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学校給食を通じた食育と食品ロス対策

公開日: 更新日:2023.12.26
学校給食を通じた食育と食品ロス対策

学校給食における食品ロスは、資源の無駄だけでなく、子どもたちへ「食」の大切さを伝える機会の損失にもなります。

そこで今回は、学校給食における食品ロスの現状と課題、それに対する具体的な改善策について深掘りしてみたいと思います。

また、食品ロス削減だけでなく、「食育」の視点から学校給食が果たすべき役割、そしてSDGsの視野に立った教育の重要性について考えていきましょう。


学校給食と食品ロスの現状と課題

学校でみんなで給食を食べている

日本の学校給食における食品ロスの現状

日本の学校給食は、子供たちに栄養バランスの良い食事を提供するだけでなく、食育の一環としても重要な役割を果たしています。

しかし、一方で学校給食にも食品ロスの問題があります。

環境省の調査によると、年間で学校給食から約60万トンの食品ロスが発生していると言われています。

特に苦手な食材や、一部の給食メニューに対する食べ残しが多いという問題が指摘されています。

全国的な食品ロス発生の主な原因

学校給食における食品ロスの原因はさまざまです。

一つは、子供たちの好みや食事習慣、そしてその日の体調により食べ残しが生じること。

また、栄養バランスを考慮したメニュー作りが求められる中で、一部の食材を適量に調理するのが難しいという問題もあります。

さらに、食材の調理過程や給食の配膳、片付けの際にも無駄が発生します。

食品ロス問題への対策:課題と改善案

食品ロス削減に向けた取り組みとして、まずは現状の把握が必要です。

給食の食べ残しを減らすためには、どの食材や料理が特に残されやすいのか、その原因は何なのかを明らかにすることが重要です。

その上で、子供たちが好きなメニューの開発や、苦手な食材への工夫、食べ残しを防ぐための料理方法などを探求していくことが求められます。

また、子供たち自身が食品ロスの問題について理解し、食べ物を大切にする意識を持つことも大切な対策となります。


食育の重要性と学校給食の役割

献立を作っている

食育の目的と学校給食が果たす役割

食育の目的は、食の大切さを理解し、健康的な食生活を維持するための知識や態度を育むことです。

学校給食は、子供たちが日々栄養バランスの良い食事を摂る機会を提供するだけでなく、食の起源や調理方法、食材の選び方、食べ方等を学ぶ重要な場となっています。

食材の大切さを理解し、一つ一つを無駄なく活用する意識を育てるという観点から、学校給食は食品ロス削減についても大きな役割を果たしています。

また、食育は子供たちの持続可能な社会への一歩ともなります。

SDGsの目標の中には、「飢餓をゼロに」や「すべての人に健康と福祉を」など、食に関連するものがあります。

食品ロス削減を通じて、子供たちは食材を大切にするだけでなく、全世界の飢餓問題や食料問題についても学ぶことができます。

児童・生徒の健康と給食の重要性

栄養不足や偏食、肥満といった食事に関連する健康問題が増える中、食のバランスや選び方を理解し、自分自身で健康的な食事を選べる能力を育てることが重要となっています。


学校給食は、これらの知識を日常的に経験する場として、児童・生徒の健康に対して深い影響を与えます。

具体的な学校給食における食品ロス削減策

野菜スープ

学校給食での食品ロス削減実施例

学校給食での食品ロス削減には、様々な工夫が実施されています。

生徒の食べ残しを最小限に抑えるために、アンケートや意見箱を設置し、メニュー改善に生徒を巻き込む試みが見られます。

また、生徒による給食メニュー企画や献立作成などを行い、彼らが主体的に食事に関与することで、食品への興味や理解を深めることも重要な取り組みです。

調理の工夫で好き嫌いを克服

調理法を工夫して、食材の栄養素を最大限に活用しながら、食品ロスを減らす試みがなされています。

例えば、一部の子供が苦手とする野菜を、スープや煮物にして食べやすくする、などの方法が取られています。

彩りや形状を工夫したり、好きな食材と一緒に調理したりすると、食材全体を食べる傾向が高まります。

また、調理過程を見せることで食への興味を引き出し、食品ロス削減につなげることもできます。


どうして給食は残したらダメなの?

