ロスゼロブログ

カテゴリ一覧

魚のフンが野菜に?アクアポニックスって何?

公開日: 更新日:2024.01.05
魚のフンが野菜に?アクアポニックスって何?

アクアポニックスは、魚と植物が共生する自然のサイクルを利用した農法で、古代アステカや中国の農法がその起源です。

近代では、養殖魚の排泄物を肥料とする研究が進み、水産養殖と農業を効率的に統合する手法として普及しました。

現代社会では、気候変動や水資源の枯渇への対策として、最小限の資源で食物を生産するアクアポニックスが注目されています。

古代の知恵と現代の科学が融合したこの持続可能な農法は、未来の農業としての可能性を秘めており、食料問題の解決策の一つとして期待されています。


アクアポニックスとは?その基本的な仕組み

水槽

循環型農業の一環:アクアポニックスの理論

アクアポニックスとは、魚と植物が相互に利益を得る生態系を人工的に作り出す、循環型の農業の一形態です。

この理論は、自然界の循環システムを模倣し、魚の排泄物を植物の肥料とし、その過程で植物が水を浄化する、というものです。この循環により、水と肥料を大幅に節約できるため、地球環境にも優しい持続可能な農業手法として注目されています。

魚と野菜の共生:栄養分とバクテリアの役割

次に、アクアポニックスが実際にどのように動作するのか見てみましょう。
まず、魚は水中で食事をし、その結果として排泄物を出します。この排泄物は、アンモニアなどの栄養分を含みますが、これらは植物にとっては有毒です。

しかし、アクアポニックスシステム内の特定のバクテリアがこれらの有毒物質を吸収し、植物にとって有用な窒素化合物に変換します。この結果、植物は自然の肥料を得ることができます。

水質管理とアクアポニックス:健康な魚と野菜の育て方

水質管理は、アクアポニックスシステムで健康な魚と植物を育てるために重要な役割を果たします。適切なpHバランスを保つこと、充分な光と熱を確保すること、適切な栄養バランスを維持することなどが必要です。また、システム全体の健康を監視するために、定期的な水質検査が必要となります。

適切な水質管理が行われていると、植物は健康に育ち、魚も病気になるリスクが減少します。結果として、アクアポニックスシステムは、持続可能で効率的な食料生産方法となるのです。

 

アクアポニックスの利点:持続可能な農業への一歩

水耕栽培

エコ農法としてのアクアポニックス:環境負荷と省エネ

アクアポニックスは、持続可能な農業の一形態であり、エコ農法として注目されています。特に節水と無農薬栽培が大きな魅力です。

従来の土壌栽培と比較して、アクアポニックスは90%以上の水を節約できます。これは、水がシステム内で循環し、蒸発した水分だけが補給されるからです。
また、化学肥料や農薬の使用を必要としないため、環境への負荷が大幅に減少します。無農薬で育てられた野菜は、消費者の健康を守るだけでなく、生態系にも優しいです。

これらのメリットは、アクアポニックスが今後ますます重要性を増していく理由を明確に示しています。

SDGsと連携:アクアポニックスと持続可能な農業

持続可能な開発目標(SDGs)は、人間と地球の共生を目指す国際的な目標です。アクアポニックスは、特に「クリーンな水と衛生」、「産業と技術の革新」、「持続可能な都市と地域」、「責任ある消費と生産」、「気候行動」などの目標に直接寄与します。

持続可能で効率的な食料生産方法として、アクアポニックスはSDGsの達成をサポートする重要なツールとなります。

魚のフンがキーポイント:アクアポニックスで野菜を育てるプロセス

バクテリア

魚のフンとバクテリア:野菜への栄養供給プロセス

アクアポニックスの根底にあるのは、魚の排泄物と特定のバクテリアの共生関係です。

魚が排出するアンモニアは、バクテリアによって硝酸塩に変換されます。この硝酸塩は、植物にとって最適な形の窒素となり、その成長を促進します。魚から排出される他の栄養素も、これらのバクテリアによって植物が吸収可能な形に変えられます。
このプロセスは、自然界に存在する一連の生態系を模倣したもので、植物と魚の間で栄養循環を形成します。

水耕栽培とアクアポニックス:違いと共通点

水耕栽培とアクアポニックスは、どちらも土を必要とせずに植物を栽培する方法ですが、栄養源の供給方法に大きな違いがあります。

水耕栽培では、化学肥料が栄養源として使用されます。一方、アクアポニックスでは、魚の排泄物が自然の肥料として利用されます。これにより、アクアポニックスは持続可能性が高く、化学肥料の使用を排除し、循環型の食品生産システムを形成します。

