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食品ロスを飼料に? エコフィードって何?

公開日: 更新日:2023.12.26
食品ロスを飼料に? エコフィードって何?

「食品ロス」を活かす方法として「エコフィード」が注目されています。

今回は、エコフィードの基本知識から製造プロセス、メリット・デメリット、そして規制や課題まで、詳しく探求していきます。

 

エコフィードとは? 基本の知識

ゴミ箱に食べ物が入っている

エコフィードの原理:食品ロスをリサイクル

エコフィードとは、一言で表すならば「食品ロスをリサイクルして作られる飼料」です。
全世界の食品ロスの約30%は、繊細な保管条件や消費期限を過ぎてしまった食品によるもの。これらを新たな飼料へと変えることで、資源の有効活用が実現します。
エコフィードは食品ロスを特殊な熱処理で無菌化し、高品質な飼料に変換します。このプロセスにより、従来は廃棄されていた食品ロスが、新たな生命を育む飼料へと生まれ変わるのです。

エコフィードの活用で農林水産省が目指す目標

エコフィードは、資源の有効活用だけでなく、食品ロス削減という重要な社会課題の解決にも寄与します。
農林水産省はエコフィードの普及を通じて、2030年度までに食品ロスを半減するという目標を掲げています。食品ロスを有効利用することで、CO2排出量の削減や循環型社会の構築、飼料自給率の向上にもつながります。そのため、エコフィードの更なる普及が期待されているのです。

製造から廃棄まで:エコフィードのライフサイクル

エコフィードのライフサイクルは、食品ロスの回収から始まります。回収された食品ロスは、適切な熱処理を受け、無菌化されます。その後、バランスの良い栄養価を持つ飼料へと変換され、畜産業者へと供給されます。
畜産動物に与えられたエコフィードは、新たな肉や卵、乳製品へと生まれ変わり、私たちの食卓へと届けられます。また、エコフィードの生産過程で発生する廃棄物は、可能な限りリサイクルが行われ、最終的には堆肥として農地に還元されます。
これが、エコフィードのライフサイクルという流れです。

エコフィードの作り方:食品ロスから飼料へ

羊に餌をあげている

食品ロスの発生源とその活用方法

日本における食品ロスの発生源は多岐にわたります。スーパーマーケットやレストランから出る未消費の食材や、家庭から出る食べ残し、そして食品加工工場の製造過程で出る廃棄物などが主な発生源です。
これらの食品ロスは、多くの場合、焼却や埋立処分といった形で処理されてきました。しかし、これらの食品ロスを有効に活用することで、新たな資源として生まれ変わらせることが可能です。その一つが、エコフィードへの転換です。

エコフィード製造の具体的なプロセス

エコフィードの製造プロセスは、以下のような流れで行われます。
まず、各種の食品ロスが回収され、適切な熱処理により無菌化されます。続いて、無菌化された食品ロスは機械により細かく砕かれ、混合されます。この過程で、適切なバランスの飼料が作られます。そして、最後に乾燥させられ、包装されます。
これにより、食品ロスは新たな飼料、エコフィードとして再生されるのです。

製造に必要な設備とコスト

エコフィードの製造には、食品ロスを処理するための熱処理装置や、飼料を混合・砕く機械、さらには乾燥や包装を行う装置など、特殊な設備が必要です。
これらの設備の初期投資コストは高額ですが、適切な運用により、食品ロスから得られる資源の価値と、それによって創出される新たなビジネスチャンスは、そのコストを上回る可能性があります。さらに、政府の補助金制度を活用すれば、コスト負担を軽減することも可能です。

エコフィード利用のメリットとデメリット

視察している

エコフィードのメリット:資源の有効活用とコスト削減

エコフィードは、食品ロスという捨てられる運命にあったものを有効に再利用することで、環境保護に寄与します。
それだけでなく、エコフィードは経済的なメリットも提供します。飼料の製造に一般的に必要とされる新たな資源の消費を抑え、代わりに既存の食品ロスを活用することで、コスト削減が見込まれます。
また、エコフィードの製造・販売は新たな雇用の創出や地域経済の活性化にもつながります。

エコフィードのデメリットとその対策

一方で、エコフィードにもデメリットがあります。
食品ロスを飼料に転換するプロセスでは、品質管理や衛生管理が重要となります。食中毒などのリスクを避けるためには、設備投資や管理体制の整備が求められます。
また、エコフィードの製造には、特定の設備や技術が必要で、これらの習得や導入には初期投資や時間がかかることもデメリットと言えます。これらの課題を克服するためには、政府の支援や技術開発、綿密な品質管理体制の構築が必要です。

食品リサイクルとエコフィード:環境への影響

食品リサイクルは、循環型社会の形成に不可欠な取り組みであり、エコフィードはその一環として期待されています。
食品ロスを有効活用することで、廃棄物処理の負担を減らすだけでなく、新たな資源の採取を抑えることができます。これは、環境負荷の軽減や生物多様性の保全に寄与します。
また、エコフィードの製造・利用は、温室ガスの排出削減にもつながるため、地球温暖化防止にも役立つとされています。ただし、製造プロセスにおける環境負荷も考慮に入れる必要があります。

