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サルベージとは?捨てられる前に食品を「サルベージ」せよ!

公開日: 更新日:2024.01.05
サルベージとは?捨てられる前に食品を「サルベージ」せよ!

食品がゴミ箱に向かうその手前で、あなたがそれを救えたらどうでしょうか?

「サルベージ」という言葉は、海から沈没船を引き上げることから由来しますが、食品の世界においても、まさにその活動を喩える言葉となっています。

毎日の買い物から晩ごはんの支度まで、気が付かないうちに失われていく食品。そんな無駄をなくし、食品を「サルベージ」する行動が、家庭を豊かにし、地球を救う第一歩となり得るのです。


サルベージの基本

食品を段ボールに入れている

サルベージとは何か

サルベージとは、主に食品ロスを防ぐために、捨てられる寸前の食品を救助・回収し、有効に活用することを指します。

日本では年間約600万トンの食品が廃棄されると言われており、そのうち多くがサルベージの対象となる可能性があります。未利用食品や賞味期限が近づいた商品、外見上の傷や変形があるものなどがサルベージの対象に含まれます。これらの食品は、見た目の問題や流通の都合で廃棄されることが多いが、品質には問題がないことが一般的です。

サルベージの効果

食品のサルベージ、すなわち食品の回収と再利用は、社会に多岐にわたる効果をもたらします。
まず、経済的な効果があります。消費期限が迫ったり、外見上の小さな欠陥がある食品を回収して再利用することで、これらの食品が無駄になるのを防ぎます。その結果、食品生産のコスト効率が向上し、全体の経済的損失を減らすことができます。

次に、環境への効果も大きいです。食品の生産から廃棄に至るプロセスは、水やエネルギーなどの貴重な資源を大量に消費します。サルベージによって食品の再利用が進むと、これらの資源の無駄遣いを抑制し、環境への負荷を軽減することが可能です。

また、社会的な効果もあります。食品サルベージの取り組みは、食品ロス問題に対する認識を高めるとともに、地域社会における連携と協力を促進します。例えば、食品バンクと連携した活動などは、経済的に困窮している人々への支援となり、共感と協力の輪を広げるきっかけともなります。
このように、食品のサルベージは、経済、環境、社会全体にわたってポジティブな効果を生み出す貴重な取り組みであり、持続可能な未来への一歩となる重要な行動です。

食品サルベージの法律

法律

廃棄される食品の規制

食品の廃棄には、多岐にわたる規制が存在します。特に、消費者への安全確保と衛生管理が求められます。衛生的に問題のある食品の流通防止と、安全でない食品の排除が目的です。

食品廃棄物の取り扱いには、食品衛生法廃棄物処理法などが関係し、これらに従わない処分が行われると罰則が科されることがあります。国や自治体が提供するガイドラインに従い、適切に廃棄物を分別・処理することが求められています。

フードロス削減の法令

フードロス削減に関連する法令は、持続可能な社会の構築と、環境への影響の軽減を目的としています。

食品ロス削減推進法」は、食品ロスの現状把握と削減計画の策定を促進するもので、国の支援体制も強化しています。この法律は、企業や自治体による積極的な取り組みを後押しし、消費者にも適切な情報提供を求めるものです。具体的には、2023年度までに全量販業者に対する食品ロスの量の公表が求められています。

フェアトレードされる食品

フェアトレードされる食品に対する法的な規制や支援は、国際的な取り組みとして重要です。

フェアトレードは、生産者に公正な報酬を支払い、環境と社会的な持続可能性を促進する運動であり、食品サルベージとは異なる側面を持ちます。しかし、両者は共通して持続可能な消費と生産の推進を目的としています。

フェアトレードの認証制度は、国際的にも構築されており、消費者が責任ある選択をする助けとなっています。日本では、特定非営利活動法人ジャパン・フェアトレード協議会(JFTO)などが、フェアトレードの普及と認識向上の活動を展開しています。

サルベージの成功事例

サルベージ

料理でのフードウェイスト削減

食品ロス削減の取り組みとして、料理のプロセスにおいて工夫する方法が注目されています。余りがちな食材の使い方を工夫するレシピ開発や、調理過程で発生するくずを再利用する方法などがあります。

一部のレストランでは、皮や茎など通常廃棄される部分を活用した新メニューを提供しており、その創造性とエコ意識が顧客から支持されています。一般家庭でも、日本の家庭において年間約618,000トンの食品ロスが発生しているとされる中で、これらの方法を取り入れることにより、食品ロス削減が可能です。

