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メタバースはイノベーションの宝庫?SDGsにどう貢献する?

公開日: 更新日:2023.12.15
メタバースはイノベーションの宝庫?SDGsにどう貢献する?


「メタバース」という言葉を最近よく耳にするかもしれませんが、それが私たちの未来、特に持続可能な開発にどのように貢献できるのか、皆さんはご存知でしょうか?

メタバースは、現実世界では実現が難しい、新たな価値や体験を提供できる可能性を秘めています。

メタバースの概念を解き明かし、その驚くべき可能性と、SDGsへの貢献に焦点を当てて探求していきましょう。


メタバースの基礎

仮想空間

メタバースの定義と歴史

メタバースとは、インターネット上の仮想空間を意味する言葉です。現実世界と連動した、現実世界以上の体験ができる空間として注目されています。

メタバースの語源は、英語で「超越した」を意味する「meta」と「宇宙」を意味する「universe」を組み合わせた造語です。
その語源は、1992年に発表されたニール・スティーブンソンの小説「スノウ・クラッシュ」に遡ります。ここでは、実世界とは異なる仮想世界が描かれています。
その後、ゲームやエンターテインメント分野で使われるようになりました。

2020年代に入り、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)などの技術が進歩したことで、この概念は現実のものとなりました。現在のメタバースは、3Dのバーチャル空間で、人々がアバターを通じて交流し、経済活動を行う場となっています。
この進化には、インターネット技術の発展が大きく寄与しています。


メタバースの構成要素

メタバースの構成要素は多岐にわたります

空間:ユーザーが自由に移動できる仮想空間で、3Dのバーチャル空間が基盤となります。
アバター:ユーザーの分身となる3Dモデルで、他者との交流や活動を行います。
経済:仮想経済システムが構築されており、ユーザーはバーチャル内で商品やサービスを売買できます。
コミュニケーション:ソーシャルネットワークの場として、人々がコミュニティを形成し、情報や文化を共有しています。

これらの要素が融合し、メタバースは多様な体験を提供しています。

メタバースの空間は、現実世界を模したものや、ファンタジーの世界など、さまざまな形態が考えられます。アバターは、ユーザーの好みに合わせてカスタマイズすることができます。経済は、仮想空間内で利用できる通貨や商品の売買によって成り立っています。コミュニケーションは、音声やテキストチャット、ボディランゲージなど、さまざまな方法で行うことができます。


デジタル技術の発展

メタバースの実現には、VR(仮想現実)AR(拡張現実)MR(複合現実)などのデジタル技術の発展が欠かせません。
VRは、ユーザーが仮想空間に入り込むことができる技術です。ARは、現実世界に仮想情報を重ねて表示する技術です。MRは、VRとARの要素を組み合わせた技術です。
これらの技術は、近年急速に進歩しており、メタバースへの応用が期待されています。

特に重要なのが、高速で大容量のデータを扱える通信技術、例えば5Gや次世代の6Gです。これらにより、リアルタイムでの滑らかな仮想体験が可能になりました。
また、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術の進歩も重要です。これらにより、ユーザーはよりリアルな仮想体験を享受できるようになりました。
さらに、AI技術の発展により、個々のユーザーに合わせた体験の提供が可能になっています。

これらの技術が融合することで、メタバースは日々進化し続けています


バーチャル技術の進化と新たなサービス展開

バーチャル空間

バーチャル空間のイノベーション

バーチャル空間は、現実世界とは異なる新たな体験を提供する場として、近年目覚ましい進化を遂げています。この空間では、物理的な制約を超えた自由な活動が可能で、芸術から教育、ビジネスまで、あらゆる分野で新しい可能性を開いています。

メタバースでは、遠く離れた人とも顔を合わせて話したり、一緒にゲームやスポーツをしたりできます。例えば、バーチャルリアリティコンサートでは、世界中のファンが同じ空間でライブを楽しむことができます。
また、メタバースでは、自分の好きなキャラクターや動物に変身したり、現実では不可能な空間や時間に移動したりできます。

このように、メタバースは人々の感覚や感情を刺激する新しい空間として、従来の枠を超えたイノベーションを生み出し、人々の生活に新たな色を加えています。


デジタルサービスの進化

メタバースの登場は、デジタルサービスに革命をもたらすと期待されています。現実世界で提供されるサービスを仮想空間で再現することに加え、全く新しいサービスや商品の創出が可能になるでしょう。

