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知っておきたい!冷凍・加熱で野菜の栄養価はどう変わる?

公開日: 更新日:2024.02.02
冷凍・加熱後の野菜の栄養価

節約にも便利で、使い勝手も良い冷凍野菜
でも、栄養価はどうなの?と疑問に思ったことはありませんか?

実は、冷凍・加熱によって野菜の栄養価は変化します

毎日の料理で、野菜の栄養を最大限に活かすためのポイントを見ていきましょう。


冷凍・加熱で栄養価はどう変わる?

冷凍・加熱で野菜の栄養価はかわるのか

野菜の栄養価、冷凍・加熱で何が変わる?

野菜はビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富で、健康的な食生活には欠かせません。しかし、冷凍や加熱によって栄養価が変化する可能性があります。


冷凍による影響

冷凍は、野菜の栄養価を保持する優れた方法です。冷凍することで多くの野菜の栄養素は安定し、特にビタミンCなどの水溶性ビタミンの損失を最小限に抑えることができます。

例えば、ほうれん草を冷凍した場合、ビタミンCは20~30%程度減少しますが、加熱すると50%以上減少します。また、β-カロテンなどの脂溶性ビタミンは、冷凍による影響はほとんどありません。

しかし、冷凍する際には細胞組織が破壊される可能性があり、解凍時に栄養素の流出が起こることもあります。


加熱による影響

加熱は、野菜の栄養価にいくつかの影響を与えます。

ビタミンCなどの水溶性ビタミンは熱に敏感で、加熱によって最大50%減少する可能性があります。これは、これらの栄養素が加熱によって分解されるか、調理中の水に溶け出すためです。

しかし、加熱は消化吸収を助けるため、特定の栄養素(例えば、トマトのリコピンや人参のβ-カロテン)を体に取り込みやすくします。

野菜によっては、加熱することで新たに有効な栄養素が生まれることもあります。


野菜のミネラルと食物繊維は、冷凍や加熱によって大きく変化することはありません


冷凍・加熱によるビタミンの変化

野菜の加熱および冷凍によって特に影響を受けるビタミンに注目してみましょう。

冷凍は、特にビタミンCのような水溶性ビタミンを比較的良く保存します。急速冷凍はビタミンの損失を最小限に抑えることができますが、長期間の保存により徐々にビタミンが減少する可能性があります。

一方、加熱すると、特に水溶性ビタミン(ビタミンC、ビタミンB群など)は熱によって分解されるか、調理水に溶け出してしまうため減少することがあります。しかし、一部のビタミン(例えば、カロテノイド)は加熱によって消化吸収が良くなり、体内での吸収が高まります。


酵素や細胞膜への影響、知っておきたいポイント

冷凍すると、野菜の細胞内水分が凍結し、細胞膜を物理的に破壊することがあります。これにより、解凍後の野菜は元の状態よりも柔らかくなり、栄養素が流出しやすくなる可能性があります。
しかし、冷凍自体は酵素の活動を効果的に抑制し、野菜の鮮度を保つのに役立ちます。

一方で、加熱は野菜内の酵素を不活性化し、これにより野菜の鮮度の低下や栄養素の分解を防ぐことができます。
しかし、加熱によって細胞膜が破壊されると、栄養素の流出が起こる可能性があります。

