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【リサイクルの裏側】プラスチックは本当にリサイクルできるの?

公開日: 更新日:2024.02.04
【リサイクルの裏側】プラスチックは本当にリサイクルできるの?

プラスチックは、私たちの生活に欠かせない素材です。しかし、プラスチックごみの増加は、地球環境に大きな負荷をかけています。
プラスチックリサイクルは、プラスチックごみの削減や環境負荷の軽減に貢献する重要な取り組みです。

しかし、本当に効果的にリサイクルされているのでしょうか?

プラスチックリサイクルのプロセスと現実、そして私たちが目指すべき循環型社会のビジョンを探求しましょう。


プラスチックリサイクルの流れ

プラスチック回収

プラスチックごみの回収方法

プラスチックのリサイクルは、回収から始まります。日本では、家庭から出るプラスチックごみは自治体が定めた日に指定の場所へ出されます。自治体によっては、プラスチックごみの収集に回数やルールが設定されており、回収の効率化が図られています。
分別方法は自治体によって異なりますが、一般的には、ペットボトル、容器包装プラスチック、プラスチック製容器包装、その他プラスチックの4種類に分けられます。

プラスチックごみは集められた後、リサイクル施設へと運ばれ、リサイクルのプロセスが始まります。この回収方法の効率性が、リサイクル率に大きく影響を及ぼします。

分別と再生のプロセス

回収されたプラスチックごみは、選別場で種類ごとに選別されます。
選別方法は、手作業、機械選別、水洗選別などがあります。手作業は、目視で種類を判別する方法です。機械選別は、光や重さなどを利用して種類を判別する方法です。水洗選別は、水流を利用して種類を分離する方法です。

分別されたプラスチックは種類に応じて、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクル、サーマルリサイクルといった異なるリサイクル方法に振り分けられます。
例えば、ペットボトルは洗浄されて再びプラスチック原料として利用されます。一方で、一部のプラスチックは焼却されてエネルギー回収に利用されることもあります。

この分別と再生プロセスは、リサイクルされるプラスチックの品質と量に直接関係し、効率的なリサイクルシステムの構築には欠かせません。


リサイクルへの日本の取り組み

日本は、プラスチックリサイクルにおいて積極的な取り組みを行っています。国内では、リサイクルの促進や廃棄物の減量化が法律によって支えられており、企業や自治体が協力してリサイクルシステムを整備しています。

容器包装リサイクル法の改正:2022年4月に、容器包装リサイクル法が改正されました。これにより、容器包装プラスチックのリサイクル率の目標が25%に引き上げられました。
プラスチック資源循環促進センターの設立:2021年10月に、プラスチック資源循環促進センターが設立されました。このセンターは、プラスチックリサイクルの推進を図るために、行政、企業、研究機関などが連携して活動しています。

これらの取り組みにより、プラスチックリサイクルのさらなる推進が期待されています。

プラスチックごみの回収率は、日本では約20%(2022年)と、世界的に見ても高い水準です。特にペットボトルのリサイクル率は90%以上と高く、これは国際的にも評価されています。
しかし、世界全体の回収率は約9%(2020年)と低いため、さらなる回収率の向上が求められています。

さらに、リサイクル不可能なプラスチック製品の処理やマイクロプラスチック問題など、解決すべき課題も残されています。
日本はこれらの課題に対し、新たな技術開発や国民への啓蒙活動を通じて、持続可能な循環型社会の実現を目指しています。


三つのリサイクル方法

3つのリサイクル方法

マテリアルリサイクルの詳細

マテリアルリサイクルは、廃棄されたプラスチックを物理的に加工し、新たな製品に生まれ変わらせる方法です。

プラスチックは、石油や天然ガスなどの原料から製造されます。マテリアルリサイクルでは、これらの原料を使わずに、プラスチックごみを原料として新しいプラスチック製品を製造します。
廃棄物を減らし資源を有効活用する点で大きな利点があります。

