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【迫りくる2024年問題】あなたの生活にも影響する物流危機と働き方改革

公開日: 更新日:2024.02.18
2024年問題 物流危機

近年、ネット通販の普及により、物流業界は大きな変化を遂げています。しかし、その恩恵の裏側で、深刻な問題が水面下で進行しています。それが、2024年4月に迫る「2024年問題」です。

この問題は、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制によって、トラックドライバー不足がさらに深刻化し、物流機能が麻痺する可能性があるというものです

この問題は他人事ではなく、私たち一人ひとりが今から対策を考える必要があるのです。


2024年問題とは?物流危機が迫る!

ドライバー不足


ドライバー不足が深刻化!物流業界の深刻な課題

物流業界は、ドライバー不足による危機に直面しています
人手不足は、運送業界全体の効率低下を招き、配送の遅延やコスト増大の原因になっています。特に、長距離を運転するトラックドライバーの確保が難しくなっており、これが業界全体のサービス品質に影響を及ぼしています。

国土交通省の調査によると、2022年度末時点でトラックドライバーの不足数は約8万人と推計されており、今後もさらに不足が拡大していくと予想されています。

このドライバー不足の背景には、主に以下の3つの要因があります。

【高齢化によるドライバーの退職】
トラックドライバーの高齢化が進み、60歳以上のドライバーの割合が40%を超えています。今後、団塊世代の大量退職が進むことで、ドライバー不足はさらに深刻化していくことが懸念されています。

【若者のトラックドライバー離れ】
長時間労働や低賃金などの理由で、若者がトラックドライバーを志望する人が減少しています。

【働き方改革による時間外労働規制の強化】
2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働の上限規制が強化されます。これにより、ドライバー1人あたりの労働時間が短縮され、輸送量が減少する可能性があります。

ドライバー不足は、物流業界にとって大きな課題です。物流が滞れば、生活必需品の供給や経済活動に大きな影響を与えます。


2024年問題の要因

2024年問題は、物流業界における労働時間規制の厳格化に起因しています。

2024年4月から、働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働の上限が年960時間に制限されます。これは、ドライバーの健康と安全を守るための重要な措置ですが、一方で物流業界には大きな課題をもたらしています。

現在、多くのドライバーは時間外労働によって1日12時間以上働いています。時間外労働が制限されれば、ドライバー1人あたりの輸送量が大幅に減少することになります。

国土交通省の試算によると、2024年問題の影響で、輸送量が約14%減少すると予想されています。これは、年間約4000万トンの貨物が運べなくなることを意味します。

制限された労働時間内での配送効率の確保や、追加人員の確保など、業界はこの新たな規制に対応するための準備を迫られています。


物流危機の現状と未来

物流危機は現在、その影響が顕著になっています。

物流危機が起きると、以下のような影響が発生する可能性があります。
〇生活必需品の品薄
〇ネット通販の遅延
〇物流コストの上昇
これらの影響は、私たちの生活に大きな影響を与えます。

物流危機を防ぐためには、ドライバー不足を解消することが不可欠です。そのためには、以下のような対策が必要と考えられます。
〇トラックドライバーの待遇改善
〇女性や外国人ドライバーの活躍推進
〇自動運転技術の開発

物流業界は、大きな転換期を迎えています。
ドライバー不足という課題を乗り越え、新たな技術と環境への対応を進めながら、危機を乗り越える道を模索しています。


荷物が届かなくなる?物流危機の影響

物流の危機!荷物が届かない


生活への影響

物流危機は私たちの日常生活に直接影響を及ぼします。

【生活必需品の品薄】
ドライバー不足による輸送量の減少は、生活必需品の品薄につながる可能性があります。特に、日持ちしない食品や鮮魚などは、入荷が遅延したり、店頭から消えたりする可能性があります。

【ネット通販の遅延】
ネット通販で購入した商品が届くのが遅くなる可能性があります。特に、大型の家具や家電などは、配送に時間がかかる可能性があります。

【物流コストの上昇】
輸送量が減少すると、物流コストが上昇します。その結果、商品の価格が上昇したり、送料が値上げされたりする可能性があります。

特に、生鮮食品や日用品の配送遅延は、日々の生活に支障をきたすことがあります。また、物流コストの上昇は商品価格の上昇につながり、消費者の負担増となっています。さらに、配達遅延によるサプライチェーンの混乱は、必要な商品が手に入りにくくなるという問題も引き起こしています。

