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危険!捨て方を間違えると発火する!?モバイルバッテリーの正しい捨て方

公開日: 更新日:2024.01.12
危険!捨て方を間違えると発火する!?モバイルバッテリーの正しい捨て方


スマホやタブレット、私たちの日常を支えるこれらのデバイスの裏には、実はモバイルバッテリーの隠れたリスクと、それに対する正しい知識が求められています。

私たちの身の回りの当たり前のアイテム、モバイルバッテリーの「知らないと危険」な廃棄のリスクと、正しい捨て方についてお伝えします。


モバイルバッテリー廃棄のリスク

燃えたモバイルバッテリー


リチウムイオン電池の危険性

モバイルバッテリーの中核を成すリチウムイオン電池。これは私たちのスマートフォンやPC、さらには電動車にも使用されており、近年最も普及している電池のひとつです。
リチウムイオン電池は、軽量で高エネルギー密度なため、携帯性に優れ、長時間の使用が可能です

しかし、この高エネルギーが、不適切な取り扱い時の発火や爆発の危険源ともなります。
例えば、2012年から2020年の9年間の蓄電池に起因する製品火災件数は1110件に及んでいます。これは、電池内部のショートや過熱によるものです。特に、破損したり、膨れ上がった電池は取り扱いに注意が必要です。


発火・爆発の原因と対処

リチウムイオン電池が発火や爆発の原因となるのは、以下のようなものが挙げられます
過充電や過放電:リチウムイオン電池の内部で化学反応が起こり、発熱や発火の原因となります
衝撃や落下:電池内部の構造を損傷させ、発火や爆発の原因となります
経年劣化:電池内部の電解液が劣化し、発火や爆発の原因となります。

実際、2020年には、過充電によるモバイルバッテリーの爆発事故が30件以上発生しました。

モバイルバッテリーが発火・爆発する原因を防ぐためには、以下のことに注意しましょう。
充電器の定格電圧を超えないようにする
充電が完了したら、すぐに充電器から外す
落下や衝撃を加えない
使用頻度が低くなったら、早めに廃棄する

また、モバイルバッテリーが発火・爆発した場合は、以下のことに注意しましょう。
直ちに火元から離れる
水をかけたり、粉末消火器で消火したりしない
消防署に連絡する


ショートや破損のリスク

モバイルバッテリーを安全に使用する上でのリスクとして、「ショート」や「破損」は特に重要です。

モバイルバッテリーが破損していたり、端子のカバーが外れていたり、端子が汚れたり錆びたりして、端子部分が露出している状態で、金属や導電性のある物質と接触するとショートします。
また、過充電や過放電、落下などの衝撃、熱にさらされたりすると、モバイルバッテリー内部でショートが発生する可能性があります。
ショートすると、電池は瞬時に大量の熱を発生させ、最悪の場合、発火や爆発を引き起こす可能性があります

破損の際にも同様のリスクが伴います。

安全のため、使用中に異常を感じたら、使用を中止し、速やかに専門家の意見を求めることをおすすめします。また、定期的にモバイルバッテリーの状態を点検し、破損や異常がないか確認しましょう。


ゴミ捨て火災とモバイルバッテリー

モバイルバッテリーを不燃ごみやプラスチックごみとして捨てた場合、ゴミ収集車やごみ処理施設で圧縮や破砕などの処理を受ける際に、内部のショートや化学反応が起こりやすく、これらの危険性が引き金となって火災が発生する可能性があります。

モバイルバッテリーの不適切な廃棄が原因で発生するゴミ捨て火災は、都市部を中心に増加傾向にあります。
実際に、2018年度から2021年度までの4年間で、モバイルバッテリーによるゴミ捨て火災は全国で1,880件発生し、被害額は約111億円に上っています。

このような火災を防ぐためには、バッテリーを適切な回収ボックスに捨てる、破損や膨張したバッテリーはすぐに専門の回収場所へ持ち込むなどの予防策が必要です。

正しい知識と対応で、私たちの安全と環境を守ることができます。


環境への影響と正しい処分法

電池のリサイクル


資源としての電池の価値

私たちが日常で使う電池には、意外と貴重な資源が詰まっています。
特にリチウムイオン電池には、リチウムの他、コバルトやニッケル、マンガンなどの金属が使用されています。これらの資源は限られているため、新しい電池の製造に再利用することで新たな採掘を抑える助けになります。

データによれば、廃棄された電池からのリサイクルにより、リチウムイオン電池の重量の約50~80%にのぼる金属を回収することができるのです。コバルトは約30%が再利用されています。
また、リチウムイオン電池をリサイクルすることで、約90%のエネルギーを削減することができます。これは、新しい電池を製造するのに必要なエネルギーと比べて、非常に大きな削減量となります。

電池を捨てる際は正しい方法で処分し、リサイクルすることで、資源の再利用や環境への負荷の低減につながります。


リチウム電池の環境影響

モバイルバッテリーの主要成分であるリチウムイオン電池は、適切によりされない場合は、環境問題を引き起こす可能性があります。環境省の報告によれば、2019年に不適切に廃棄されたリチウムイオン電池からの漏れ出しによる環境被害が20件以上報告されています。
回収制度を利用せずにモバイルバッテリーを廃棄することは、環境への負荷を増大させることになります。

