10月は、環境省が定める「食品ロス削減月間」です。
日本の家庭からは、まだ食べられるのに毎日大量の食品が捨てられています。この大きな問題の解決は、遠い誰かの取り組みではなく、実はあなたのいつもの買い物にかかっています。
その鍵となるのが、シンプルな行動「てまえどり」です。
棚の奥ではなく、手前に並ぶ商品を選ぶ――たったそれだけで、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品を減らすことができます。
あなたの“てまえどり”が、トン単位の食品ロスを救う小さなヒーローアクションになるかもしれません。
「てまえどり」とは何か

食品ロス削減の基本行動
食品ロスと聞くと、「もったいない」という言葉が頭に浮かびますが、実は私たち一人ひとりの行動が、地球規模の問題解決に直結しているのです。
私たちが日々の買い物でできる「てまえどり」は、実は最もシンプルで効果的な身近な食品ロス削減の第一歩です。
農林水産省によると、日本では年間およそ464万トンもの「まだ食べられるのに捨てられている食品」が発生しています。そのうち約半分がお店や工場といった事業者から、残りの半分が家庭から発生する食品ロスです。
スーパーやコンビニの棚を見たとき、多くの方が無意識に「奥にある新しいもの」を選びがちですよね。しかし、私たちがすぐに食べる予定の食品まで奥から取ってしまうと、手前に残った食品は販売期限を迎え、まだ食べられるにもかかわらずお店で廃棄されてしまいます。
このムダをなくすために、ぜひ「すぐに食べるものは手前から取る」ということを、毎日の買い物の基本行動として意識してみてください。小さな行動ですが、一人ひとりが意識することで、社会全体の食品ロスを大きく減らすことができるのです。
今日の買い物から少しだけ視点を変えてみること。それが「ヒーロー」になる最初の一歩です。
期限と販売の関係
食品には「賞味期限」と「消費期限」の二種類があるのはご存知の通りですが、お店にはこれとは別に「販売期限」というルールが存在します。これは、メーカーが定めた賞味期限(美味しく食べられる期限)が切れるよりもかなり前に、お店が商品を棚から撤去する商習慣のことです。
例えば、賞味期限が90日あるお菓子でも、その期限の3分の1(30日)が過ぎた時点で店頭から撤去される「3分の1ルール」が広く存在してきました。このルールが、まだ美味しく食べられる食品の大量廃棄を引き起こす大きな原因の一つなのです。
そしてスーパーやコンビニで見かける賞味期限や消費期限の数字。その日付の並びには店舗側の工夫と苦労が隠れています。
販売現場では「廃棄ゼロ」を目指して、期限が近い商品を前に、期限が長い商品を奥に陳列しています。ところが、消費者の多くが“奥から選ぶ”傾向にあり、まだ十分においしい食品が売れ残ってしまうのです。賞味期限は「おいしく食べられる目安」であり、期限を過ぎた瞬間に食べられなくなるわけではありません。
私たちがてまえどりを実践し、期限の近い商品を積極的に購入することで、お店はこの販売期限ギリギリまで商品を売り切ることができ、廃棄を大幅に減らせます。つまり、消費者の購買行動が、販売ルールが生み出すロスを打ち消す鍵となるのです。
廃棄問題に挑む買い物術
私たちの買い物は、社会や環境に影響を与える力を持っています。でも、そんなに難しく考える必要はありません。買い物のときに「少しだけ意識する」ことで、未来をよくする選択ができるのです。
たとえば、冷蔵庫にあるものを思い出しながら買う量を調整したり、賞味期限の近い商品を手前から選ぶだけでもOK。実際、環境省の調査では、家庭で捨てられている食品の約4割が「食べきれなかった」「使い切れなかった」ことによるものだとわかっています。つまり、“ちょっと買いすぎた”や“結局使わなかった”が、食品ロスの大きな要因になっているのです。
その日のうちに食べる予定のものなら、奥から新しいものを取る必要はありません。手前にある商品を選ぶことは、実はとても意味のあるアクション。売れ残って廃棄されてしまう可能性のある食品を、自分の手で救えるのです。
てまえどりは、環境にもお財布にもやさしい、気負わず続けられる習慣です。
毎日の買い物で「どうせなら、ちゃんと使い切れる分だけを選ぼう」と思えるその意識が、未来をちょっとずつ変えていくのです。
