こんにちは。進です。
現在は大学で生物学を学んでいます。
よろしくお願いします。
さて、皆さんは外来種という言葉をご存知でしょうか。
外来種(外来生物)は、カンタンに言えば
「もともとその場所にはいなかったが、
様々な理由によりその場所に棲みついた生物」のことです。
これに対し、もともとその場所に棲んでいる生物は在来種といいます。
外来種が環境に及ぼす影響はさまざまで、
たとえば、たくさんいる在来種のウサギを
外来種のヘビが食べつくしてしまうかもしれません。
もともとその場所にはいなかった生物が
外からやってくるわけですから、
どういうことが起きるのかは予想できません。
もしかしたら何も影響がないかもしれませんし、
生態系をめちゃくちゃにしてしまうかもしれません。
環境問題の一つとして挙げられることの多いこの外来種ですが、
こういう認識を持たれている方も
いらっしゃるんじゃないでしょうか。
「外来種は環境を壊す悪者だ、駆除するべきだ」
まぁここまで言うつもりはなくとも、
多くの方は外来種に良いイメージを抱いてはいないでしょう。
しかしその認識は本当に合っているのでしょうか。
もっと言えば、
外来種というだけで駆除する理由になるのでしょうか。
そもそも、どうやって外来種が別の地域に定着するのでしょうか。
その理由はさまざまですが、
ここで重要なのは「絶対に人間が関わっている」という点です。
身近な例でいえば、
育てていた魚を飼えなくなったとして、
その動物を自然に返すと、その池や川、
海に棲みついてしまう可能性がありますよね。
実際にペットを自然に返す人は少なくありませんし、
これは問題視されていることの一つです。
この例を見て
「そんなの飼い主が気をつければいいだけじゃん」
と思ったかもしれませんが、
たとえ気をつけていたとしても
外来種が入ってきてしまうことはあります。
しかし、海外から持ち込んだ水に含まれる微生物でさえも
外来種になる可能性があります。
他にも、ハブを駆除するために連れてこられた動物が、
ハブではなくその島に住む希少種を
食い荒らしてしまうなんて事例もあります。
このように、外来種が入ってくる理由はさまざまです。
今でこそ「気をつけろよ!」って
言いたくなることも多いですが、
問題意識の少なかった昔には
しかたない事だったのかもしれません。
周りの地域とカンタンに交流できるようになったから
現代でこそ生物の行き来も
活発になっているとも考えられますね。
では、さっきも触れましたが、
これら外来種は悪者なのでしょうか。
答えは否です。
正確には、外来種という生物をひとくくりにして考えるべきではありません。
そもそも、人間によって持ち込まれた生物が
その場所に影響を与えたからといって
その生物が悪いということにはなりません。
しかし、実際に生態系を荒らしてしまったり、
繁殖しすぎて悪影響がでたりと、
実害が出てる以上対処しなければならないこともあります。
そういった場合は
駆除の対象として指定される(特定外来生物)ことがありますが、
多くの場合は影響が出ずにその地域に定着します。
この特定外来生物が多く話題にあがりますが、
外来種が悪いものだというイメージは
ここから来ているのかもしれませんね。
日本で外来生物法という法律によって
決められた特定外来生物ですが、
1000を超える外来種の中で約100種類が
この特定外来生物に指定されています。
身近な生き物が実は外来種だったなんてこともあります。
もし気になったなら
一度調べてみるのも面白いかも...。
生き物に関する問題なので、
そう簡単に良い悪いを判断するということは難しいですが、
その問題について詳しく知ることで間違った認識、対処を防ぐことができるかもしれません。
問題を考えるにあたって、
いきなり何かをするのではなく、
まずは興味関心を持って
取り組んだ方がいいということですね。
今回は外来種問題に注目しましたが、
現在起きている環境問題はこれだけではありません。
皆様ひとりひとりが、
他人事ではなく自分の周りで起きていることなんだと
認識することこそが重要になってきます。
この記事が皆様にとって少しでも理解を深めるきっかけになれば幸いです。
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