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【リサイクルの裏側】ビンからビンへ、循環の秘密と環境効果

公開日: 更新日:2024.01.16
【リサイクルの裏側】ビンからビンへ、循環の秘密と環境効果

ガラスは、砂、石灰石、ソーダ灰を高温で溶かし固めた透明または半透明の硬い物質です。
紀元前から存在し、古代メソポタミアやエジプトで装飾品や容器として用いられました。現代では、窓ガラス、食器、照明器具、スマートフォンの画面など、生活のあらゆる場面で使用されています。

ガラスは100%リサイクル可能で、廃棄されたガラス製品は新しいガラス製品の原料として再利用されます。
このリサイクルプロセスは自然資源の節約と環境保護に貢献し、持続可能な社会の実現に不可欠な役割を果たしています。


ビンのリサイクル過程

ビンのリサイクル

ガラスリサイクルの基本

ガラスリサイクルは、廃棄されたガラス製品やビンを再び有用な製品に変える過程です。

ガラスは100%リサイクル可能な素材で、リサイクルすることで、新しいガラスを作る際に必要なエネルギーを大幅に削減できます。
たとえば、リサイクルされたガラスを使うことで、新しいガラス製品の製造に必要なエネルギーが約30%節約でき、約50%のCO2の削減効果があるとされています。

リサイクルされたガラスは、瓶だけでなく建築材料や道路の舗装材としても利用されるため、その重要性は日に日に高まっています。


リサイクルプロセス詳細

ガラスのリサイクルプロセスは、回収、選別、洗浄、粉砕・溶解、成形というステップで構成されています。

【回収】
使用済みのビンは、市町村の指定された場所に回収されます。日本では、ビンの回収率は約90%と高く、世界でもトップクラスです。

【選別】
回収されたビンは、色や異物などを取り除くために選別されます。ビンは、主に無色、茶色、緑色の3種類に分類されます。また、プラスチックキャップやラベルなどの異物も取り除かれます。

【洗浄】
選別されたビンは、洗浄機で洗浄されます。この工程で、ビンに付着した汚れや異物が除去されます。

【粉砕・溶解】
洗浄されたビンは、粉砕機で粉砕され、さらに溶解炉で溶かされます。この工程で、ビンは液体状のガラス原料になります。

【成形】
液体状のガラス原料は、成形機で成形され、新しいビンやガラス製品になります。

まず、回収されたガラスは、不純物を取り除くために洗浄されます。その後、色や種類ごとに分別され、破砕機で細かい破片にされます。
この破片は「カレット」と呼ばれ、新しいガラス製品の原料として再利用されます。例えば、1トンのカレットを使用することで、約1.2トンの原料ガラスを節約し、CO2排出量も約315キログラム削減できるとされています。


古ビンから新製品へ

リサイクルされたガラスは、新しいビンはもちろん、多様な製品に生まれ変わります。例えば、ガラス繊維は断熱材や自動車部品に、また細かく砕かれたガラスはサンドブラストやフィルター材料として利用されます。

特に注目されているのは、リサイクルガラスを使用したタイルやアート作品です。これらの製品は、廃棄されたガラスの新たな価値を生み出し、リサイクルの可能性を広げています。
ガラスリサイクルにより、資源を節約し環境保護に貢献するだけでなく、新しい製品の創造にも一役買っているのです。


ガラス再生のメカニズム

ガラス再生

再生ガラスの特徴

再生ガラスは、古いガラス製品をリサイクルして作られる再利用素材です

この素材は、その製造過程で原材料として使用されたガラスの強度や透明性を維持しながら再生されるため、何度もリサイクルすることが可能です。

また、再生ガラスは品質が安定しており、多くの異なる用途で使用することが可能です。

再生ガラスは、新しいガラス製品を製造する際、原材料として利用されます。再生ガラスを使用することで、環境に優しい製造プロセスが可能となり、新たなガラスを生産する際のエネルギー消費を約20~30%削減できます。

このように、再生ガラスは環境にも経済にも利益をもたらす重要な資源です。


再生ガラスを使う利点

再生ガラスを使うことには多くの利点があります。

【資源の節約】
再生ガラスは、原料の採掘や製造の工程を省略できるため、資源の節約につながります。例えば、1トンの再生ガラスを製造することで、約1.5トンの原料を節約することができます。

【環境への負荷の低減】
再生ガラスは、原料の採掘や製造に伴うエネルギー消費やCO2排出を削減することができます。例えば、1トンの再生ガラスを製造することで、約30%のエネルギーと約50%のCO2を削減することができます。

【品質の安定】
再生ガラスは、原料の品質が一定であるため、品質が安定した製品を製造することができます。

【製造コストの削減】
再生ガラスは、原料のコストが低いため、製造コストを削減することができます。

さらに、ガラス製品の廃棄量を減らすことで、廃棄物処理施設の負担も軽減されます。

これらの点から、再生ガラスはサステナブルな社会を実現する上で欠かせない素材と言えるでしょう。


再生技術の進歩

近年、ガラスのリサイクル技術は大きく進歩しています。新しい技術によって、より効率的に、そしてより純粋な再生ガラスが生産されるようになりました。

【自動選別機の開発】
自動選別機により、色や異物などの不純物をより効率的に除去することが可能になりました。

【洗浄技術の開発】
洗浄技術の開発により、ビンに付着した汚れや異物をより徹底的に除去することが可能になりました。

【溶解技術の開発】
溶解技術の開発により、再生ガラスの品質を向上させ、強度や耐久性を高めることが可能になりました。

たとえば、先進的な分別技術により、異なる種類のガラスを正確に分けることが可能になり、これにより再生ガラスの品質が向上しました。また、エネルギー効率の良い炉や、環境に配慮した製造方法の導入も進んでいます。

これらの技術革新により、ガラスリサイクルは今後もさらに環境に優しく、経済的にも効率的なものに進化していくことが期待されます。


ビン回収の重要性

ビン回収

ビン回収と資源管理

ビン回収は、資源の節約と環境保護に欠かせない取り組みです。

使用済みのビンを再び溶かして、新しいビンを作ることは、原料の採掘や製造の工程を省略できるため、資源の節約と環境への負荷の低減につながります。例えば、リサイクルされたガラス1トンによって、天然資源約1.2トンの節約と、CO2排出量の削減が実現されます。

 日本では、ビンの回収率は約90%と高く、世界でもトップクラスです。この高い回収率は、資源の節約と環境保護に大きく貢献しています。


回収率を上げるには?

