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昆布の危機と希望:食卓、美容、環境を守り、未来を繋ぐ

公開日: 更新日:2024.06.21
昆布の危機と希望:食卓、美容、環境を守り、未来を繋ぐ

海にゆらめく緑の帯、それが昆布です
古くから日本の食卓を支え、美容や健康にも役立つ昆布は、近年、さまざまな課題に直面しています。漁獲量の減少、後継者不足、売り上げ減少…昆布産業は存亡の危機に瀕しているのでしょうか?

昆布の持つ無限の可能性に光を当て、持続可能な未来への道を拓くための知識と革新を紐解いていきましょう。


昆布の基礎知識

昆布って

昆布って何?

昆布の歴史

昆布は、古代から日本人の生活に深く根付いており、縄文時代にはすでに利用されていたことがわかっています。

奈良時代には朝廷への貢物にもなり、平安時代には貴族の食卓を彩る高級食材として珍重されました。
江戸時代には庶民の間にも普及し、だし汁や煮物、昆布締めなど、さまざまな料理に活用されるようになりました。


昆布の種類

海藻の中でも、ひときわ存在感を放つ「昆布」。主に寒冷な海域に生息する海藻の一種で、その種類は実に300種以上にも及びます。
日本で採れる昆布の95%以上は北海道全域で、その他は 東北(青森県、岩手県、宮城県)の三陸海岸沿いで採れます。

昆布の種類として代表的なものとしては、真昆布、利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布などが挙げられます。昆布は生育する場所により、品質、風味などの商品上の価値に大きな違いが現れるため、種類・性状・用途などによりたくさんの銘柄と等級に分けられています。


昆布の選び方

昆布を選ぶ際は、以下の点に注目すると良いでしょう。

種類:だしを取るには真昆布や利尻昆布がおすすめですが、煮物や昆布巻きには日高昆布や羅臼昆布などが適しています。
産地:昆布は産地によって味が異なるため、自分の好みに合った産地を選ぶことが大切です。
鮮度:昆布は鮮度が落ちると風味が損なわれるため、なるべく新鮮なものを選びましょう。
厚さ:だしを取るには厚みのある昆布が、煮物や昆布巻きには薄みのある昆布が適しています。


保存方法

昆布は乾燥物なので、直射日光や高温多湿を避け、乾燥した涼しい場所で保存しましょう。
昆布は湿気を吸いやすいので、密閉容器に入れて保存するのがおすすめです。1回ずつ使う量に切っておくと便利です。

保存期間は、昆布の種類や状態によって異なりますが、一般的には半年~1年程度と言われています。

長期に保存するときは、1回ずつ使う量に切っておき、他の臭いが移らないようにビニール袋または密封容器に小分けし、空気を出来るだけ抜いて封をして、冷蔵庫か冷凍庫に保管してください。


食卓と文化を支える昆布

昆布は、日本の食文化にとって欠かせない存在です。
特に昆布から取れるだしは、他のどのだしにも見られない独特の深い旨味と風味を持ち、味噌汁や煮物などの基本的な日本料理に欠かせない役割を果たしています。昆布だしは、料理にコクと深みを加え、素材の味を引き立てる魔法のような力を持っています。

また、昆布はそのまま食材としても楽しまれています
煮物や昆布締めといった料理では、昆布そのものの風味や食感を直接味わうことができ、昆布の新たな魅力を発見することができます。これらの料理は、昆布の持つ自然な甘みや旨味が引き立つよう丁寧に調理されます。

さらに、昆布は日本の伝統的なお祝い事にも重要な役割を果たしています。
お正月や結婚式、お祝い事の席で欠かせない「昆布巻き」は、縁起物としても親しまれています。この料理に使われる昆布は、しっかりとした食感と味わいが特徴で、豪華な見た目も魅力の一つです。