これらの変化は、私たちの生活スタイルや消費行動に影響を与え、新たな生活のアプローチを求めています。


企業ビジネスへの影響

物流危機は、多くの企業にとっても大きな課題となっています。

【納期遅延】
原材料や部品の入荷が遅延すると、製品の製造や出荷が遅延する可能性があります。その結果、顧客への納期遅延が発生し、企業の信頼性が損なわれる可能性があります。

【コスト増加】
物流コストの上昇は、企業の収益を圧迫します。特に、利益率が低い企業にとっては、大きな打撃となる可能性があります。

【事業継続リスク】
物流危機が深刻化すると、企業の事業継続に支障をきたす可能性があります。例えば、原材料や部品が調達できなくなり、生産を停止せざるを得なくなる可能性があります。

特に、製造業や小売業は、原材料や商品の供給遅延に直面しています。
この結果、生産計画の遅れや在庫不足、さらには売上減少につながることがあります。また、物流コストの増加は、製品の価格に反映されることで、最終的に消費者の負担増となります。

これらの影響は、ビジネスモデルの見直しや、サプライチェーンの効率化、さらには地域密着型のビジネス戦略への転換を促しています。


物流業界への影響

物流業界は、ドライバー不足や労働時間制限の影響を直接受けています。
これにより、運送業務の遅延やコスト増大が発生し、業界全体の効率が低下しています。また、新たな規制に適応するためには、業界内での人材育成や新技術の導入が必要となっています。

【運送会社間の淘汰】
ドライバー不足や輸送量の減少の影響を受け、経営が悪化する運送会社が出てくる可能性があります。その結果、運送会社間の淘汰が進む可能性があります。

【物流サービスの再編】
物流業界は、新たなビジネスモデルや技術を導入することで、効率化を図る必要性に迫られています。例えば、自動運転技術やドローン配送などの導入が加速する可能性があります。

【労働環境の改善】
ドライバー不足を解消するためには、トラックドライバーの労働環境を改善する必要があります。例えば、長時間労働の解消や賃金の上昇などが求められます。

物流業界は、デジタル化や自動化技術の導入を進めています。例えば、AIによる物流管理や、自動運転トラックの開発などが進行中です。
これらの技術は、将来的に物流業界の効率を高め、新たなサービスを生み出す可能性を秘めています。


企業も個人も対応が必要!2024年問題対策

働き方改革


企業:働き方改革、物流改善

2024年問題への対応として、多くの企業は働き方改革と物流の改善に取り組んでいます。

【働き方改革】
トラックドライバーの時間外労働を削減し、労働時間を短縮する。
ドライバーの健康管理を徹底し、離職を防ぐ。
女性や外国人ドライバーの活躍を推進する。

【物流改善】
効率的な配送ルートを構築し、無駄な輸送を減らす。
ITを活用して、物流業務を効率化する。
自動運転技術やドローン配送などの導入を検討する。

例えば、運送業界ではドライバーの労働環境改善や効率的なシフト制度の導入が進んでいます。また、物流コスト削減のために、AIやデータ分析を活用した最適化ルートの計画が行われています。さらに、物流のデジタル化により、リアルタイムでの荷物追跡や在庫管理が可能になり、企業全体の効率が向上しています。

これらの改革は、企業の競争力を高めると同時に、物流危機の緩和にも貢献しています。


個人:まとめ買い、再配達防止策

2024年問題は、個人にとっても他人事ではありません。私たち一人ひとりが、日々の生活の中でできる対策があります。

【まとめ買い】
オンラインショッピングや宅配サービスを利用する際、一度にまとめて買い物をすれば、配送回数を減らすことができ、物流の負担を軽減することができます。

【再配達防止策】
宅配便の再配達防止には、個人が取り組めるいくつかの方法があります。
まず、宅配ボックスの設置が有効です。これにより、不在時でも荷物を受け取ることができます。また、配達日時を指定することで、在宅時に荷物を受け取ることが可能になります。
次に、近隣のコンビニや郵便局などの受け取り拠点を活用することも一つの方法です。これらの場所で荷物を受け取ることで、不在時の再配達を防ぐことができます。さらに、スマートフォンやインターネットを使って、配達の追跡や再配達の手配をすることも効果的です。
また、通販サイトや配送業者のアプリで、配送状況を確認し、配送予定日に合わせて自宅にいるよう調整することも重要です。
このように、事前の計画と利用可能なサービスの活用により、宅配便の再配達を防止し、配送の効率化に貢献することができます。

