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【世界のサステナブルな国ランキング】北欧諸国から日本が学べること

公開日: 更新日:2023.12.26
北欧諸国の国旗

持続可能な社会を目指す現代、各国がどの程度サスティナブルであるかを評価するランキングが注目されています。

国連と連携する国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」が国別のSDGs達成状況などをまとめた報告書「持続可能な開発リポート 2022」を中心に、サステナブル先進国と日本について考えていきましょう。


世界のサステナブルな国ランキング:トップ10

トップ10


1位から10位までのサステナブルな国:2022年の調査結果

2022年のサステナブルな国ランキングでは、北欧諸国が目立つ結果となりました。

1位に輝いたのはフィンランドで、環境保全、社会的公平性、経済の持続可能性に対する国全体の強いコミットメントと、それを実現するための具体的な政策やイニシアチブが評価されました。

続いて、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーと北欧諸国がランクイン。これらの国々では、エネルギー効率、再利用、持続可能な農業などの分野で優れた政策が取られています。

 

持続可能な開発レポート22・上位10か国とフィンランドの結果

日本は世界ランキングでどの位置?

2022年の調査では、163か国中、日本は19位にランクインしました。
日本が達成している目標は、4.質の高い教育をみんなに、9.産業と技術革新の基盤をつくろう、16.平和と公正をすべての人に の3つです。

このことは日本の社会、教育、経済、法律制度が高い水準にあることを示しています。教育へのアクセスと品質の向上は、社会全体の生活の質と公正性を高める上で不可欠です。また、産業と技術革新の推進は経済の成長と持続可能性を保証し、さらに競争力を高めます。

さらに、平和と公正をすべての人にという目標の達成は、日本の法制度と社会契約が公正であり、全ての人々が公正に扱われていることを示しています。
これらの達成は日本が持続可能な社会を構築する上での重要な基盤となっています。


ランキングの動向と日本

近年のランキングを見ると、北欧諸国が常に上位をキープしています。これは、これらの国々が持続可能性を重視した政策を長期にわたり推進してきた結果と言えるでしょう。
一方で、日本は2017年の11位から徐々に順位を下げています。貧困や格差の解消、ジェンダー平等が進んでいない。気候変動への対応の遅れや生物多様性の喪失が進んでいるなどが主な理由です。

なおアジアで1位はシンガポールでした。シンガポールは、経済成長や貧困削減などの分野で高い評価を受けています。

また、189位がニジェール、190位が中央アフリカ共和国、191位が南スーダンでした。これらの国は、貧困や飢餓、紛争などの問題を抱えており、SDGsの達成に向けて取り組む余裕がありません。


北欧諸国はなぜSDGsの達成率が高いのか

北欧の旗


福祉国家の制度が整っていること

北欧諸国は、福祉国家として知られています。福祉国家とは、すべての国民が質の高い生活を送ることができるように、政府が社会保障制度を充実させている国家のことです。

北欧諸国では、医療費や教育費、介護費などが無料または低額で提供されており、失業や病気で収入が減った場合でも、社会保障によって生活を支えることができます。また、北欧諸国では、ジェンダー平等を推進しており、女性の社会進出が進んでいます。


環境保護への意識が高いこと

北欧諸国は、環境保護に積極的に取り組んでおり、その取り組みは世界中で注目されています。

再生可能エネルギーの導入
北欧諸国では、再生可能エネルギーの導入を積極的に進めています。例えば、スウェーデンでは、電力の約60%が再生可能エネルギーで発電されています。

エネルギー効率の向上
北欧諸国では、省エネ住宅の普及や電気自動車の導入を促進し、エネルギー効率の向上を図るための取り組みを行っています。

森林保護
北欧諸国は、森林が国土の大部分を占める森林大国です。北欧諸国では、森林保護を重視しており、森林が将来も利用可能で、かつ、環境や社会に悪影響を及ぼさないように持続可能な管理を行っています。


フィンランドの取り組み

フィンランドの地図


では、世界で一番サスティナブルな国として評価されているフィンランドのSDGsに向けた政策を見てみましょう。


エネルギー政策

フィンランドは再生可能エネルギーの利用に大きな投資を行っており、エネルギー消費の約40%を再生可能エネルギーで賄っています。さらに、2045年までにカーボンニュートラルを達成し、その後はカーボンネガティブ(二酸化炭素排出量が吸収量を下回る状態)を目指しています。


教育への投資

フィンランドの教育は、すべての人に質の高い教育を提供することを目的としています。そのため就学前の教育から高等教育まで、すべてが無料で提供されています。また、生徒の個性を尊重し、自立した思考力や問題解決力を育むことが重視されています。