昆布は料理だけではなく、縁起物といわれ、結納の席や鏡餅の飾り物として用いられています。また土俵の鎮物(しずめもの)の一つでもあります。

昆布がこれほどまでに多方面で利用されているのは、その多様性と文化的な価値が高く評価されているからです。日本の家庭のみならず、国を代表する料理のアイデンティティとしても、昆布は非常に大切な位置を占めています。


美容と健康に昆布を

昆布はその栄養豊富な特性から「海の野菜」とも称され、美容と健康の両面で注目される食材です。

輝く美肌を叶える

昆布はその豊富な栄養素によって、健康な肌を保つのに役立つ食材として注目されています。

特に、昆布に含まれるビタミンCとビタミンEは、肌の細胞を活性化し、老化の原因となるフリーラジカルから肌を保護するアンチオキシダントとしての役割を果たします。
また、昆布にはミネラルも豊富に含まれており、特に亜鉛やセレンは肌の修復を助け、細胞の再生を促進します。

さらに、昆布のフコイダンという成分には、肌のハリを保つコラーゲンの生成を促進する働きがあります。フコイダンは抗炎症作用も持っているため、肌荒れや炎症を抑える効果も期待できます。


ツヤツヤ髪と丈夫な爪の秘訣

昆布に含まれる豊富なアミノ酸は、髪と爪の健康に非常に重要です。

特に、グリシンやアルギニンなどのアミノ酸は、髪の毛の主成分であるケラチンの生成をサポートし、髪に弾力とツヤを与えます。
また、昆布に含まれるミネラル類、特に鉄分と亜鉛は、爪を強く丈夫に保つのに役立ちます。

これらの栄養素は、髪の毛の成長を促進し、爪を硬くして割れにくくするため、健康的な髪と爪を維持する上で欠かせません

さらに、昆布のビタミン群が頭皮の健康を促し、頭皮環境を整えることで、抜け毛の減少や新しい髪の成長を支える効果も期待できます。


体の中から健康に

昆布に含まれるビタミンとミネラルは、体の基礎的な機能を支えるのに必要不可欠です。また、カルシウムは骨密度を高め、骨粗鬆症を予防する効果があります。さらにβ-グルカンは、体内の免疫細胞を活性化し、感染症に対する抵抗力を高める効果があります。

特に昆布に豊富に含まれるヨウ素は、甲状腺機能の正常化に寄与し、新陳代謝を活性化します。これにより、体全体のエネルギー代謝が向上し、より活動的な日常を送ることが可能になります。

さらに、昆布に含まれる食物繊維は消化促進に効果的であり、腸内環境を整えることで全身の健康をサポートします。加えて、抗酸化物質であるフコイダンは、血液中の悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす効果があり、動脈硬化などの生活習慣病のリスクを減らすことができます。


昆布の環境保全機能

昆布は、成長過程で二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する光合成を行います。その量は、陸上の森林と比べても遜色ないほどです。つまり、昆布を育てることは、地球温暖化対策に貢献する重要な役割を果たしているのです。

さらに、昆布は海藻類の中でも特に成長速度が速く、短期間で多くの二酸化炭素を吸収することができます。そのため、近年注目されているのが、昆布を海に植林することで二酸化炭素を吸収し、地球温暖化を防ぐという取り組みです。

昆布は、海水の浄化にも役立ちます。昆布は、成長過程で海中の栄養塩を吸収します。その結果、海水中の栄養塩濃度を下げ、赤潮や青潮などの発生を抑制することができます。

また、昆布は海底に根付き、密集して生育します。この昆布の森は、海底の土壌が流出するのを防ぐ自然のバリアとして機能し、海岸線の侵食を防ぐ効果も期待できます。


危機に瀕する昆布産業

昆布の危機

漁獲量の減少

近年、昆布の漁獲量は減少傾向にあり、2020年の生産量は1980年代のピーク時の約半分まで落ち込んでいます。その主な原因として地球温暖化と海洋汚染が挙げられます。