これらの行動は、物流業界の負担軽減だけでなく、環境保護にも寄与するため、エコ意識の高い消費者には特におすすめの方法です。


政府:規制緩和、支援策

政府は、2024年問題に対応するために、物流業界への規制緩和や支援策を実施しています。

【規制緩和】
トラックドライバーの労働時間規制に関する特例措置の導入により、労働時間に関する規制を緩和し、柔軟な働き方を可能にする。

【支援策】
ドライバー不足解消に向けた人材育成事業を支援する。
物流インフラの整備や研究開発を支援する。

これらにより、企業は新しい技術の導入や人材育成により迅速に対応できるようになります。また、物流システムの効率化と持続可能性の向上が期待されています。

政府のこれらの取り組みは、物流業界だけでなく、国民生活全体にとっても重要な意味を持っています。


働き方改革の必要性

 ドライバーの健康と安全


時間外労働の上限規制

2024年問題の中核をなすのが、時間外労働の上限規制です。この規制は、従業員の健康と安全を保護し、長時間労働による過労死などの社会問題を防ぐために導入されました。

具体的には、月間の時間外労働時間を法律で厳格に制限し、企業に対してこれを遵守するよう義務付けています。


働き方改革関連法

2019年4月に施行された働き方改革関連法では、時間外労働の上限規制が段階的に導入されています。

2019年4月:大企業(100人以上)の時間外労働の上限規制を年100時間に制限。
2020年4月:中小企業(50人~99人)の時間外労働の上限規制を年100時間に制限。
2024年4月:中小企業(49人以下)の時間外労働の上限規制を年960時間に制限。

この規制により、多くの企業は労働時間の見直しや労働力の再配置を余儀なくされており、時間外労働の上限規制は、働き方改革を推進する上での重要なステップとなっています。


トラックドライバーの現状と課題

トラックドライバーは、これまで長時間労働が常態化していました。国土交通省の調査によると、2021年度のトラックドライバーの時間外労働時間は、平均月80時間を超えています。

時間外労働の上限規制により、トラックドライバーの労働時間は短縮されます。しかし、輸送量を維持するためには、ドライバーの不足を解消する必要があります。
この時間外労働の上限規制は、トラックドライバーにも適用され、物流業界ではドライバーの不足が顕著になっているのです


物流業界全体の働き方改革

物流業界における働き方改革は、単に労働時間を短縮するだけではなく、労働環境全体の質的改善を目指しています。

ドライバーの業務効率化:荷物の積み込みや荷下ろしの作業を自動化。配送ルートを最適化。
物流システムの改善:トラックの空車情報の共有。複数の荷主の荷物をまとめて配送。
ITの活用:AIやビッグデータなどを活用して、物流業務を効率化。

これには、労働条件の改善、効率的な作業プロセスの導入、デジタル技術を活用した業務の効率化などが含まれます。
例えば、配送ルートの最適化や自動化技術の導入により、ドライバーの負担を減らす試みが行われています。また、フレックスタイム制度の導入やリモートワークの推進によって、従業員のワークライフバランスの向上が図られています。

これらの取り組みは、物流業界にとって必要不可欠な働き方改革の一環です。


働き方改革関連法の影響

働き方改革関連法の導入は、物流業界だけにとどまらず、多数の企業に多大な影響を及ぼしています。

特に、労働時間の上限規制や時間外労働の制限などは、企業の人員配置や労働管理における大きな変化を強いています。
これにより、多くの企業は業務の見直しや効率化を迫られており、特に人手不足が深刻な物流業界においては、新たな人材確保の方法や技術導入が求められています。

また、これらの法律の施行により、従業員の健康保護や労働環境の改善が進み、企業文化の変革にも寄与しています。
働き方改革関連法は、働く環境を根本から変えるきっかけとなっています。