地下水の汚染:電池から漏れ出したリチウムや他の金属は、土壌を通じて地下水に到達することがあります。これにより、地下水が汚染され、人々の飲料水や農作物への影響が懸念されます。
土壌の生態系への影響:電池の化学物質が土壌の生態系に取り込まれると、微生物や植物、さらには食物連鎖を通じて大きな生態系への影響が及ぶ可能性があります。
大気汚染:廃棄された電池が焼却される際、有害なガスが放出されることがあります。これは大気の質を悪化させ、健康被害を引き起こす可能性があります。
資源の枯渇: リチウムイオン電池の生産に必要なリチウムやコバルトなどの資源は有限です。適切なリサイクル策を取らないことは、これらの貴重な資源の早期枯渇を招くリスクがあります。

リチウム電池の環境への影響は深刻です。適切な廃棄方法やリサイクルを促進することで、これらの問題を軽減することが可能です。
正しい処分法を知り、実践することは、私たちの住む環境を守るためにも非常に重要です。


販売店や自治体の回収制度

回収制度


自治体による電池回収

自治体では、家庭から出る小型家電を回収する制度を設けているところが多くあります。この制度は、環境保護や資源再利用の観点から非常に重要です。
そしてこの制度を利用すれば、モバイルバッテリーを無料で処分することができます。

回収方法は、自治体によって異なりますが、一般的には、市区町村の粗大ごみ収集場所に持ち込むか、指定された回収ボックスに出す方法があります。また、自治体によっては、郵送や宅配で回収するサービスも行っています。

実際、2022年時点で、全国の自治体の約90%が家庭から出る小型家電の回収制度を実施し、約70%の自治体でモバイルバッテリーの専用回収ボックスが設置されています。

住んでいる地域の役所や自治体のホームページをチェックして、正しい回収場所や方法を確認しましょう


家電量販店での回収方法

家電量販店でも、古いモバイルバッテリーやリチウムイオン電池の回収サービスが提供されています。
大手家電量販店の約80%が、店頭に専用の回収ボックスを設置しているとのデータがあります。

回収方法は、店舗によって異なりますが、一般的には、店頭の回収ボックスに出すか、店員に渡す方法があります。
回収の際には、電池残量を0%にしておくことが推奨されています。また、端子部分を絶縁しておくと、ショートや発火のリスクを減らすことができます。

購入時や新しい製品の購入を検討する際、店員さんに回収サービスについて問い合わせることで、簡単に手放すことができるのです


ホームセンターの回収サービス

近年、環境意識の高まりを受けて、多くのホームセンターがリサイクル活動を積極的に行っています。
その一環として、使用済みのモバイルバッテリーや乾電池の回収サービスを提供している店舗が増えてきました。特に大手のホームセンターチェーンでは、入口付近やレジカウンターに回収ボックスが設置されていることが多いです。

多くのホームセンターでは、回収ボックスの設置場所に簡単な手順や注意事項が記載されていますので、よく確認してからボックスへ入れてください。

日常の買い物の際に、不要なモバイルバッテリーを持参して、回収ボックスに入れるだけで環境保護に貢献できます


製造メーカーとの交換制度

いくつかのモバイルバッテリー製造メーカーでは、製品の交換制度を設けています。この制度を利用すると、不要になったバッテリーを安全にメーカーへ返却し、新しいものと交換することができます

交換の対象:交換制度の対象となるのは、保証期間内の故障や、特定の製品シリーズのバッテリーの劣化など、様々な条件が設けられています。また、一部のメーカーでは、一定期間以上使用した製品を対象とした交換サービスを実施していることも。
交換の手順:交換を希望する場合、メーカーの公式サイトやカスタマーサポートを通じて手続きを進めることが多いです。返却用の封筒や箱を提供しているメーカーもあり、その場合は指定された方法で製品を送り返すだけで手続きが完了します。
製造メーカーの利点:この制度を通じて、メーカーは故障や劣化の原因を解析し、製品の改善や品質向上に役立てることができます。また、リサイクルの観点からも、リチウムや他の有価な資源を適切に回収・再利用することで、環境負荷の削減に貢献しています。
消費者へのメリット:消費者にとっても、製品の安全な処分や新しい製品との交換が簡単に行えるのは大きなメリット。また、メーカーとの直接のやりとりを通じて、製品に関する最新情報やサポートを受けることができる点も魅力的です。


回収されたモバイルバッテリーの行方

たくさんの回収されたモバイルバッテリー


リサイクルと資源の再利用

回収されたモバイルバッテリーは、破損の有無や種類などによって選別されます
選別されたモバイルバッテリーは、リチウムイオン電池やプラスチック、金属などの部品に分解され、さらにそれぞれの素材ごとにリサイクルされます。