ヒーローになる理由

手前を選ぶ小さな勇気
お店の棚の前で「どれを取ろうかな」と迷うとき、なんとなく新鮮そうに見える奥の商品を選んでいませんか。けれど、すぐに食べる予定のものなら、棚の手前にある商品を手に取ってみてください。その小さな選択が、実は多くの食品を救うことにつながります。
日本では、販売の現場で発生する食品ロスが年間約100万トンを超えるといわれています。あなたが手前の商品を選ぶ一瞬の行動が、捨てられるはずだった食べ物を救う「ヒーローアクション」になるのです。日々の買い物でできるこの一歩が、社会全体の大きな変化を支えています。
そして、この小さな選択は自分だけの得では終わりません。お店の廃棄が減り、その食品をつくった農家さんや製造者さんの努力も無駄になりません。
今日から棚の手前は、「食品を救うレスキューポイント」だと思って、誇りを持って選んでみてください。数秒の判断が、誰かの努力を支え、社会を変える力になります。
ヒーローとは、大きな行動をする人だけではなく、毎日の生活の中で思いやりを選べる人なのではないでしょうか。
消費者が支える削減効果
「私一人がてまえどりをしたところで、どれほどの効果があるの?」と感じるかもしれません。しかし、あなたの小さな一歩は、確実に大きな削減効果を支えています。
多くの企業や自治体の調査では、てまえどりの啓発を行った結果、対象商品の廃棄率が大幅に減少したというデータが示されています。これは、企業努力だけでなく、私たちが期限の近い食品から選ぶという購買行動の変化があったからこそ実現した効果です。
あるコンビニエンスストアチェーンでは、この取り組みを通じて食品ロス削減が進んでいます。もし全国の買い物客のたった10%がてまえどりを意識し始めたら、その影響は計り知れません。私たちが日々の買い物で「どこから取るか」を決めるその選択一つ一つが、食品ロス削減という社会的な効果を力強く支えているのです。
食品ロス削減は、企業や自治体だけでなく、私たち消費者自身の行動が鍵を握っています。
もし全国の人が1週間に一度でもてまえどりを意識すれば、年間で数十万トンの削減が見込めるとも言われています。
買い物の仕方を少し変えるだけで、環境負荷を大きく軽減できます。自分の選択が社会全体の変化につながっていると考えると、日々の買い物が少し誇らしく感じられるのではないでしょうか。あなたのてまえどりは、社会全体を動かす力なのです。
トン単位の廃棄を減らす
スーパーやコンビニでは、売れ残りや期限切れによる食品廃棄が、1店舗あたり年間で数トンにのぼることがあります。全国規模で見れば、その量は想像を超える膨大さです。こうしたロスを減らすために企業も「てまえどりキャンペーン」などを進めていますが、やはり鍵を握るのは、私たち一人ひとりの選択です。
日本で年間数百万トンにのぼる食品ロスの約半分は事業者から発生しており、その一部は、棚から撤去された期限前の食品です。あなたがてまえどりで救うのは、目に見える一つのお弁当かもしれません。しかし、その小さな行動の積み重ねが、お店全体のトン単位の廃棄を確実に減らしていくのです。
期限の近い商品を手に取るだけで、売れ残りが減り、廃棄量を削減できます。廃棄される食品は、ゴミとして焼却される際に二酸化炭素(CO₂)を排出し、地球温暖化の原因となります。てまえどりによって食品が食べきられることは、このCO₂排出削減にも直結します。
私たちが日々のお買い物で賢い選択をすることは、「もったいない」を「ありがとう」に変え、地球環境に対しても大きな貢献ができる一石二鳥の行動です。てまえどりはただの買い物ではなく、未来を守る具体的なアクションなのです。
つい“奥の商品”を選んでしまう理由

新しい日付を選ぶ消費者心理
なぜ私たちは、すぐに食べるものでも、わざわざ棚の奥に手を伸ばしてしまうのでしょうか。
そこには、とても根深い消費者心理が隠れています。
その一つは「念のため」の心理です。買ったけれど急な予定変更で食べられなかったり、家族が急にいらないと言い出したり...そんな事態に備えて、「できるだけ期限が長いものを選んでおけば安心」という気持ちが働きます。
