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『生物とSDGs2』生き物発電機の誕生?

公開日: 更新日:2023.08.25
『生物とSDGs2』生き物発電機の誕生?

こんにちは、進です。

現在は京都の大学に通っており、生物学を学んでいます。

よろしくお願いします。

 

早速ですが、皆さんは再生可能エネルギーをご存じでしょうか。

近年の持続可能な社会とともに耳にする機会も増えてきたと思います。

 

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーは石油や石炭などの有限な資源ではなく太陽光や水力など、枯渇しないエネルギーのことを指します。

 

風力発電

 

化石燃料を用いると二酸化炭素などの温室効果ガスが発生してしまうことや、資源が尽きてしまうかもしれないという問題があります。

そこで最近では化石燃料ではなく、なるべく再生可能エネルギーを利用しようというはたらきが高まっています。

エネルギー利用、発電において避けては通れない課題はエネルギー効率です。

 

エネルギー効率とは

「投入したエネルギーをどれだけ電気エネルギーに変換できたか」

というものでこれが高いほど効率よく発電できている、ということになります。

 

では実際行われている発電の効率はどのくらいなのでしょうか。

 

各種発電方式別にみたエネルギー変換効率グラフ

(引用:関西電力 水力発電の概要 役割・特徴

 

図からわかるように水力発電を除いて、太陽光やバイオマスなど多くの再生可能エネルギー発電では火力発電や天然ガスの発電より効率が悪いです。

このエネルギー効率の悪さが再生可能エネルギーの課題でもあり、普及が進まない大きな要因のひとつと言えます。

単純なメリット、デメリットの話ではないですが、お金をかけても効率が悪いならあんまり使いたくはないですよね。

 

エネルギー効率100%の発電方法

 

では、エネルギー効率が100%の発電は存在しないのでしょうか。

100%は絶対に再現不可能と言われていますが、実は100%に近いエネルギー効率を持った生物が自然界には存在します。

その生物とは「デンキウナギ」、「シビレエイ」です。

デンキウナギは耳にしたことがある方も多いんじゃないでしょうか。

 

デンキウナギ

シビレエイ

写真) デンキウナギ(上) シビレエイ(下)

(引用:NATIONAL GEOGRAPHIC 馬も倒す?デンキウナギの「水上攻撃」

(引用:WIKIMEDIA COMMONS

 

デンキウナギ、シビレエイはともに強電気魚と呼ばれ、その名の通り強力な電気を発生させ敵を撃退することに用いたりします。

デンキウナギはなんと馬でさえ感電死してしまうほどの強力な電撃を放ちます。なんとも恐ろしい話ですね。

 

この発電の仕組みを研究することでエネルギー開発につながるのではないかと、これらの生物が近年注目されるようになりました。

以前に、自然界にいる生物をマネして技術を生み出すという記事を書きましたが、それにも通じるものがありますね。自然界ってすごい。

 

発電のエネルギー効率が悪いということは、投入したエネルギーが電気以外のエネルギーに代わっているということです。

例えば、電気の他に熱エネルギーに変わったりすることで効率が落ちます。

身近な例でいうと、電球が熱くなるのは電気を光に変えるときに一部が熱に変わることで熱くなります。

逆にホタルなどはエネルギー効率がいいので熱が生まれずひんやりしたまま光を放ちます(冷光)。

 

光を放つ蛍

 

※ホタルの発光のしくみについては→ こちら

 

こうやって見れば見るほど自然界では無駄が少ないと言えますね。

逆に言えば、いちいちエネルギーを生み出すたびに、熱を出していたら体温が上がって生きていけなくなってしまいます。

デンキウナギやホタルのエネルギー効率がいいのは必然といえば必然なのかもしれませんね。

 

さて、少し話がそれてしまいましたが、重要なのはデンキウナギやシビレエイなどの発電ではエネルギー効率が極めて高いということです。

実は全ての生物では体内で電気を生み出しています。

例えば人間でいうと脳から電気信号を出すことで心臓などは動いています。

この電気を生み出す細胞をたくさん並べることでデンキウナギやシビレエイは強力な電気を生み出しています。

 

生き物に満ちた海の中

 

エネルギー問題を考えたとき、例えばこうした魚を集めれば、効率の良い発電所も作ることが可能ですね。

しかし倫理的な問題から、こうした生物発電は実現はしなさそうです。

ですが、生物をそのまま利用しなくても体内の電気器官を模倣することで高効率の発電は実現可能と考えられています。

さらには生体内に発電装置を埋め込む、なんて技術も開発が進んでいるようです。

問題を解決し、新しいものを生み出す速度は日々加速しています。

こうしたエネルギー問題が解決して、よりよい快適な社会が近いうちに来ることは間違いありませんね。

 

(参考 EMIRA 害虫から益虫に変わるあの虫の活用法) 

 

 

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この記事を書いた人

現在、京都の大学にて農学を学んでいる。ロスゼロでは主に「自然・環境・生物」に関する記事を担当。趣味は、もっぱら体を動かすこと。暇があればジムで筋トレしている。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。