地球温暖化の影響

地球温暖化は昆布の漁獲量にさまざまな影響を与えています。

【海水温上昇の影響】
昆布は、水温が低い海域で育つ海藻です。海水温上昇は、昆布の生育適温を超える場合があり、昆布の生育を阻害します。特に、真昆布は水温変化に弱く、温暖化の影響を受けやすいと言われています。

【酸性化の影響】
海水の酸性化は、昆布の光合成を阻害し、成長を抑制します。また、酸性化によってカルシウムが溶け出すため、昆布の骨格形成にも悪影響を及ぼします。

【分布域の変化】
海水温上昇や酸性化の影響により、昆布の分布域は北上しています。従来の昆布漁場は、水深が浅く、温暖な海域に集中していました。しかし、温暖化の影響により、これらの漁場では昆布の生育が難しくなっています。


海洋汚染の影響

赤潮や磯焼けなどの海洋汚染は、昆布の生育環境を悪化させます。

【赤潮や磯焼けなどの影響】
赤潮や磯焼けなどの海洋汚染は、昆布の生育に必要な光を遮断し、光合成を阻害します。また、これらの汚染によって海水中の栄養素が偏り、昆布の成長に必要な栄養素が不足することもあります。

【病害虫の発生】
海洋汚染によって海水の環境が変化すると、昆布に害を及ぼす病害虫が発生しやすくなります。特に、近年問題となっているウニの大量発生は、昆布の生育に大きな被害を与えています。

【海水汚染の影響】
海水汚染によって、昆布に重金属や有害物質が蓄積されることがあります。これらの物質は、昆布の品質を低下させ、食用に適さなくする可能性があります。

【海洋プラスチックの影響】
海に漂うプラスチックごみは、太陽光を遮断し、昆布の光合成を阻害します。また、昆布がプラスチックごみに絡みつくことがあり、昆布が傷つき、成長が阻害されたり、死んでしまうことがあります。
さらにプラスチックごみが分解されてできるマイクロプラスチックは、昆布に吸収されると、昆布の体内に蓄積され、人間が昆布を食べることで人間の体内に取り込まれる可能性があります。

これらの環境変化により、昆布の質や量が大きく影響を受けているのです。


後継者不足:高齢化と担い手不足

昆布産業は、高齢化と後継者不足という深刻な問題に直面しています。

昆布漁師の大半が高齢者であり、若い世代の参入が著しく少なくなっています。2020年の調査では、昆布漁業従事者の平均年齢が60歳以上と報告されており、この高齢化は今後さらに進むことが予想されます。

このような状況は、昆布産業の衰退を招き、やがては伝統的な漁法そのものが失われる可能性もあります。

若者が昆布漁業に魅力を感じない大きな理由は、厳しい労働環境と不安定な収入です。

厳しい労働環境:昆布漁は、早朝から深夜まで続く長時間労働が当たり前です。また、天候に左右されるため、休みが取れないこともあります。
不安定な収入:昆布の価格は天候や市場の状況によって大きく変動するため、収入が安定しません。
将来への不安:昆布漁業の将来性に対する不安も大きいようです。近年は、養殖昆布の台頭や海外からの輸入増加などにより、国内市場が縮小傾向にあります。

この問題に対応するためには、技術の継承と共に、昆布漁業の魅力を高める新たな取り組みが求められています。

労働環境の改善:機械化や自動化による労働負担の軽減、休日の確保など、労働環境の改善が必要です。
収入の安定化:価格安定のための取り組みや、漁業以外の収入源の確保などが重要です。
昆布漁業の魅力向上:昆布漁業の素晴らしさを若い世代に伝えるためのPR活動や、体験型イベントの開催などが有効です。
事業継承の円滑化:経営者と後継者のマッチング支援や、事業承継に関する制度整備などが求められます。


