日本は、世界的にも高度なリサイクル技術を持ち、多くの市民がリサイクルに積極的に取り組んでいることで知られています。
しかし、日本のリサイクル率が世界で何位かご存知でしょうか?
実際のところ日本のゴミのリサイクル率は、他の先進国に比べて低いという課題があります。
この問題には、地域ごとの取り組みや収集方法など、様々な要因が絡んでいます。
今回の記事では、日本と世界のゴミのリサイクル率の比較やリサイクル率を上げるための取り組みなどについて解説します。
リサイクル率とは?
環境省は、リサイクル率を
「市町村の分別収集や中間処理による資源化量と住民団体等によって集団回収され資源化されるものの合計の総排出量に対する割合」
と定義しています。
(画像出典元:国立研究開発法人国立環境研究所)
少し難しいのですが、
リサイクル率=リサイクルされるごみの量 / 総ごみ排出量
と認識していただくと分かりやすいかもしれません。
ちなみに日本のリサイクル率は2020年段階で、20.0%とされています。
(参照:一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について)
さて、この数字は世界基準から見て、どうなのでしょうか?
リサイクル率世界ランキング
OECDごみリサイクルランキング
OECD加盟国の中で、最新のごみのリサイクル率のランキングは以下の通りです(2021年)。
- スロベニア - 52.8%
- ドイツ - 48.6%
- スイス - 42.0%
- 韓国 - 37.8%
- スウェーデン - 34.0%
- ルクセンブルク - 32.0%
- オランダ - 30.7%
- ベルギー - 29.2%
- チェコ - 28.0%
- オーストリア - 27.7%
(参照元:OECD「Municipal waste collection and treatment」)
日本の順位はランキング圏外と低い結果になっています。
国際連合環境計画(UNEP)が2015年に発表した報告書「Waste Management Outlook for Mountain Regions: Sources and Solutions」によると、世界全体の平均リサイクル率は15%程度だとされています。
ただし、各国のリサイクル率の算出方法や基準が異なる場合があり、比較が難しい場合があります。
また、一部の国はリサイクル率を上げるために、ごみを発展途上国へ輸出することがあります。
リサイクル率全国1位の都道府県はどこ?
令和元年度の日本のリサイクル率第一位の都道府県は山口県。
19.6%の全国平均に対し、32.7%のリサイクル率を誇ります。
ちなみにリサイクル率全国最下位は和歌山県で、12.2%となっています。
(環境省「一般廃棄物処理実態調査結果」)
資源ごみ別リサイクル率
先ほどのランキングでは、特にヨーロッパのリサイクル率が高いことが分かります。
しかし、日本とEU諸国でごみの資源ごとのリサイクル率で比較すると、、
プラスチック
日本:25.9%(2020年度)(出典:環境省「平成30年度プラスチック製容器包装リサイクル等実績」)
EU:約30%(出典:Eurostat「Municipal waste by waste operations and waste streams」)
紙
日本:81.5%(平成30年度)(出典:公益財団法人古紙再生促進センター「平成30年度古紙リサイクル等実績」)
EU:約71%(出典:Eurostat「Municipal waste by waste operations and waste streams」)
缶
日本:96.6%(2021年度)(出典:アルミ缶リサイクル協会)
EU:約75%(出典:Eurostat「Municipal waste by waste operations and waste streams」)
ペットボトル
日本:86.0%(2021年度)(出典:PETボトルリサイクル推進協議会「PETボトルリサイクル年次報告書2022」)
EU:約42%(出典:Plastics Europe「Plastics – the Facts 2021」)
となっており、資源によって大きなバラつきがあることがわかります。
