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【途上国のごみ問題事情】焼却処理インフラがない国の廃棄物の行き先

公開日: 更新日:2023.11.13
【途上国のごみ問題事情】焼却処理インフラがない国の廃棄物の行き先

こんにちは!

ロスゼロスタッフの中角です。

 

私は昨年まで東南アジアでゼロウェイスト(※1)関連の仕事をしており、ご縁があってロスゼロに入社することになりました。

 

(※1 ゴミのない社会を目指す運動や取り組み)

 

途上国でゴミ問題に取り組んだ経験から、日本とは違う海外のゴミ事情やサステナブルな取り組みについて発信していきたいと思います。

よろしくお願いします!

 

さて、今回の本題ですが

『途上国のゴミ問題』について

お話していきたいと思います。

 

みなさんは、東南アジアやアフリカなどの開発途上国へ、旅行されたことはありますか?

 

経済成長が激しい一方で、まだ生活インフラが整っていない部分がたくさん見られ、廃棄物処理に関しても、同様のことが言えます。

 

途上国のほとんどの国々には、ゴミを適切に処理をする施設がなく、そのままゴミ山のように埋め立てられているのが現状です。

 

また、田舎では川へゴミを流したり、家庭でゴミを燃やしている地域もあります。

 

ゴミが放置されているカンボジア
(出典:国連開発計画・UNDPカンボジア)

 

街を歩いていると、かなりの量のゴミが道端に捨てられているのが見られます。

 

東南アジアには乾季と雨季という二つの季節がありますが、雨季になると道端のゴミが排水路につまり、洪水の原因にもなります。

 

毎年多くの命が洪水によって失われているのが現状です。

 

 

私が住んでいたカンボジアでは、

海外企業からの出資や、ODAのような国際援助を受け、ごみ処理のシステムが導入されつつありますが、国内にリサイクル工場はなく、ウェイストピッカー(※2)によって集められた空き缶やダンボールなどリサイクルできる素材も、隣国のベトナムやタイへ輸出され、リサイクルされます。

 

(※2 ゴミを拾って売ることで生計を立てている人)

 

カーボンニュートラル(※3)が世界で叫ばれる中、ゴミが国をまたいでリサイクルされていることに驚きました。

 

(※3 交通量を減らしたり、植林をするることで、二酸化炭素の量をゼロに近づけること)

 

また、市場や人気の多いエリアへ行くと、このように積み上げられたゴミが見られます。

 

山になったゴミ

 

夜になると、この画像の3倍ほどの量になります。

 

カンボジアの日中の平均気温は30℃以上。

ゴミは短時間で腐敗していき、異臭を放ちますが、ここは市場なので、ゴミの隣で普通に屋台で食品が販売されています。

 

また、夜になると害虫や動物がたくさん出現し、不衛生な環境になります。

 

東南アジアの国々は屋台文化が盛んで、家でご飯を作らずに屋台のご飯をテイクアウトすることが多いです。

 

 

急激なプラスチックの普及に伴い、屋台で購入する食品にも安価で丈夫なプラスチックが使われるようになったため、カンボジアの首都プノンペンでは、毎日ビニール袋がおよそ1,000万枚消費されていると言われています。

 

さらに市街地のごみの量も急激に増加。

2004年に比べ、2017年には、5倍以上の年間150万トン以上に達しています。

 

(出典:NHK 『「途上国のプラスチック汚染の現状と課題 ~カンボジアからの報告~」(視点・論点)』https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/371720.html )

 

カンボジアは東南アジアの中でもまだ成長が遅れている国であり、海外からの支援やNGOの活動が活発な国なので、これからのインフラ設備の充実が期待されます。

 

ちなみにバングラデシュの首都ダッカや南太平洋諸国の国を跨いだ廃棄物処理システムは、日本のODA実施機関JICAの技術支援によって作り上げられたものです。

 

廃棄物処理システムは、道路や橋のようにただモノを作るだけではなく、ゴミ処理に詳しい専門家を育成し、市民にもゴミの分別や回収場所へゴミの投棄を呼びかけるなど、習慣を根付かせることが一番重要となります。

 

ですので、他のインフラ整備の支援よりも、成果が見えるまで時間がかかってしまいます。

 

しかし、地球温暖化やゴミによる生態系の破壊はますます深刻になりつつあります。

 

日本も充実した廃棄物処理システムがあるから大丈夫ではなく、少しでも排出するゴミの量を減らし、資源を有効活用できるように、地球規模でゴミ問題に取り組んでいきたいですね!

 

 

 

《参考資料・動画》

 

Mother Nature Cambodia 『Cambodia's obsession with plastic turns into a full blown environmental crisis』https://youtu.be/dwaO0r8WV9k

 

天野史郎(2018) 『僕の名前はアリガトウ(太平洋廃棄物広域協力の航跡)』https://amzn.asia/d/d9WVtiL 佐伯印刷

 

石井明男・眞田明子(2017) 『クリーンダッカ・プロジェクト (ゴミ問題への取り組みがもたらした社会変容の記録)』https://www.amazon.co.jp/ 佐伯印刷

 

 

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この記事を書いた人

中角

関西学院大学総合政策学部卒業。
カンボジアの現地企業にて、ゼロウェイスト関連の仕事に従事したのち、ロスゼロの広報担当として社内のことやSDGsについて発信しています。
趣味は犬と戯れること。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。