リチウムイオン電池:リチウムイオン電池は、リチウム、コバルト、ニッケル、マンガンなどの貴重な金属を含むため、これらの金属を回収して再利用します。回収された金属は、新しいリチウムイオン電池や、電気自動車やハイブリッド車などの電池、電子機器などに再利用されます。
プラスチック:プラスチックは、焼却してエネルギーとして利用したり、リサイクルして新しいプラスチック製品に再生したりします。
金属:金属は、溶かして新しい金属製品に再生したり、リサイクルして他の製品の原料にしたりします。

このように、回収されたモバイルバッテリーは、安全にリサイクルされ、資源の再利用により、新たな鉱石の採掘を減少させ、環境への負荷の低減に役立てられています。


廃棄物としての適切な処理

モバイルバッテリーがすべてリサイクルされるわけではありません

モバイルバッテリーがリサイクルされない場合、その主な理由は、バッテリー内部の劣化、損傷、あるいは汚染に起因します。例えば、電解液の漏れや内部ショートなどの症状を示すバッテリーは、リサイクルが困難と判断され、廃棄の対象となることが多いです。

これらのバッテリーを安全に処理するため、専門的な廃棄物処理施設が活用されます。
この施設では、まずバッテリーを分解し、安全に処理できるサイズに切断されます。その後、高温での焼却処理が行われることが多いです。この焼却により、有害な物質が安全に中和され、大気や水への影響を最小限にします。
また、化学的分解は、特定の化学反応を利用して有害物質を中和し、無害な形に変換する方法です。
最終的に、これらの処理によって得られた残留物は、専用の埋め立て地や処分場に適切に埋設されます。

こうした取り組みを通じて、モバイルバッテリーの有害物質が環境に放出されるリスクを大きく低減させています。


二次利用と新しい製品への転用

最近の技術進化により、回収されたモバイルバッテリーの一部は「セカンドライフ」として新しい命を与えられるようになってきました。

二次利用とは、リサイクルせずに再利用することを指します。例えば、モバイルバッテリーの外装や、電池を抜いたモバイルバッテリー本体は、新たな製品の材料として再利用することができます。

新しい製品への転用とは、リサイクルせずに新たな製品に組み込むことを指します。例えば、モバイルバッテリーの電池は、蓄電池や発電装置などの新たな製品に組み込むことができます。

二次利用や新しい製品への転用は、資源の有効活用や環境への負荷の低減につながる可能性があります。
しかし、二次利用や新しい製品への転用は、モバイルバッテリーの状態や、回収量などの制約があるため、普及するには課題もあります。


安全な保管方法と注意点

モバイルの充電


熱と電池の保管リスク

モバイルバッテリーを保管する際、最も注意したいのは「」です。モバイルバッテリーは、リチウムイオン電池を使用しているため、熱に弱い性質があります。
熱が原因でバッテリーの性能が低下するだけでなく、変形や液漏れ、最悪の場合、発火や爆発のリスクも増大します。

モバイルバッテリーの保管に適した温度は、0~40℃程度です。
夏場の車内など高温になる場所に放置することは避けるよう心掛けましょう。また、直射日光が当たる場所や暖房器具の近くなど、高温になる場所も避けることが大切です。

2019年の経済産業省の報告によれば、2018年度に回収されたモバイルバッテリーの事故件数は1,880件で、そのうち熱によるトラブルが752件(40.1%)を占めていました。


電池残量と長寿命の維持

モバイルバッテリーの寿命を延ばすためのひとつのポイントは、電池残量の管理です。

モバイルバッテリーの電池残量が0%のままで長期間放置すると、電池が劣化し、寿命が短くなる可能性があります。
また、電池残量が100%のままで長期間放置すると、電池が膨張し、発火・爆発のリスクが高まる可能性があります。

理想としては、バッテリー残量を20%以上〜80%未満の範囲で保ち、定期的に充電・放電を繰り返すことが大切です。これにより、電池の劣化を抑え、安全に長く使用することができます。


保護回路の役割と重要性

モバイルバッテリーの中には「保護回路」というものが内蔵されています。この回路は、過充電や過放電、ショートなどの異常が起こった時に、バッテリーを保護する役割を果たします。
保護回路が正常に機能していれば、モバイルバッテリーが安全に使用できます。

しかし、保護回路が故障すると、モバイルバッテリーが発火・爆発する危険性があります。そのため、モバイルバッテリーの保護回路は、定期的に点検するようにしましょう。

また、バッテリーの安全性を高めるため、購入する際には必ず保護回路が搭載されているか確認しましょう。近年の調査では、保護回路がついていないバッテリーは事故のリスクが5倍高まると指摘されています。



私たちが日常的に利用するモバイルバッテリーが、環境や安全に関する大きなテーマに直結しているとは、思いもよらなかったかもしれません。
だからこそ、適切な知識を持つことで、未来の環境への負担を軽減する手段として活用できます。

一つひとつの選択が、次の世代に対する価値ある贈り物となり得ることを意識し、毎日の選択や行動に気を付けることが、私たち自身と地球の未来のためには大切なのではないでしょうか。






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この記事を書いた人

中山

地球を愛する料理研究家であり、SDGsと食品ロスに情熱を傾けるライターです。食品ロス削減を通じて、環境保護と健康的な食生活の両立を促進し、持続可能な社会の実現を目指しています。趣味は家庭菜園。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。