このように、冷凍や加熱は野菜の酵素活動と細胞構造に影響を与え、それによって野菜の質感や栄養価が変化します。


食材別で見る栄養価の変化

食材別の野菜の栄養価

野菜の栄養価は、種類によって変化の程度が異なります。


人参、えのき、ほうれん草、玉ねぎ:変化を比較

人参

ニンジンはビタミンAの豊富な源であり、この成分は冷凍により比較的安定します。しかし、水溶性ビタミンであるビタミンCは冷凍と解凍の過程で減少傾向にあります。

また、ニンジンに含まれる食物繊維は、冷凍によりその構造が変化することがありますが、全体の栄養価に与える影響は限定的です。

冷凍保存する際には、空気を抜いて密封することで、栄養素の損失を最小限に抑えることができます。


えのき

エノキダケの抗酸化物質やビタミンB群は、温度変化に敏感であり、冷凍によってこれらの成分が減少する可能性があります。

しかし、冷凍は同時にエノキダケの食物繊維の可溶性を高めることが示唆されています。これにより、消化吸収が促進される可能性があります。

エノキダケを冷凍保存する際には、急速冷凍を行い、栄養素の変化を最小限に抑えることが推奨されます。


ほうれん草

生のほうれん草に豊富なビタミンCは加熱により減少しますが、加熱することでβカロテンの吸収率が向上します。

さらに、ほうれん草に含まれる鉄分は、加熱により体内での利用可能性が高まることが知られています。

ほうれん草の葉酸も加熱により減少する傾向にあり、蒸し調理が最も葉酸の損失を抑える方法とされています。


玉ねぎ

玉ねぎはフラボノイド(ケルセチン)などの抗酸化物質を豊富に含み、これらの成分は冷凍によって比較的安定しています。ただし、冷凍と解凍の過程でビタミンCなどの水溶性ビタミンは減少する傾向にあります。

冷凍により玉ねぎの細胞構造は多少変化する可能性がありますが、食物繊維の全体量への影響はそれほど大きくありません。

玉ねぎを冷凍保存する際には、適切に包装し空気に触れないようにすることで、栄養素の損失を抑えることが可能です。


キャベツ、大根、レタス、きゅうり:冷凍・加熱の影響

キャベツ

生のキャベツに豊富なビタミンCは加熱によって減少しますが、一方で、加熱によってキャベツに含まれるグルコシノレートが分解され、がん予防効果を持つスルフォラファンが生成されます。

また、加熱はキャベツの繊維質を柔らかくし、消化しやすくする効果があります。

キャベツを加熱する際は、ビタミンCの損失を抑えるために短時間の調理が推奨されます。


大根

大根に含まれる酵素、特にジアスターゼは加熱により失いますが、これは消化を助ける重要な役割を果たします。

また、大根に含まれるビタミンCは加熱によって減少する傾向にあります。しかし、加熱は大根の食物繊維を柔らかくし、消化吸収を促進します。

特に、大根の独特な辛味成分であるイソチオシアネートは加熱によりその量が減少し、風味がまろやかになります。

加熱する際には、栄養素の損失を最小限に抑えるために、蒸し調理や煮物が適しています。


レタス

生のレタスに含まれるビタミンCは熱に敏感で、加熱により減少します。しかし、加熱によりレタスの食物繊維が柔らかくなり、消化吸収が容易になる利点もあります。

また、レタスに含まれる一部のミネラル成分は加熱によって吸収率が向上することが知られています。

レタスを加熱調理する際は、蒸し調理や短時間のソテーが栄養価の損失を最小限に抑える方法です。


きゅうり

きゅうりのビタミンCは加熱により減少する傾向にあります。しかし、加熱はきゅうりの食物繊維を柔らかくし、消化を助ける効果があります。

特に、加熱によってきゅうり特有の苦味が減少し、食べやすくなることがあります。

きゅうりを加熱する際は、ビタミンCの損失を抑えるために短時間の加熱が推奨されます。


これらの野菜は水分が多く、細胞膜が弱いため、冷凍によって細胞膜が破裂し、水気が流出して食感が悪くなるだけではなく、水溶性ビタミンやミネラルが流出してしまうため、冷凍には不向きです。


なす、かぶ、山芋、じゃがいも:栄養価をキープする方法

なす

なすに含まれるビタミンCは加熱によって減少しますが、加熱によりなすの抗酸化物質であるナスニンの吸収率が向上します。

また、なすの食物繊維は加熱することで柔らかくなり、消化が促進されます。

なすの加熱は、風味を引き出し、料理の味わいを深める効果もあります。加熱調理する際には、栄養素の損失を最小限に抑えるために、皮付きのままでの蒸し調理や炒め物が適しています。


