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企業と個人で取り組むマイクロプラスチック対策

公開日: 更新日:2023.12.26
企業と個人で取り組むマイクロプラスチック対策


マイクロプラスチックは地球上のあらゆるところに存在し、私たちの環境や健康に影響を及ぼしています。

今回は、マイクロプラスチックを減らすための具体的な対策と、それぞれがどのように貢献できるかについて解説します。

 

マイクロプラスチックの現状とその影響

海の中のプラスチック

マイクロプラスチック問題の現状

マイクロプラスチックとは5mm以下の微細なプラスチック片で、製品の劣化やごみの不適切な処理により生じます。世界中で年間約800万トンのプラスチックが海に流出し、その中には無数のマイクロプラスチックも含まれます。
環境問題として認識されるようになったのは比較的最近で、これからの対策が急務となっています。

海洋汚染の原因としてのマイクロプラスチック

海洋へのプラスチックの流出は、海洋生物への直接的な影響だけでなく、微細なマイクロプラスチックとして海洋生態系全体に影響を及ぼします。
プラスチックは自然界ではほとんど分解せず、太陽光により微細な粒子に分解される過程でマイクロプラスチックが生じます。その微細な大きさから、プランクトンや小魚といった生物が間違って食べてしまうことがあります。
研究によれば、一部の小型魚がマイクロプラスチックを食事と誤認する確率は50%以上であることがわかっています。さらにこれらの生物が食物連鎖の上位に位置する魚や鳥などの生物に摂取され、生態系のバランスを崩す一方で、食物連鎖を通じて人間にも影響を及ぼす恐れがあります。

マイクロプラスチックの悪影響:生態系と人間の健康

プラスチックの添加物が海水中に溶出することで、海洋汚染の一因となっています。また、マイクロプラスチックの影響は生態系に留まらず、人間が魚介類や塩、砂糖など、日常的な食事からマイクロプラスチックを摂取する可能性が指摘されています。
2021年の研究では、人間が年間平均で5,800個以上のマイクロプラスチックを摂取している可能性が示されています。人間への具体的な影響についてはまだ研究途上ですが、環境への影響を踏まえ、私たちがどう取り組むべきかが問われています。

マイクロプラスチックと地球温暖化:関連性と可能性

プラスチック製造過程は大量のエネルギーを必要とし、その結果として大量の温室効果ガスが排出されます。それにより、マイクロプラスチック問題は地球温暖化とも深い関連性を持っています。
また、マイクロプラスチックが海洋中に広がることで、海洋の二酸化炭素吸収能力が低下する可能性も指摘されています。
これらの事実は、マイクロプラスチック問題が単なる海洋汚染問題だけでなく、地球全体の環境問題であることを示しています。

企業がマイクロプラスチックを減らすためにどのように貢献しているか

分解できる容器

企業のマイクロプラスチック削減戦略

企業はマイクロプラスチック問題の解決に向けて大きな役割を担っています。特に大手飲料メーカーや家庭用品メーカーは、プラスチック製品や包装の使用を削減する戦略を進めています。 それらの企業は2030年までに全てのプラスチック包装をリサイクル可能、もしくは再生素材で作るという目標を掲げています。これらの取り組みは、企業が環境負荷の軽減と持続可能な社会の実現に向けて進めるべき重要な戦略となっています。

製品開発とパッケージングの改良:プラスチックの代替

製品開発においても、企業はプラスチックの代替素材の探求や、既存の製品をより環境に優しく改良する努力をしています。
食品包装や一回使用のカトラリーの代替案として、竹や木、紙などの素材で作られた食器やカトラリーが存在します。また、自宅から持ち込む形で再利用可能な容器やカトラリーの使用も推奨されています。
カリフォルニア州では、2020年から一回使用のカトラリーのレストランでの無制限提供が禁止され、顧客の要求があった場合のみ提供されるようになっています。これにより、無駄なプラスチック使用が抑制されています。

