をもちながらも、多くの人が楽しく取り組める仕組みを提供しています。

地球環境のための行動というと、ともすれば我慢が必要になり、強い意志がないと続かないという思い込みを覆してくれるような楽しいアプリばかりです。

 

「Karma」のトップページには『地球上でもっとも簡単な食べるという行為で、怠け者でも地球を救うことができる』という意味のメッセージが描かれています。

何事も悲観的にならず、楽しみながら取り組むことが、持続可能である秘訣なのかもしれませんね。

  

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この記事を書いた人

サステナブルライター 山下

電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。