特に、オンラインショッピングはメタバースによって一新される可能性があります。仮想空間での試着や商品レビューの閲覧、店員とのインタラクティブなコミュニケーションは、購買体験を格段に向上させます。
また、教育や医療サービスにおいても、仮想空間での授業や診療が可能になり、アクセシビリティと効率性が高まるでしょう。

メタバースのこのような進展は、デジタルサービスの質と量を大きく向上させると同時に、新たな価値やニーズを生み出す源泉となることが予想されます。これらの変化は、私たちの日常生活を大きく変え、未来に向けた新しい道を切り開くことになるでしょう。


メタバースビジネスの可能性

メタバースがビジネスに革命をもたらす可能性は非常に高いです。仮想空間での商取引は、従来のリアルな店舗に依存しない新たな市場を形成し、経済活動の拡張に寄与しています。
特に、バーチャル不動産やデジタルアートなどの新しい資産クラスは、メタバース経済の発展を牽引しています。これらの取引には仮想通貨やNFT(非代替性トークン)が用いられ、新しい経済システムの基盤を築いています。

さらに、メタバースは企業にとって新しいマーケティングの機会を提供します。企業はメタバース内でブランドや製品を宣伝し、消費者とのより深い関係を構築できます。
また、バーチャル空間での独自のコンテンツやサービス提供は、新しい収益源となりうるだけでなく、ブランドのイノベーションや創造性を示す手段となります。

メタバースは、ビジネスの競争力を高め、成長を促進する新たな機会を創出しています。この仮想世界は、従来のビジネスモデルを超越し、企業が新しいパートナーシップを形成し、未踏の市場に進出するためのプラットフォームとなり得ます。
メタバースの発展は、ビジネス界にとって新たな地平を開くことになるでしょう。


メタバースでの社会課題解決の取り組み

web会議

環境問題への貢献

メタバースは環境問題解決にも一役買っています。特に、炭素排出量の削減に貢献する面が注目されています。

例えば、メタバース上でのバーチャル会議やイベントは、物理的な移動を不要にし、交通によるCO2排出を大幅に減らすことができます。また、メタバース上でのバーチャルツアーや展示会は、現地に行くことなく、世界中の文化や自然を体験することができます。これにより、旅行によるCO2排出を削減することができます。

メタバース上でのデジタルツイン(現実世界にある物やシステムをバーチャル空間に再現したもの)の活用も、環境問題の解決につながる可能性があります。例えば、デジタルツインを用いて、工場のエネルギー効率を向上させたり、災害時の被害を予測したりすることができます。

具体的には、ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、メタバース上での仮想工場を構築し、エネルギー効率の向上に取り組んでいます。また、日本では、東京大学が国立天文台の望遠鏡データを活用して、宇宙のブラックホールをバーチャル空間で再現するプロジェクトを進めています。

バーチャル空間での製品試作や設計は、物質的なリソースの消費を減少させ、持続可能な生産活動を支援します。

このように、メタバースは環境負荷を軽減する新しい方法を提供し、地球規模の課題解決に寄与する可能性は十分にあります。


教育・福祉の分野での活用

メタバースは教育と福祉の分野においても革新をもたらしています。


教育分野での活躍

メタバース上での遠隔授業やオンラインセミナーは、障害や病気などで通学が困難な学生や、遠隔地に住む学生が地理的な制約にとらわれず、世界中の専門家から学ぶことができます。これにより、質の高い教育をより多くの人々に提供することが可能になり、人々の学びの機会を広げることができます。

また、メタバース上でのバーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)の活用は、人々の理解度や没入感を高めることができます。
具体的には、東京大学は、メタバース上での工学部を開設し、学生がオンラインでも実験や実習を体験できるようにしています。また、NPO法人カタリバは、不登校の子どもたちがメタバース上で交流できる「room-K」を運営しています。

これらの取り組みにより、メタバースは、教育の機会均等や、子どもたちの学びの質の向上に貢献しています。


福祉分野での課題解決

メタバースは福祉分野の課題を解決し、誰もが生き生きと暮らせる社会の実現に貢献する可能性を秘めています。

例えば、メタバース上でのバーチャルツアーや展示会は、外出が困難な人でも、さまざまな体験を楽しむことがでしょう。

また、メタバース上での仮想世界を活用した認知症やうつ病などの治療やリハビリテーションが研究されています。例えば、メタバース上での仮想旅行や、仮想空間での人との対話は、患者の意識や気分の向上に効果的であることが期待されています。