また、特に日本人は「新鮮さ=価値」という感覚が強いため、新しい日付の食品を選ぶことが、最良の選択だと無意識に思い込んでいる面もあります。この「念のため」の行動こそが、手前の食品を廃棄という運命に追い込んでいるのです。
しかし実際には、同じ棚に並んでいる商品は品質にほとんど差がありません。けれどもこの「念のため」の行動の結果、手前に残った食品は売れ残りや廃棄につながります。少しでも「今食べる分は手前から」と意識するだけで、無駄を防ぐことができます。
完璧を求めるより、必要な分を必要なときに買う。それがこれからの賢い買い物の形です。
保存や保管への誤解と意識差
農林水産省によると、家庭で発生する食品ロスの約4割が「期限切れ」が原因といわれています。そのため、「てまえどり」への抵抗感のひとつに、「期限の短いものを買って、食べきれなかったらどうしよう」という不安があります。
これは、食品の保存や保管に関する誤解や、家庭ごとの意識の違いから生まれることが多いのです。
たとえば、「賞味期限を過ぎたら食べられない」と思っていませんか? 実は、賞味期限は「おいしく食べられる目安」にすぎず、保存状態が良ければ、少し過ぎても問題のない食品が多くあります。
また、賞味期限の近いパンを「買ったらすぐ冷凍する」という習慣をつければ、期限を気にせずおいしく食べ切ることができます。保存や保管の知識を少し身につけるだけで、家庭内の食品ロスはぐっと減らせます。
こうした小さな工夫で、“もったいない”を防ぎながら、安心しててまえどりを続けられるようになります。
今日から、期限の近い食品を買うときは「どう保存して美味しく食べきろうか」というポジティブな意識に変えてみませんか。
コンビニ利用者の調査結果
私たちの生活に欠かせないコンビニ。24時間いつでも便利に利用できる一方で、食品ロスも大きな課題になっています。
コンビニは、お弁当やおにぎり、サンドイッチなど、消費期限が短い日配品の販売比率が高く、その分、期限切れによる廃棄リスクも大きくなります。そのため、てまえどりという行動が、特に効果を発揮します。
環境省の調査によると、コンビニ業界全体で発生する食品廃棄物は年間約60万トンにのぼると推計されています。その中には、まだ食べられる商品も多く含まれています。
消費者庁や環境省が主導し、コンビニ各社と連携しててまえどりの啓発キャンペーンを行った際の調査結果を見ると、啓発POPを設置したり、店員さんからの声かけをしたりすることで、てまえどりの実施率が向上し、それに伴って廃棄率が減少したというデータが得られています。
この事実は、私たちが店内のPOPを見て「ハッとする」、店員さんの声かけに「協力しよう」と思う、一瞬の意識の変化が、どれほど大きな影響力を持っているかを証明しています。
店員さんが丁寧に説明する姿や、シールを貼る取り組みも増えました。買う側の私たちも、ちょっとした理解と協力で、この動きを加速させることができるのです。
値引き商品との上手な組み合わせ

シール商品との賢い買い物術
食品ロス削減のヒーローになるなら、「てまえどり」と「値引きシール」の最強タッグを使わない手はありません。
てまえどりをする商品の多くは、消費期限や賞味期限が近づいているため、夕方のスーパーなどでは割引のシールが貼られ始めていることが多いですよね。このシールが貼られた商品、通称「シール商品」を狙うのは、家計に優しいだけでなく、食品ロス削減に直結する究極の賢い買い物術なんです。シールが貼られるのを待って購入する行動は、お店がその商品を廃棄する直前の命を救うことになります。
環境省のデータによると、日本の食品ロスのうち約3割は、販売段階での売れ残りが原因です。期限が近づいた商品に貼られる値引きシールは、廃棄を防ぐための最後のチャンス。買う側にとってはお得で、売る側にとっても無駄を減らせる“Win-Win”の仕組みです。
商品の廃棄コストは最終的に商品の値段に反映されるため、私たちが積極的に値引き商品を買うことで、ムダを減らし、お店の経営と地球環境の両方を助けているんです。
「今日食べる分だけ」「必要な分だけ」を意識して選ぶことが、無理のないエコ行動になります。節約と社会貢献が両立する、シールの向こうに小さなヒーローがいるのです。
対象店舗での販売工夫
最近では、多くの小売店やコンビニエンスストアが、私たち消費者にてまえどりや値引き商品の活用を促すための工夫を始めています。
