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野菜選びから始めるSDGs ― 知られざる「食品ロス優等生野菜」 ―

公開日: 更新日:2026.03.15
いろいろな野菜

食品ロス」という言葉を聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?
食べ残し」や「賞味期限切れ」をイメージする方が多いかもしれません。

確かに、家庭で出る食品ロスも大きな問題です。しかし実は、食卓に届く前の段階――野菜が作られ、流通し、売られる過程でもロスは起きています。

形や大きさが基準に合わないだけで出荷されない野菜。売り場で手に取られず、廃棄されてしまう野菜。
こうしたロスは、私たち消費者が「野菜の選び方」を少し変えるだけで、食品ロスを減らす一歩につながる可能性があるのです。


なぜ野菜で食品ロスが起きるのか

畑で捨てられた野菜、野菜を手に見比べる女性、人参の皮を剥いている手とピラー

野菜が畑で育ち、私たちの食卓に届くまでには、いくつかの段階があります。実はその途中で、さまざまな理由による「ロスの関門」が存在しています。


生産・流通現場での規格外

スーパーに並ぶ野菜は、どれも形が整っていて綺麗ですよね。
しかしその裏側では、味は全く同じなのに「少し曲がっている」「サイズが大きすぎる」といった理由だけで市場に出せず、行き場を失ってしまう野菜がたくさんあります。

また、豊作になりすぎた場合には、市場価格が大きく下がることを防ぐため、泣く泣く畑で収穫されないまま廃棄されてしまう「産地廃棄」が起こることもあります。
農家の方が手塩にかけて育てた野菜が、食べられることなく畑に戻されてしまう――。そんな現実も、食品ロスの一つなのです。


家庭での「過剰除去」と「使い忘れ」

食品ロスは、家庭でも起こります。

たとえば、野菜の皮を厚くむきすぎてしまったり、本来食べられる葉や茎を捨ててしまったり。知らないうちに、食べられる部分まで捨ててしまう「過剰除去」が起きています。
また、冷蔵庫の奥で眠ったまま、気づいたときには傷んでしまっている野菜もあります。「買ったのに使い忘れてしまった」そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。


こうして、野菜は生産 → 流通 → 家庭というさまざまな段階で少しずつロスになってしまうのです。


知られていない野菜はロスになりやすい

野菜を思案顔で見ている男性、トマトを手にした女性

スーパーの野菜売り場で、見慣れない野菜を見かけたとき、「どうやって食べるのかわからない」「料理に使いこなせるか不安」。そんな理由で、手に取るのをためらった経験はありませんか?

私たちはつい、使い慣れた野菜を選びがちです。しかし、その「選ばれにくさ」が、野菜のロスにつながることもあります。


「需要の偏り」が廃棄を生む

キャベツ、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん。こうした定番野菜は、多くの料理に使えるため安定した人気があります。
一方で、少し珍しい野菜は「使い方がわからない」という理由だけで売れ残ることがあります。また、お店側も「売れないかもしれない」と仕入れを控えることもあります。

味も栄養も魅力的なのに、知られていないというだけで市場で選ばれない
農家さんがせっかく多様な野菜を育てても、販路が見つからずに廃棄されてしまうという悪循環が生まれています。


消費者の「知る」ことが救世主になる

でも、もしその珍しい野菜が「実はすごく甘い」「皮ごと焼くだけで絶品」だと知っていたらどうでしょう?
「食べ方」を知ることで、見慣れない野菜は「買いたい野菜」へと変わります