残したい子ども

食べ残しは食品ロスだけでなく、子供たちの栄養バランスにも影響を及ぼします。

例えば、苦手な食材を避けてしまうことで、必要な栄養素が偏り、成長期の子供たちの健康を損なう可能性があります。

特に子供たちは、苦みを持つ野菜を苦手とする傾向があり、これが食品ロスの大きな原因となることがあります。

ここで重要なのは、野菜を嫌いという食事習慣を、食べられるように導くことです。

栄養豊富な野菜を美味しく食べる工夫や、野菜の種類や調理法を多様化することで、子供たちの食事習慣の改善と食品ロスの削減に寄与することができます。


学校で実践できる食育と食品ロス対策

調理実習

子どもたちへの食育

学校では子どもたちに食の大切さを理解させる食育が行われています。

例えば、給食の時間に食材や料理の由来について説明する、料理の実習を行うなどの具体的な取り組みがあります。

これにより、子どもたちは食の大切さを実感し、食品を無駄にしない意識が芽生えるのです。

実際、こうした取り組みを行った学校では、食品ロスが減少したとの報告が多数寄せられています。

自分の食べられる量だけ取る

学校給食における食品ロス対策として、効果的なのが「残さず食べる」活動です。

これは、子どもたちが自分の食べられる量を見極め、必要以上に取らないようにすることで、食品ロスを削減するものです。

また、苦手な食材に対する理解を深めるためのワークショップを実施したり、食材の選び方や調理法を学ぶ授業を行うなどの取り組みも効果的です。

SDGsを取り入れた教育

近年、教育現場ではSDGsの目標に沿った活動が推進されています。

その一環として、食育と環境教育を組み合わせ、食品ロス削減に向けた取り組みが見られます。

例えば、食品ロスが地球環境にどのような影響を及ぼすのか、どのように食品ロスを削減することが地球の持続可能性に貢献するのかを学ぶ授業を行うなど、子どもたちの未来に向けた責任感を育んでいます。


生徒が主体となる食品ロス削減活動

自分で調べている子供

生徒自身が食品ロス削減活動の主体となることで、問題意識が深まります。

具体的には、自分たちで給食の食べ残しを計量し、その結果を共有したり、食材の選び方や料理の工夫を通じて食品ロスを減らすような活動が考えられます。

例えば、ある小学校では、生徒たちが自分たちの給食の残量を毎日計測し、一週間でどれだけ食品ロスが発生したかをグラフにして発表する取り組みを行いました。

この結果、生徒たちは食品ロスの問題について深く理解し、積極的に食品ロス削減に努めるようになりました。

これらの活動を通じて、食品ロスの実情を肌で感じ、問題解決に向けた意識を養うことが可能です。

食育と食品ロス対策の連携:エコスクールの取り組み

学校菜園

エコスクールの食育と食品ロス対策

エコスクールとは、食育と食品ロス対策が一体となった環境学習教育です。

例えば、学校菜園で自分たちで育てた野菜を使い、給食を作る活動を通じて、食の大切さと食品ロスの問題を体感することが可能です。

また、食材の選び方や料理方法、食事のマナーなどを学ぶことで、食品ロスを減らす具体的な方法を理解します。

環境教育と食育の融合:効果と可能性

環境教育と食育の融合は、子どもたちが食品ロスや食育の課題をより広い視野で理解することを可能にします。

環境問題の一端である食品ロスを、自分たちの行動と直結した形で学ぶことで、より深く環境問題を理解することができます。

これにより、子どもたちは、自分たちの行動が環境に及ぼす影響を認識し、より持続可能な社会を目指す行動を取ることが期待されます。

地域社会と連携したエコスクールの取り組み

地域社会と連携したエコスクールの取り組みは、子どもたちだけでなく地域全体の食品ロス意識の向上に繋がります。

例えば、学校で収穫した野菜を地域の人々と共有したり、地域の食材を給食に活用することで、地域の食材への理解と感謝の心を育てます。

また、地域の高齢者や専門家を招いて、食の大切さや食品ロス問題についての話を聞くことも効果的です。

また、食品の一部が廃棄される過程を追うことで、食の価値や生産・消費にまつわる問題を具体的に理解することができます。

例えば、給食で出される食材の供給チェーンを学ぶ教材を使えば、どの段階で食品ロスが生じているのか、また、それを防ぐために何ができるのかを自分たちで考える機会を提供できます。

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この記事を書いた人

村上

サステナブルライターとして、SDGsや生活の知恵を発信しています。育児をしながら、子どもと一緒に地球に優しい生活を目指し中。趣味は料理と美術館巡り。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。