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近江商人から学ぶ「三方よし」:持続可能な社会を実現する共通の価値観

公開日: 更新日:2024.01.01
近江商人から学ぶ「三方よし」:持続可能な社会を実現する共通の価値観


歴史の中には、現代にも通じる普遍的な知恵や哲学が眠っています。

特に、日本の近江商人が実践してきた「三方よし」は、その最たる例。
この古の哲学が、今の時代にどのような意味を持ち、どのように私たちのビジネスや社会に影響を与えるのか。

一緒に、時を超えて継承される価値観の中に、未来へのヒントを探ってみましょう。


「三方よし」を核にした近江商人の持続的な経営と哲学

3方向よし


「三方よし」の深い意味と影響

「三方よし」という言葉は、近江商人が重視した商いの核心を示す哲学です。この考え方は、売り手、買い手、そして世間の三者が良好な関係を持つことを指向します。
この哲学は、単なる利益追求以上の人間関係や社会との調和を強調し、商人たちの行動や決断の基盤となりました。彼らの誠実な取引や地域社会への貢献は、この「三方よし」の哲学に基づき、長期的な信頼関係の構築と持続的な成功へと繋がっていったのです。

地理的利点と地域社会との共生

近江地方の地理的特性を活かし、近江商人は日本全国での商売を展開しました。しかし、彼らの取引は単なる商品の売買以上のものでした。
彼らは地域ごとの生活文化やニーズを熟知し、それに応じた商品やサービスを提供していました。このため、提供する商品は地域の暮らしに密接に結びつき、彼らは地域社会との共生を実現したのです。
近江商人は商品やサービスの提供を通じて、情報や文化の共有、地域の繁栄を支える役割を果たしていました。

経営哲学としての伝統と信頼

近江商人の経営は、古くからの伝統や家訓、そして「三方よし」という哲学を基盤にしていました。
彼らは顧客との公正な取引を重視し、お互いの信頼を大切にした長期的な関係を築くことを重視しました。
これにより、顧客や取引先、地域社会との強固な信頼関係を確立したのです。この信頼関係が彼らの商売の持続性と成功を支え、世代を超えて継承される土台となったのです。

「三方よし」の現代ビジネスへの適用とその影響

現代ビジネスビル


倫理を中心とした持続的な経営

「三方よし」は、双方の利益だけでなく、社会全体の繁栄を目指すという近江商人の哲学です。この考え方は、現代ビジネスにおいても持続的な経営やCSR活動の基盤として注目を集めています。
消費者は企業の倫理的な態度や地域への貢献を評価し、これがビジネスの成功要因となっています。近江商人の取り組みは、企業の倫理的な姿勢や社会的な責任を重視する現代のビジネスシーンに大きな影響を与えています。

共生を重視した地域との関係性

近江商人の「共生」の精神は、現代の企業においても地域との強固な関係を築く上での鍵となっています。地域の資源や文化を尊重し、その特性を活かした商品開発やサービス提供を通じて、企業と地域の共生が進められています。
さらに、地域振興や環境保護といった取り組みを通じて、地域社会との絆を強化する企業も増えてきており、これは「三方よし」の考え方が現代ビジネスにも根付いていることを示しています。

環境保護を軸とした事業展開

「三方よし」の哲学において、資源を大切にし、環境との調和を目指すという姿勢が見られました。これは、現代における環境保護の取り組みとも共通しています。
エコ技術の導入や再生可能エネルギーの活用、リサイクル活動など、環境との調和を目指したビジネスモデルが多くの企業で取り入れられています。
このような取り組みは、「三方よし」の考え方が現代の環境問題への対応にどれほどの影響を与えているかを示していると言えるでしょう。

「三方よし」とSDGs:持続可能性を中心にした共通の価値観

環境


持続的な繁栄を追求する哲学

「三方よし」は近江商人が重視した商いの哲学で、これは売り手、買い手、世間の三者すべてが良好な関係を築くことを指向します。この考え方は、単に短期的な利益を追求するのではなく、持続的な繁栄を重視する点でSDGsと共鳴します。
SDGsは、2030年までに実現すべき17の持続可能な開発目標を掲げています。これらの目標は、持続可能な社会を築くための共通の理念に基づいており、この理念は「三方よし」の考え方と深くつながっています。

