こんにちは、サステナブルライターの山下です。
毎年のように大きな被害をもたらす台風。
生活インフラはもちろん、農作物などへの影響も心配されます。
近年、ますます顕著になりつつある地球温暖化は、台風とどのような関係にあるのでしょうか。
地球温暖化が台風の大型化や進路などに影響をもたらすことはあるのでしょうか。
今回は、台風と地球温暖化の間にはどのような関係があるのかについて、考えていきたいと思います。
台風ができる仕組み
まず、台風はどのようにできるのかについてご説明します。
台風は、海水温の高い赤道付近の海上で発生します。
海水温の高いところでは、強い上昇気流が生まれます。
この気流によって積乱雲が発生すると、渦が形成され、中心部の気圧が下がります。
さらに気圧が下がると熱帯低気圧となり、熱帯低気圧のうち風速が1秒あたり17メートルを超えたものが「台風」です。
台風が発生するシーズンといえば、日本では夏から秋にかけての季節が多いと思われています。
しかし、赤道付近では台風は1年を通して発生しており、そのうち、日本に近づくものが夏〜秋に多いということなのです。
つまり、台風の進路は季節によって異なるといえます。
春先には、台風が発生する緯度が低く、フィリピンなど西側の進路を通ることが多いのですが、夏ごろになると、より高緯度で発生し、太平洋高気圧の周りをなぞるような進路で日本付近へと北上してくるのです。
(台風の月別の主な経路。
(実線は主な経路、破線はそれに準ずる経路)出典:気象庁)
上図の通り、これから9月にかけて、台風がもっとも日本に近い進路をとります。
まさに今、台風の接近や上陸に対して、厳重な注意が必要なシーズンが迫っているのです。
(参考:気象庁|台風の発生、接近、上陸、経路)
地球温暖化と台風の大型化や進路との関係
では次に、地球温暖化によって台風が大型化する可能性があるのかどうかについて考えていきましょう。
気象庁のWEBサイトでは、地球温暖化に関する「台風の将来予測」について
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書によると、地球温暖化の進行に伴い、台風など熱帯低気圧の強さが増す可能性が指摘されています」と記載されています。
IPCCとは、世界中の科学者によってまとめられた気候変動に関する世界的な組織です。
地球温暖化を含む気候変動について、定期的にレポートを発表しています。
2021年8月には、最新のIPCC第6次評価報告書の第一部が発表されましたが、この要約においても「強い熱帯低気圧の割合」が将来増加する可能性が指摘されました。
また、IPCC第6次評価報告書では、北西太平洋の熱帯低気圧が発達のピークに達する地点が北上しているということも指摘しています。
つまり、地球温暖化が進むことで、より強い熱帯低気圧が多く発生する可能性があるとともに、熱帯低気圧がピークを迎える地点が北上する可能性もあるのです。
(参考:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第I作業部会報告書(自然科学的根拠)の公表について | 報道発表資料 | 環境省)
なお、IPCC第6次評価報告書については、こちらの記事で詳しくご説明しています。
最新の地球温暖化の影響についてさらに深掘りしたという方は、ぜひ合わせてご覧ください。
(ロスゼロブログ『IPCCとは? 最新の温暖化を伝える第6次評価報告書』)
防災のために、まず避難情報を正しく理解しよう
今後、さらに強さを増していくと予想される台風に対して、私たちができることは何でしょうか。
まず、防災の観点からは、非常食などの防災用品を揃えたり、近所の避難所の場所を確認したりすることが重要だと考えられます。
しかし、同時に、避難に関する情報を正しく理解しておくということも同じくらい大切ではないでしょうか。
実は、2021年5月20日から避難情報が変更され、これまでの「避難勧告」が廃止されました。
(新たな避難情報に関するポスター・チラシ。出典:内閣府)
現在は、警戒レベル4の「避難指示」で必ず避難することになっているのです。
このように避難に関する言葉には「避難指示」「緊急安全確保」など日頃なかなか耳にしないものも多く含まれます。
そのため、どれがもっとも緊急性が高いのかなどを把握してくのは難しいかも知れません。
しかし、こうした避難情報を正しく理解し、いざというときに適切な行動を迅速に判断できるようにしておくことは、命を守るうえでとても重要なことではないでしょうか。
ぜひ、ご家族のみなさんで共有し、防災のための第一歩としていただければと思います。
(参考:内閣府 避難情報に関するガイドラインの改定(令和3年5月))
地球と家計にやさしい“省エネ”ライフスタイルを
続いて、まったく異なる視点に立って、台風から私たちの暮らしを守るためにすべきことを考えてみましょう。
この先、台風が強度を増していく一因は地球温暖化にもあるということがわかりました。
地球温暖化による影響を少しでも緩和するには、私たちは一体何をすべきなのでしょうか。
温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)は、私たちの暮らしから排出されています。
例えば、家電製品を使ったり、自家用車に乗ったりすることも、間接的なCO2の排出につながっています。
そのため、省エネや節電に取り組むことこそ、CO2排出量を減らし、地球温暖化の影響を緩和することにつながるのです。
家庭ですぐにでも始められる省エネについて、下図にてご紹介します。
(出典:温室効果ガスインベントリオフィス/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより)
こうした省エネの効果は、1つ1つはとても小さいものです。
「これくらいなら、やってもやらなくても同じなのでは?」
と思う方もおられるかもしれません。
しかし、数ヶ月、1年と続けるうちに省エネ効果がどんどん蓄積されていきます。
同時に、CO2排出削減効果と光熱費の削減額も、少しずつ積み上がっていくでしょう。
CO2削減の効果は、なかなか見えにくいものですが、光熱費は毎月の請求書で確認することができます。
ぜひ、今日から地球にも家計にもやさしい省エネに取り組むことで、温暖化の影響を緩和できる新たなライフスタイルをスタートしてみませんか。
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