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サーキュラーが食品ロス削減のカギに!?

公開日: 更新日:2024.09.18
循環型社会イメージ

サーキュラー(循環)」という言葉を耳にする機会が増えました。
循環型社会や持続可能な社会の実現のために重要だといわれていますが、具体的にどんなことなのか、私たちの食生活とどう関わってくるのか、いまいちピンとこない人も多いのではないでしょうか?

そんな「サーキュラー」が、今世界で深刻化している「食品ロス」問題の解決にどう役立つのかを、わかりやすく解説していきます。
特に、「サーキュラーフード」「フードサーキュラー」といった言葉の意味や、私たちの食生活がどのように変化していくのかなどをご紹介します。

このブログを読めば、あなたが日々の食生活でできることや、これからの社会が目指すべき方向性が見えてくるはずです。
一緒に「サーキュラー」な食の世界を探求してみましょう!


サーキュラーとは

社会経済イメージ

サーキュラーエコノミーの基本

皆さんは、「モノを捨てたら終わり」という考え方を一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、地球の資源は有限であり、このまま大量消費・大量廃棄を続けていくことは、私たちの子孫にとって大きな負担となります。そこで注目されているのが、「サーキュラーエコノミー」という考え方です。

サーキュラーエコノミーとは、簡単に言うと「循環経済」のことです。従来の「作る→使う→捨てる」という線形の経済モデルから脱却し、資源を循環させ、長く使い続けることを目指す経済システムです。
例えば、使用済みの製品を分解して新たな製品の原料として再利用したり、シェアリングエコノミーのように、モノを所有するのではなく、必要な時に必要なだけ利用するといった仕組みが考えられます。

この循環は、単に廃棄物を減らすだけでなく、新たなビジネスモデルや雇用機会を生み出す可能性も秘めています。


循環型社会の推進

循環型社会とは、サーキュラーエコノミーの実現を目指す社会のことです
この社会では、ごみを出さない、リサイクルを徹底する、再生可能エネルギーを活用するなど、さまざまな取り組みが行われます。

循環型社会の推進には、企業、政府、そして私たち一人ひとりの意識改革が不可欠です
企業は、製品の設計段階からリサイクルを考慮したり、再生可能素材の利用を進める必要があります。
政府は、リサイクルを促進する法律や補助金の提供を通じて、企業や市民が資源の有効利用をしやすい環境を整備します。
そして私たち消費者も、製品を選ぶ際にリサイクル可能な材料で作られているか、長く使える設計になっているかを考慮することが求められます。

これにより、廃棄物の発生を抑え、資源を有効に活用する循環が生まれます。


持続可能な経済モデル

サーキュラーエコノミーは、環境問題解決だけでなく、経済成長も促す新たな経済モデルとして注目されています。経済産業省の試算では、2030年までにGDPが最大15%増加する可能性も指摘されています。

このモデルの核心は、資源を有効に利用し、廃棄物を減らすことにあります。例えば、食品産業では、過剰生産を避け、必要な分だけを生産する計画を立てることが求められます。また、売れ残った食品はフードバンクなどへ寄付することで、食品の無駄を防ぎます。

実際にリサイクル業界では、使用済みの材料を再利用し新たな製品を作ることで、資源の再活用が進んでいます。たとえば、古紙を再利用して新しい紙製品を作ることは、森林資源の保護にも繋がります。

これらの実践は、単に環境保護に貢献するだけでなく、社会全体の福祉向上にもつながります。さらに新たなビジネス機会を生み出し、雇用を創出することで経済全体の持続可能性を高める効果があります。
経済と環境の両方に配慮した持続可能な経済モデルを推進することは、将来世代への責任ある行動と言えるのではないでしょうか。


フードサーキュラー

工業的食物栽培

食料システムの改革

私たちが口にする食べ物は、自然の中で育ち、工場で加工され、スーパーマーケットの店頭に並びます。この一連の流れを「食料システム」と呼びます。
従来の食料システムは、大量生産・大量消費を前提とした線形の構造でした。しかし、食品ロス問題や環境問題が深刻化する中、このシステムの見直しが必要となっています。

フードサーキュラーは、この食料システムを根本から変革する概念です。
食品の生産から消費、廃棄までの全過程において、資源の循環を最大限に活用し、食品ロスを削減することを目指します
具体的には、生産段階での品種改良や栽培方法の改善、流通段階でのITを活用した需給調整、消費段階での食品の計画的な購入などが挙げられます。

