ロスゼロブログ

カテゴリ一覧

企業の脱炭素化とSDGs達成を後押しするSBT認定とは?

公開日: 更新日:2024.01.16
企業の脱炭素化とSDGs達成を後押しするSBT認定とは?


近年、世界中で気候変動対策が急務となっています。その背景には、地球温暖化による海面上昇や異常気象の頻発など、さまざまな問題が挙げられます。

気候変動対策を進めるためには、企業の脱炭素化が不可欠です。企業は、事業活動を通じて温室効果ガスを排出しており、その削減が求められています。

そこで注目されているのが、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標を設定・達成する「SBT認定」です。SBT認定は、企業の脱炭素化に向けた取り組みを評価する制度であり、SDGsの目標達成にも貢献します。


SBT認定とは?

SBT認定とは

SBT認証の基本概念

SBT認証とは、企業の温室効果ガス排出削減目標を科学的根拠に基づいて評価する第三者認証制度です。SBTとは、Science Based Targetsの略で、日本語では「科学的根拠に基づく目標」という意味です。

SBT認証は、パリ協定の目標達成に向けた企業の脱炭素化に向けた取り組みを評価する制度として、2015年に設立されました。SBT認証を取得した企業は、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標を設定しており、その目標達成に向けて積極的に取り組んでいることを示すことができます。

SBT認証の対象となる企業は、世界中のあらゆる業種、規模の企業です。SBT認証の申請には、企業の温室効果ガス排出量の算定、目標設定、目標達成に向けた取り組み計画の策定、そして目標達成状況のモニタリングと報告が必要です。

具体的には、国際的に合意された2℃、できれば1.5℃の気候変動抑制目標に沿って、企業が自社の排出削減目標を定めることが求められます。これにより、企業は環境への影響を科学的に把握し、持続可能な社会の実現に向けた実践的なステップを踏むことができるのです。


脱炭素化への影響

脱炭素化は地球温暖化対策の中心的な取り組みで、主に二酸化炭素(CO2)の排出削減を目指しています。

この取り組みの一環として、SBT認証が重要な役割を果たしています。SBT認証を取得することにより、企業は科学的根拠に基づく具体的なCO2排出削減目標を設定し、実現に向けた行動計画を策定します。

これには、再生可能エネルギーの利用拡大やエネルギー効率の向上など、CO2排出量を減らすための多様な手段が含まれます。例えば、太陽光や風力といったクリーンなエネルギー源へのシフトや、省エネルギー技術の導入などが該当します。
これらの取り組みにより、企業は自社の環境への影響を軽減し、持続可能な経済成長への貢献を目指します。


温室効果ガスとSBT

温室効果ガスとは、地球の温室効果を高めるガスのことです。温室効果ガスの主な種類は、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)などです。

温室効果ガスによって、地球の平均気温は上昇しています。地球温暖化は、海面上昇、異常気象、生態系の変化などのさまざまな問題を引き起こす可能性があります。

温室効果ガスの削減は、地球温暖化対策の中心的な課題です。
SBT認証は、温室効果ガスの排出削減目標を設定するための指針として活用されています。

SBT認証を通じて、企業は自社の温室効果ガス排出量を科学的に分析し、具体的な削減目標を設定します。このプロセスには、直接的な排出源である「スコープ1」と、間接的な排出源である「スコープ2」、さらにはサプライチェーン全体にわたる「スコープ3」の排出量も含まれます。
こうして、企業は排出削減の全体計画を立て、実行に移すことが可能になります。これは、地球環境の保全だけでなく、企業の持続可能性向上にも寄与する重要なステップです。


SBT認定とSDGs

SBT認定とSDGs

SBTとSDGsの連携

SBT認定は、企業が持続可能な開発目標(SDGs)にどのように貢献できるかを示す重要な指標です。SDGsは、貧困の撲滅、品質の高い教育の提供、気候変動への対策など、多岐にわたる17の目標を設定しています。

SBT認定を取得する企業は、特に「目標13:気候変動に具体的な対策を」と「目標7:クリーンエネルギーへのアクセスを確保」に貢献することになります。この認定を通じて、企業は自らの事業活動が地球環境に与える影響を科学的に理解し、SDGs達成に向けた具体的な行動を取ることが期待されます。

温室効果ガスの排出削減
再生可能エネルギーの導入
省エネルギー
効率化

これらの取り組みは、気候変動の防止や森林破壊の抑制、生物多様性の保全など、SDGsの達成につながります。


気候変更とSDGs

気候変動は、地球温暖化によって引き起こされるさまざまな問題の総称です
気候変動は、海面上昇、異常気象、生態系の変化などのさまざまな問題を引き起こす可能性があります。気候変動は、SDGsの中でも特に重要な課題なのです。