そして、私たちが多様な野菜を手に取ることは、農家さんの挑戦を支え、農業の多様性を守り、結果として「捨てられる野菜」を減らす強力なアクションになるのです。


捨てる部分が少ない野菜という考え方

七輪で焼かれる皮付きじゃがバター

食品ロスを減らすうえで、もう一つ大切な視点があります。それは、野菜の「可食部(食べられる部分)」の広さです。

野菜の中には、皮や葉、茎まで食べられるものも多くあります。こうした野菜は、捨てる部分が少ないため、結果として食品ロスも出にくくなります。

少し意識するだけで、野菜を「丸ごと使う」という新しい見方が生まれます。

皮ごと・葉まで・根っこまで

実は、私たちが当たり前のように捨てている部分にこそ、驚くほどの栄養や旨みが詰まっていることがあります。

例えば、根菜類の皮には食物繊維やポリフェノールが豊富な場合があります。また、野菜によっては、実よりも葉や茎のほうが栄養価が高いこともあります。「皮を剥くのが当たり前」と思っていた野菜が、実は皮ごと焼くのが一番美味しかったり、捨てていた茎が一番甘かったり……。

そんな「宝物」のような部位を持つ野菜が、世の中にはたくさん眠っています。
本来は食べられる部分まで捨ててしまうのではなく、できるだけ丸ごと使い切ることが、食品ロス削減の第一歩になります。


生ゴミを減らす「エコロジーな調理法」

「丸ごと食べる」ことは、単に栄養を摂るだけではありません。野菜を無駄なく使うことは、調理の際に出る生ゴミを減らすことにもつながります。

生ゴミが減れば、ゴミ袋の使用量が減るだけでなく、自治体のゴミ焼却や処理にかかるエネルギーも減り、その分、CO₂排出の削減にもつながります。

つまり、野菜を上手に使い切ることは、家庭の中の小さな工夫でありながら、環境にやさしい行動でもあるのです。

「食品ロス優等生野菜」という視点

ヤーコン、ビーツ、つるむらさき、モロヘイヤ、コーラルビ、菊芋

食品ロスを減らすためには、「食べ残さない」「使い切る」といった工夫も大切ですが、最初の野菜選びそのものにもヒントがあります。

そこで注目したいのが、「食品ロス優等生野菜」という視点です。
・捨てる部分が少ない
・調理の幅が広い
・保存しやすい
といった、「無駄なく使い切りやすい」という非常に優れた特徴を持つ野菜たちのことです。


栄養豊富で保存がきく、新定番の候補

食品ロス優等生野菜の多くは、栄養価が高く、保存もしやすいという特徴を持っています
また、生で食べられたり、炒め物や煮物、漬物などさまざまな料理に使えるため、食卓で活躍する場面も広がります。

例えば、皮ごと食べられてゴミが出ない、あるいは冷蔵庫で長持ちするといった「扱いやすさ」を兼ね備えています。
さらに、ポリフェノールや食物繊維などの栄養価が非常に高く、私たちの健康を支えてくれる頼もしい存在なのです。

まだあまり知られていない野菜も多いですが、一度使い方を知ると、日常の野菜として取り入れやすいものばかりです。


無駄なく使い切れるポテンシャルの高さ

この「優等生」たちの最大の魅力は、そのポテンシャルの高さにあります。
皮を剥く手間がないから調理時間が短縮でき、葉から根まで丸ごと使えるから、たった一つの野菜で「サラダ・炒め物・スープ」と何役もこなしてくれます。

「ポテンシャルが高い」ということは、つまり「捨てるところがほとんどない」ということ

ゴミが減り、栄養を余さず摂取でき、調理のエネルギーも節約できる。このサイクルこそが、私たちが目指す「美味しく・楽しく」取り組めるエコな食卓のカタチです。

つまり、こうした野菜は環境にも、家計にも、体にもやさしい存在なのです。



次回からは、そんな「食品ロス優等生野菜」としてまだ知られていない、今後注目したい野菜を、具体的に紹介していきます。

ヤーコン、菊芋、ビーツ、モロヘイヤ、つるむらさき、コールラビ

「どんな野菜?」「なぜ優等生?」「美味しい食べ方は?」
知るときっと、野菜売り場が少し楽しくなるはずです。

どうぞお楽しみに。





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この記事を書いた人

中山

地球を愛する料理研究家であり、SDGsと食品ロスに情熱を傾けるライターです。食品ロス削減を通じて、環境保護と健康的な食生活の両立を促進し、持続可能な社会の実現を目指しています。趣味は家庭菜園。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。