しかし汚れや異物が混じるとリサイクル品質が低下するため、適切な分別と清掃が不可欠です。

マテリアルリサイクルのメリットは、以下のとおりです。

◎資源の有効活用ができる
◎エネルギーの消費量を抑えられる
◎温室効果ガスの排出量を抑えられる

マテリアルリサイクルのデメリットは、以下のとおりです。

◎品質の劣化が起こりやすい
◎混合されたプラスチックはリサイクルが難しい

マテリアルリサイクルの具体的な工程は、以下のとおりです。

プラスチックごみの回収 → 選別 → 粉砕 → 洗浄 → 造粒 → 成形

回収されたプラスチックごみは、選別場で種類ごとに選別されます。その後、粉砕機で細かく粉砕され、洗浄機で洗浄されます。洗浄されたプラスチックは、造粒機で粒状に加工され、成形機で新しいプラスチック製品に成形されます。

マテリアルリサイクルは、現在最も普及しているプラスチックリサイクルの方法です。


ケミカルリサイクルの概要

ケミカルリサイクルは、プラスチックを分解して再利用する方法です
プラスチックは、原料となるモノマー(単量体)から合成されます。ケミカルリサイクルでは、プラスチックを化学的に分解してモノマーに戻し、それを原料として新しいプラスチック製品を製造します。

この方法の利点は、品質が劣化したり、混合されたプラスチックでもリサイクル可能であることです。さらに、廃棄されるプラスチックの量を減らすことで、環境への負荷を低減できます。

ただし、高い技術とコストが必要とされるため、まだ一般的なリサイクル方法とは言えませんが、今後の技術革新により期待されています。

ケミカルリサイクルのメリットは、以下のとおりです。

◎品質の劣化が起こりにくい
◎混合されたプラスチックもリサイクル可能
◎エネルギーの消費量を抑えられる
◎温室効果ガスの排出量を抑えられる

ケミカルリサイクルのデメリットは、以下のとおりです。

◎技術開発が進んでいない
◎コストが高い

ケミカルリサイクルの具体的な方法は、以下のとおりです。

溶融分解法:プラスチックを溶かして、モノマーや他の化合物に分解する方法
熱分解法:プラスチックを熱分解して、モノマーやガスに分解する方法
水分解法:プラスチックを水で分解して、モノマーやガスに分解する方法

溶融分解法は、最も開発が進んでいるケミカルリサイクルの方法です。日本では、ペットボトルなどのプラスチックを溶融分解して、新しいプラスチック製品に再生する技術が実用化されています。


サーマルリサイクルの利点

サーマルリサイクルは、廃プラスチックを熱エネルギーに変換するリサイクル方法です。この方法では、プラスチックを高温で焼却し、発生した熱を発電や熱源として利用します。

サーマルリサイクルの最大の利点は、品質の劣化や材質の混合が問題にならないことです。さらに、ごみの量を大幅に減少させることができ、廃棄物処理の効率化に貢献します。

日本では特に、都市部でのごみ処理として普及しており、環境に配慮したエネルギー利用の一環として注目されています。
ただし、焼却時の環境への影響も考慮する必要があります。

サーマルリサイクルのメリットは、以下のとおりです。

◎資源の有効活用ができる
◎温室効果ガスの排出量を抑えられる

サーマルリサイクルのデメリットは、以下のとおりです。

◎有害物質が排出される可能性がある
◎エネルギー効率が悪い

サーマルリサイクルは、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが難しいプラスチックや、混合されたプラスチックなどのリサイクルに用いられます。
日本では、焼却発電やセメント製造の燃料として、プラスチックがサーマルリサイクルされています。


プラスチックリサイクルの現状と課題

回収率の低さ

回収率の低さ

プラスチックリサイクルの大きな課題の一つは、回収率の低さです。実際には、使われたプラスチック製品の多くがリサイクルされずに終わっています。

回収率が低い理由は、以下のとおりです。

プラスチックごみの混合排出:プラスチックごみが分別されていないまま排出されるため、リサイクルが困難になる
リサイクルの費用:プラスチックリサイクルは、石油や天然ガスからプラスチックを製造するよりもコストが高いため、リサイクル業者が撤退するケースも

これは、回収システムの不備や、一般消費者のリサイクルに対する意識の低さが原因と考えられます。

回収率を向上させるためには、プラスチックごみの分別を徹底し、リサイクルの費用を抑えられるような取り組みが必要です。
また、リサイクルのシステムを見直し、消費者への教育や啓発活動を強化することが求められています。