かぶ

かぶに含まれるビタミンCは加熱により一部分解されるため、生食に比べて減少します。しかし、加熱により、かぶ特有の苦味成分が減少し、よりマイルドな味わいになります。

加熱することで食物繊維が柔らかくなり、消化吸収が容易になる利点もあります。

かぶに含まれる抗酸化物質は加熱によりその活性が高まることがあり、加熱調理が健康面での利点を提供します。

栄養素の損失を抑えるためには、蒸し調理や煮物が適しています。


山芋

生の山芋に含まれるビタミンCは加熱により減少しますが、加熱によって山芋のデンプンが分解され、消化が容易になります。特に、山芋の粘り気は加熱によって変化し、食感が柔らかくなります。

また、加熱は山芋に含まれるミネラルの吸収率を高める可能性があります。

栄養価を最大限に活用するためには、短時間の蒸し調理や炒め物が適しており、長時間の加熱は栄養素の損失を招く可能性があるため注意が必要です。


ジャガイモ

ジャガイモに含まれるビタミンCは加熱により減少する傾向がありますが、加熱することでデンプンが分解され、消化しやすくなります。

加熱により、ジャガイモの質感は柔らかくなり、特に茹でることで独特のもっちりとした食感が生まれます。

また、加熱はジャガイモに含まれるミネラルの可溶性を高め、体内での吸収を促進することがあります。

ジャガイモの栄養価を保持するためには、短時間の蒸し調理や焼き調理が効果的です。長時間の加熱や水にさらす調理法はビタミンCの損失を招くため、適切な加熱方法を選ぶことが重要です。


これらの食材のビタミンCは冷凍することにより減少しますが、ミネラルは変化しにくいです。
解凍後、加熱調理することを前提に、冷凍保存もできますが、粘り気や食感に変化があります。


栄養価を損なわない冷凍方法

ブランチング

ブランチングで栄養素を閉じ込める

野菜を冷凍する前に、ブランチングという方法を行うことで、栄養素を閉じ込めることができます。
ブランチングとは、野菜を熱湯で短時間茹でた後、すぐに冷水で冷やすことです。

ブランチングによって、
〇野菜の酵素を抑制し、色や食感を保持する
〇水溶性ビタミンの流出を抑える
〇細胞膜を破壊し、解凍時に水分が抜けにくくなる
などの効果があります。

【ブランチングのやり方】
鍋にたっぷりの湯を沸かし、沸騰したら塩を加える。
野菜を食べやすい大きさに切り、熱湯に入れる。
30秒~1分程度茹でたら、すぐに冷水に取る。
水気をしっかり拭き取ってから、冷凍する。


冷凍庫での保存期間と適切な処理

野菜を冷凍する際には、保存期間と適切な処理に注意が必要です。

【保存期間】
野菜の種類によって異なりますが、一般的には
〇葉野菜:1ヶ月
〇根菜類:2ヶ月
〇果菜類:3ヶ月
程度を目安にするとよいでしょう。

一般的に、野菜は冷凍庫で長期間保存可能ですが、長期間保存すると栄養価が徐々に低下することがあります。

【適切な処理】
また、野菜を冷凍する際には、空気に触れないようにラップや冷凍用保存袋で包むことが重要です。

〇野菜はしっかりと洗浄し、水気を拭き取る。
〇空気酸化を防ぐために、ラップやフリーザーバッグで密閉する。
〇冷凍庫の温度は-18℃以下に設定する。

これにより、冷凍焼けを防ぎ、栄養素の損失を最小限に抑えることができます。


電子レンジ解凍で栄養価を損なわない方法

電子レンジ解凍は迅速で便利ですが、不適切な解凍方法は栄養素の損失につながります。低温でゆっくりと解凍することが重要です。

【電子レンジ解凍のポイント】
〇ワット数を低めに設定する。
〇解凍時間は様子を見ながら調整する。
〇解凍後すぐに調理する。


栄養価を損なわない加熱方法

レンジで短時間加熱

調理時間の管理

野菜を加熱する際には、調理時間を短くすることで、栄養価の損失を抑えることができます。

ビタミンCなどの水溶性ビタミンは、熱に敏感で、加熱時間が長くなるほど損失量が増えます
例えば、ほうれん草を茹でた場合、
1分茹でると、ビタミンCの残存率は70%
3分茹でると、ビタミンCの残存率は50%
となります。

