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食品リサイクル法とは?事業者が取り組むSDGs

公開日: 更新日:2023.12.22
食品リサイクル法とは?事業者が取り組むSDGs

日本で発生する食品ロスのうち、約53%が食品の製造・流通過程で発生する事業系食品ロスと言われています。(令和2年 農林水産省)

今回は事業者に向けて食品ロスの削減を促す「食品リサイクル法」について解説します。

 

食品リサイクル法の基本的な内容とは?

リサイクル

食品リサイクル法の目的とは?

食品リサイクル法は、2001年に施行され、食品事業者に対して食品廃棄物の適正な処理とリサイクルの推進を求めました。その後、2007年には改正が行われ、食品事業者の対象が拡大され、詳細な報告義務が追加されました。また、2010年には一部改正があり、食品リサイクル法が更に強化され、事業者の義務が厳しくなりました。

食品リサイクル法の主な目的は、食品廃棄物の適正な処理を通じて、循環型社会の形成を目指すことです。具体的には、食品の廃棄物等の適正な処分と有効な利用を促進し、食品廃棄物の発生抑制とリサイクルを推進することを求めています。この法律は、有用な資源が失われることを防ぎ、環境負荷を軽減することを目指しています。

 

法令に基づく食品リサイクル法の詳細

食品リサイクル法には、具体的な義務と要件が定められています。食品事業者は、食品廃棄物の発生量を把握し、その削減計画を策定しなければなりません。また、売れ残りや食べ残し、製造過程で発生する食品廃棄物のうちリサイクル可能なものは、飼料、肥料等に再利用することが求められています。更に、その取り組みの結果は毎年報告することが義務付けられています。

 

食品リサイクル法が求める事業者の役割とは?

レストランの食事

食品リサイクル法に基づき事業のSXを推進する

食品リサイクル法に基づき、事業者は自社の事業運営においてリサイクルを重視する方向にシフトしていきます。これは、商品の製造から販売、廃棄に至るまでの全過程で食品廃棄物の発生を抑制し、発生した廃棄物を有効に利用する取り組みを意味します。事業者は、具体的な廃棄物の処理方法やリサイクルの進め方、その結果の報告などを行い、持続可能な循環資源の活用を推進します。

「SX」は、サステナビリティ・トランスフォーメーションの略で、企業が長期的な持続可能性を重視し、ビジネスの安定とESG(環境・社会・ガバナンス)を両立させるように変革することです。食品リサイクル法の順守・促進は企業のSX化にもつながります。

 

食品リサイクル法の推進によるSDGsの達成

リサイクルマーク

SDGs目標12番「つくる責任 つかう責任」

SDGsの目標の一つ、目標12は「持続可能な消費と生産形態の確保」を掲げています。食品リサイクル法はこの目標と直接結びついており、食品廃棄物の発生抑制と再生利用の促進を通じて、持続可能な生産・消費形態を実現するための枠組みを提供しています。事業者は、食品廃棄物の発生を抑制し、可能な限り資源として再利用することで、「つくる責任 つかう責任」の目標達成に寄与します。

 

SDGs目標13番「気候変動への具体的な対策を」

12番の目標と同じく、食品リサイクル法は、食品廃棄物の再生利用を通じて、資源循環型社会の実現と、SDGsの目標13「気候変動への具体的な対策を講じる」への取り組みを支援します。食品廃棄物から肥料や飼料を製造することで、有害なメタンガスの排出を抑制し、二酸化炭素の排出を減らすことが可能です。これらの取り組みは、消費者にとっても価値があり、事業者の社会的責任を示す重要な指標となります。

 

事業者が取り組む具体的な食品リサイクル法の実施例

スーパーマーケット

飲食店・スーパーの食品リサイクル例

数多くの事業者が食品リサイクル法を活用し、食品循環資源の再生利用に積極的に取り組んでいます。例えば、一部の飲食店では、調理過程で発生した食材のくずを集め、地元の農家へ肥料として提供しています。また、食品製造業者の中には、生産過程で発生した食品廃棄物を飼料に再生利用する取り組みを行っているところもあります。

一部のスーパーマーケットでは、売れ残った食品を抽出し、フードバンクに寄付する、または割引価格で販売するなどの取り組みを進めています。これらの方法は、食品の無駄を削減し、社会的な問題である飢餓の解決にも寄与します。

 

食品メーカーの食品リサイクル例

食品リサイクル法は、食品製造事業者に対しても食品廃棄物の排出を抑制するよう求めています。具体的には、製造過程での食品廃棄物の最小化、製品のロスの削減、そして生産効率の向上が求められます。

事業者は、これらの要求を満たすために生産ラインの見直し、適切な在庫管理、そして廃棄物の再利用に向けた新たな技術の導入など、多岐にわたる取り組みを行っています。

 

食品リサイクル法と新しいビジネスモデル

地球に優しい土壌

 

食品ロスを活かす事業モデル

食品リサイクル法が事業者に開く新たなビジネスの可能性は、驚くほど広範です。例えば、食品工場から出る食品廃棄物を、飼料としてリサイクルし、畜産業者に販売する事業者もいます。

また、飲食店の食べ残しを、堆肥化することで肥料にしたり、バイオマス発電によってクリーンエネルギーを販売する事業の増加も考えられます。

 

食品の流通プロセスの再設計

食品リサイクル法の施行により、食品の流通プロセスの再設計が進められています。これは、食品廃棄物の発生源である製造・流通・消費の各過程を見直し、廃棄物の最小化を目指す取り組みです。

例えば、製造過程での食品ロスを減らすための生産計画の見直し、流通過程での品質管理の強化、消費者への正確な情報提供による食品の適正消費の促進などが行われています。これらの取り組みは企業のトレーサビリティの向上にもつながり、専門的に指導するコンサルタントも増加しています。

 

食品リサイクル法の未来

地球環境

 

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出量をゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。食品リサイクル法による循環型社会の推進は、カーボンニュートラルの達成に大いに貢献するはずです。

食品リサイクル法のような法律の枠組みだけでなく、市民や事業者の意識改革も重要で、それぞれがリサイクルに積極的に取り組む文化を育てることが求められます。

 

 

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この記事を書いた人

中山

地球を愛する料理研究家であり、SDGsと食品ロスに情熱を傾けるライターです。食品ロス削減を通じて、環境保護と健康的な食生活の両立を促進し、持続可能な社会の実現を目指しています。趣味は家庭菜園。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。