分別の難しさ

プラスチックごみの分別は、その多様性から難しい課題です。

プラスチックリサイクルでは、プラスチックの種類ごとに分別する必要があります。
しかし、プラスチックには、さまざまな種類があり、見た目や触り心地だけでは、種類を判別するのが難しいものもあります。また、多くのプラスチック製品は、異なる種類の素材が混ざっており、これらを効率的に分別することは容易ではありません。
これらのプラスチックは、分別が困難なため、リサイクルが難しくなります。

この複雑な分別プロセスは、リサイクルの効率を下げる大きな要因となっています。
現在、分別を容易にするために、プラスチック製品に種類を示す表示を義務付けるなどの取り組みが進められています。

リサイクル率のアップには、効果的な分別方法の開発や、一般消費者による正確な分別への協力が必要です。


再生プラスチックの用途と課題

再生プラスチック

再生プラスチックの商品化

再生プラスチックの商品化が進む背景には、プラスチックごみの削減や資源の有効活用という大きな要因があります。

プラスチックは、石油や天然ガスなどの化石燃料から製造されるため、資源の枯渇や温室効果ガスの排出につながります。そのため、プラスチックごみを減らし、資源を有効活用することは、持続可能な社会の実現に欠かせない取り組みです。

再生プラスチックは、プラスチックごみを原料として作られるため、プラスチックごみの削減や資源の有効活用に貢献します。例えば、ペットボトルは、リサイクルされて新たなペットボトルや衣料品に変身します。また、廃プラスチックから作られる家具や建材も市場に出ています。


再生プラスチックの課題

品質の維持

再生プラスチックの課題は、品質の維持です
再生プラスチックは、新品のプラスチックに比べて、品質が劣る場合があります。これは、以下の理由によるものです。

汚れや異物の混入:プラスチックごみに汚れや異物が混入していると、再生品質が低下する
品質のばらつき:再生プラスチックは、原料のプラスチックごみの品質によって、品質がばらつく

再生プラスチックの品質を維持するためには、以下の取り組みが必要です。

プラスチックごみの分別の徹底
再生プロセスの改善


コスト管理

もう一つの大きな課題がコスト管理です。
再生プラスチックは、新品のプラスチックに比べて、コストが高い場合があります。これは、以下の理由によるものです。

リサイクルの費用:プラスチックリサイクルは、石油や天然ガスからプラスチックを製造するよりもコストが高い
再生プラスチックの品質のばらつき:再生プラスチックの品質がばらつくと、加工や製造のコストがかかる

再生プラスチックのコストを抑えるためには、以下の取り組みが必要です。

リサイクルの効率化
再生プラスチック製品の需要拡大

今後も、再生プラスチックの商品化は、サステナビリティの観点から、ますます重要になっていくと考えられます。
品質の維持やコスト管理などの課題を解決するために、政府や企業、消費者が一体となって取り組んでいくことが重要です。


リサイクル不可能なプラスチック製品

リサイクル不可

再生不可プラスチックの課題

リサイクルが難しいプラスチック製品には、特に複数の素材が混合されたものや、高度に化学処理されたものが含まれます。

【再生不可プラスチック】

複合材:プラスチックと他の素材を組み合わせた製品
混合プラスチック:複数の種類のプラスチックが混ざった製品
汚れたプラスチック:油や食品などの汚れが付着したプラスチック
小さなプラスチック:ペットボトルのキャップや、食品の包装フィルムなどの小さなプラスチック

例えば、食品包装の多層フィルムは、異なる種類のプラスチックが一緒に使われており、分解が難しいです。これらのプラスチックは、リサイクルプロセスで適切に分別・処理することが困難です。
このような製品は、最終的に焼却処理されることが多く、環境への負荷を増やす原因となっています。

リサイクル不可能なプラスチックの削減は、今後の課題として重要です


容器と包装の処理問題

再生不可プラスチックの多くは、容器や包装に使用されています。容器や包装は、私たちの生活に欠かせないものですが、その一方で、プラスチックごみの主な発生源となっています。
これらの多くは一度の使用で廃棄される使い捨て製品であり、リサイクル処理が進まないことが問題です。
特に、食品包装などは汚れや残留物があり、リサイクルが困難です。

