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鉛筆、シャーペン、ボールペン、どれが一番環境に優しい?

公開日: 更新日:2024.01.09
鉛筆、シャーペン、ボールペン、どれが一番環境に優しい?

筆記具は日常に欠かせないアイテムですが、その選択は環境にも影響を与えます。

今回は鉛筆、シャーペン、ボールペンの三者を比較し、どれが環境に優しいのかを検証します。

毎日手にする筆記具選びから、エコな選択を始めてみませんか?


鉛筆、シャーペン、ボールペンの比較

筆記用具


原材料と製造工程

鉛筆の原料となる木材は、主に杉やトウヒなどの針葉樹が使用されます。木材を製材して鉛筆の形にした後、鉛筆芯を挿入します。鉛筆芯は、黒鉛と粘土を混ぜて成形したもので、硬さによって種類が分けられています。鉛筆芯を挿入したら、研磨して仕上げます。

シャーペンは主にプラスチックまたは金属から作られており、中には黒鉛を入れて使用します。プラスチックや金属を成形して、シャーペンの形にした後、芯を挿入します。

ボールペンの原料となるプラスチックや金属は、主にABS樹脂やアルミニウムが使用されます。プラスチックや金属を成形してボールペンの形にした後、インクを充填します。インクを充填したら、組み立てて仕上げます。


特徴

鉛筆は一番身近な筆記道具といえるかもしれません。勉強、スケッチなど子供のころから使用する場面は多々あります。
芯の硬さを変えることで、濃淡を自由に表現でき、消しゴムで消すことができます。そして比較的安価です。
しかし、書き味は滑らかさに欠け、芯が折れやすく、芯がなくなると使用できなくなります。

シャーペンは学習時に使われることが多く、学生にとって身近な筆記道具といえるでしょう。
書き味が滑らかで、芯が折れにくく、芯がなくなってもリフィルを交換するだけで済むので、機械的な問題が発生するまで長期間にわたって使用することができます。
鉛筆同様、消しゴムで消すことができますが、用紙によっては跡が残ってしまう場合もあります。

ボールペンはビジネスシーンや正確な書き込みが必要な場面に適しています
書き味が滑らかで、芯が折れないため、筆記を途中で中断されることはありません。また、耐水性があり、色やデザインのバリエーションが豊富なため、様々な状況で使用できます。
しかし消しゴムで消せないため、間違えた場合は修正が困難です。
カートリッジ交換式のボールペンはまだ少なく、一般的にインクがなくなると使えなくなります。


どれが一番環境に優しい?

グリーンと鉛筆


製造時の環境負荷

鉛筆の製造は、主に木材と黒鉛からなるシンプルな構造が特徴です。しかし、製造プロセスにおいては、木材の採取から始まります。これには森林伐採という環境への影響が伴います。森林は二酸化炭素を吸収し、酸素を生成するため、伐採は地球温暖化の進行を促進する可能性があります。また、黒鉛の採掘も環境への影響があり、地域の土壌や水質汚染を引き起こす可能性があります。しかし、鉛筆の製造は化学物質の使用が少なく、比較的エコフレンドリーな筆記用具といえるでしょう。

シャーペンの製造においては、ケースの材料としてプラスチックや金属が使用されます。プラスチック製のシャーペンは、石油資源を基に製造されるため、石油採掘とプラスチック生産の環境負荷が関連します。また、金属製のシャーペンも、金属鉱石の採掘と精錬プロセスによる環境負荷があります。製造プロセスでのエネルギー消費も無視できない要因であり、これらの材料の採掘、製造、そして処理は、環境への負荷を増加させます。

ボールペンの製造においても、ケースの材料としてプラスチックが一般的に使われます。プラスチックの製造は石油資源の消費と、化学物質の使用に伴う環境への影響があります。さらに、インクの製造にも化学物質が使用され、これらの化学物質は製造時に有害な排出物を生成する可能性があります。ボールペンの製造はエネルギー集約型であり、また、使い捨ての性質が、製造時点から環境への負荷を大きくします。これらの要因が、ボールペンの製造が環境に与える影響を示しています。


製造時の環境負荷を考慮すると、原材料の採取と製造工程の簡潔さから、鉛筆が比較的環境に優しいと言えます。ボールペンは化学物質を含むインクの製造や、多くの部品を組み合わせる工程が環境に負担をかける可能性があります。


破棄とリサイクル可能性

鉛筆は使い終わった際の破棄が比較的簡単であり、自然に優しい面があります。木材部分は生分解可能であり、自然環境に戻ることができます。また、リサイクルにおいては、木材部分と黒鉛部分を分離し、それぞれをリサイクルするプロセスが必要です。黒鉛は再利用可能な資源であり、木材も再利用やリサイクルが可能ですが、リサイクルプロセスには一定の労力とコストがかかります。

シャーペンの破棄は鉛筆に比べてやや複雑です。プラスチックまたは金属製のケースは、適切にリサイクルすることができますが、それには適切なリサイクル施設が必要です。また、使用済みの替え芯もリサイクルすることが可能ですが、通常は一般の廃棄物と同じように処分される傾向があります。シャーペンのリサイクルは実行可能であり、環境に配慮するためには、消費者とリサイクル施設が連携し、適切なリサイクルプロセスを確立することが重要です。

ボールペンは通常、使い捨てのアイテムであり、破棄の際に環境問題が発生する可能性が高いです。特にプラスチック製のボールペンはリサイクルが難しく、多くの場合は埋め立て地に捨てられます。これにより、プラスチック汚染が進行し、微塑料の問題も悪化します。一方、リフィル可能なボールペンや金属製のボールペンは、替え芯を交換することで再利用可能であり、これらのボールペンのケースはリサイクル可能です。しかし、リサイクルプロセスには適切な分別とリサイクル施設が必要であり、消費者の意識とリサイクル環境の整備が求められます。


使用後の環境影響を考慮すると、鉛筆が最も環境に優しい選択肢です。素材が自然に分解可能で、廃棄も簡単です。シャーペンは持続性に優れていますが、プラスチックと金属部品のリサイクルが困難です。ボールペンはプラスチック製が多く、リサイクルや分解が難しく、使い捨てが一般的で環境への負荷が最も高いです。



筆記具選びは日常生活の小さな選択でありながら、環境保護とSDGs(持続可能な開発目標)に貢献する方法の一例です

SDGsの目標に照らし合わせると、製品選びによって資源の節約や廃棄物削減、さらには責任ある消費と製造を促進することが可能です。消費者として、環境に優しい筆記具を選ぶことで、持続可能な未来への小さな一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか。



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この記事を書いた人

村上

サステナブルライターとして、SDGsや生活の知恵を発信しています。育児をしながら、子どもと一緒に地球に優しい生活を目指し中。趣味は料理と美術館巡り。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。