売り上げ減少と価格高騰

日本の昆布産業は現在、二つの大きな問題に直面しています。

一つは、国内外の市場での売り上げ減少です。2020年の国内市場での売り上げは約200億円と、1990年代のピーク時の約3分の1まで落ち込んでいます。
一方、昆布の価格は高騰しています。真昆布の価格は1kgあたり約2,000円と、10年前と比べて2倍以上になっています。

これらの問題は、漁獲量の減少と市場の変化により引き起こされています。

【漁獲量減少】
昆布の主な産地である北海道と東北地方で、昆布の漁獲量が近年減少しています。その理由として、海水温の上昇や海洋汚染などの環境問題が挙げられます。
特に高品質な昆布は自然環境に依存するため、これらの影響を強く受けやすく、需要に対する供給が不安定になっています。
また、漁業従事者の高齢化による後継者不足も大きな要因です。

【市場の変化】
昆布の需要は依然として高いものの、特に海外市場での需要拡大に生産量が追いついていません。国内外を問わず昆布の価格が上昇する一因となっています。
加えて、昆布の使い方も変わりつつあり、伝統的な料理からだしパックや粉末昆布へのシフトが見られます。このような新しい製品への需要が増えることで、さらに昆布の価格は押し上げられています。

売り上げ減少と価格高騰は、消費者の負担を増加させ、昆布離れを加速させています。さらに消費者にとって昆布を手に入れることが難しくなるだけでなく、昆布を使った伝統的な食文化の継承にも影響を与えています。

昆布産業の再興には、これらの課題を解決するための新たな対策が求められています。


養殖技術と新規漁場

昆布の養殖

持続可能な養殖方法

持続可能な昆布養殖とは、環境負荷を低減しながら安定した生産を実現することです。

従来の昆布養殖方法は、海中にロープを張り、昆布の苗を付着させる垂下養殖が主流でした。
しかし、垂下養殖はロープや養殖棚の設置により、海底の生態系に悪影響を与える可能性があります。また、台風や高波などの影響を受けやすく、生産量が不安定になりがちです。さらに ロープや養殖棚の設置・維持管理にコストがかかるという問題点がありました。

そこで近年は、環境に配慮した養殖方法が開発されています。

【陸上養殖】
海水を使わずに陸上の水槽で昆布を育てる方法です。
このシステムでは、海水温や光量などの条件を細かくコントロールできるため、一年中安定した品質の昆布を生産することが可能です。また、陸上での養殖は、天候に左右されるリスクが少なく、病害虫の問題を抑制しやすい点もメリットとして挙げられます。

【深海養殖】
深海の安定した環境を利用して昆布を育てる方法です。
深海の海水温は安定しており、昆布が健康的に成長するのに適ししています。深海養殖は、陸上養殖に比べてより自然に近い環境で行われるため、環境への影響も少ないとされており、安定した生産量を期待することができます。

【混植養殖】
昆布と他の海藻を同時に育てる方法です。
この方法では、異なる種類の海藻が互いに栄養を供給し合い、成長を促進する効果があります。また、混植することにより、病害虫のリスクを低減し、生態系全体の健康を維持することができます。

これらの方法では、自然の生態系を尊重し、昆布が成長するために必要な条件を人工的に整えることが重要です。例えば、海の光量や水温を調整し、昆布が最適な環境で育つよう工夫されています。
さらに、持続可能な養殖は、化学肥料や農薬の使用を極力避けることで、海洋汚染を防ぎながら生産性を高めています。


新規漁場の開発

昆布産業の未来を支えるために、新規漁場の開発が進められています。
従来の昆布漁場は、水深が浅く、温暖な海域に集中していました。しかし、温暖化の影響により、これらの漁場では昆布の生育が難しくなりつつあります。

従来の漁場が減少傾向にある中で、未開拓の海域での昆布栽培が注目されています。これには、適切な海域選定と環境影響評価が不可欠です。

【深海】
深海は海水温が安定しており、昆布の生育に適しています。また、陸上からの影響を受けにくいため、環境負荷も低減できます。ここでは、深海特有の環境を活かした持続可能な養殖技術を利用することが考えられます。

