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線状降水帯とは? 注意点、予想が難しい理由も紹介

公開日: 更新日:2023.12.26
濁流が流れる橋と川

 

毎年のように日本をおそう大雨

ニュースなどで「線状降水帯」という言葉を耳にすることも増えてきました。

しかし、そもそも線状降水帯とは何か、詳しく知っているという人は少ないのではないでしょうか。

そこで、線状降水帯の仕組みや注意点について簡単に解説します。

線状降水帯の発生を予想するのは難しいと言われていますが、その理由についても紹介するため、ぜひ安全に過ごすための参考にしてみてください。


線状降水帯とは

雲行きの悪い空

気象庁によると、線状降水帯とは「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、長さ50~300km程度、幅20~50km程度の線状に伸びる強い降水域」とされています。

つまり、線状降水帯とは発達した積乱雲が線状に連なったもので、同じ場所で激しい雨(集中豪雨)を降らせることが特徴です。

大雨は数時間から半日、長い時には数日にわたって降り続くこともあるため、河川の氾濫や土砂災害を引き起こす恐れもあり、とても危険です。


(参考:気象庁 | 予報が難しい現象について (線状降水帯による大雨)


線状降水帯を構成するのは「積乱雲」

海の上の積乱雲

そもそも、線状降水帯を構成する積乱雲とは、どのような雲なのでしょうか。

積乱雲は「入道雲」とも呼ばれ、夏の風物詩にもなっていますね。

積乱雲が夏に多い理由は、強い日差しで地面付近が温められることによって、強い上昇気流ができることにあります。

湿った空気が勢いよく上昇することで積乱雲が発生するのです。


地面から空に向かう強い上昇気流によって生まれる積乱雲は高く成長し、中には、高さ10キロメートルを超えるものもあります。

通常、雲は地表から10キロメートルまでの対流圏と呼ばれる空気の層で発生しますが、積乱雲は対流圏よりさらに高い成層圏にまで到達することもあるそうです。

積乱雲は、別名「雷雲」とも呼ばれ、激しい雨や雷をもたらすことがあります

線状降水帯は、こうした積乱雲がいくつも連なってできているため、長時間にわたって強い雨や雷が続くこともあるのです。



線状降水帯の予想は難しい?

線状降水帯

大雨だけでなく、洪水や土砂災害など大きな被害をもたらす線状降水帯ですが、実は発生する詳しいメカニズムは解明されていないと言います。

もちろん、積乱雲が連なってできるという大まかな仕組みはわかっていますが、発生に必要な水蒸気の量や大気の安定度など、細かな要素については、すべては解明されていないのだそうです。

線状降水帯の発生や発達、持続する詳しい気象条件などがわかっていないということは、いつ、どこで、どのような条件が重なったら線状降水帯が発生するのか、詳細はわからないということ。

そのため、線状降水帯の発生を正確に予測することが難しいのです。


(参考:気象庁 | 予報が難しい現象について (線状降水帯による大雨)



気象庁による線状降水帯の「呼びかけ」

メガホンでよびかけ

完全な予測が難しい線状降水帯ですが、気象庁では、大雨が予測される場合に半日ほど前から呼びかけを行っています。

線状降水帯が発生すると災害が起こる恐れが急激に高まるため、防災意識を高めるための呼びかけと位置付けられています。

この呼びかけが発信されると必ず線状降水帯が発生するわけではありませんが、万が一、線状降水帯が発生しない場合でも大雨になることが予想されます。

そのため、気象庁が発信する情報のほか、自治体が発表する情報なども確認しながら、安全を確保することが重要なのです。


(参考:気象庁|線状降水帯に関する各種情報の解説


線状降水帯から身を守るには?

洪水

線状降水帯が発生しているときには、お住まいの地域にどのような警報が出されているか、土砂災害の危険度がどれくらい高まっているのかを確認する必要があります。

気象庁のWEBサイトでは、注意報や警報が発出されている地域を一覧で見ることができます。

また、同じく気象庁の「キキクル」というWEBサイトでは、土砂災害などの危険性を地図上に色分けして表示しています。

こうした最新の情報を確認しながら、避難を行うかどうかを決めることが重要です。


(参考:気象庁『気象庁 | 警報・注意報』、『気象庁 | キキクル(危険度分布)』)


急に雨・雷が発生したときの対処法

大雨で滴る川

もし、屋外にいて雷が聞こえたら、すぐに建物の中や屋根付きの車の中に避難するようにしましょう。

開けた場所で近くに木がある場合、雷が木に落ちる可能性があるため危険です。

木や電柱からは4メートル以上離れるようにし、近づかないようにしましょう。

 

また、強い雨が急激に降る場合には、川や低い場所からすぐに離れるようにしましょう。

道路が浸水している場合、車であっても通行することは危険です

浸水している道路では、マンホールの蓋が外れている恐れもあり、車が水に浸かると水圧でドアが開かなくなってしまいます。

なるべく安全な高台に避難し、雨が落ち着くのを待つのが良いでしょう。


(参考:気象庁|急な大雨や雷・竜巻から身を守るために ~積乱雲が近づいてきたら・・・~


日頃からハザードマップの確認を

ハザードマップの確認

普段から、自分が住んでいる地域や職場の近くのハザードマップを確認しておくことも大切です。

ハザードマップとは、洪水、土砂災害、高潮、津波といった災害別の被災区域や避難場所、避難経路などを示した地図のことです。

それぞれの自治体が公表しているため、あらかじめ確認しておくといいでしょう。


ハザードマップを確認する際は、必ず家族全員で避難場所や避難ルートを決めるようにしましょう。

また、非常時の連絡手段もあらかじめ決めておくと安心です。いつ起こるかわからない災害、常に家族が一緒にいるときに起きるとも限りません。

さまざまなシチュエーションを想定して万全の備えができるように心がけましょう。

 

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この記事を書いた人

サステナブルライター 山下

電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。