エコフィード導入の法的な規制と課題

サポート

農林水産省によるエコフィードの規制と推進

エコフィードの製造や使用には、農林水産省が定める一定の規制があります。衛生的な管理や品質保証を図るため、食品ロスからエコフィードへの転換には厳しい基準が設けられています。
一方で、食品ロス削減の観点から、農林水産省はエコフィードの普及を積極的に推進しています。政策的な支援や補助金、エコフィード利用農家への優遇措置など、その取り組みは多岐にわたります。

食品ロスとエコフィードの関係性:法的な視点から

エコフィードは、法的な規制を通じて食品ロスと密接に結びついています。
食品ロスの削減は環境保全や資源の有効利用という観点から、国際社会で急速に課題となっており、その解決策の一つとしてエコフィードの普及が期待されています。
また、法制度を通じてエコフィードの製造や使用が規制され、その一方で、製造事業者に対する補助や優遇措置が設けられるなど、法的な取り組みが進められています。これらの取り組みにより、食品ロス削減とエコフィードの普及が促進され、循環型社会の実現に貢献しています。

食品ロスを飼料に!エコフィードの実例紹介

飼料

成功事例:エコフィードの導入で畜産業が変わった

エコフィードの導入は日本の畜産業にもポジティブな影響を及ぼしています。
具体的な例としては、北海道のある酪農家があります。この酪農家では食品工場の余剰食材をエコフィードとして利用し、結果として飼料コストが大幅に削減されました。さらに、その牛乳は「食品ロスを活用した持続可能な生産方法」をPRすることで消費者からも高い評価を得ており、経済的にも持続可能性の観点からも成功を収めています。

エコフィードを利用した創造的な取り組み

エコフィードの導入は創造的な取り組みを促しています。
例えば、都市部のレストランやカフェで発生する食品ロスを収集し、それを地方の畜産農家へエコフィードとして提供するプロジェクトがあります。これは食品ロスのリサイクルと地方振興を結びつける新たな取り組みで、都市と地方、飲食店と農家の新たな連携を生んでいます。

海外のエコフィード導入事例とその結果

海外でもエコフィードの導入は進んでいます。欧州ではすでに、食品ロスから生成されるバイオマスをエネルギー源として利用するだけでなく、エコフィードとして活用する取り組みが広く行われています。
デンマークでは国家レベルでの食品ロス削減計画の一環としてエコフィードの製造と利用が推進され、2020年時点で食品ロス量を10年前比で30%削減する成果を上げました。この成功はエコフィードの導入が食品ロス問題の解決に大きく寄与する可能性を示しています。

エコフィードの効果と影響

酪農家

エコフィードの飼料としての質:栄養価と安全性

エコフィードは食品ロスをリサイクルしたものであり、その質は食品ロスの種類や処理方法に大きく左右されます。しかし、適切な管理と処理が行われれば、エコフィードは高い栄養価を持つ飼料となります。
食品ロスは元々人間が摂取するための食品から生じるため、タンパク質やビタミンなどの栄養素を豊富に含んでいます。また、安全性についても、適切な処理と管理が行われていれば問題はありません。

畜産業におけるエコフィードの可能性

エコフィードの導入は畜産業の持続可能性向上に大きな可能性を秘めています。飼料のコストを削減し、食品ロスを有効に活用することで、環境負荷の低減と経済的な利益を両立することが可能です。
また、消費者の間で高まるサステナブルな商品への需要に応えるためにも、エコフィードの導入は有効な戦略となり得ます。エコフィードは今後の畜産業における重要な要素となるでしょう。

日本の飼料自給率は?

パーセント

現状の飼料自給率とその問題点

日本の飼料自給率は、残念ながら低い状況にあります。
農林水産省のデータによれば、2022年時点での飼料自給率はわずか13%です。これは、穀物を中心とした飼料の多くを海外から輸入していることを示しており、国内の畜産業が輸入飼料の価格変動や供給不安に直面するリスクを背負っていることを意味します。

エコフィードで向上する?日本の飼料自給率

エコフィードの導入は、日本の飼料自給率向上の一つの手段となり得ます。
食品ロスをエコフィードに転換することで、海外からの飼料輸入に依存する割合を減らし、自給自足の可能性を拡大できます。さらに、これは地元の経済を活性化させ、農家の収入向上にも寄与します。

輸入に依存する飼料:エコフィードがもたらす解決策

エコフィードの導入は、飼料の輸入依存問題への対策として期待されています。
エコフィードを製造するための原料は、既に発生している食品ロスであり、これにより国内の資源を最大限に活用することが可能になります。さらに、エコフィードの製造と利用は循環型社会の構築に繋がるため、持続可能な畜産業の発展にも貢献します。



エコフィードは、食品ロスのリサイクルにより飼料自給率の向上に繋がり、食料の安定供給に寄与します。

さらに、エコフィード導入は地球環境にも優しく、持続可能な社会実現への一歩となるでしょう。

しかしながら、規制や品質確保などの課題も多いため、これからの取り組みが求められます。

 

参考資料

農林水産省:エコフィードについて

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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。