また、バイオマス素材や生分解性プラスチックの開発は、プラスチック代替品として大いに期待されています。これらは植物由来の原料を使用し、環境に放出された後は自然に分解されます。
日本では、2020年度にバイオプラスチックの生産量が前年比12.5%増約70万トンとなり、これは世界のバイオプラスチック生産量の約20%を占めています。
持続可能な社会を実現するためには、これらの素材の利用をさらに進めることが必要です。

持続可能なパッケージング:再利用とリユース

持続可能なパッケージングは、マイクロプラスチックの排出を抑える上で重要な役割を果たします。
循環型の社会を目指すには、単に製品をリサイクルするだけでなく、再利用やリユースを推進することが不可欠です。ガラスやメタルなどの容器は、適切に洗浄すれば何度でも再利用が可能です。
フランスでは2018年からレジ袋の無料提供が禁止され、その結果、年間で40億枚ものレジ袋が削減されたという報告があります。

企業の社会貢献:環境に優しいイノベーション

企業は自社の利益だけでなく、社会貢献も視野に入れたイノベーションを推進しています。特に、マイクロプラスチックの海洋への流出を防ぐ技術や、海洋汚染の回収・清掃を行うプロジェクトに投資する企業が増えています。
これらの取り組みは、企業の責任と持続可能な社会をつなげる重要なステップであり、企業の役割が注目されています。

個人がマイクロプラスチック削減にどう関与できるか

エコバックとマイボトル

個人の役割:ごみ問題とリサイクル

私たちの生活習慣は、地球上のマイクロプラスチックの量を大幅に変動させる力を持っています。私たち一人ひとりが発生させるごみの量、そのうちの何パーセントがリサイクルや再利用に回されるかは、地球環境に大きな影響を及ぼします。
日本では2018年の1人当たりのプラスチックごみ排出量は約34kgで、そのうちリサイクルされるのは約25%だけです。プラスチック廃棄物の適切な処理とリサイクルにより、私たち一人ひとりがマイクロプラスチック問題の解決に貢献することができます。

日常生活でのマイクロプラスチックの削減方法

日常生活での小さな行動一つひとつが、マイクロプラスチック問題の解決につながります。例えば、使い捨てのプラスチック製品を避け、再利用可能な製品を選ぶことや、生分解性の製品を使用することが可能です。
また、微細なマイクロプラスチックが含まれる可能性のある製品、例えば一部の洗顔料や歯磨き粉を選ばないことも重要です。これらの選択は、個人がマイクロプラスチックの発生を抑制するための具体的なステップとなります。

買い物と消費行動の変化:マイバッグとマイボトルの利用

持続可能な社会を目指す行動の一つとして、買い物の際にマイバッグやマイボトルを使用することが挙げられます。
2021年より日本では全てのレジ袋が有料化され、それ以降マイバッグの使用が一般的となりました。また、ペットボトル飲料の購入を減らすために、マイボトルの利用も広まっています。
これらの習慣は、使い捨てプラスチックの消費を削減し、環境負荷を低減する上で大きな効果を発揮します。

家庭でのマイクロプラスチック使用を減らすための具体的なステップ

ペットボトルをゴミ箱に捨てている

プラスチック製品の代替案:生分解性と再生可能な素材

家庭でのプラスチック使用量を減らすためには、可能な限り生分解性や再生可能な素材による製品を選ぶことが有効です。
たとえば、竹や木、紙などの天然素材で作られた食器や家具、生分解性の袋や包装材などがあります。こうした製品は、環境に放出されても自然に分解され、マイクロプラスチックの発生を抑制します。また、生分解性製品は地球温暖化を抑制するCO2吸収材としても期待されています。