特にメタバース上でのバーチャル職場を構築することで、障害や病気などで就労が困難な人でも、就労の機会を得られるようにすることができます。

これらはユーザーに新しい社会参加の形を提供し、生活の質の向上に寄与すると期待されています。
メタバースは、福祉分野でのアクセシビリティと包括性を高める重要なツールなのです。


地域活性化への貢献

メタバースは地域活性化にも寄与しています。特に、地方の観光業や文化産業において、バーチャル空間を活用した新たな取り組みが見られます。

例えば、メタバース上でのバーチャルツアーやイベントの開催により、訪れることの難しい遠隔地の魅力を伝えることができます。さらに地域固有の文化や伝統をバーチャル空間で再現し、世界中の人々に紹介することは、地域の知名度向上に繋がり、地域の観光や産業をPRすることができます。
具体的には、熊本県は、メタバース上での熊本城のバーチャルツアーを開催し、観光客の誘致に取り組んでいます。

また、メタバース上でのバーチャル空間を活用した地域コミュニティの形成は、地方の活性化に大きく貢献する可能性があります。

バーチャル空間では、地理的な制約を超えて人々が集まり、情報交換や共有が容易になります。これにより、特定の地域やコミュニティに関心を持つ人々が、世界中から集まって意見交換を行うことが可能になります。
例えば、地域独自の文化や伝統、観光スポットをバーチャル空間で再現し、それを通じて地域の魅力を広く伝えることができます。

また、地域住民が直接参加し、その地域の歴史や文化について語るオンラインイベントを開催することも可能です。これらの活動は、地域に新しい視点をもたらし、地域外からの関心を引き付けることができます。
愛知県は、メタバース上での「あいち未来創造センター」をオープンし、地域の産業振興や人材育成に活用しています。

加えて、バーチャル空間での地域コミュニティは、地域内の住民同士のつながりを強化し、地域課題への共同対応や協働を促進します。
茨城県は、メタバース上での「茨城交流センター」を構築し、地域住民の交流や情報発信を促進しています。

このように、メタバースを活用した地域コミュニティの形成は、地域の魅力を内外に伝え、地域住民の結束を強めることで、地域の活性化に寄与しているのです。


メタバース×SDGsの可能性を探る

メタバースSDGs17

SDGsの17ゴールとメタバース

持続可能な開発目標(SDGs)は、2015年に国連で採択された、17の目標と169のターゲットからなる国際目標です。貧困や飢餓の撲滅、気候変動の対策、ジェンダー平等の実現など、人類が直面するさまざまな課題の解決をめざしています。

メタバースは、これらのSDGsの達成に貢献する可能性を秘めています。<>

例えば、
貧困や飢餓の撲滅:メタバース上での仮想会議やイベントの開催は、移動に伴うコストやCO2排出を削減し、資源の有効活用につながります。また、メタバース上でのデジタルツインの活用は、農業や漁業などの生産性の向上に貢献する可能性があります。
気候変動の対策:メタバース上での仮想会議やイベントの開催は、移動に伴うCO2排出を削減し、温室効果ガスの排出量を抑制することができます。また、メタバース上でのデジタルツインの活用は、再生可能エネルギーの導入や、エネルギー効率の向上に貢献する可能性があります。
ジェンダー平等の実現:メタバースは、現実世界では移動や参加が困難な障害者や高齢者、女性など、誰もが平等に社会に参加できる場を提供することができます。また、メタバース上での教育やトレーニングの機会を充実させることで、ジェンダー平等の実現に貢献することができます。

このように、メタバースはSDGsの達成に貢献するさまざまな可能性を秘めています。
今後、メタバース技術のさらなる発展と、SDGsの達成に向けた取り組みの進展により、メタバースがより積極的にSDGsに活用されていくと考えられます。


メタバースにおける持続的戦略

メタバースは、新たな技術であり、まだ発展途上にあります。そのため、メタバースにおける持続的戦略を策定することは重要です。

持続的戦略の策定においては、以下の点に留意する必要があります。
環境への配慮:メタバース上での仮想会議やイベントの開催は、移動に伴うCO2排出を削減することができますが、メタバース自体の運用には、大量の電力が必要となります。そのため、メタバースの運用における環境への配慮は、重要な課題です。
社会的課題への対応:メタバースは、新たな社会課題を生み出す可能性もあります。例えば、メタバース上での誹謗中傷や差別などの問題が懸念されています。そのため、メタバースにおける社会的課題への対応策を検討する必要があります。
倫理的な利用:メタバースは、さまざまな利用方法が考えられます。そのため、メタバースの倫理的な利用を促すためのガイドラインや基準を策定する必要があります。