SBT認定を取得する企業は、SDGsの「目標13:気候変動に具体的な対策を」に対して積極的に貢献することになります。これにより、企業は自社の温室効果ガス排出削減に取り組むとともに、気候変動の影響を受けやすい地域やコミュニティのサポートも行うことが期待されます。

この取り組みは、企業の社会的責任を果たすと同時に、グローバルな気候危機への対応にも貢献します。SBT認証は、気候変動の防止と被害軽減に貢献する企業の取り組みを評価する制度として、SDGs達成に向けた重要な役割を果たしています。


環境保全のSDGs目標

SDGsの中には、環境保全に特化した複数の目標があります。

目標14「海の豊かさを守ろう」
目標15「陸の豊かさも守ろう」
目標16「持続可能な消費と生産を促進しよう」
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

これらの目標は、気候変動の防止や生物多様性の保全、資源の持続可能な利用など、環境保全のさまざまな課題に取り組むことを目的としています。

SBT認定を取得した企業は、これらの環境関連の目標達成にも貢献することができます。特に、自社の事業活動が水資源や生物多様性に与える影響を理解し、それを最小限に抑える取り組みは重要です。

このような環境保全の取り組みは、持続可能な社会の実現だけでなく、企業の長期的な成長にも寄与すると考えられます。


SBT認定を取得するメリット

投資家との関係強化

投資家との関係強化

SBT認定を取得することは、投資家との関係を強化する大きなメリットをもたらします。
近年、投資家は単に利益の追求だけでなく、企業の環境への取り組みや社会的責任を重視する傾向が強まっています。投資家は、ESG投資を通じて、気候変動や環境保全などの社会課題の解決に貢献する企業に投資することで、投資先のリスクを低減し、リターンを向上させることを目指しています。

SBT認定は、企業が環境に配慮した経営を行っている証として認識され、投資家からの信頼を獲得する効果があります。特にESG(環境・社会・ガバナンス)投資の観点から、SBT認証を取得した企業は、環境への意識が高く、将来的な規制への対応力や長期的なビジネスの持続可能性が期待されるため、投資の優先対象となります。

このように、SBT認証は企業の脱炭素化への取り組みを促し、同時にその取り組みに対する市場や投資家からの評価を高める効果があるのです。


ブランド価値の向上

SBT認定は、企業のブランド価値を向上させる効果があります。消費者や従業員、取引先など、ステークホルダーからの信頼を高めることができるのです。

消費者は、SBT認定を取得した企業を、環境に配慮し、サステナブルな取り組みを行っている企業として評価する傾向があります。そのため、SBT認定を取得した企業は、消費者からの支持を集め、売上や利益の向上につながる可能性があります。

従業員は、SBT認定を取得した企業を、社会的責任を果たす企業として評価する傾向があります。そのため、SBT認定を取得した企業は、従業員のモチベーションを高め、人材の確保や定着につながる可能性があります。

取引先は、SBT認定を取得した企業を、信頼できるビジネスパートナーとして評価する傾向があります。そのため、SBT認定を取得した企業は、取引先からの信頼を高め、新たなビジネスの機会を拡大することができます。


クリーンエネルギーへの移行

SBT認定を取得する企業は、クリーンエネルギーへの移行を加速させることができます。SBT認定では、再生可能エネルギーの導入や省エネルギーなどの取り組みが求められています。

クリーンエネルギーへの移行は、気候変動の防止や環境保全に不可欠な取り組みです。SBT認定を取得した企業は、クリーンエネルギーへの移行を加速させることで、温室効果ガスの削減だけでなく、エネルギー効率の向上や長期的なコスト削減にもつながります。

再生可能エネルギーの利用拡大やエネルギー効率の高い技術への投資は、企業の運営コストを削減し、競争力の強化にも寄与します。また、クリーンエネルギーへの積極的な姿勢は、環境に配慮したイメージを強化し、ステークホルダーからの支持を得ることにも繋がります。


SBT認定と今後の展望

気候変動対策

気候変動対策の未来

気候変動は今世紀の最大の課題の一つです。そのため、気候変動対策は、今後ますます重要になっていくでしょう。

SBT認定は、企業がこの課題にどう対応するかを示す重要な道しるべとなります。SBT認定を取得した企業は、科学的根拠に基づいた温室効果ガス削減目標を設定しており、その目標達成に向けて積極的に取り組んでいることを示すことができます。

将来的には、より多くの企業がSBT認定を取得し、地球温暖化の主要因である温室効果ガス排出を削減するための革新的な方法を探求することが予想されます。これにより、地球温暖化の進行を遅らせ、最終的には逆転させることが目指されています。