自然環境との共生と環境の重要性

SDGsの中で、環境の保全や生態系の回復といった、環境との共生を重視した目標が多数掲げられています。これは、健全な環境が経済活動や人々の生活の持続には不可欠であるという認識に基づいています。
近江商人もこの考え方を共有しており、例えば木材を利用する際に再植を心掛けるなど、自然環境との共生を常に意識していました。彼らのこのような姿勢は、現代の環境保護の考え方とも一致しており、SDGsとの共通の価値観となっています。

地域社会との調和と社会貢献

近江商人の「三方よし」は、商売を通じて地域社会の繁栄を追求する哲学です。彼らは地域の利益を追求し、その結果として自らの利益も追求していました。
一方で、SDGsは「社会的責任」や「地域への貢献」を強調しています。企業や組織が社会や地域への貢献を前面に出すことで、持続可能な開発が実現されるという考え方です。このSDGsの理念は、近江商人の商いのスタイルや「三方よし」と深くつながっていると言えるのではないでしょうか。

「三方よし」とSDGsの実践におけるチャレンジと可能性

SDGs


伝統と現代の調和の探求

「三方よし」は、近江商人が数世紀にわたって培ってきた伝統的な商いの哲学です。一方、SDGsは21世紀の国際的な取り組みを示しています。これら二つの哲学を現代の社会で統合し、実践することは容易ではありません。
しかし、両方の価値観が持続可能性という共通の目標を持っているため、この調和は非常に意義深いものとなり得ます。
伝統的な商売の方法や地域文化を尊重しつつ、現代の持続可能な技術やイノベーションを取り入れることで、新しいビジネスモデルやコミュニティの形成が期待されます。

持続可能な取り組みの普及と啓発

「三方よし」やSDGsの理念をより広く普及させるためには、啓発活動や教育が不可欠です。特に、若い世代にこれらの価値を理解し、実践する意識を持ってもらうことは、未来の社会を形成する上での大きな鍵となります。
学校教育やコミュニティベースのプログラムを通じて、持続可能な取り組みの重要性を伝えることが求められます。

新たな連携の模索と実現

「三方よし」の哲学とSDGsが共鳴する中、多様なステークホルダーとの連携の可能性が広がっています。
地方自治体、企業、NPO/NGO、地域住民といったさまざまな組織や個人が、共通の目標を持って連携を深めることで、より大きな影響を持つ取り組みが実現される可能性があります。
このような新たな連携やパートナーシップを模索し、実践することで、「三方よし」とSDGsの真の価値を社会全体で享受することが期待されます。

「三方よし」の現代と未来への継承と貢献

バトンをわたす


グローバル視点と技術の融合

近江商人の「三方よし」は、もともと地域社会の中での商売の哲学として成立しましたが、その理念は現代のグローバルな環境にも適応できるものとなっています。
今日の国際的なビジネスシーンにおいて、文化や国境を越えた多様性の中での相互理解と協力が不可欠です。このような背景のもと、「三方よし」の哲学は異文化との信頼関係の構築に貢献します。
さらに、デジタル技術の進化、特にAIやIoTがもたらすデータの洪水の中で、「三方よし」は、人間の福祉を中心とした技術活用の指針となるでしょう。

社会の持続可能な発展への貢献

「三方よし」の哲学は、企業の利益追求だけでなく、社会全体の調和と持続可能性に重点を置くことを強調しています。この考え方は、現代の持続可能な開発目標(SDGs)とも一致しています。
教育、福祉、環境保護などの分野での取り組みに「三方よし」の精神を取り入れることで、真の持続可能な社会を目指す方向性が打ち出されています。
このような取り組みは、コミュニティの繁栄だけでなく、全体としての地球規模での持続可能性にも寄与しています。

未来世代への価値観の継承

近江商人の「三方よし」は、時間を超えて受け継がれてきた普遍的な価値観を持つ哲学です。この価値観は、未来の世代にも大切に伝えられ、継承されるべきものとなっています。
子供たちや若者たちがこの哲学を学び、それを実践することで、未来の社会はより調和し、持続可能なものとなるでしょう。
また、持続可能な環境や社会を構築するための教育やプログラムに「三方よし」を組み込むことで、未来のリーダーやビジネスマンたちがこの理念に基づいた行動をとることが期待されます。


「三方よし」の哲学は、単なる歴史の一部としてではなく、現代や未来への指南役として今も輝いています。

過去の知恵と現代の挑戦が交差する中で、私たちは新しい時代の価値を共創していく役割を持っています。
この古き良き思想が示す道を歩むことで、持続可能で調和のとれた社会を築いていく鍵を手にすることでしょう。

近江商人の遺産を胸に、未来を築く旅は続いていきます。



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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。