日本では、容器包装プラスチックのリサイクル率は、約25%(2022年)です。
しかし、このうち、マテリアルリサイクルされるのは、約15%にすぎません。残りの約10%は、ケミカルリサイクルやサーマルリサイクルなどの処理に回されます。

容器や包装をリサイクルするためには、分別の徹底と、混合プラスチックの発生抑制が重要です。
マテリアルリサイクルの技術開発が進められるとともに、環境に優しい素材への転換や、リサイクルしやすい設計の導入が求められています。


プラスチック廃棄物の取り扱い

プラスチック廃棄物の取り扱いは、環境保護の観点から重要です。廃棄されるプラスチックの量は年々増加しており、これらの適切な処理が求められています。

現在、多くのプラスチック廃棄物は焼却処理されていますが、これは環境へのCO2排出を増加させる原因となります。また、適切に処理されないプラスチックは自然環境に放出され、海洋汚染や野生生物への影響を引き起こすこともあります。

焼却時に発生する熱を回収して、エネルギーとして利用する「サーマルリサイクル」は、資源の有効活用と環境負荷の低減につながる取り組みです。また、埋め立て時に発生するメタンガスを回収・利用することで、温室効果ガスの排出を抑える取り組みも進められています。

プラスチック廃棄物の減少と効率的な処理方法の開発は、環境保全のために不可欠です。
今後も、プラスチック廃棄物の取り扱いについて、さまざまな取り組みが進められることが期待されます。


循環型社会への貢献

循環型社会

循環型社会の実現への道

循環型社会とは、資源をできる限り繰り返し利用し、廃棄物を出さない社会のことです。

循環型社会を実現するためには、リサイクルだけでなく、持続可能な生産と消費のサイクルを確立することが重要です。
これには、廃棄物の減量化、リサイクル製品の利用促進、リソースの効率的な使用などが含まれます。
具体的には、再生可能な材料の使用、エネルギー効率の良い製造プロセス、製品の長寿命化などが挙げられます。
消費者も、リサイクル可能な製品を選ぶことで、このサイクルに貢献できます。

プラスチックリサイクルも、循環型社会の実現に欠かせない取り組みです。
プラスチックリサイクルを推進することで、以下のメリットがあります。

◎資源の枯渇を防止できる
◎温室効果ガスの排出を抑えられる
◎経済的メリットがある

循環型社会への移行は、環境への影響を最小限に抑えつつ、経済の持続可能性を高めるために不可欠なのです。


環境への負荷軽減

再生プラスチックの使用は、環境への影響を軽減します。具体的には、以下のメリットがあります。

【資源の枯渇の防止】
プラスチックは、石油や天然ガスなどの化石燃料から製造されます。再生プラスチックを使用することで、新たなプラスチックの生産を減らすことができます。これにより、化石燃料の使用量を削減し、資源の枯渇を防止することができます。

【温室効果ガスの排出量の削減】
プラスチックは、焼却すると温室効果ガスを排出します。再生プラスチックを使用することで、新たなプラスチックの製造量が減り、焼却量も減少します。これにより、温室効果ガスの排出量を削減することができます。

【海洋汚染の低減】
プラスチックごみは、海洋汚染の原因の一つです。再生プラスチックを使用することで、新たなプラスチックの生産量が減り、プラスチックごみの発生量も減少します。これにより、海洋汚染の低減に貢献することができます。

【生態系への影響の軽減】
プラスチックごみは、野生生物への影響も懸念されています。再生プラスチックを使用することで、新たなプラスチックの生産量が減り、プラスチックごみの発生量も減少します。これにより、生態系への影響の軽減に貢献することができます。

消費者側でも、リサイクル製品の選択や廃棄物の適切な分別によって、環境負荷の軽減に貢献することが可能です。

再生プラスチックの利用は、環境保全と経済活動の両立を目指す上で、重要な役割を果たしています。
今後も、再生プラスチックの利用拡大に向けた取り組みが進められることが期待されます。



プラスチックリサイクルの現実は複雑であり、多くの課題が存在します。
しかし、私たちの意識と行動が変われば、より持続可能な未来へと一歩近づくことができます。

分別の徹底や、再生プラスチック製品の利用など、できることから始めましょう



【参考】

日本プラスチック工業連盟

一般社団法人 プラスチック循環利用協会





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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。