【高緯度地域】
高緯度地域は、海水温が低く、温暖化の影響を受けにくいと言われています。これらの地域では、昆布の質の維持や生産量の増加が期待できるため、新しい漁場としての可能性が高いです。

【海外】
海外にも、昆布の生育に適した海域が存在します。ここでの漁場開発は、国際的な協力や技術の交流を促進し、昆布産業のグローバルな拡張を図ることができます。

新しい漁場では、持続可能な養殖技術を応用し、地域の生態系を守りながら昆布の生産を拡大することが目指されています。これにより、地域経済にも貢献し、新たな雇用機会を創出する可能性があります。
昆布産業の未来を支える新規漁場の開発は、持続可能な方法で進められることが重要であり、これにより産業全体の安定と成長が実現します。


昆布養殖の技術革新

従来の昆布養殖は、人手による作業に大きく依存しており、効率が悪く、大量生産が難しい状態でした。また近年は高齢化や後継者不足により、人手不足が深刻化しています。
そんな昆布養殖の分野では、近年、技術革新が進んでいます。これにより、生産効率の向上と品質の安定が実現し、昆布産業の持続可能性を高めることが期待できます。

【遺伝子解析技術】
遺伝子解析技術を用いた品種改良により、病害虫に強く成長が早い昆布の品種を開発しています。これにより、品質が一定しやすく、高品質な昆布の種苗を開発することができます。

【自動化技術】
昆布の植付けから収穫までのプロセスを機械化することで、人手不足の問題を解消し、安定した生産量を保つことができます。また、自動化技術を用いた収穫機械や養殖システムの開発により、生産効率を向上させることができます。

【情報通信技術】
情報通信技術を用いたデータ分析により、養殖環境の最適化(例えば、水温や塩分濃度の自動調節)を行うことで、品質を安定させ、より多くの昆布を効率良く生産することが可能になっています。

これらの技術革新は、従来の手作業に頼っていた部分を効率化し、作業者の負担を減らしながら生産性を向上させることを可能にしています。これは、昆布産業の持続可能性を高めるだけでなく、環境に配慮した生産を可能にし、昆布産業全体の競争力を向上させています。

今後も、昆布養殖の技術革新は産業の発展を支え、国内外の市場での需要拡大に寄与することが期待されています。


イノベーションと新たな価値

昆布おかき

昆布の新商品開発

従来、昆布は主にだしや昆布締めなどの用途で使われてきました。しかし、近年は消費者のニーズが多様化しており、昆布はその多様な用途と栄養価の高さから、新商品開発のための素材として注目されています

昆布を利用した新商品は大きく分けて、食品、美容、健康補助食品の三つのカテゴリーに分類されます。

【食品】
昆布を主成分としたスイーツやスナックが開発されており、これまでの昆布だしや昆布締めとは異なる形で昆布の旨味を楽しめるようになっています。
例えば、昆布を使ったケーキやチョコレートは、その独特の風味がスイーツに深みを加える新しい味わいを提供しています。
昆布だし、昆布のふりかけといった、お手軽に昆布を取り入れることができるような商品もあります。
また、昆布の成分を抽出した食品添加物は、化学調味料に代わる自然派の調味料として利用されています。

【美容】
昆布のエキスを活用したスキンケアやヘアケア製品が市場に導入されています。
昆布に含まれるミネラルやビタミンが肌や髪に良い影響を与えることから、自然派のコスメティック商品として人気を集めています。

【健康】
昆布の栄養素を凝縮したサプリメントが開発されており、簡単に昆布の栄養を摂取できる手段として注目されています。
また昆布を使った健康志向のスナックや、ビーガン向けの昆布ベースの代替肉製品が開発されています。