フードサーキュラーの考え方を取り入れた食料システムの改革は、持続可能な社会の構築に不可欠です。


食品ロス削減への影響

フードサーキュラーを実践することで、食品ロスの削減に大きな影響を及ぼします。

具体的には、食品製造過程での副産物を別の商品として再利用することや、消費期限が迫った商品をフードバンクへ寄付することが挙げられます。

これらの方法は、未利用資源の有効活用を促し、食品ロスを年間で大幅に減少させることが可能です。
実際に、日本国内でフードシェアリングの取り組みが進むことで、食品ロスが削減されると報告されています。


循環型食料システム

フードサーキュラーは、食品ロス削減に大きな影響を与えることが期待されています

食品の生産には、大量の水やエネルギーが必要であり、食品廃棄物はメタンガスなどの温室効果ガスの発生源となります。食品ロスを減らすことは、単に食料を無駄にしないというだけでなく、環境への負荷を軽減することにもつながります。

循環型食料システムでは、食品廃棄物を肥料や飼料として再利用したり、食品加工の副産物を新たな食品原料として活用したりすることが考えられます。また、地域で生産された食品を消費する「地産地消」を推進することで、輸送によるエネルギー消費を削減し、食料自給率の向上にも貢献できます。

循環型食料システムの実現には、まだまだ課題は多いですが、世界中でさまざまな取り組みが進められており、日本もこれらの取り組みを参考に、より持続可能な食料システムを構築していく必要があります。


サーキュラーフード

野菜を抱える男性

サーキュラーフードの役割

現在、世界中で大量の食品が廃棄されており、これは食料問題だけでなく、環境問題にも大きな影響を与えています。この深刻な問題に対して、新たな解決策として注目されているのが「サーキュラーフード」です。

サーキュラーフードとは、食品自体が持続可能な方法で生産、加工、消費されることを目指すコンセプトです。このアプローチでは、食品の各生産段階で環境への負荷を考慮し、エネルギーや水の使用効率を向上させ、最終的には食品システム全体の持続可能性を高めることを目的としています。
具体的には、食品廃棄物のリサイクル、余剰食材の活用、生産過程でのエネルギー効率化などが挙げられます。

サーキュラーフードは、単に食品ロスを減らすだけでなく、食料の安定供給、環境負荷の軽減、経済の活性化など、さまざまなメリットをもたらすことが期待されています。


食料の新たな価値

従来、食品は「生産→消費→廃棄」という一方向の流れの中で考えられてきました。
しかし、サーキュラーフードの視点では、食品には新たな価値が見出されます。

従来の「使い捨て」の考え方を超え、食品一つ一つが持つ潜在的な価値を最大限に活かすことを目指します
例えば、食品ロスを防ぐために賞味期限が迫った食材を割引価格で提供することで、消費者にも経済的なメリットを提供しながら、廃棄率を低下させる効果があります。このような取り組みは、消費者の購買行動にもポジティブな影響を与えます。

また、食品廃棄物には、まだ多くの栄養素が残されています。これらの栄養素を有効活用することで、新たな価値を生み出すことができます。
さらに、食品の生産過程で発生する副産物も、新たな資源として活用することで、経済的な価値を高めることができます。


生産から消費まで

サーキュラーフードの実現には、生産者、流通業者、消費者など、さまざまな主体が連携することが重要です。

生産者は持続可能な農法を取り入れ、品種改良や栽培方法の改善により、廃棄量の少ない作物を生産したり、食品ロスが出やすい品目を減らすなどの取り組みが考えられます。
余剰食材は食品加工業者が再利用し、流通段階ではITを活用した需給調整や、小売店での賞味期限表示の見直しなどが重要とります。
消費者レベルでは、食品の計画的な購入や、残食を減らすための工夫などが求められます。
また、レストランなどの飲食業では、未使用の食材を翌日のメニューに活用するなどして、資源の無駄遣いを防ぎます。

この一連の流れは、サーキュラーエコノミーの理念に基づいた具体的な行動であり、食品ロスの削減に直接的に貢献しています。

サーキュラーフードは、私たちの食生活を一変させる可能性を秘めています。
食品ロスを減らし、持続可能な社会の実現に貢献するためには、一人ひとりが意識を持ち、行動することが大切です。


食品ロス削減とサーキュラー戦略

循環型社会イメージ

廃棄を減らす取り組み

サーキュラーエコノミーにおいて、食品ロスを減らす取り組みは非常に重要です。

まず、生産段階では、品種改良や栽培方法の改善により、廃棄量の少ない作物を生産したり、規格外の野菜や果物を活用した加工食品の開発を進めることが重要です。
また、流通段階では、ITを活用した需給調整や、小売店での賞味期限表示の見直しなど、食品ロスが発生しにくい仕組み作りが求められます。例えば、スーパーマーケットでは、賞味期限が迫った商品を割引価格で販売することで、廃棄が予測される食品を消費者に提供します。