特に力を入れているのが、値引きを単なる「売れ残り」ではなく、「食品ロス削減への協力」というポジティブなメッセージに変える取り組みです。
例えば、「てまえどり推奨POP」の設置はもちろん、「見切り品コーナー」を分かりやすく、明るい場所に設ける店舗が増えています。また、特定の時間帯にアプリなどで割引情報を通知したり、購入者へポイントを付与するキャンペーンを実施する例もあります。
農林水産省の調査によると、こうした販売方法を導入した店舗では、廃棄量が最大2割減少したという報告もあります。消費者にとっても選びやすく、店舗にとっても在庫を有効に活かせる仕組みやお店のアイデアが、買い物をもっとサステナブルに変えているのです。
これらの販売側の工夫を上手に利用することで、私たちは無理なく、そしてお得に食品ロス削減に貢献できるのです。
継続していくコツ

買い物時間の工夫と意識
「てまえどり」を一時的なもので終わらせず、一生の習慣にするためには、まず「いつ買い物に行くか」という時間の工夫が大切です。
仕事帰りや夕食前の慌ただしい時間にスーパーへ行くと、牛乳やハムなどのある程度日持ちのする食品は、「奥の期限が長いもの」を急いで選びがちですよね。しかし逆に夕方以降の時間帯に買い物をすることで、値引きシールの貼られた商品や手前に並ぶ期限の近い食品をうまく選ぶことができます。
てまえどりは、「この食品を今日、または明日食べるぞ」という明確な意識があって初めて成立します。
買い物の時間を「必要なときに必要な分を選ぶ」タイミングに変えるだけで、このロスはぐっと減らせます。
てまえどりを無理なく続けられるコツは、「買い物を環境活動に変える意識」。その一歩が、未来への大きな循環をつくります。
店と一緒に楽しむ「てまえどり」
食品ロス削減は、一人で頑張るよりも、お店と一緒に取り組むほうがずっと楽しく続けられます。 最近では、スーパーやコンビニが「てまえどりキャンペーン」やスタンプ企画など、参加型の取組を増やしています。
たとえば、期限の近い商品に目印のシールを貼ったり、購入でポイントがもらえたり、抽選で景品が当たるなど、まるでゲーム感覚で楽しめる仕組みもあります。こうしたキャンペーンは、消費者とお店が協力して「もったいない」を減らすための工夫です。
実際に、農林水産省などの調査では、店頭で啓発を行った店舗で食品廃棄量が1~2割減少したという報告もあります。つまり、私たちが一つ手前の商品を選ぶだけで、お店の努力を支え、地域全体のロス削減にも貢献できるのです。
楽しみながら続ける工夫こそが、未来のあたりまえを育てる力になるのです。
習慣化を支える啓発ポップ
買い物中にふと目にする「てまえどりであなたもヒーロー!」などのポップやシール。 実はこうした小さなメッセージが、私たちの行動を大きく変える力を持っています。
消費者庁の調査によると、てまえどりの啓発ポップを設置した店舗では、実施前に比べて「手前から取る人」が約1.4倍に増えたそうです。文字や色使いで“やさしく呼びかける”だけでも、「そうだ、今日は手前から取ろう」と思い出すきっかけになります。
忙しい日常では、つい食品ロスのことを忘れてしまいがちです。そんなとき、ポップが目に入ることで「ハッ」と意識が変わり、無意識に奥へ伸びていた手が手前の商品へと向かいます。
また、これらのポップはお店の「食品ロス削減に本気で取り組んでいる」という姿勢の表れでもあります。その姿勢が、私たち消費者の信頼や共感を生み、てまえどりを安心して続けられる空気をつくっています。
小さな視覚的サインが、意識的な行動を“自然な習慣”へと変えていく。啓発ポップは、そんな日常の中の静かな応援団なのです。
食品ロス削減は、国や企業だけの問題ではありません。私たち一人ひとりの小さな選択が、未来の地球を大きく変える力を持っています。毎日のお買い物で、あなたが手前の商品に手を伸ばすその一瞬が、「もったいない」を「ありがとう」に変えるヒーローの行動です。
ぜひ「てまえどり」を新しい習慣として取り入れて、地球にもお財布にもやさしいヒーローになってみませんか?
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