企業の取り組みが地球規模の気候変動対策に重要な役割を果たすことになるでしょう。


サステナブルビジネスの成長

サステナブルビジネスは、経済的成功と環境保全を両立させ、気候変動対策や環境保全など、社会課題の解決に貢献する新しいビジネスです。

サステナブルビジネスは、近年、急速に成長しています。その背景には、消費者の意識の変化や、投資家のESG投資の拡大などが挙げられます。

SBT認定は、サステナブルビジネスの成長を促進する上で、重要な役割を果たしています。SBT認定を取得した企業は、サステナブルな取り組みを積極的に行っていることを示すことができます。

今後、消費者意識の高まりと環境規制の強化により、サステナブルビジネスの重要性はさらに増すと予想されます。企業が環境配慮型の製品やサービスを提供することで、新たな市場機会を掴み、持続可能な成長を遂げることが可能になるでしょう。


エネルギー効率の向上

エネルギー効率とは、エネルギーをどれだけ有効に活用しているかを表す指標です。

エネルギー効率を向上させることで、同じ量のエネルギーでより多くの成果を上げることができます。
エネルギー効率の向上は、気候変動対策や環境保全に不可欠な取り組みです。エネルギー効率を向上させることで、エネルギー消費量を削減し、温室効果ガスの排出を抑えることができます。

エネルギー効率の向上は、SBT認定を取得する企業にとって重要な目標です。これは、環境への負荷を減らすだけでなく、運営コストの削減にも直結します。
例えば、再生可能エネルギーへの投資や省エネ技術の導入は、長期的に見て企業の財務に有益です。

将来的には、エネルギー効率を高める技術の発展により、より多くの企業が環境保全とコスト削減の双方を実現することが期待されます。これは、企業が環境に配慮しながらも経済的に持続可能であることを示す重要なステップです。


未来のSDGsと企業戦略

企業責任とSDGs

企業責任とSDGs

SDGsは、企業の社会的責任(CSR)と密接に関連しています。CSRとは、企業が社会や環境に配慮した事業活動を行うことです。

企業は、SDGsの目標達成に貢献することで、CSRを推進することができます。企業は単に利益を追求するだけでなく、社会的、環境的責任を果たすことが求められているのです。

SDGsは、貧困の撲滅、健康と福祉の向上、質の高い教育へのアクセスなど、多岐にわたる目標を提示しており、企業はこれらの目標達成に貢献することで、社会的責任を果たすことができます。企業がSDGsに取り組むことは、持続可能なビジネスモデルを構築し、長期的な成功を実現するための重要なステップとなります。

具体的には、企業は、以下の取り組みを行うことで、SDGsの目標達成に貢献することができます。

温室効果ガスの排出削減
再生可能エネルギーの導入
資源の循環利用
労働者の人権尊重
地域社会の支援


グリーンイニシアティブの推進

グリーンイニシアティブとは、企業が脱炭素化や環境保全に向けた取り組みを強化するために、共同で取り組みを推進する仕組みです。これには、エネルギー効率の改善、再生可能エネルギーの利用、廃棄物の削減、持続可能な資源の使用などが含まれます。

企業がグリーンイニシアティブを推進することは、環境への影響を低減するだけでなく、ブランド価値を高め、顧客の信頼を獲得することにもつながります。また、規制遵守とリスク管理においても重要な役割を果たします。

世界には、さまざまなグリーンイニシアティブが存在します。例えば、RE100は、企業が2050年までに事業活動で使用する電力をすべて再生可能エネルギーに切り替えることを目標とするイニシアティブです。

企業は、グリーンイニシアティブへの参加を通じて、脱炭素化や環境保全に向けた取り組みを強化することができるのです。


ゼロエミッション目指す企業戦略

脱炭素化の実現に向けて、企業は、2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにすることを目指す「ゼロエミッション」を掲げる動きが広まっています。
ゼロエミッションは、企業の脱炭素化に向けた取り組みの最終目標と言えます。

ゼロエミッションを実現するためには、企業は、以下の取り組みを行う必要があります。

再生可能エネルギーの導入
省エネルギー
カーボンオフセット

ゼロエミッションを目指す企業戦略は、地球温暖化の影響を軽減し、持続可能な未来を目指す上で不可欠です。
企業は、オペレーションの効率化、エネルギー源の転換、革新的な技術の導入によって排出量を削減することができます。

ゼロエミッションを目指すことは、企業のサステナビリティへの取り組みを示すとともに、将来の環境規制への対応力を高め、長期的なビジネスの持続可能性を確保します。



SBT認定の取得は、企業が持続可能な未来を構築する上で重要なステップです
この認定を通じて、企業は環境への責任を果たし、SDGsの目標達成に向けた積極的な役割を担うことができます。

今後、SBT認定を取得する企業はますます増えていくでしょう。企業は、SBT認定を取得することで、脱炭素化への取り組みを強化し、持続可能な社会の実現に貢献することが求められているのです。


Science Based Target(SBT)公式サイト

環境省:SBTとは




ロスゼロブログ一覧へ

この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています♪

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。