整理整頓と聞くと、単に見た目を綺麗にする、というイメージがあるかもしれません。
しかし、整理整頓は、食品ロス削減のための有効な手段の一つとされています。冷蔵庫などの整理整頓をすることで、食材の管理がしやすくなり、無駄な買い物を減らすことに繋がります。
整理整頓で、毎日の生活をエコにしてみませんか?
食品ロス削減のための整理整頓術

整理整頓が食品ロス削減の第一歩
家庭で発生する食品ロスの多くは、管理の不十分さに関係があると考えられています。
実際、家庭での食品ロスは年間約236万トン(令和4年度)に達していることが報告されています(※1)。
農林水産省の資料『食品ロスの現状について』によると、家庭での食品ロスのうち、調理くずが55.5%、食べ残しが27.7%、そして手付かずの食品が11.1%を占めていることが示されています(※2)。
食品が手付かずのまま廃棄される主な原因は、冷蔵庫や食品庫の整理が行き届かず、賞味期限や消費期限が近づいていることに気づかないためです。
買い物リストを作らずに買い物をすることや、必要以上に食材を購入してしまうことも一因となる場合があります。
また、食品の適切な保存方法を知らないことも、食品ロスにつながる可能性があります。
整理整頓を進めることで、これらの食品を無駄なく活用しやすくなります。
※1 参考:農林水産省「食品ロスとは」
※2 参考:農林水産省『食品ロスの現状について』
整理整頓するメリット
食品ロスを減らす: 賞味期限切れを防ぎ、食品の無駄をなくすことができます。
料理の効率化: 何があるか一目でわかるため、料理の計画が立てやすくなります。
食品の鮮度を保つ: 冷蔵庫内の温度を一定に保ち、食品を適切な場所に収納することで、鮮度を長く保つことができます。
節電効果:冷蔵庫内の整理整頓は、冷気が効率的に循環し、節電にもつながります。
気持ちの良いキッチン:整理整頓されたキッチンは、料理をするモチベーションもアップします。
整理整頓のポイント
定期的な見直し:少なくとも週に一度は、食品の賞味期限をチェックし、古いものから消費するようにしましょう。
分類して収納:食品の種類別に収納することで、探しやすくなります。
見える化:食品の名前や賞味期限をラベルで表示するなど、一目でわかるようにしましょう。
収納グッズを活用:収納ボックスや引き出しなどを活用することで、効率的に収納できます。
高さを有効活用:棚の上段には、あまり使わないものや軽いものを、下段には重いものを収納しましょう。
清潔な状態を保つ:定期的に掃除をし、清潔な状態を保ちましょう。
収納グッズ
【収納グッズの選び方】
素材:プラスチック、ステンレスなど、耐久性や清潔さを考慮して選びましょう。
機能性:仕切り付きやスタッキングできるものなど、機能的なものを選びましょう。
【おすすめの収納グッズ】
収納ボックス:食品の種類別に分けて収納できるボックスは便利です。
ラベル:食品の名前や賞味期限を書き込めるラベルがあると、管理が楽になります。
冷蔵庫の便利グッズ
冷蔵庫の中がごちゃごちゃしている、賞味期限切れの食品が出てくる、などでお悩みの方も多いのではないでしょうか。
冷蔵庫を整理整頓することで、何があるかわかりやすいだけではなく、冷気が行き渡りやすくなり、食品が適切な温度で保たれるため、食品の鮮度を保ちやすくなり、無駄な買い物を防ぐことができます。
また、料理の効率化にもつながり、忙しい毎日をサポートしてくれます。
【冷蔵庫カーテン】
冷蔵庫内の温度管理をサポートする便利なアイテムです。冷蔵庫を開けても冷気を逃がさず温度を安定させ、電力消費を抑え、食材の鮮度も保ちやすくなります。
【冷蔵庫ラックやトレーなど】
トレーは庫内の整理整頓を効率化し、使い勝手を向上させます。ラックを使えば、調味料や小さな食材をまとめて収納できます。
【仕切り付きの収納グッズ】
仕切り付きの収納グッズを使えば、食材ごとにエリアを分けて整理できるので、食材の取り出しやすさが格段にアップします。
冷凍庫の工夫
