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合成洗剤とは? 石けんとの違いや環境への影響も解説

公開日: 更新日:2023.12.22
合成石鹸とは

私たちが毎日使っている、食器洗い用の洗剤や衣類の洗濯用の洗剤。

その多くが「合成洗剤」というものです。


合成洗剤という言葉を聞いたことはあっても、詳しくは知らないという人も多いのではないでしょうか。


そこで今回は、合成洗剤とは何か、石けんとの違いや環境に与える影響などについてわかりやすく説明します。


合成洗剤とは

合成洗剤

 

そもそも合成洗剤とは、洗浄するための主成分として「界面活性剤」を使っている洗剤のことです。


界面活性剤とは

界面活性剤とは、本来、混ざり合わない水と油を混ぜることができる成分で、食品の油や皮脂といった油汚れを落とすはたらきをもっています。


界面活性剤は、石油や牛脂、パーム油といった脂肪酸から作られます。


合成洗剤の分類

洗濯用の洗剤のうち、界面活性剤を30%以上使っているものを「洗濯用合成洗剤」台所用の洗剤では、界面活性剤を40%以上使っているものを「台所用合成洗剤」と呼ぶルールになっています。


実際に、家にある洗剤や店頭に並んでいる洗剤の成分表示の欄には、「洗濯用合成洗剤」「台所用合成洗剤」と表記されているので、気になる人はチェックしてみてください。


(参考:消費者庁 合成洗剤



合成洗剤と石けんの違いは?

合成洗剤

 

では、合成洗剤と石けんの違いとはいったい何なのでしょうか?


「合成洗剤は液体で、石けんは固形なのでは?」と思うかもしれませんが、液体や固体といった形状の違いは、実は無関係。


合成洗剤と石けんとでは、含まれる成分が違うのです。


前述の通り、合成洗剤とは、界面活性剤を一定の割合以上含むものでした。


これに対して、石けんに含まれる洗浄成分は「純石けん分」で、ほかの界面活性剤を含むことはありません。


合成洗剤と石けんは、こうした成分の違いによって区別されているのです。


(参考:日本石鹸洗剤工業会『身体以外のモノを洗うのが「洗剤」 合成洗剤と洗濯用石鹸の違いは?』)



合成洗剤の環境への影響

合成洗剤

 

合成洗剤や界面活性剤というと、環境への影響が心配になる人もいることでしょう。


1960〜1970年代にかけて、国内で合成洗剤が普及したことによって、川や海などが泡だったり、富栄養化によって赤潮が発生したりするといった問題が起こりました。


これは、合成洗剤に含まれる界面活性剤や、界面活性剤のはたらきを強める添加物が原因となって起こったものです。


現在は、こうした問題を引き起こさないために、洗剤メーカー各社が自然界で分解されやすい界面活性剤や添加物の種類を変えるなどの対策をとっています。


(参考:経済産業省『合成洗剤と環境問題』)


石けんの環境への影響

合成洗剤

 

一方で、石けんの環境に与える影響はどうなのでしょうか。


石けんは、合成洗剤に比べて多くの有機物を含むため、石けんを大量に使用すると、合成洗剤の場合よりも多くの有機物が排出されます。


有機物は、川や海の微生物によって分解されますが、分解できる量を超えて多くの有機物が流れ込むと、分解しきれなかった有機物がヘドロとして溜まってしまいます。


有機物を分解する際には酸素が消費されるため、有機物の分解によって河川が無酸素状態になり、魚などの水中生物が酸欠になって死んでしまうこともあるとされています。


(参考:日本石鹸洗剤工業会『安全と環境』)



環境のために私たちにできること

合成洗剤

 

合成洗剤や石けんは、私たちが清潔で快適に暮らすために欠かせないものです。


手や食器、衣類をきれいに洗うことができるようになったことで、日本人の平均寿命は大きく伸びたとされています。


しかし、快適な暮らしの反面、環境に負担を与えているとしたら、改善のためのアクションを起こさなければならないでしょう。


今日からできるアクションにはどのようなものがあるのか、ご紹介します。


洗剤や石けんは適量を使う

食器洗いや洗濯などの際には、洗剤や石けんは適量を使うようにしましょう。


特に、洗濯用洗剤は多く使えば汚れが落ちるというものではなく、多すぎると溶け残りや洗濯槽のカビの原因になることもあり、注意が必要です。


汚れた食器は洗う前にペーパーなどで拭う

油汚れの強い食器などは、洗う前にペーパーなどで汚れを拭き取ると、洗剤の使用量を抑えることができます。


また、食器洗いの際には、汚れの少ない食器から順に洗い、最後に油汚れのひどいものを洗うようにすれば、少ない洗剤の量できれいに洗うことができるでしょう。


洗剤を捨てる際には自治体のルールに従う

不要になった洗剤を捨てる際に、排水溝にそのまま流していませんか?


多くの自治体では、不要になった洗剤をそのまま流すのではなく、可燃ゴミなどとして捨てることを推奨しています。


不要な洗剤を処分する際には、事前に自治体の定めるルールを確認するようにしましょう。


まとめ

合成洗剤

 

実は、日本の下水道普及率はまだ100%ではありません。


地方や離島などによっては、生活排水がそのまま川や海に流れ込んでいるところもあります。


清潔な暮らしを支えてくれている合成洗剤や石けん。


環境への影響をできるだけ抑えながら使うように心がけたいですね。






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この記事を書いた人

サステナブルライター 山下

電力会社やベンチャー企業でエネルギー関連のビジネスに従事したのち、2019年にサステナブルライターとして独立しました。「家庭の省エネエキスパート」資格を持ち、自治体において気候変動や地球温暖化に関するセミナーを実施した経験もあります。環境問題をもっともっと身近に感じてもらえるよう、わかりやすい記事を心がけています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。