紙や缶、ペットボトル等の資源ごみでリサイクル率で世界トップレベルを誇る日本ですが、プラスチックや生ごみに関してはまだ取り組みが不十分だとされています。
どうしてヨーロッパのリサイクル率は高いのか
ヨーロッパのごみリサイクル率が高い理由には、以下のような要因が挙げられます。
法律や規制の整備
ヨーロッパの国々は、ごみ処理に関する法律や規制を整備しており、リサイクル率を向上させるために取り組んでいます。
例えば、EUでは、リサイクルや廃棄物の処理に関する法律が制定されており、国や地域が目標とするリサイクル率を設定し、それを達成するための取り組みが進められています。
ごみ分別の徹底
ヨーロッパでは、市民がごみを分別する文化が根付いています。
家庭や企業でのごみ分別が一般的であり、自治体が回収するごみの種類を細かく分けている場合もあります。
このように、ごみ分別が徹底されていることによって、リサイクルがしやすくなっているといえます。
リサイクル施設の整備
ヨーロッパでは、リサイクル施設が整備されており、プラスチックや紙、金属などのごみを効率的に処理できる体制が整っています。
これにより、リサイクル率の向上が実現しています。
環境への意識の高さ
ヨーロッパの国々では、環境問題に対する意識が高く、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが進められています。
そのため、リサイクル率の向上にも積極的な姿勢を示しています。
これらの要因が重なり合い、ヨーロッパのごみリサイクル率の向上につながっていると考えられます。
日本のリサイクル率が低い理由は?
日本のリサイクル率が低い理由には、以下のような要因が挙げられます。
ごみの発生量が多いため
日本は先進国の中でも消費量が非常に多く、高度な消費社会であるため、一人あたりのゴミの発生量が多くなっています。
また、生活スタイルが変化して、プラスチックなどの使用量が増えたこともゴミの発生量を増加させています。
リサイクル体制が整っていないため
日本では、焼却技術が進んでいるとはいえ、まだまだリサイクル体制が整っていない分野があります。
例えば、生ごみやプラスチックごみのリサイクル率が低いことが指摘されており、回収システムが未整備であったり、リサイクル技術の発展が遅れていたりすることが原因とされています。
また、自治体ごとにリサイクルのルールが異なっているため、混乱が生じることもあります。
日本の一人当たりの年間ゴミの発生量は?
国内で発生する食品ロスの総量は年間で約523万トンと報告されており、これは世界においても大きな数字です。
さらに注目すべきは、一人当たりの食品ロス量です。日本の一人当たりの食品ロス量は約64キログラムとされています。
これは世界的に見ても高く、特に先進国の中では上位に位置しています。アジア諸国と比較しても、日本が最も多く食品ロスを発生させていると言われています。
リサイクル率を上げるには?
リサイクル率を上げるには、以下のような取り組みが必要です。
分別の徹底
ごみの分別を正確に行うことが、リサイクル率を上げるための基本です。
正しい分別方法を周知し、分別ルールを明確にすることで、家庭から出るごみを有効にリサイクルできるようになります。
循環型社会の推進
廃棄物を再利用し、資源を循環させる循環型社会を実現するため、リサイクルの取り組みを進める必要があります。
そのためには、リサイクル技術の開発や、リサイクル品目の拡大、リサイクル施設の整備などが必要です。
生産段階での取り組み
廃棄物を減らすためには、生産段階での取り組みが欠かせません。
リサイクルに適した素材の使用や、リサイクルを前提とした製品の開発など、生産者が積極的に取り組むことが必要です。
税制・制度の改善
リサイクルを促進するためには、税制や制度の改善も必要です。
たとえば、リサイクルに適した素材を使った製品に対して、税制上の優遇措置を設けることで、生産者が積極的に取り組むようになります。
以上のような取り組みが進められることで、リサイクル率を上げることができます。
また、個人としても、正しい分別方法を守り、リサイクルに積極的に取り組むことが大切です。
- フードロス削減、楽しい挑戦にしよう!
- 通販サイト「ロスゼロ」では、様々な理由で行先を失くした「食品ロス予備軍」を、その背景やつくり手の想いと共に、たのしく届けています。一緒におトクにおいしく社会貢献しませんか?