冷凍庫に引き出しがある場合は、ボックスやケースで並べて収納したり、縦置きにすると、スペースを最大限に活用できます。
また、調理後すぐの食べ物などは、十分に冷ましてから冷凍庫に入れましょう。熱いまま入れると、庫内の温度が上がり、冷却に余分なエネルギーを消費してしまいます。
冷凍庫は食品を隙間なく詰めることで冷却効率が向上し、節電にも繋がります。
保冷剤などを活用して隙間を埋めることも有効な手段です。
冷凍庫の扉を頻繁に開けると外気が入り、庫内の温度が上昇して余分な電力を消費します。必要なものをまとめて取り出すなど、開閉回数を減らすことも効果的です。
常温食品の整理整頓
食品表示法では常温保存の具体的な温度や環境については定義されていません。
食品メーカーが設計する常温保存品は、通常15~30℃の室温で保存されることを前提にしている場合が多いようです。
また、厚生労働省の「常温保存可能品に関する運用上の注意」によると、「常温とは、夏季において外気温を超えない温度」と表現されています。
基本的な保存方法
【塩・砂糖】
塩・砂糖は湿気・温度変化を避けるため、密閉容器に入れて常温で保存しましょう。
【ケチャップ・マヨネーズ・ドレッシングなど】
開封前なら直射日光を避けて、常温保存が可能です。開封後は冷蔵庫で保存しましょう。冷蔵庫の中で、定位置を決めて立てて収納することをおすすめします。
【乾物】
高温になりやすい場所や直射日光が当たる場所、湿気が多い場所は避けて保存しましょう。開封した乾物は密閉できる保存袋や容器に入れて、湿気から守るようにしましょう。
【お茶】
高温多湿を避け、密封できる容器に移して、常温で保存するようにしましょう。
【レトルト食品】
直射日光・高温多湿を避けて常温保存してください。パッケージに注意書きがあれば確認し、それに従いましょう。
【はちみつ】
はちみつの保存方法は種類によって異なります。純粋はちみつは、直射日光を避けて涼しい場所で常温保存しましょう。加糖・精製はちみつは、パッケージに記載された保存方法を確認しましょう。
保存場所の工夫
【キッチン収納の活用】
シンク下は湿気が多いため、食品や紙製品ではなく、ザルや包丁などのシンク周りの道具を収納しましょう。コンロ下は温度が上がりやすいため、大きな鍋などの収納に適しています。
吊り戸棚は、上段に年に数回しか使わない道具を、下段に乾物や調味料、ラップ類など頻繁に使うアイテムを収納すると便利です。
食器棚の一部を、缶詰やパスタ、米などの収納に活用するのもいいかもしれません。
【その他の収納スペース】
押し入れを活用して、キャスター付きの収納棚を取り入れることで、デッドスペースを最大限に活用し、収納力をアップさせることができます。
ご自宅のスペースに合わせて、最適な収納方法を見つけてみてください。
野菜の保存方法
【根菜類の基本的な保存方法】
・傷んだ部分は切り落とす
・乾燥を防ぐ:新聞紙やキッチンペーパーで包む
・冷暗所で保存:直射日光を避け、風通しの良い涼しい場所に保存
気温が上がる夏場は、野菜室での保存が適しています。
【葉物野菜の基本的な保存方法】
・芯に成長点がある場合は取り除く
・乾燥を防ぐ:乾いた紙や新聞紙で包み、ポリ袋に入れて保存
・葉を保護する:傷みを防ぐために立てて保管
数日以内に葉物野菜を使い切る場合は、冷蔵保存が適しています。
【カット野菜の基本的な保存方法】
・水分を拭き取る:野菜の表面に付いた水分は腐敗の原因となるので、キッチンペーパーなどで拭き取る
・乾燥を防ぐ:密閉容器に入れて保存
カットして残った野菜は、種類によって最適な保存方法が異なりますが、重要なのは適切な温度・湿度を保つことです。
※ロスゼロブログ:【野菜の保存方法を種類別で紹介】長持ちさせるコツとテクニック
購入計画とストック管理

食品ロスを減らすには、購入計画とストック管理が重要です。
買い物前に冷蔵庫を確認し、必要な分だけ購入することで無駄を防げます。
賞味期限と消費期限を正しく理解し、整理整頓を心がけることで、効率的に食品を管理し、無駄を減らせます。