ブロッコリーやピーマンなどは、軽く蒸したり炒めたりすることで、ビタミンの損失を防ぎつつ、食物繊維やミネラルを保持することができます。

また、加熱しすぎると、野菜の食感や風味も損なわれます


温度のポイント

野菜を加熱する際の温度も、栄養価に影響を与えます。

高温で加熱すると、ビタミンCなどの水溶性ビタミンが壊れやすくなります。一方、低温で長時間加熱すると、脂溶性ビタミンの吸収率が低下する可能性があります。

【おすすめの温度帯】
〇ビタミンCなどの水溶性ビタミンを守るために、70~80℃程度
〇脂溶性ビタミンの吸収率を高めるために、100℃程度

適切な温度での調理は、特にビタミンやミネラルの損失を抑えるのに効果的です。


電子レンジ、茹で、炒め:それぞれのメリットとデメリット

【電子レンジ】
メリット:手軽に調理できる、短時間で加熱できる
デメリット:加熱しすぎると栄養価が損なわれる、ムラができることがある

【茹で】
メリット:ビタミンCなどの水溶性ビタミンの流出が少ない
デメリット:水溶性ビタミンの損失がある、時間がかかる

【炒め】
メリット:油を使うことで、脂溶性ビタミンの吸収率が向上する
デメリット:炒めすぎると栄養価が損なわれる、油の量が多くなる

電子レンジでの加熱は速くて便利ですが、一部の野菜では水溶性ビタミンの損失が大きいことがあります。
茹でる方法は多くの野菜に適していますが、水に溶け出す栄養素が失われることがあります。
炒める方法は野菜の風味を引き出し、油溶性ビタミンの吸収を助けますが、高温での調理はビタミンCなどの熱に敏感な栄養素を減少させることがあります。

野菜を加熱する際には、調理時間、温度、加熱方法に注意することで、栄養価を損なわずに調理することができます


冷凍野菜のお料理ポイント

冷凍野菜は、調理時間を短縮し、栄養価を高く保つことができる便利な食材です。
さまざまなレシピに活用することで、毎日の食卓を彩り豊かに、健康的にすることができます。


解凍するかどうか

多くの料理では、冷凍野菜をそのまま加熱調理することができます。これにより、調理時間を節約し、栄養素の流出を最小限に抑えることができます。

ただし、サラダや冷製料理に使用する場合は、自然解凍するか、低温での電子レンジ解凍が適しています。これにより、野菜の食感や風味を保持することができます。


調理方法

炒め物やスープ、煮物などの加熱調理には、冷凍野菜をそのまま使用することが一般的です。冷凍野菜は既にある程度柔らかくなっているため、調理時間を短縮できます。

冷凍野菜を解凍する場合は、水分が多くなりやすいので、料理によっては加熱前に軽く水気を切ると良いでしょう。


品質の管理

冷凍野菜は開封後も適切に密封し、早めに使用することが重要です。長期間放置すると、冷凍焼けや風味の低下が起こる可能性があります。

味や食感に敏感な料理には、新鮮な野菜を使用することをお勧めします。



冷凍・加熱によって野菜の栄養価は変化しますが、正しい方法を知れば、栄養を損なうことなく美味しく食べることができます

冷凍野菜は、旬の野菜をいつでも味わえるだけでなく、調理時間も短縮できるので、忙しい方にもおすすめです。

ぜひ、色々な食材を試して、冷凍野菜の魅力を存分に味わってみてください!






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この記事を書いた人

村上

サステナブルライターとして、SDGsや生活の知恵を発信しています。育児をしながら、子どもと一緒に地球に優しい生活を目指し中。趣味は料理と美術館巡り。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。