このような施策は、商品が廃棄される前に消費される機会を増やし、食品ロスの削減に寄与しています。
さらに、多くの飲食店では、注文されなかった料理を翌日のメニューに再利用することで、食材の無駄遣いを防ぎます。


企業の食品ロス削減

食品ロス問題は、企業にとっても大きな課題となっています。食品の廃棄は、企業の収益を圧迫するだけでなく、社会的な責任として捉えられるようになってきました。

企業が食品ロス削減に取り組むことは、環境保護だけでなく経済的なメリットももたらします

現在、多くの企業が、食品ロス削減に向けてさまざまな取り組みを進めています。
例えば、製造過程でのロスを減らすための工程の見直し、生産プロセスの効率化により、不良品の発生を減らし、経済的損失を最小限に抑えています。
また、食品廃棄物のリサイクル、社員向けの食品ロスに関する教育などもあります。
さらに、サプライチェーン全体で食品ロス削減に取り組むことで、より大きな効果が期待できます。


循環型ビジネスモデル

食品ロス削減を進める上で、循環型ビジネスモデルの導入が注目されています。

循環型ビジネスモデルとは、製品のライフサイクル全体で資源の循環を最大限に活用するビジネスモデルのことです。
食品業界においては、食品廃棄物を肥料や飼料として再利用したり、食品加工の副産物を新たな食品原料として活用したりするといった取り組みが挙げられます。

このモデルの採用例として、食品加工業者が副産物を新たな商品として市場に出すことがあります。例えば、豆乳の製造過程で出るおからを活用したスナックや、ビール醸造の残渣をパンの材料として再利用するなどが挙げられます。

これらの取り組みは、新たな収益源を生み出すと同時に、環境負荷の削減にも寄与しています。


食の未来は循環型へ

成長していく植物

食料危機とサーキュラーソリューション

世界の人口は増加の一途を辿っており、それに伴い食料需要も高まっています。一方で、気候変動による異常気象や、水不足など、食料生産を脅かすさまざまな問題も発生しています。このような状況下で、食料危機はもはや遠い未来の話ではなく、現実的な問題として私たちの前に迫っています。

この深刻な食料危機に対して、サーキュラーフードは一つの解決策となり得ます

サーキュラーソリューションでは、食品生産の全段階で効率を最大化し、廃棄物を減らすことが求められます
食品ロスを減らし、資源の循環を最大限に活用することで、食料生産の効率化を図ることができます。また、廃棄物を肥料や飼料として再利用することで、新たな食料源を確保することも可能です。
例えば、農業では、作物の残渣を肥料として再利用することで土壌の栄養を回復し、持続可能な農法が推進されています。

これにより、限られた資源を有効活用し、食料供給の安定性を高めることができます。


SDGsと食品産業

持続可能な開発目標(SDGs)は、食品産業においても大きな影響を与えています。特に、貧困の撲滅、健康の保障、持続可能な消費と生産の目標は、食品産業のサステナビリティに直接関連しています。

食品ロス削減は、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の達成に直結する課題です。フードサーキュラーの取り組みは、気候変動対策(目標13)、飢餓の撲滅(目標2)、海の豊かさの保護(目標14)など、他の多くのSDGsの達成にも貢献することができます。

食品企業は、SDGsの推進に向けて、エネルギー効率の改善、持続可能な包装材の使用、食品廃棄物の削減などの施策を実施しています。これらの取り組みは、環境への影響を軽減し、経済的にも利益をもたらす可能性があります。


持続可能な食生活

食の未来を考えた時、私たち一人ひとりの食生活を見直すことが重要です。
消費者が地元で生産された季節の食材を選ぶこと、食品の完食を心掛けること、過剰包装を避けることなど、小さなことから始めることができます。また、食品のラベルをよく読んで、環境に配慮した製品を選ぶことも大切です。

これにより、食品輸送によるCO2排出の削減や、食品廃棄物の減少が期待できます。さらに、これらの行動は、健康的な食生活へと繋がり、長期的には医療費の削減にも寄与すると考えられます。

私たちが日々の食生活で意識することで、フードサーキュラーの実現に貢献し、より持続可能な社会を築くことができるのです。


サーキュラーエコノミーは、単なる食料の循環ではなく、私たちの食生活全体を見直すきっかけとなります。

食は、私たちの日々の生活に最も身近なものであると同時に、地球環境にも大きな影響を与えています。
サーキュラーエコノミーの考え方を食生活に取り入れることで、
より持続可能な社会の実現に貢献できるのではないでしょうか。





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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています♪

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。