【買い物リストを作成する際のポイント】
冷蔵庫・食料庫の中身を確認:無い食材をリストに書き込み、重複購入を防ぎます。
献立を立ててから買い物へ:必要な食材をリストアップしましょう。
カテゴリー別に分ける:肉・魚・野菜・調味料などに分けることで、買い忘れを防ぎ、効率的に買い物ができます。
数量を具体的に:「卵1パック」や「牛乳1本」など、具体的な数量を書き込むことで、必要な量だけ購入できます。
【スマホアプリを活用したスマートな管理】
スマホアプリを活用すれば、買い物リスト作成や在庫管理が簡単になり、家族と共有も可能です。
賞味期限管理機能で期限切れを防ぎ、レシピ連携機能で食材を無駄なく活用できます。
物を長く使うための整理整頓術

家電のメンテナンスの重要性
家電の故障原因の多くは、フィルターの汚れや埃の詰まりなどが影響しています。
定期的に掃除やメンテナンスを行うことで、無駄な修理や買い替えを防ぎ、結果として長く使うことができ、資源の無駄を削減することに繋がります。
衣類の適切な保管
衣類を劣化から守るため、適切に保管することが大切です。
また、衣類を収納する際には、使用頻度に応じて整理することも重要です。
【収納方法】
畳む:Tシャツやニットなど、型崩れしにくい衣類は、畳んで収納するのがおすすめです。
吊るす:ジャケットやシャツなど、シワになりやすい衣類は、ハンガーに吊るして収納しましょう。
収納ケース:ケースにラベルを付けて種類別に整理すると、管理しやすくなります。
圧縮袋:季節ごとに使わない衣類は圧縮袋に入れて収納し、湿気や汚れから守ります。
リペアとリメイクの意識
物を長く使うためには、リペア(修理)だけでなく、リメイク(改良・再利用)やアップサイクル(新しい価値を追加)も重要です。
例えば、古いTシャツをエコバッグに作り替えたり、プリント部分を別のTシャツに縫い付けて新しいデザインを作ることなどがあります。
こうした創意工夫により、物の寿命が延び、新たな購入を減らし、環境にも優しく消費を抑制できます。
整理整頓を心掛け、活用できる素材を把握することで、リメイクをスムーズに楽しめます。
リサイクルの活用
経済的:新品より安価で商品を購入でき、家計に優しいです。
掘り出し物:一点ものや珍しいアイテムを見つける楽しみがあります。
サステナブル:資源を大切にし、循環させることで地球に優しい生活に繋がります。
使わなくなった物は、フリーマーケットへの出品や寄付・譲渡で長く活用でき、資源の無駄遣いを防ぎ、環境負荷の軽減に貢献します。必要とする人に物が渡り、再利用が進みます。
また、購入する側も状態の良い中古品を安価で手に入れたり、新品では見つからない一点物や珍しいデザインに出会えることがあります。
【フリマアプリ】
使わなくなった物を売買できるフリマアプリを活用することで、資源の再利用が進み、持続可能な社会の実現に貢献できます。フリマアプリは個人と個人のやりとりで行われるため、直接取引ができます。
また、大型商品より、衣類やアクセサリー・雑貨などの小物商品が多い点が特徴です。
【リサイクルショップ】
リサイクルショップは、まだ使えるものを大切にし、環境に優しいサステナブルな消費を実現する場所です。リサイクルショップでは、業者と個人が直接取引を行います。
また、アプリと異なり、実店舗にて商品の状態を確認でき、家具や家電などの大型商品も取り扱っている点が特徴です。
整理整頓がもたらす心の豊かさ
整理整頓された空間は、心にも良い影響を与えると言われています。
物を大切にすることで愛着が深まり、本当に必要なものを見極め、不要なものを手放すことで心も軽くなることに繋がります。
整理整頓は、部屋をキレイに保つだけでなく、物を長く活用し廃棄物を減らすためにも大切な習慣です。
食品ロスを減らすこともでき、環境に優しい生活が実現できると言えるでしょう。
今日から少しずつ始めて、豊かなエコライフを楽しみませんか。
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