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ジビエとは何の肉? 種類や注目される背景を解説

公開日: 更新日:2023.12.22
ジビエとは何の肉? 種類や注目される背景を解説

 

 

最近、ジビエという言葉を聞く機会が増えてきました。

 

実際にジビエを食べたことがあるという人もいるかもしれません。 

 

しかし、ジビエとは何の肉で、

どのような種類があるのか詳しく知らないという人も多いことでしょう。

 

そこで今回は、ジビエとは何か、

なぜ今注目されているのかといった背景についても

わかりやすく解説します。

 

ジビエとは何の肉?

鹿うさぎイノシシなどのジビエのイラスト

ジビエ(gibier)とは、もともとフランス語で

「食材となる野生鳥獣肉」のことを指します。

 

つまり、人間によって育てられた家畜ではなく、

自然の野山に生息している動物や鳥の肉を

食材として取り扱ったもののことです。

 

国内では、野生の動物や鳥をハンティングすることは一部の資格者に限られています。

 

認められたハンターが獲った肉が加工され、ジビエとして販売されます。

 

ジビエにはどんな種類の肉がある?

鹿肉の鍋

前述した通り、ジビエとは野生の動物や鳥の肉の総称です。

 

そのため、ジビエと一口に言っても、さまざまな種類があります。

 

例えば、国内で食べられるジビエとしては、シカやイノシシの肉が多いです。

 

一方で、海外では、ハトやウズラ、カモといった鳥のほか、

ウサギなども古くからジビエとして食べられてきました。

 

フランス料理店などで、こうしたジビエを食べたことがあるという人も

いるかもしれませんね。

 

ジビエが注目される背景とは

森林の中の木漏れ日

最近は、テレビやインターネットなどでジビエを目にすることが増えてきました。

 

その背景として、シカやイノシシなど野生の動物が、

人が育てた農作物を食べてしまう被害が広がっていることがあります。

野生鳥獣による農作物被害額の推移

(野生鳥獣による農作物被害額の推移。出典:農林水産省

 

実は、野生の動物や鳥が農作物を食べることによる被害額は、

2021(令和3)年度だけで約155億円に上ります。

 

シカなどが木の皮を食べて木に深刻なダメージを与える森林被害の面積も、

2020(令和2)年度には6,000ヘクタールに及びました。

 

これは、東京ドームの約1,200倍もの面積です。

 

こうした被害は、農業を営む人々にとって極めて大きな打撃を与えます。

 

中には、農業を続けることを諦めてしまったり、

農業をやめてしまったりというケースもあるのです。

 

また、自然環境にも悪影響を及ぼします。

 

具体的には、地面を覆っていた草や背の低い木々がなくなってしまうことで、

雨が降ったときに土壌が流出してしまったり、

希少な植物が食べ尽くされたりすることもあります。

 

ほかにも、森林の中でシカやイノシシが好まない植物だけが成長し、

生態系を変えてしまう恐れもあるのです。

 

こうした背景から、増えすぎた野生の動物を適切な方法で捕獲し、

ジビエとして活用しようという動きが活発になっています。

 

ジビエの活用方法

ジビエ利用頭数とジビエ利用量の推移

(ジビエ利用頭数とジビエ利用量の推移。出典:農林水産省

 

現在、国内でジビエとして利用されているのは、主にシカとイノシシの肉です。

 

このうちシカ肉がもっとも多く、全体の約7割を占めています。

 

ジビエの活用方法としては、人が食べる食肉としての利用のほか、

ペットフードとしても加工されています。

 

また、ジビエとしての肉の利用だけでなく、

皮を加工してカバンや財布、

アクセサリーなどにする取り組みも増えてきています。

 

特に、シカの皮は柔らかく、さまざまな色に染色でき、柔らかいことから

ブレスレットなどのアクセサリーとしても活用することができます。

 

このようにジビエの利用量は年々増えており、

2021年度には全国で約2,127トンが利用されました。

 

ペットフードとしての利用も

ペットフードを食べる犬と猫

ジビエペットフードは、脂質やカロリーが少ないことに加え、

鉄分やタンパク質が豊富なことから、人気を集めています。

 

長野県小諸市では、捕獲したシカ肉をペットフードとして商品化して、

新たな地域ブランド品「Komoro Premium Venison Pet Food」

として販売しています。

 

シカ肉はジャーキーやドライフード、ウェットフードなどに加工され、

ふるさと納税の返礼品にもなっているとのことです。

 

地域資源としてのジビエ

壮大な山と田んぼ

シカやイノシシといった野生動物は、

畑の農作物を食い荒らすことから「害獣」とされています。

 

地方では、実際にシカが走行中の自動車にぶつかるなどの事故も起きています。

 

繁殖期の動物は攻撃性が増すため、

人に危害を加えることもあるかもしれません。

 

こうした被害を減らすための方法の一つが、

捕獲した動物をジビエとして有効活用することです。

 

ジビエを地域資源と捉え、地域おこしに活用することで

活性化につなげようとする取り組みも盛んになっています。

ジビエを野生生物の“今”を知るきっかけに

コチラを見つめる鹿

もちろん、ジビエとしての活用方法は、

野生動物と人がうまく共存するための選択肢の一つでしかありません。

 

もっと良い方法がないか、

また、なぜ野生動物が増えすぎてしまったのか、

農作物を食べなければならないほど、

山や森林にエサとなる植物がないのかなど、

深堀して考えるべきことはたくさんあります。

 

ただ私たちができることは、

まず、ジビエや野生動物をめぐる事実を知り、

小さくても何かアクションを起こすことではないでしょうか。

 

きっと一番よくないのは、

知ることや考えることをストップしてしまうことだと思います。

 

そのときに最善だと思われるアクションを重ね、

より良い世界に向けて歩みを止めないことこそが、

私たちがやるべきことだと考えます。

 

(参考:農林水産省 ジビエ利用拡大コーナー

 

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この記事を書いた人

サステナブルライター 山下

電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。