あなたがスーパーマーケットで手に取ったステーキは、美味しいディナーの主役となります。
しかし、そのステーキが消費者の手元に届くまでの過程で、知らぬ間にいくらかのロスが発生しています。
肉の食品ロスとは
食品ロスの発生状況
お肉のロスが発生する過程は大きく分けて3つあります。
1.生産段階のロス
食肉加工場で肉がカットされる際に発生するロス(カットロス)や、品質検査で不適合と判断された肉製品の廃棄などです。
2.流通・販売段階のロス
スーパーマーケットやレストランで売れ残った肉製品が廃棄されたり、賞味期限が切れた製品が廃棄されたりします。
3.消費段階のロス
家庭やレストランで調理されずに廃棄される肉、調理過剰による余剰部分の廃棄、食べ残し等です。
お肉のロスの環境と消費者への影響
食品ロスは環境問題の一因であり、特に肉のロスは温室効果ガスの排出量に大きな影響を与えます。特に貴重な部位のロスは高価な飼料や多大な水、エネルギーを消費して生産された後のロスとなり、環境負荷が大きいです。
また、カットロスが多いほど、それが肉のコストアップとなり、消費者にとっては高価な商品となります。
消費者が知らないお肉の部位の秘密
消費者がスーパーで見る肉の部位は、実際には様々なカットの過程を経て得られるものです。
たとえば、ステーキやロースト用の肉は、一頭の牛から限られた部位だけが取れます。これらは精肉工場で細心の注意を払ってカットされ、高い技術力が求められます。その一方で、こま切れ肉やミンチ肉などは、これらの部位をカットした際に余った部分を利用しています。
こま切れ肉は、肉をカットする際に発生するロスを活用したものです。消費者にとっては、コストパフォーマンスが高く、様々な料理に利用できる利点があります。
製造時間と食品ロスの関係
製造時間は食品ロスと密接な関係があります。特に、肉の加工においては、適切な時間配分がなされないと、必要以上のこま切れが発生したり、肉が鮮度を失いロスとなる可能性があります。
例えば、早朝にカットされた肉がその日中に全て売れず、保存状態が良くなければロスになります。また、製造過程で生じるこま切れは、すぐに再利用するか、適切に保存することが求められます。
これらの時間管理は、食品ロスの削減に大きく貢献します。
再利用可能? カットされたお肉の再利用方法
こま切れ肉と切り落とし肉の再利用法
こま切れ肉と切り落とし肉は精肉工場でよく見られるロスの形ですが、これらは適切に再利用することで価値を引き出すことが可能です。
具体的には、これらの肉はハンバーグやミートソース、ソーセージ、スープなどの材料として利用できます。
特にこま切れ肉は、味が染みやすいため、煮込み料理などに利用すると良い結果が得られます。一方、切り落とし肉は脂肪含有量が高いため、鍋物やスープの材料として使うと風味が増します。
部位ごとの再利用可能なお肉の違い
肉の部位ごとには独特の特性があり、それぞれ異なる再利用方法が適しています。例えば、赤身の肉はそのままの形で焼き物や煮込みに、脂肪分が多い部位はソーセージやハンバーグの材料にすると良い結果が得られます。また、筋肉質な部位は長時間煮込むことで柔らかくなり、シチューやブレゼに適しています。これらを理解することで、ロスを減らしつつ、美味しい料理を提供することが可能となります。
スーパーでのお肉ロスの活用方法
スーパーマーケットでも、こま切れ肉や切り落とし肉を独自の商品としてパック詰めにし、「すき焼き用」や「煮込み用」などとラベリングすることで、消費者にその用途を示すことができます。
また、スーパー自体で調理したレトルト商品やデリカの材料としても活用可能です。
食品ロス削減のための技術:精肉工場での取り組み
こま切れ肉のロス削減技術とは
こま切れ肉のロス削減の一つの方法としては、精密なカット技術の導入があります。コンピューター制御のカッティングマシンを使用すれば、適切な厚みで一定の形状にカットすることが可能となります。
これにより、不要なこま切れ肉の発生を抑制することができます。また、ロスが発生した場合も、これらを効率的に回収し、他の製品への再利用を計画することも重要です。
時間管理による食品ロスの削減
時間管理は食品ロス削減のための重要な要素で、特に冷蔵・冷凍管理が中心となります。肉は生鮮食品であるため、時間と共に劣化しやすいです。
これを防ぐためには、切断から包装、出荷までの時間を最小限に抑えることが求められます。また、適切な温度で肉を保存し、劣化の進行を遅らせることも同様に重要です。
部位別のロス削減技術の違い
部位別に見ると、ロス削減技術にも違いが出てきます。
たとえば、ロースやヒレなどの高級部位は、精密なカット技術でロスを抑えることが求められます。一方、肩ロースやバラ肉など、形状が一定でない部位では、適切な裁断プランを立てることでロスを抑えられます。
これらの部位は、スライス肉やこま切れ肉としての利用が考えられます。また、どの部位にも共通するのが、ロスした肉を次の工程で再利用することです。これにより、全体のロスを最小限に抑えることが可能となります。
規格外のお肉を活かす”モッタイナイビーフ”
東京都品川にある東京食肉市場に拠点を置く、食肉卸売会社の株式会社オーエムアイでは、「モッタイナイビーフ」という商品を展開しています。
こちらは規格外となってしまったが、味は絶品の黒毛和牛4等以上のお肉で、普段は高級レストランにしか卸さないお肉の端材を、一般の消費者向けに販売をされているそうです。
先日ロスゼロが主催した「ロスゼロレストラン」でも、「モッタイナイビーフ」のグリエをお客様に提供しました。
ロスゼロレストランのレポートについてはコチラ↓
規格外食材がフレンチ料理に!ロスゼロレストラン開催レポート
お肉は舌の上でとろけるほど柔らかく、お客様からも大好評でした。
規格外の食品でも、最後まで食べてほしいの食品メーカーの願い。
でも正規で販売できないものに、なかなか手間をかけられないというメーカー様の話をよく聞きます。
「モッタイナイビーフ」のように、お肉のロスを最後まで届ける取り組みが増えるといいですね。
参考資料
農林水産省:誰かに話したくなるお肉の豆知識
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- 以前小さなフレンチレストランでアルバイトをしていたのですが、そこでもっとも感じたことは、、、食べ残しが多いということです。