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持続可能な未来への道:防災とSDGsの相乗効果

公開日: 更新日:2024.02.02
持続可能な未来への道:防災とSDGsの相乗効果

2024年1月1日、石川県能登半島を襲った地震は、多くの尊い命を奪い、甚大な被害をもたらしました。その痛みと悲しみは、私たちの心に深く刻まれています。

また、1月17日は、阪神淡路大震災から29年、3月11日は東日本大震災から13年を迎えようとしています。それらの記憶は色濃く残っています。

日本は地震や台風、洪水など、自然災害の多い国です。
近年、自然災害の発生頻度や規模は増加しており、その被害も深刻化しています。

このような状況の中、防災対策の重要性がますます高まっています。

一方、SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年9月に国連で採択された、2030年までに達成を目指す国際目標です。SDGsの17の目標には、災害対策に関連する目標も含まれています。

防災とSDGsの重要な関連性を探り、災害に強く、持続可能な社会の実現への具体的なステップを考えてみましょう。


防災とSDGsの関連性とは?

防災とSDGs

防災とSDGsの目標の共通点

防災とSDGs(持続可能な開発目標)は、共に安全で持続可能な社会の構築を目指しています
防災は、災害による被害を最小限に抑えることで、人々の生命や財産を守ることを目的としています。一方、SDGsは、2030年までに持続可能な開発目標を達成することを目指しています。

この二つの目標には、いくつかの共通点があります。
例えば、どちらも「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「住み続けられる都市とコミュニティを」「気候変動に具体的な対策を」「陸の豊かさを守ろう」などの目標を掲げています。

これらの目標は、防災と共通する価値観や取り組みが特に顕著であり、防災の観点からも重要な役割を果たしています。また、他の目標も間接的には災害リスクの軽減や防災対策に関連している場合があります。

両者の目標を達成するためには、連携して取り組むことが重要です。


防災とSDGsの取り組みの相乗効果

防災とSDGsの取り組みは、相互に強化し合う関係にあります。防災対策が進めば、SDGsの目標達成にも繋がります。

例えば、災害に強いまちづくりを進めることで、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」にも貢献することができます。また、気候変動対策を進めることで、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」にも貢献することができます。

具体的な例としては、以下のような取り組みが挙げられます。

【災害に強いまちづくり】
津波防波堤やダムなどの防災インフラの整備
高台や避難所に近い住宅地の開発抑制
災害時の避難や救助を円滑にする交通網の整備

【気候変動対策】
再生可能エネルギーの導入
省エネの推進
森林の保全

防災とSDGsの取り組みは、お互いを支え合いながら進展していくことが重要です。


災害時のSDGs対策

災害が発生した場合、SDGsの目標の達成にも影響を与えます
例えば、災害による被害で、貧困や飢餓が拡大する可能性があります。また、災害による環境汚染や生態系の破壊が進む可能性があります。

災害時にSDGs対策を講じることは、緊急時の安全確保と将来の持続可能な発展の両方に貢献します。

災害時のSDGs対策には、以下のような対策が挙げられます。

◎災害時の避難所における健康や衛生への配慮
◎災害時の食料や水の確保
◎災害時の環境汚染や生態系の破壊の防止

災害時のSDGs対策を進めることで、災害の影響を最小限に抑え、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
また、これらの取り組みは、災害発生時だけでなく、平時の準備段階から考慮されるべきです。


住み続けられる街

災害に強い街

災害に強い街づくりの必要性

災害に強い街づくりは、私たちの生活の安全を守る上で非常に重要です。

日本のように地震や台風が多い国では、建物やインフラの耐震・耐風化が必須です。
これまでの災害により、多くの人々が命や財産を失いました。また、災害からの復興には、多くの時間と費用がかかりました。

災害の被害を軽減するためには、災害に強い街づくりが必要です。災害に強い街とは、災害が発生しても、人々の生命や財産を守ることができる街です。

具体的には、以下のような取り組みが必要です。

【防災インフラの整備】
津波防波堤やダムなどの防災施設の整備
高台や避難所に近い住宅地の開発抑制
災害時の避難や救助を円滑にする交通網の整備

 【減災対策】
建物の耐震化や耐水化の推進
河川の改修や護岸の整備
災害時の食料や水の備蓄

 【地域の防災力強化】
地域防災計画の策定
住民への防災教育や訓練の実施

 災害に強い街づくりを進めることで、災害の被害を軽減し、人々の安全・安心を守ることができるのです。


地域の共助と社会結束

災害が発生した場合、一人ひとりの力だけでは、被害を乗り越えることは困難です。

地域の共助と社会結束は、災害時の危機管理において中心的な役割を果たします
地域の共助とは、地域住民が助け合う仕組みです。例えば、自治会や町内会などの活動を通じて、近隣の住民同士が顔見知りになり、助け合える関係を築くことが大切です。
近隣住民との連携は、災害時の迅速な救助や情報共有に繋がります。

社会結束とは、社会全体が助け合う仕組みです。
例えば、災害時にボランティア活動に参加する、災害支援に寄付するなどの取り組みを通じて、社会全体で災害に備え、被害を乗り越える力を高めることができます。
地域での防災訓練や情報共有の取り組みは、日常生活での結束を強め、災害への備えを高めます。