ドネーションされる食品

食品のドネーションは、捨てられる運命にある食品を必要とする人々に届ける素晴らしい取り組みです。賞味期限が近い商品や外見の傷がある商品など、市場から排除されがちな商品を、福祉施設や学校給食に供給する活動が全国で広がっています。

この取り組みは、食品ロス削減だけでなく、地域社会との連携強化にもつながる価値があります。具体的には、2019年には全国で約8,000トンの食品がドネーションされるなど、着実に成果を上げています。

サルベージパーティの開催

サルベージパーティは、食品ロス削減の楽しい形式の一つとして人気があります。

このパーティは、余った食材や近づいた賞味期限の食品を持ち寄り、参加者で共有し合う形式です。料理の交流を楽しみながら、食品ロスの削減を図ることができます。特に、都市部の若者の間で流行しており、新しいコミュニティ形成や、サステナビリティへの意識向上に貢献しています。
このパーティの開催は、食品ロス削減の重要性を一人ひとりに広める効果もあります。

家庭でできるサルベージ術

生ごみをたい肥に

食べ残しのリサイクル

食べ残しは、家庭内での食品ロスの大きな部分を占めることがあります。食べ残しをリサイクルする方法として、次の日の料理に再利用する、スープやスムージーに変えるなどの工夫があります。

一方、食べ残しには衛生管理が必要です。適切に保存し、再加熱することで、安全にリサイクルすることができるのです。日本の厚生労働省によると、冷蔵庫での保存は10℃以下、できるだけ早い段階での消費が推奨されています。

堆肥化される食品の活用

家庭での堆肥化は、食品ロスを有効に活用する素晴らしい方法です。特に生ゴミなどの有機物は、堆肥として土壌改良に役立てることが可能です。

堆肥化は、微生物や酵素の働きによって有機物を分解し、土壌に豊富な栄養を供給します。簡単な家庭用堆肥装置を用いることで、家庭菜園などに使用できる堆肥を自家生産することができるのです。2019年の環境省の調査によれば、家庭での堆肥化実施率は約5%とまだ少ないため、今後の普及が期待されます。

サルベージ活動への参加

サルベージ活動への参加は、食品ロス削減を目指す個人が行うべき重要なステップです。

各地で行われている食品サルベージのボランティア活動に参加することで、地域社会への貢献とともに、食品ロスの実態を深く理解することができます。食品バンクなどの団体が運営するプログラムでは、未利用食品の回収と再配布を行っています。
一般社団法人日本フードバンク協会によれば、2020年度の活動により約1900トンの食品が再利用され、飢餓対策や地域貢献につながっています。

食品ロス削減とスーパーマーケットとの連携

スーパーで買い物をしている

未利用食品の活用と賞味期限切れ商品のサルベージ

未利用食品の活用と賞味期限切れ商品のサルベージは、食品ロス削減の重要な側面です。

売れ残りや外見の欠点から廃棄される食品は、低価格提供や食品銀行への寄付として再利用が可能です。特に賞味期限切れの食品は、賞味期限と消費期限の違いを適切に理解し、専門店や食品銀行でサルベージする活動が進展しています。
このような取り組みにより、社会的な連帯と支援の体系が築かれつつあります。

スーパーと連携した食品ロス削減戦略

スーパーマーケットとの連携は、食品ロス削減戦略における鍵となっています。捨てられる食品の回収や、在庫管理の最適化、賞味期限が迫った商品の値下げ販売などが、連携による主な戦略です。

例えばフランスでは、未利用食品の寄付が義務付けられ、食品ロスが約50,000トン減少しました。テスコのような小売業者の戦略も成功を収め、消費者への教育と社会全体への影響が期待されています。

食品リサイクルとスーパーからの食品取り扱い

食品ロスの削減には、食品リサイクルが不可欠であり、スーパーからの食品取り扱いが重要なプロセスです。廃棄される食品からの動物飼料やバイオマス燃料の生産技術が進展しており、エネルギーの回収も期待されています。

スーパーから回収された食品のリサイクルは、衛生確保、賞味期限チェック、再パッケージングなどが求められます。食品バンクなどの取り組みは、飢餓と貧困の問題解決にも寄与しており、サルベージからリサイクルへの流れが食品ロス削減の鍵となっています。

食品ロスとサルベージの関係性は、持続可能な未来のための重要なステップです。

この取り組みによって、無駄なリソースの消費を抑え、環境負荷を軽減するとともに、地域社会の連携と共感を深めることができます。個人、企業、政府の各レベルでの協力と努力が必要とされ、食品ロスの削減とサルベージの推進は、私たち全員の責任となっています。

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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています♪

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。