家庭でのリサイクルとごみ分別

家庭でのごみ分別やリサイクルは、マイクロプラスチック問題の解決に対する重要な一歩です。
プラスチック製品を捨てるときは、各自治体の指導に従って正しく分別しましょう。日本では、2018年のプラスチックごみのリサイクル率は約25%で、その中でもペットボトルのリサイクル率は85%に達しています。
より多くのプラスチック製品がリサイクルルートに流れることで、新たなプラスチック製品の生産とそれに伴うマイクロプラスチックの発生を抑制することが可能です。

使用済みプラスチックの適切な処分方法

使い終わったプラスチック製品は適切に処分することが重要です。一部のプラスチック製品は再利用やリサイクルが可能ですが、それが難しい場合や、マイクロプラスチックを含む可能性がある製品の場合は、各自治体の指導に従って処分する必要があります。
また、野外でのゴミ捨ては厳しく禁じられています。2020年の国土交通省の調査によると、日本の海岸で見つかるごみの多くは陸地から流れ込んだもので、その約80%がプラスチック製品であると報告されています。
このような状況を改善するためにも、適切なごみ処分は不可欠です。

政策と法規制によるマイクロプラスチックの管理

黒板に書かれたポリシー

国際的な取り組みと法規制

マイクロプラスチック問題は、地域だけでなく全世界を巻き込む大きな課題です。各国や国際的な組織が積極的に取り組むべき課題であり、2015年に国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)の一つでもあります。
ヨーロッパ連合(EU)は2021年に一部の一次マイクロプラスチックの製造と販売を禁止する法案を可決し、これは世界で初めての試みとなりました。

日本におけるマイクロプラスチック問題への対策

日本でもマイクロプラスチック問題への取り組みが進められています。
2018年、日本はG20大阪サミットで「洋プラスチックごみ対策の実施に向けた宣言」を採択し、各国による協力体制の構築を呼びかけました。また、2020年には「プラスチックリソース循環戦略」が策定され、マイクロプラスチックの排出源からの削減に向けた具体的なアクションが提案されています。

自治体レベルでの具体的な取り組みと施行

自治体レベルでもマイクロプラスチックの排出削減に向けた取り組みが見られます。
東京都は2020年にプラスチックごみ削減条例を施行し、レジ袋の有料化を始めとする具体的な取り組みを進めています。
また、神奈川県では市民や企業が参加する「マイクロプラスチックゼロプロジェクト」を立ち上げ、マイクロプラスチックの排出を抑制するための具体的な行動を求めています。

マイクロプラスチック問題を解決するためのイノベーションとテクノロジー

バイオの研究

新技術によるマイクロプラスチックの回収と分解

最新の科学研究によれば、特定の種類の細菌がマイクロプラスチックを分解する能力を持つことが確認されています。これは、生物技術を活用してマイクロプラスチック問題を解決する可能性を示しています。
また、革新的なフィルタリング技術により、排水からマイクロプラスチックを効率的に回収できるようになる可能性もあります。

プラスチック製品の代替:環境に優しい開発とイノベーション

環境に配慮した製品開発とイノベーションにより、プラスチック製品の代替が進んでいます。例えば、食品包装に使用されるプラスチックフィルムの代わりに、食品廃棄物から作られたバイオ素材が注目を浴びています。また、竹やカネコンなどの天然素材を用いた使い捨て製品も増えてきています。

海洋清掃の取り組み:最新テクノロジーとプロジェクト

海洋清掃の取り組みも進化を遂げています。
オランダの非営利組織「The Ocean Cleanup」は、海流を利用した大型清掃装置を開発し、太平洋ゴミベルトと呼ばれる海洋汚染の温床をターゲットに活動を行っています。
また、AIを活用したドローン技術も海洋プラスチックの位置情報を収集し、回収効率を向上させるために使用されています。


このようにマイクロプラスチック問題は地球規模での取り組みを必要とします。企業の意識改革、個々の行動、そして革新的な技術が合わさることで、よりクリーンな環境に向けた前進が可能になります。
それぞれの選択と行動が未来の環境を作ります。


参考資料

環境省:プラスチック資源循環

 

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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。