ビンの回収率を上げるためには、市民の意識向上と便利な回収システムの構築が重要です。

【回収の利便性を向上させる】
ビンの回収場所を増やしたり、回収の曜日や時間帯を拡大したりすることで、回収の利便性を向上させることができます。

【回収の啓発を強化する】
ビンの回収の重要性や方法を広く周知することで、回収率を向上させることができます。

【回収のコスト削減を図る】
回収のコスト削減を図ることで、回収率を向上させるための財源を確保することができます。

例えば、リサイクルの重要性に関する啓発活動を行うことで、市民が自発的にビンをリサイクルしやすくなります。また、家庭や公共スペースにリサイクルボックスを設置するなど、容易にビンを回収できる環境を整えることも大切です。一部の自治体では、分別しやすいカラーコードシステムを導入するなど、利便性と効率性を高める取り組みも進んでいます。

ビン回収は、一人ひとりの意識と行動で、より高めていくことができます。ぜひ、ビン回収にご協力ください。


リサイクル率を上げるには?

リサイクル率を向上させるためには、リサイクルプロセスの効率化と市民の参加が鍵となります。

【回収されたビンの品質を向上させる】
回収されたビンの品質を向上させることで、再生ガラスの品質を向上させ、リサイクル率を上げることができます。

【再生ガラスの利用を拡大する】
再生ガラスの利用を拡大することで、リサイクル率を上げることができます。

効率化を図るためには、回収されたビンの分別と処理を迅速かつ正確に行うことが必要です。例えば、先進的な分別技術の導入や、リサイクル施設の最適化が挙げられます。

また、市民がリサイクルに参加しやすいようなインセンティブ制度の設けることも有効です。例えば、リサイクルしたビンの量に応じてポイントが貯まるシステムなどが考えられます。

これらの取り組みにより、リサイクル率の向上と持続可能な資源循環が促進されることでしょう。


環境へのリサイクル効果

サステナブル開発

サステナブル開発への寄与

ビンのリサイクルは、サステナブル開発への重要な貢献をしています。
このプロセスにより、自然資源の消耗が減少し、廃棄物の量も削減されます。特に、ガラスのリサイクルは原材料の採掘を減らし、資源の枯渇を防ぐことから、生物多様性の保護に繋がります。

さらに、リサイクル産業は新しい雇用機会を生み出し、経済的な持続可能性にも寄与しています。これらの要素は、サステナブルな社会構築にとって重要です。

また、ビンのリサイクルは環境汚染の防止にも役立ちます。ビンの不法投棄は深刻な環境汚染を引き起こす可能性があり、リサイクルによってこの問題を防ぐことができます。これにより、よりクリーンな環境が保たれ、地球全体の健康が促進されます。


環境フットプリントの軽減

環境フットプリントは、人間活動による温室効果ガスや汚染物質の排出を示す指標です。
ビンリサイクルは、環境フットプリントを軽減する効果があります。 

例えば、新しいガラス製品を製造するよりも、再生ガラスを使用することで、エネルギー消費が約30%削減されるとされています。これは温室効果ガスの排出減少に直結し、地球温暖化防止に貢献します。
さらに、廃棄されるガラス製品が減ることで、埋立地の圧迫も緩和され、廃棄物処理の負担も軽減されます。

日本においては、ビンリサイクルによって1人あたりの温室効果ガス排出量を年間約0.4kg削減できると推計されています。これは、家庭で電力を1年間約300kWh削減するのと同等の効果に相当します。

このように、ビンリサイクルによる環境へのポジティブな影響は、多方面にわたっています。


クリーンエネルギーの活用

ビンリサイクルは、クリーンエネルギーの活用にも寄与しています。

通常のビン製造には石油や天然ガスなどの化石燃料が必要ですが、再生ガラスの製造では、再生可能エネルギーの利用が可能です。リサイクルプロセスでは、新しいガラスを製造するよりも低温で再生ガラスを溶解できるため、エネルギー消費が抑えられ、化石燃料の使用量も減少します。
また、太陽光発電などの再生可能エネルギーにより供給される電力を使用することで、ビンの製造に伴うCO2排出を削減できます。

このように、ビンリサイクルは、クリーンエネルギー利用の促進に貢献し、持続可能な社会の実現に向けた重要なステップです。再生可能エネルギーを使用するリサイクル施設の増加は、エネルギーの持続可能な利用を推進し、全体的な環境への影響を軽減します。



ビンリサイクルは、自然資源の保護や環境汚染の防止、そして温室効果ガスの削減など、さまざまな環境課題の解決に貢献しています。

私たち一人ひとりが、ビンのリサイクルに積極的に取り組むことで、地球環境を守ることができます。



【参考】

環境省 プラスチック資源循環戦略

日本ガラスびん協会 / ガラス瓶のSDGsへの貢献・取り組み

一般社団法人 ガラス再資源化協議会(GRCJ)




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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。