地域の共助と社会結束が進むことで、災害に強い社会を実現することができます。


持続可能なまちづくりの実現

持続可能なまちづくりは、環境に配慮しながら、長期的に住みやすい街を作ることを意味します。
例えば、公共交通の利用を促進することで、温室効果ガスの排出を減らし、地球温暖化の防止に貢献します。また、公園や緑地の整備は、市民の健康を促進するとともに、都市のヒートアイランド現象の緩和にも効果的です。

持続可能なまちづくりには、次のような取り組みが必要です。

◎環境に配慮したまちづくり
◎再生可能エネルギーの導入
◎省エネや節水の推進
◎環境汚染の防止
◎多様性や包摂性を重視したまちづくり
◎高齢者や障害者など、誰もが住みやすいまちづくり
◎外国人や移民など、多様な人々が共生できるまちづくり

これらの取り組みは、住民の快適な生活と地球環境の保護の両立を目指します。


気候変動と防災

気候変動

気候変動が防災に与える影響

気候変動は、地震や台風、豪雨などの自然災害の発生を増やしたり、その被害を拡大させたりする可能性があります。気候変動は、防災に大きな影響を与えているのです。

具体的には、以下の影響が考えられます。

【災害の発生頻度や規模の増加】
気温の上昇により、地震や台風、豪雨などの自然災害の発生頻度や規模が増加する可能性があります。
例えば、気温が1℃上昇すると、台風の最大風速は約1.2m/s強まるとされています。

【災害の被害の拡大】
海面上昇や豪雨の増加により、津波や洪水などの被害が拡大する可能性があります。
例えば、気温が2℃上昇すると、海面は約20cm上昇するとされています。

地球温暖化の進行により、極端な気象現象が増加しており、洪水や土砂崩れといった災害を引き起こしやすくなっています。これらの災害は、私たちの生活や社会インフラに大きなリスクをもたらしています。

災害の増加により、気候変動が防災の取り組みに新たな課題を投げかけていることがわかります。


気候変動に備えた防災対策

気候変動による災害リスクに備えるためには、従来の防災対策の見直しが必要です。

【災害の発生頻度や規模の増加への対応】
◎津波防波堤やダムなどの防災施設の整備を強化する。
◎高台や避難所に近い住宅地の開発を抑制する。

【災害の被害の拡大への対応】
◎海岸線のかさ上げや護岸の整備を進める。
◎洪水対策の強化を図る。

例えば、より頻繁に発生すると予想される豪雨に備え、河川の堤防を強化したり、排水システムの改良が求められます。また、熱波による健康リスクに対しては、熱中症予防のための啓発活動や、緊急時の冷却施設の設置が重要です。

これらの対策は、気候変動による災害の被害を軽減し、社会の安全を守るために不可欠です。


気候変動への適応計画

気候変動に備えるためには、防災対策だけでなく、気候変動への適応計画の策定も重要です。
気候変動への適応計画とは、気候変動の影響を最小限に抑え、持続可能な社会を実現するための計画で、都市部でのヒートアイランド現象の緩和や、海面上昇に対応した沿岸地域の保護などが含まれます。

【適応計画の内容】
◎気候変動の影響の予測
気温や海面上昇などの気候変動の影響を予測する。
◎気候変動への適応策の検討
気候変動の影響を最小限に抑えるための対策を検討する。

適応計画を策定し、実施することで、気候変動の影響に柔軟に対応し、持続可能な社会を実現することができます。
具体的には、都市緑化の促進や、浸水リスクの高い地域への避難路の整備などが考えられます。

これらの計画は、気候変動の影響を受けやすい地域の住民を守り、持続可能な社会の構築に貢献します。


レジリエンスの重要性

災害に強い社会

災害に強い社会の構築

レジリエンスとは、災害などの困難な状況に直面しても、元の状態に戻ったり、より良い状態に回復したりする力です。

災害に強い社会を構築するためには、レジリエンスを高めることが重要です。レジリエンスを高めるためには、次のような取り組みが必要です。

◎災害に強いインフラや減災対策の整備
津波防波堤やダムなどの防災施設の整備
建物の耐震化や耐水化の推進
災害時の食料や水の備蓄
地域の共助と社会結束の強化
地域防災計画の策定
住民への防災教育や訓練の実施
持続可能なまちづくりの実現
環境に配慮したまちづくり
多様性や包摂性を重視したまちづくり

これらの取り組みを進めることで、災害の被害を軽減し、人々が安心して暮らせる社会を実現することができます。

さらに災害に強い社会を構築するためには、まず、住民一人ひとりが災害リスクを理解し、適切な対応を取れるような教育と啓発も必要です。
具体的には、学校や地域での防災訓練の実施や、災害時の行動マニュアルの普及が挙げられます。さらに、災害時における情報共有のシステムを整備し、迅速かつ正確な情報伝達を目指すことも重要です。

