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【オランダ滞在記】5.世界一の自転車大国!オランダの交通事情

公開日: 更新日:2024.08.16
自転車のある風景

オランダ留学中の山口です。

オランダは世界一の自転車大国と言われ、自転車に対するルールや政策も日本と大きく異なります。
そこで今回は、オランダの交通事情についてお届けします。


オランダの主要交通機関

オランダの主な交通機関は、電車・地下鉄・トラム・バスの4つになります。

100%風力発電を利用した最先端の電車

オランダの電車は「オランダ鉄道」通称NSが一般的です。日本でいうとJRのような立ち位置で、オランダ国内を網羅しています。

NSは大きく2つの種類に分かれています。
一つ目は、「Intercity」という、主に主要駅に停車する、いわば新快速や快速電車です。そして二つ目は、「Suprinter」という各駅に停車する、いわば普通列車です。

オランダの電車内は話し声で賑わっています。また、ゴミがたくさん落ちているなど衛生面もあまり良くありません

オランダの鉄道

オランダ鉄道の最も大きな特徴は、「100%風力発電を利用した電車」という点です。風力発電のみの電車運行はオランダが世界初。電力で走るため、排気ガスが少なく環境に優しい交通機関です

オランダ鉄道のような人々の生活に大きな影響を及ぼす企業が先陣を切って環境問題に取り組むことで、国民の意識も高まってくると感じました


オランダの地形を活かしたトラム

日本でも最近話題となっているトラムですが、オランダでも主に都市圏を走っています。
オランダは、街中に運河をはじめ古い建物が多く密集しているため道路が狭いことが難点でした。そこで活躍しているのがトラムです

オランダの美しい街並みの中を走るトラムはとっても可愛いです。しかし、左右に揺れるので、乗車する際は注意が必要です。

オランダのトラム

郊外でも大活躍のバス

日本と同様、バスも主な交通手段のひとつで、街のあちこちを走っています。オランダはバスの路線も多く、バス専用レーンや信号が設置されています

また、オランダ政府は「2030年までに全ての公共バスを温室効果ガスを排出しないエミッションフリーな車両に置き換えること」を発表しており、公共バスの電力車両化が年々進んでいます

オランダの街中を走るバス

オランダにおける人口が多い都市圏の街づくりとして、自動車ではなくトラムやバスなどの交通機関を主に利用させることで、環境問題をはじめ生活の便利さや美しい街並みを維持していると感じました。


自転車

オランダは自転車の保有率で世界一位を誇っています国民一人当たりの自転車保有率は1.25台と、日本の0.56台に比較すると2倍以上になります

オランダでは、交通渋滞や環境問題への取り組みとして自転車が推進されています。
オランダは坂が少なく平坦な道が多いため、多くの人が交通手段として自転車を利用しています。街を歩いていると、自転車道路の他に、自転車用道路があり、自転車用信号機や駐輪場などの整備も整っています

駐輪場

世界一の自転車大国の歴史

オランダが自転車大国となった歴史は意外にも浅く、ほんの数十年前になります。

第二次世界大戦後の経済成長に伴い都市化や工業化が進んだオランダ。その頃は、自動車中心の交通網が発達しました。
しかし、その結果交通事故が多発し、特に小さな子供たちの命が犠牲になってしまいました。そこで、市民の間では、自動車に対する大規模な反対運動が起こりました

さらに、同時期に起こったオイルショックもこの動きに拍車をかけます。これを機に、車中心の街づくりから自転車中心に転換することになりました。


近年の取り組み~ByCycling~

近年では、自転車の利用を促進する取り組みがますます進んでいます。ここでは、自転車通勤アプリをご紹介します。

オランダでは、自転車で通勤するとそれに応じた手当がもらえる取り組みが進んでいます。
その中でも、オランダ・ユトレヒトに拠点を構える“ByCycling”による自転車通勤アプリは、自転車通勤する社員の走行距離を計算し、通勤手当を割り出してくれます
社員の健康だけでなく環境にも優しい素敵な取り組みです

この背景として、オランダでは自転車通勤者に対して一定の税面措置が取られています。日本での導入は実現可能性が限りなく低い、オランダならでは政策です。

オランダでは自転車利用者をこれからもますます増やそうと、日々自転車に対する取り組みを強化しています。


自転車大国ならではのルール

オランダの自転車ルールは日本とは全く違います。

日本では認められていませんが、通常は2人乗りが可能で、ヘルメットも義務化されていません。また、曲がるときは必ずハンドサインを出すこと

こうした自転車教育は幼い頃から教育されるそうです。ほとんどの子どもたちは自転車で学校に登校し、日常生活の中から自転車に慣れることになります
小さい頃から当たり前のように自転車に触れることで「世界一の自転車大国」のシステムが形作られていきます。

オランダは風が強く、自転車が進まないなんてこともしばしばですが、街中を見渡してみるとあちこちに自転車が並んでいます。駅にも無料の駐輪場が必ずあるので、街中を散歩しているとオランダが自転車大国であることを実感します。
しかし、セキュリティーはとても甘いので、チェーンをつけるなど自分自身で対策することが必要です。


番外編・船

運河が発達しているオランダでは船の所有率がとても高いです。

運河沿いにある家には船が止まっているなんてこともしばしば。週末には、家族で運河クルーズに出かけるそうです。
オランダらしいゆったりとした休日の過ごし方です。

運河と家庭用の船


今回は、オランダの交通事情についてお届けしました。

日本とは少し違った交通事情を持つオランダ。世界一の自転車大国と言われる所以が垣間見得たのではないでしょうか。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。





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この記事を書いた人

山口

都内の大学4年生。大学では専攻の家族社会学だけではなく、幅広い分野を学んでいます。
現在は、1年間のギャップイヤーを取得してオランダに留学しています。私のブログでは、オランダの日常をお届けします。
趣味は読書と美術鑑賞。田舎の風景とジブリの世界が大好きで、夢は自然いっぱいの場所で暮らすこと。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。