アクアポニックスの育て方:注意点とコツ

アクアポニックスの成功には、魚と植物の種類の選択、水温やpHの管理、適切な水質維持など、いくつかの重要な要素があります。また、魚の健康状態を維持し、植物に適切な栄養を提供するためには、バクテリアの役割を理解することも重要です。

アクアポニックスは、魚と植物、バクテリアの三者がバランス良く共生する環境を作ることが最も重要なコツと言えるでしょう。

 

アクアポニックスで育てることができる野菜と魚

レタス栽培

適合する魚と野菜の種類:アクアポニックスの可能性

アクアポニックスでは、さまざまな種類の魚と野菜が栽培できます。
魚については、成長が早く、養殖が容易なティラピアや金魚が多く用いられます。一方、野菜は主に葉物野菜が適しており、レタスやホウレン草、ハーブなどが人気です。また、水分をたくさん必要とするトマトやキュウリなどの果実野菜も、適切な水質管理ができれば栽培可能です。

これらはアクアポニックスの基本的な組み合わせであり、適切な管理と調整により、さらなる可能性を引き出すことができます。

アクアポニックスでの野菜の味と新鮮さ

アクアポニックスで育てられた野菜は、新鮮さと味に優れています。
農薬を使用せず、魚の排泄物を自然な肥料として使用するため、野菜はその自然な風味を最大限に発揮します。また、収穫後すぐに消費できるため、新鮮さも保たれます。

これにより、アクアポニックスの野菜は市場で売られているものよりも鮮度と味が優れていると評価されることが多いです。

有機栽培と栄養価:アクアポニックスで育てた野菜のメリット

アクアポニックスで育てた野菜は有機栽培の定義にも合致し、栄養価も高いです。農薬を使用せず、魚の排泄物を肥料とすることで、健康的な土壌環境が再現され、栄養豊富な野菜を育てることが可能です。

また、アクアポニックスではバクテリアが魚の排泄物から植物が吸収可能な栄養素を生成するため、植物の栄養素吸収率も向上します。これにより、アクアポニックスで育てた野菜は、市場のものと比較して栄養価が高いとされています。

 

自宅でアクアポニックスを始める方法

水槽の魚

アクアポニックスのDIY:自宅での導入方法

アクアポニックスは自宅でも始めることが可能です。
アクアポニックスの基本的なシステムは、魚の生息空間と植物の成長空間を組み合わせたもの。市販の魚用タンクとハイドロポニックス用のトレイを組み合わせ、水路を設けることで自分自身で作ることも可能です。

ただし、魚の種類や植物の選択、水質管理など、多くの要素を注意深く考える必要があります。

アクアポニックスキット:手軽に始める方法

アクアポニックスキットは、自宅でアクアポニックスを手軽に始めるためのアイテムです。

キットには必要なすべての部品が含まれており、説明書通りに組み立てれば、誰でも簡単にアクアポニックスを始めることができます。市場にはさまざまな規模と形状のキットがあり、自宅の空間や予算に合わせて選ぶことができます。
ただし、キットを導入した後も、適切な水質管理と飼育管理が必要です。

 

アクアポニックス:世界的な成功と今後の展望

アクアポニックス

アクアポニックスの成功事例:世界的な普及と利益

アクアポニックスは、世界各地で食料自給率向上、教育と研究の進展、そしてコスト削減と収益性向上に寄与しています。

ハワイやオーストラリアでの事例では、食料自給率の大幅な向上が報告されており、教育分野ではアメリカの大学でアクアポニックスの研究が行われ、学生たちが新たな農法を学んでいます。また、カナダや日本の農場では、水と肥料の節約と収益性向上の成功事例が見られます。

これらから、アクアポニックスは経済的、教育的、環境的な観点から多面的な利点を提供していることが示されています。

アクアポニックスの課題:持続可能な農法への道のり

一方、アクアポニックスはエネルギーコスト、初期投資コスト、微生物の管理、作物の選択など、多くの課題を抱えています。

水循環システムは電力を必要とし、設備投資の初期コストは高いです。さらに、微生物の管理は困難で、一部の作物はアクアポニックスに適していません。これらの問題を解決することで、アクアポニックスはさらに持続可能な農法へと進化する可能性があります。

アクアポニックスの未来:次世代への可能性

アクアポニックスの未来は、持続可能性と生産効率の更なる向上に焦点を当てています。

エネルギーコストの削減、病害管理の改善、さらなる作物の栽培可能性など、技術革新が期待されています。都市部での普及を推進することで、食料問題への解決策としても期待されています。さらに、家庭菜園や教育現場、科学的な研究の一角としてのアクアポニックスの利用も見越されています。

これらから、アクアポニックスは持続可能な農法の一部として、さらなる可能性を秘めていることが示されています。



ロスゼロブログ一覧へ

この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。