これらの取り組みにより、一人ひとりが災害への備えを持ち、社会全体のレジリエンスが高まります。


持続可能な社会の実現

レジリエンスは、災害に強い社会を構築するだけでなく、持続可能な社会の実現にも重要です。レジリエンスが高い社会は、災害などの困難な状況に直面しても、社会の機能を維持し、持続可能な社会を実現することができます。

持続可能な社会を実現するためには、環境保護や資源の効率的な使用にも焦点を当てる必要があります。
例えば、再生可能エネルギーの利用拡大や廃棄物の削減により、環境への負荷を減らしつつ、災害時のエネルギー供給の確保にも寄与できます。また、地域コミュニティの強化による社会の結束を深めることは、災害時の支援体制を充実させることにも繋がります。

これらの取り組みは、災害に対する社会全体のレジリエンス向上に貢献します。


防災・減災の新たな視点

防災・減災の取り組みには、新たな視点が必要です。
従来の防災・減災の考え方は、災害の被害を最小限に抑えることに重点を置かれていました。しかし、レジリエンスを高める視点では、災害の被害を軽減するだけでなく、災害からの復旧・再生力を高めることも重要になります。

技術の進歩を活用し、例えば、AIやIoTを用いた災害予測システムの開発や、SNSを利用した情報伝達の高速化などが考えられます。
また、災害リスクの高い地域の住民を対象に、具体的な避難計画の策定や災害保険の普及を推進し、住民が自立的に避難や復旧活動を行うことができるように、地域の共助や社会結束を強化することも重要です。

これらの新しいアプローチにより、災害の被害を最小限に抑え、迅速な復旧を目指すことができます。


防災とSDGsの未来

防災と貧困地域

SDGsの実現に向けて

SDGsの実現に向けた防災の取り組みは、多くの目標と密接に結びついています。

特に、貧困地域の防災対策は、災害時のリスク軽減だけでなく、貧困の撲滅にも直接貢献します。災害は貧困層にとってさらなる困難をもたらすため、ここでの強固な対策は社会的な安定をもたらし、経済的な回復にも繋がります。

また、健康と福祉の向上に向けては、災害時における医療体制の確立が鍵となります。災害が起きた際の迅速な医療支援は、生命を守るだけでなく、健康な社会の基盤を築く上でも重要です。

さらに、気候変動への対策としての防災は、将来的な災害リスクの軽減にも寄与します。気候変動に起因する災害を最小限に抑えることは、環境の保護と持続可能な発展への道を開くことにも繋がります。

これらの目標達成のためには、地域社会や国際社会の連携が必要であり、具体的な行動計画の実施が求められます。
防災の強化は、SDGsの目標達成への大きなステップであり、持続可能な社会の構築に欠かせない要素です。


防災とSDGsの新たな可能性

防災とSDGsの相乗効果は、持続可能な社会への道を切り拓く大きな可能性を秘めています。

例えば、災害に強いまちづくりを推進することは、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」の実現に直結します。
これには、耐震性の高い建築物の構築や、洪水対策としての適切な都市計画が含まれます。これらの取り組みは、災害のリスクを低減し、市民の安全を守ると同時に、長期的な都市の持続可能性を高めます。

また、気候変動対策としての防災は、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に寄与します。
気候変動による極端な天候や自然災害に対応するための取り組みは、環境保全だけでなく、人々の生活の質の向上にも繋がります。

さらに、災害に強いコミュニティの形成は、SDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」の達成に貢献します。
地域住民が一丸となって災害対策を講じることは、コミュニティの結束を強化し、社会の安定と公正を促進します。

このように、防災とSDGsの相乗効果により、より良い未来を創造することができるのです。

 

未来の防災対策

未来の防災対策には、さらなる革新が求められます。
気候変動による未知の災害への対応や、都市化が進む中での災害リスク管理など、新たな課題が出てきています。これらに対応するためには、さらなる対策が必要です。

【レジリエンスを高める対策】
災害への被害を軽減するだけでなく、災害からの復旧・再生力を高めることに重点を置く。

【持続可能なまちづくりを推進する対策】
環境に配慮したまちづくり、多様性や包摂性を重視したまちづくりなど、持続可能なまちづくりを推進する。

【地域や個人の主体性を重視する対策】
地域や個人が主体的に防災に取り組めるように、支援や仕組みを整える。

これらの方向性を踏まえて、防災対策を進めることで、持続可能な社会を実現し、人々が安心して暮らせる社会を構築することが可能です。

今後とも、最新の科学技術を活用した防災システムの開発や、地域コミュニティに根差した取り組みが必要となるでしょう。また、災害からの復興を通じて、より強靭な社会を構築することも重要となります。

これらの取り組みにより、未来の防災対策はより効果的かつ持続可能なものになるでしょう。



防災とSDGsは、密接に関連しており、両者の取り組みを進めることで、災害に強い社会を実現し、持続可能な社会を構築することができます。

私たち一人ひとりが、防災とSDGsの取り組みについて理解を深め、行動に移していくことにより、安全で豊かな未来が待っています。



【参考】

国連情報センター:持続可能な開発目標(SDGs)

内閣府:防災白書

気象庁:地球環境・気候

気象庁:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)




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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています♪

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。