食料自給率とは、国内でまかなうことができる食料の割合のことです。
日本の食料自給率は低いということが問題になっています。
今回は、最新の日本の食料自給率を確認しながら、食料自給率を上げるにはどうすれば良いのか考えていきたいと思います。
日本の食料自給率の2022年の状況
(農林水産省『知ってる? 日本の食料事情 2022』2022年12月)
農林水産省が2022年12月に発行したレポートによると、最新の日本の食料自給率である2020年度の値は、生産額ベースで63%、カロリーベースで38%となっています。
この数値は、世界と比べてカロリーベースでは低い水準にありますが、生産額ベースでは中間に位置します。
上のグラフからは、生産額ベース・カロリーベースの両方とも年を追うごとに少しずつ下がっていることがわかります。
さまざまな食品が輸入されるようになって、私たちの身の回りでも外国産の食品を見かけることが珍しくなくなりました。
国は、2030年度の食料自給率を生産額ベースで75%、カロリーベースで45%にすることを目指していますが、この目標を達成するには、大きな努力が求められそうです。
なお、生産額ベースの食料自給率とは供給される食料の生産額における国内生産額の割合、カロリーベースの食料自給率とは供給されるエネルギーに対する国内生産の割合を示したものです。
実は日本は、私たちが口にする食品だけでなく、家畜のエサ(飼料)についても多くを海外に頼っています。
家畜の飼料の自給率は約25%とされており、7割以上もの飼料が海外から輸入されているのです。
このように、家畜の飼料の自給率など、私たちが食べる食品と関連が深い自給率についても向上させるにはどうしたら良いかを考える必要があるでしょう。
日本の食料自給率が低い理由とは?
日本の食料自給率が低い理由の一つに、私たちの食生活が変化してきたことが挙げられます。
(農林水産省『知ってる? 日本の食料事情 2022』2022年12月)
というのも、食料自給率が73%だった1965(昭和40)年ごろの食生活は白米が中心で牛肉を食べる量や植物油などの使用量も今より少なかったとされています。
それに対して現在は、牛肉や果物などの消費が増えています。
牛の飼料や果物の多くは海外からの輸入によって支えられており、こうした理由から日本の食料自給率が低く止まっていると考えられているのです。
私たちの暮らしを振り返ってみると、パイナップルやバナナ、キウイなどの果物は海外産がほとんどです。
牛肉についても、国産牛より海外産の方がリーズナブルなことが多く、海外産の牛肉をよく買っているという人も多いのではないでしょうか。
食料自給率ナンバーワンの都道府県は?
(農林水産省『知ってる? 日本の食料事情 2022』2022年12月)
日本の食料自給率を都道府県別に見てみると、生産額ベースでは宮崎県が最も高く、カロリーベースでは北海道がトップになっています。
その一方で、最下位の都道府県はというと、生産額ベースとカロリーベースの両方で東京都が最下位になっています。
皆さんのお住まいの都道府県はいかがでしたか?
都道府県にはそれぞれ地域の特性があり、農業が得意な地域があれば、産業が盛んなエリアもあります。
こうしたデータを見ると、それぞれの都道府県の個性が浮き彫りになって面白いですね。
日本の米の自給率は?
日本のコメの自給率は、ほぼ100%に近い水準を維持しています。
農林水産省によると、2020年度の日本の米の自給率は96%。輸入率は4%となっています。
輸入米の約7割は味噌、泡盛、みりんなどの加工用に使われており、約3割がエスニック料理に使われるジャスミン米やバスマティ米が挙げられます。
主食として食べるお米の自給率に関しては、ほぼ100%といっても過言ではありません。
その他にも、日本の自給率が高い食材は以下のようになっています。
鶏卵:96%
野菜:79%
鶏肉:64%
(農林水産省:「食糧需給表」令和元年度)
これらの食材は、日本人が昔から食べてきたものや、国内で生産しやすいものが多いです。
日本の食料自給率を上げるには?
では、日本の食料自給率を上げるにはどうしたら良いのでしょうか。
農林水産省は、食料自給率をアップさせるために5つのアクションを提案しています。
旬の食べ物を選ぼう
旬の食品は、自然の力によって作り出されたものです。
温室や照明を使って温度や照度などを人工的に上げなくても、季節が訪れると自然と実ります。
そのため、旬の食品は生育にあたってのエネルギーや手間が少なくてすみます。
味もよく、栄養も豊富なため、私たちの食生活を豊かにしてくれます。
地産地消を心がけよう
遠く海外で生産された食品より、地元で作られた食品を選ぶことで、国内の農林水産業を応援することにつながります。
輸送や保存などに必要なエネルギーも少なくて済むため、エコにも貢献することができるでしょう。
ごはんを中心に肉や油は控えめに、野菜をたっぷり食べよう
数ある食品の中でも、お米は食料自給率が高い食品です。
ごはんを食生活の中心に据えることで、日本の食料自給率の向上に役立てることができます。
一方で、肉類や油類の飼料や原料は海外産のものが多く、こうした食品を多く食べることは食料自給率のアップにはつながりにくいでしょう。
国産のお米や野菜を積極的に取ることで、食生活もヘルシーなものになるかもしれません。
食べ残しを減らそう
食品ロスを減らすことは、海外から輸入する食品を減らすことと同じ。
なぜなら、日本は食品の多くを海外からの輸入に頼っているからです。
食べ残しをなくして無駄をなくすことが、食料自給率の向上につながります。
食料自給率の向上に役立つ取り組みを応援しよう
例えば、国産の米粉を使って作られたパン。
こうした食品を選んで食べることで、間接的に食料自給率の向上に貢献することができます。
国産飼料で育てられた牛、豚、鶏や卵などを選んだり、地産地消のブランド野菜などを買うのも効果的です。
スーパーマーケットなどでのお買い物の際には、こうした表記がある商品を探してみましょう。
(参考:農林水産省『食料自給率向上に向けた国民運動推進事業について』)
まとめ
日本の食料自給率と私たちの食生活との間には、深い関係があることがわかりました。
つまり、私たち一人一人のアクションが日本の食料自給率を向上させる鍵を握っているということです。
今回ご紹介した5つのアクションの中から無理なく取り組めるものを早速今日から始めて見てはいかがでしょうか。
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