これらの新商品は、昆布の自然な風味と栄養を活かしながら、昆布の新たな可能性を広げ、消費者の関心を高めています。昆布産業にとっては、新たな市場開拓のチャンスとなっています。


昆布利用のイノベーション

昆布の利用方法は進化し続けており、多様な分野で革新的なアプローチが見られます。昆布の持つ自然な風味と栄養価、そして機能性を活かしたイノベーションは、さまざまな分野で新たな可能性をもたらし、昆布産業の発展に貢献することが期待されています。

【バイオ燃料】
昆布を原料としたバイオ燃料は、再生可能で環境に優しいエネルギー源として開発されています。この燃料は化石燃料の代替として期待されており、CO2排出削減に貢献する可能性があります。

【医薬品】
昆布に含まれる成分は、抗がん作用や抗炎症作用を持つことが科学的に認められています。これらの特性を活かした医薬品開発が進められており、未来の医療に貢献することが期待されています。

【環境素材】
昆布から抽出される天然ポリマーは、石油ベースのプラスチックに比べて生分解性が高く、環境への負担が少ないため、持続可能な素材として注目されています。これにより、使い捨てプラスチックの代替品として、昆布ベースのプラスチックが期待されています。

これらのイノベーションは昆布の新たな価値を創出し、昆布が持つ潜在的な利用可能性を広げています
昆布のこれらの活用は、食品業界だけでなく、エネルギー、医療、環境保護の各分野での持続可能な発展に貢献しており、昆布がいかに多方面にわたって価値を提供できるかを示しています。


環境に優しい昆布利用

昆布は、成長過程で二酸化炭素を吸収し、酸素を放出するなど、環境に優しい食材として注目されています。昆布を利用することで、地球温暖化対策や海洋環境保護に貢献することが期待されています。

【生態系回復プロジェクトへの貢献】
昆布は光合成を行う海藻類で、大気中の二酸化炭素を吸収して酸素を放出します。このプロセスにより、昆布は温室効果ガスの削減に直接的に貢献しています。
さらに、昆布は水中の栄養素を利用して成長するため、過剰な栄養素が海洋環境を汚染することを防ぐ役割も果たします。これにより、昆布は生態系回復プロジェクトにおいて重要な役割を担うことができます。
例えば、海藻類の光合成によって二酸化炭素を吸収する特性を活かし、サンゴ礁の白化や海藻類の減少などによって失われた生態系を回復するプロジェクトが進められています。

【海洋環境保護活動への応用】
昆布はその生育過程で、海水中の余分な栄養分や有害物質を吸収し、クリアで健康的な海を保つのに役立ちます。
また、昆布林は多くの海洋生物にとって重要な生息地や産卵地となるため、生物多様性の保護にも寄与します。昆布が豊かに育つ海域は、魚類や甲殻類、その他多くの海洋生物の栄養源となることから、健全な食物網を支える基盤となります。

【環境保全機能の実現】
昆布の密集した生育は、その強い根系によって海底の土壌が海流によって流出されるのを効果的に防ぐ天然のバリアとして機能します。これにより、沿岸部の浸食を減少させると共に、海底の環境を安定させることが可能です。
また、昆布は濁りを防ぎ、光が深くまで到達することを助けるため、光合成を必要とする他の海藻類や海草の生育を助けます。これにより、全体的な水中生態系が健全な状態を保つことができるのです。



昆布はただの海藻ではなく、私たちの食卓、健康、そして地球環境を支える力強い存在です。

昆布の未来を守ることは、私たちの未来を守ることに繋がります。昆布と共に歩むことで、より豊かな食卓、美しい肌、そして持続可能な地球を実現していきましょう。



一般社団法人日本昆布協会:こんぶネット






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この記事を書いた人

中山

地球を愛する料理研究家であり、SDGsと食品ロスに情熱を傾けるライターです。食品ロス削減を通じて、環境保護と健康的な食生活の両立を促進し、持続可能な社会の実現を目指しています。趣味は家庭菜園。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。