世界中で広がるフードシェアリングの取り組み、具体的な海外事例、経済効果、そして地元での実践の姿をこのブログでご紹介します。
食と繋がり、新たな価値を創造するフードシェアリングの可能性を一緒に探求していきましょう。
フードシェアリングの基本概念:どういうものか?
フードシェアリングとは
フードシェアリングとは、余った食材や調理済みの食事を他の人々と共有することを指す現代的な概念です。
特に、余分な食材を販売または寄付するためのデジタルプラットフォームが広く利用されています。この仕組みにより、消費者は手頃な価格で美味しい食事を楽しむことができ、飲食店や個人は余剰食品を無駄にすることなく、収益を得ることができます。
FAO(国連食糧農業機関)によれば、全世界の食品ロスは年間約13億トンと推計されており、これは世界の食品生産の約30%に相当します。フードシェアリングはこの問題を緩和するための一つのソリューションで、未消費の食品を有効に活用し、その一部を食べる人々に再分配することで、食品ロスを大幅に減らすことができます。
フードシェアリングのメリット・デメリット
フードシェアリングには、以下のメリットがあります。
食品ロスの削減
フードシェアリングによって、まだ食べられる食品が廃棄されるのを防ぐことができます。
食費の節約
まだ食べられる食品を割安で購入することができ、フードシェアリングを利用している人は、食費を節約できたという声が多く聞かれます。
地域コミュニティの活性化
フードシェアリングは、地域の人と交流するきっかけにもなり、コミュニティを活性化することができます。
しかし、フードシェアリングにはデメリットも存在します。
食品の安全性
フードシェアリングで提供される食品は、まだ食べられるものであるものの、安全性が保証されているわけではありません。提供者の衛生管理や、食品の保存状態などには注意が必要です。
食品の品質
フードシェアリングで提供される食品は、賞味期限が過ぎたものや、見た目が悪いものなど、品質が劣化している可能性があります。食品の状態を確認して、購入を判断するようにしましょう。
手間や時間のかかる場合がある
フードシェアリングを利用するには、フードシェアリングサイトやアプリを利用するなど、ある程度の手間や時間がかかる場合もあります。
フードシェアリングは、環境面と社会面での多大な利益をもたらす一方で、実施にあたっては食品安全性の確保と運営の効率化が重要なポイントとなります。
日本におけるフードシェアリングの発生と推進
日本でもフードシェアリングは急速に普及しています。政府は食品ロスの削減を国家目標として掲げ、多くの自治体が取り組んでいます。
2020年の環境省の報告によれば、日本の食品ロスは年間約638万トンで、このうち約270万トンが家庭から発生しています。これらの数値はフードシェアリングの必要性とその可能性を示しています。
フードシェアリングサービスの海外事例
海外のフードシェアリング事業
フードシェアリングは、日本だけでなく世界各地で活動が広がっています。例えば、アメリカの「Food Rescue US」は余剰食品を救済し、貧困層に提供する取り組みを行っています。
また、イギリスの「OLIO」は、余分な食材や調理済みの食事を地元の人々と共有するアプリを提供しています。これらの事業は、フードシェアリングが世界的な課題である食品ロス削減に貢献しています。
コークッキングの海外例
コークッキングは、フードシェアリングの一種で、個々の家庭で作られた料理を他の人々と共有する形態を指します。フランスの「Super-Marmite」やアメリカの「Meal Sharing」など、このスタイルのフードシェアリングサービスは多くの国で展開されています。
これらのサービスは、地域コミュニティと料理を愛する人々をつなぎ、食の楽しみを共有することで、社会的なつながりを深めています。
地域社会への寄付
フードシェアリングは、食品ロス削減だけでなく、地域社会への寄付という形でも社会貢献を実現しています。
例えば、「FoodCloud」は、アイルランドとイギリスで活動する非営利団体で、余剰食品を地元の慈善団体や学校へ寄付しています。これにより、食品ロスの削減と共に、地域社会の支援も行っています。
これらの取り組みは、フードシェアリングが持つポテンシャルを示しており、これからもその活動範囲は広がり続けるでしょう。
フードシェアリングによる経済効果
飲食店と消費者の経済的利益
フードシェアリングは飲食店や消費者にも経済的な利益をもたらします。
飲食店側では、終業時間後に売れ残った食材や料理を廃棄するコストを削減できます。
また、消費者は通常価格よりも大幅に低い価格で美味しい料理を購入できます。例えば、日本のフードシェアリングアプリ「TABETE」は、これまでに飲食店から約2000万円の廃棄コストを削減し、消費者に安価な食事を提供しています。
売れ残りの食材は価値が0とされがちですが、フードシェアリングによりそれらが販売可能な商品となり、経済的価値を取り戻します。これは廃棄コストの削減だけでなく、新たな利益源となります。
食品ロス削減による総合的な経済効果
そして、食品ロス削減による総合的な経済効果は大きいです。
国連によれば、食品ロスと食品廃棄物は全世界で年間約1兆ドルの経済的損失をもたらしています。これを防ぐためのフードシェアリングは、食品産業全体に対する経済的影響を大きく改善する可能性を持っています。
地元のコミュニティにおけるフードシェアリングの実例
自治体が主体となるフードシェアリング
地域レベルでのフードシェアリング活用事例を見てみましょう。
地域社会がフードシェアリングに積極的に取り組むことで、食品ロスを削減し、地元の飲食店を支援するという二重のメリットが生まれます。
たとえば、京都府亀岡市では、市が公式アプリを通じて地元の飲食店の残余食品を住民に提供しています。これにより、市民は安価で質の高い食事を得るとともに、地元の飲食店が食品廃棄コストを抑えられるという仕組みです。
店舗と地域団体の協定
店舗と地域団体が協定を結び、フードレスキュー活動を行っています。これは、スーパーマーケットやレストランから余剰食品を収集し、食品銀行や福祉施設に提供する活動で、多くの地域で行われています。
東京都渋谷区では、区が地域のスーパーマーケットと協力し、食品レスキューを行い、需要のある福祉施設に提供しています。
地元コミュニティのフードシェアリングの取り組みは、食品ロスの削減と地域への貢献の両方を達成しています。地域の人々が余った食材を共有することで、食品ロスを削減しつつ、地域コミュニティの絆を深める効果もあります。
福岡県では、地域の町内会がフードシェアリングの取り組みを進め、余った食材を共有し、地域内の食品ロスを削減しています。
フードシェアリングは、単に食べ物を分け合うだけでなく、社会的な問題である食品ロスの解決へと繋がります。
それぞれの一食が大切なリソースであることを再認識し、持続可能な社会の一角を形成する手段として、フードシェアリングがどのように機能するかを一緒に考えていきましょう。
そして、食べ物を通じたつながりが新たな価値を生む瞬間に共に立ち会いましょう。
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