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【2023年最新】令和3年度の食品ロス量が発表!

公開日: 更新日:2024.10.31
【2023年最新】令和3年度の食品ロス量が発表!

 

令和5年6月9日に、農林水産省より「令和3年度食品ロス推定値」が公表されました。

国が掲げる2030年までに食品ロスを半減させるという目標に対して、食品ロスの現状目標に向けての進捗状況はどうなっているのでしょうか。

本記事では、近年の食品ロス量の推移と、消費者、事業者、自治体がどのような具体的な行動をとるべきかについて考察していきます。

 

令和3年度食品ロス量の内訳と詳細

令和3年度の食品ロス量

公表された食品ロス量の推計値の詳細

農林水産省が公表した令和3年度の食品ロス量は523万トンです。

食品ロス量の内訳を見てみると、全体の523万トン中、事業系食品ロス量は279万トン家庭系食品ロス量は244万トンとなっています。

これにより、事業者と家庭の食品ロス発生量はほぼ半々の割合となっていることが明らかとなります。

【農林水産省】最新の食品ロス量は523万トン、事業系では279万トンに


前年度比での食品ロス量の変動: 増減の理由

前年度と比較して食品ロス量は1万トン増加し、事業系食品ロスは4万トン増、一方で家庭系食品ロスは3万トン減となりました。全体的な増加は事業者の食品ロス増によるものであり、家庭では効果的な食品ロス削減の取組が進んでいることが読み取れます。食品ロス削減の取り組みが進展している一方で、事業系の食品ロス増については、今後の課題として捉えられます。

事業系食品ロスの現状

日本の食品ロス量の推移

令和3年度の食品ロス量は前年度比で1万トン増加し、総重量の約53%を占める279万トンが事業者から発生したことが示されています。

内訳を見ると、事業系食品ロスでは小売が最も多く、約96万トンでした。次いで外食が約75万トン、食品加工が約57万トンと続きました。

事業者間で発生する食品ロスの原因として、過剰な在庫を持つ、見栄えの悪い商品を排除する、消費期限の近い商品を廃棄するなどの行動が挙げられます。

特に、スーパーマーケットや飲食店などは、品質維持や消費者の要求に応えるために、余分な在庫を持つ傾向があります。そして、これらの商品が売れ残り、消費期限が過ぎると、安全性を確保するために廃棄せざるを得ない状況が生まれます。

また、消費者のニーズに応えるためには、新鮮な商品を常に提供する必要があります。これらの要求が事業系食品ロスの増加に寄与しています。

家庭系食品ロスは減少傾向

家庭系食品ロス

家庭における食品廃棄の減少の理由

令和3年度には家庭系食品ロス量が前年度より3万トン減少し、244万トンとなりました。

家庭系食品ロスの内訳を見ると、直接廃棄と食べ残しが105万トン、過剰除去が34万トンでした。過剰除去と食べ残しは減少していますが、直接廃棄は横ばい状態です。

近年は、食品ロス問題への関心が高まり、多くの人が食材を無駄なく使い切ることを意識するようになりました。また、食品廃棄に関連するCO2排出量の問題にも目を向け、適切な食事の量を見極めて、食べ残しを抑える努力もなされています。さらに料理レシピの多様化や、食品ロス削減に関する情報発信も後押しとなり、過剰除去や食べ残しが減少しています。

しかし、食品の賞味期限や消費期限を過ぎたものを廃棄する習慣が依然として根強く残っていること、食品の品質管理や保存状態の誤認識などが、直接廃棄が横ばい状態である原因の一つと考えられます。


食品リサイクルへの消費者の意識の向上

再利用やコンポスト化による有機肥料化など、食品リサイクルへの関心が増すことで、食品ロスが減少しています。再利用が難しい食品廃棄物でも、適切な処理が行われることでエネルギー源として活用されるケースも増えてきており、消費者の間でもリサイクルに対する理解と関心が高まっています。これらの取り組みが食品ロスの削減につながっています。

日本の食品ロス削減目標:2030年のビジョン

食品ロス

国際連合が採択した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」によると、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させることがSDGsのターゲットとされています。

そこで、農林水産省は令和元年7月に「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)を公表しました。この法律の基本方針では、事業系食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減させるという目標が設定されています。

令和3年度の事業系食品ロスは279万トンにのぼり、前年度比で4万トン増加しました。2030年度までの目標値273万トンを達成するには、あと6万トンの削減が必要です。

一方、家庭系食品ロスについても、令和元年に公表された「第四次循環型社会形成推進基本計画」において同様の半減目標が設定されています。家庭系食品ロスは、家庭での調理過程や食事後の残飯、未開封の食品など、消費者が直接関与する食品廃棄が主です。令和3年度の家庭系食品ロスは244万トンで、前年度比で3万トン減少しました。2030年度までの目標値216万トンを達成するには、あと28万トンの削減が必要です。

 

【環境省】我が国の食品ロスの発生量の推移

 

食品ロスが一番多い国はどこ?

世界の食品廃棄量ランキング

食品ロスが1番多い国は中国です。UNEP(国連環境計画)が発表した「UNEP Food Waste Index Report 2021」によると、中国の家庭から廃棄される年間量は約9164万トンでした。これは世界全体の約10%に相当します。

日本の全体の年間食品ロス量は約523万トンですが、日本の一人当たりの食品ロス量は約64キログラムで世界第6位でした。アジアでは日本が最も多く、中国は約64キログラムで日本と同等でした。

 

食品ロス問題と環境:エコロジーとの関連性

食品ロス削減とエコロジー

食品ロスの発生と環境問題の関連性

食品ロスは気候変動に大きな影響を与える問題の一つです。食品の生産から廃棄までの全過程で排出される二酸化炭素は、全世界の温室効果ガス排出量の約8%を占めています。523万トンもの食品ロスが発生している日本において、これを削減することは、CO2排出量を抑える重要な手段となります。


食品ロス削減と環境保全の相互作用

食品ロスを減らすことは、食品生産のために必要な水やエネルギー、土地の使用を削減し、自然環境の保全につながります。特に、279万トンの事業系食品ロスが存在する今、ビジネスプロセスの見直しや効率的な在庫管理により、企業は食品ロス削減と環境保全を同時に実現できます。

また、食品ロス削減は地球規模の食糧供給にも寄与します。全世界で10人に1人が飢餓に苦しんでいる現状において、食品ロスを減らすことで、食糧をより多くの人々に届ける可能性が広がります。これらは、食品ロス削減が地球の環境保全と人間の生活改善にどう貢献できるかを示しています。

 

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この記事を書いた人

中角

関西学院大学総合政策学部卒業。
カンボジアの現地企業にて、ゼロウェイスト関連の仕事に従事したのち、ロスゼロの広報担当として社内のことやSDGsについて発信しています。
趣味は犬と戯れること。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。