これらの教育方針は、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」に沿ったものです。フィンランドの教育は、持続可能な社会を実現するために、重要な役割を果たしています。


社会保障制度の充実

フィンランドでは、医療費や教育費、介護費などが無料または低額で提供されています。また、失業や病気で収入が減った場合でも、社会保障によって生活を支えることができます。

これらの社会保障制度は、SDGsの目標に沿ったものであり、フィンランドの社会保障は、持続可能な社会を実現するために、重要な役割を果たしています。


環境保護

フィンランドは、環境保護に積極的に取り組んでおり、その取り組みは世界中で注目されています。
フィンランドは、森林が国土の約70%を占める森林大国です。

フィンランドでは、森林保護を重視しており、森林の持続可能な管理を行っています。またエネルギー効率の向上を図るための取り組みとして、省エネ住宅の普及や、電気自動車の導入を促進しています。


ジェンダー平等の推進

フィンランドは、ジェンダー平等を推進しています。男女平等の法整備が進んでおり、男女差別を禁止する法律が施行されています。また女性の社会進出を支援するための取り組みが行なわれており、育児休暇の制度が充実や、女性が子育てをしながら働きやすい環境が整えられています。

またジェンダー平等に関する意識改革を推進するための取り組みとして、学校教育の中でジェンダー平等に関する授業が実施されています。


日本が学べること

黒板に書いてある日本地図


環境保護への意識

SDGs先進国は、環境保護への意識が高く、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上、森林保護などの取り組みを積極的に行っています。

環境教育の推進、環境啓発活動の実施、環境意識の高い製品やサービスの普及、環境に優しいライフスタイルの推奨に取り組むことにより、日本でも環境保護への意識が高まってきていると言えます。しかし、まだ十分とは言えず、今後も継続的な取り組みが必要とされています。


ジェンダー平等の推進

SDGs先進国は、ジェンダー平等の推進に積極的であり、男女平等の法整備や女性の社会進出の支援などの取り組みを行っています。

日本でも「男女雇用機会均等法」「男女共同参画社会基本法」「女性活躍推進法」などの法律が制定され、女性の社会進出が進んでいます。しかし、まだ、女性の地位向上が十分とは言えず、今後も取り組むべき課題は多く残されています。

賃金格差の是正・女性の管理職比率の向上・子育てをしながら働きやすい環境の整備など、まだまだ課題はあります。ジェンダー平等の推進は、女性の地位向上だけでなく、社会全体の活性化にもつながります。日本が持続可能な社会を実現するためには、ジェンダー平等の推進が不可欠です。


社会保障制度の充実

SDGs先進国は、社会保障制度が充実しており、すべての国民が質の高い教育や医療、社会保障を受けることができます。

2023年の社会保障制度の充実度ランキングでは、1位はデンマーク、2位はノルウェー、3位はフィンランドです。日本は28位でした。

現在日本の社会保障制度は、高齢化や少子化などの社会構造の変化に伴い、大きな課題に直面しています。

社会保障制度の財源確保

社会保障制度は、税金や保険料などの財源によって支えられています。しかし、少子高齢化により、人口が減少し、労働力が減少していることから、社会保障制度の財源は減少しています。そのため、社会保障制度の財源を確保するための方策が求められています。

社会保障制度の効率化

社会保障制度は、複雑で煩雑な手続きが要求されることが多く、利用者にとって使いづらいという問題があります。そのため、社会保障制度の効率化を図り、利用者にとって使いやすい制度にする必要があります。

社会保障制度の給付水準の適正化

社会保障制度は、将来にわたって持続可能なものである必要があります。そのため、社会保障制度の給付水準を適切に維持し、財政の健全性を保つことが求められています。


おわりに

環境を意識したイラスト


SDGs先進国は、日本が目指すべき目標です。これらの国々は、環境保護、貧困削減、ジェンダー平等など、さまざまな分野で大きな成果を上げています。日本も、これらの国々から学び、SDGs達成に向けて取り組んでいくことが大切です。

SDGs達成には、政府、企業、個人の協力が不可欠です。

政府は、政策面からSDGs達成を推進する必要があります。企業は、SDGsに配慮した事業活動を行う必要があります。個人は、SDGsを意識した生活を送る必要があります。

私たち一人ひとりが、SDGs達成のためにできることを精一杯取り組んでいくことで、より良い未来を実現することができます。


 

参考資料

外務省:フィンランド共和国

 

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この記事を書いた人

中山

地球を愛する料理研究家であり、SDGsと食品ロスに情熱を傾けるライターです。食品ロス削減を通じて、環境保護と健康的な食生活の両立を促進し、持続可能な社会の実現を目指しています。趣味は家庭菜園。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。