持続的戦略を策定することで、メタバースが持続可能な社会の実現に貢献する技術となることが期待されます。


未来指向のSDGs活用

メタバースは未来指向のSDGs活用においても重要な役割を果たしています。特に、イノベーションとインフラの構築(ゴール9)や、産業、技術の革新(ゴール17)の推進に貢献します。

例えば、メタバース上での仮想都市の構築は、持続可能な都市の実現に向けたシミュレーションや、新しいまちづくりのアイデアの創出につながる可能性があります。また、メタバース上での教育やトレーニングの機会を拡充することで、SDGsに関する知識や意識の向上に貢献することができます。

メタバースは、新しい形のコミュニケーションやビジネスモデルを生み出し、持続可能な開発のための基盤となり得ます。また、バーチャル空間での共同作業やプロジェクトは、国境を越えたグローバルな協力を促進します。
これにより、SDGsの目標達成に向けた国際的な連携が強化されるのです。

メタバースは、持続可能な未来を形成するための新しい道具として、大きな可能性を秘めています。


メタバースが実現する、持続可能な未来

メタバース

持続可能性への新規アプローチ

メタバースは、従来の現実世界とは異なる、新たな価値観や可能性を提供する技術です。そのため、メタバースは持続可能性への新規アプローチを可能にすると考えられます。

例えば、バーチャルイベントや会議は、移動に伴うCO2排出を削減する一方で、世界中の人々とのつながりを促進します。また、メタバース上でのデジタルツインの活用は、農業や漁業などの生産性の向上に貢献する可能性があり、デジタル教育は地理的な障壁をなくし、より多くの人々に質の高い教育機会を提供します。

さらに、メタバースは、現実世界では実現が困難な、持続可能性に配慮した社会の実現を可能にする可能性もあります。例えば、メタバース上での仮想都市の構築は、持続可能な都市の実現に向けたシミュレーションや、新しいまちづくりのアイデアの創出につながる可能性があります。

このように、メタバースは環境への負担を軽減しながら、人々の生活やビジネスの質を向上させる可能性を秘めています。
これらはすべて、持続可能な未来に向けた革新的なステップです。



メタバースがもたらす、新しい価値観

メタバースは、現実世界とは異なる、新たな価値観や体験を提供します。そのため、メタバースは持続可能性に対する人々の意識や価値観を変革する可能性もあります。

現実世界の物理的制約から解放されたメタバースは、創造性と多様性を促進し、新しい社会的、文化的価値観の形成を支援しています。
例えば、アートや音楽の表現方法は、バーチャル空間での無限の可能性によって新たな次元へと進化しています。また、メタバース内での異なる文化や背景を持つ人々との交流は、相互理解と共感を深める機会を提供します。

これらの変化は、より包括的で開かれた社会を形成する上で重要な役割を果たしています。

メタバースは、現実世界では困難な、誰もが平等に社会に参加できる場を提供することができます。これにより、人々は持続可能な社会の実現に向けた共感や連帯を深めることができるようになるかもしれません。


持続可能なビジネスモデル

メタバースは、新たなビジネスモデルの創出にもつながる可能性があります。物理的な資源やエネルギーの消費を抑えつつ、新たな市場を開拓することが可能です。
持続可能性を重視したビジネスモデルは、人々の意識や価値観の変化とともに、今後ますます重要になると考えられます。

例えば、メタバース上での再生可能エネルギーの販売や、エコ商品の販売は、持続可能な社会の実現に貢献するビジネスモデルとして期待されています。

また、メタバース上での教育やトレーニングの機会の提供は、提供者と享受者の直接的なつながりを強化し、パーソナライズされた体験を提供することで、満足度を高めることができます。
これらは持続可能性に関する知識や意識の向上に貢献するビジネスモデルとして期待されています。

このように、メタバースは経済的な利益と環境的な持続可能性を両立する新しいビジネスモデルを提案しています。



未来はまさに私たちの手の中にあり、メタバースはその鍵を握っています。

今後、メタバース技術のさらなる発展と、持続可能性への意識や価値観の変化により、メタバースが持続可能な社会の実現に大きく貢献していくことが期待されます。






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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。