物流改善のための技術

物流にAIやドローン


AIと自動運転の可能性

AIと自動運転技術は、物流業界に革命をもたらす可能性を秘めています。

【AIによるデータ分析】
AIによるデータ分析は、配送ルートの最適化や在庫管理の自動化に役立ち、効率性と正確性を大幅に向上させます。
〇荷物の積み込みや荷下ろしの作業を自動化
〇配送ルートの最適化
〇需要予測に基づいた在庫管理

【自動運転】
自動運転トラックの開発は、ドライバーの不足問題を解決し、長時間の運転による人的ミスを減らすことが期待されています。
自動運転トラックは、人件費や時間外労働などの問題を解決し、24時間365日、安全に運行することができます。

これらの技術は、配送コストの削減や配送時間の短縮にも寄与し、結果として消費者へのサービス向上に繋がります。
AIと自動運転は、未来の物流業界を劇的に変えるキーテクノロジーです

しかし、AIや自動運転技術の普及には、課題もあります。
〇技術開発コストの高さ
〇法整備の遅れ
〇社会的な受け入れ
など、克服すべき課題は少なくありません。


ドローン配送の展望

ドローン配送は、物流業界における次世代の配送手段として注目されています。特に、遠隔地や交通が不便な地域への小荷物配送において、ドローンはその真価を発揮します。

配送拠点から顧客までの最後の配送区間「ラストワンマイル」において、交通渋滞や人手不足などの問題により、効率化が難しい課題となっている区間で、迅速かつ安価な配送を実現することができます。

現在、多くの企業がドローン配送の実用化に向けて試験を重ねており、近い将来、我々の生活において身近な存在になることが期待されています。ドローン配送の実現は、物流業界の新たな展開を示す重要なステップです。

しかし、ドローン配送にも課題があります。
〇航続距離の短さ
〇安全性の確保
〇騒音問題
など、課題を克服するために、技術開発が進められています。


物流システムの革新

物流システムの革新は、現代の物流業界が直面している課題を克服するために不可欠です。
従来の物流システムは、トラックを中心とした輸送システムでした。しかし、今後は、AIや自動運転などの技術を活用した、より効率的で柔軟な物流システムが構築されていくでしょう。

デジタル技術の進化により、リアルタイムでの荷物追跡や、需要予測、自動在庫補充システムが可能になっています。これにより、物流プロセスの効率化が実現し、消費者への迅速な対応が可能になります。また、サステナビリティを考慮したエコフレンドリーな物流システムの構築も重要なテーマとなっています。

これらの革新は、物流業界の持続可能な成長を支え、私たちの生活の質を向上させることに貢献します。

しかし、物流システムの革新は、新たな課題も生み出す可能性があります。
〇雇用の減少
〇個人情報の漏洩
〇サイバー攻撃
など、リスクにも注意する必要があります。


持続可能な物流システムを目指して

コストと環境のバランス


コストと環境のバランス

持続可能な物流システムを目指す上で、コストと環境のバランスは重要な考慮事項です。

【コスト】
物流コストは、企業にとって大きな負担となっています。
物流コストを削減するためには、効率化を図ることが重要です。
AIや自動運転などの技術を活用することで、物流業務の効率化を図ることができます。

【環境】
物流は、環境負荷の大きい産業です。
CO2排出量削減などの環境対策に取り組むことが重要です。
エコドライブや電気自動車の導入など、環境負荷を低減するための取り組みを進める必要があります。

物流業界は、燃料費や車両維持費などのコスト削減と、CO2排出量の低減という環境への配慮を同時に追求する必要があります
例えば、省エネルギー型の車両の導入や、再生可能エネルギーの利用などが挙げられます。また、効率的なルート計画や荷物の集約化により、走行距離の短縮を実現することで、コスト削減と環境保護の両立を目指しています。

これらの取り組みは、物流業界が社会的責任を果たす上で不可欠です。


人件費と効率の最適化

物流業界における人件費の削減と効率化は、2024年問題を乗り越えるための鍵です。ドライバー不足に対処するためには、人件費の適正化が必要です。

例えば、時間外労働の削減による人件費の節約や、効率的な勤務体系の導入により、人件費の最適化を図っています。同時に、配送ルートの最適化やデジタルツールの活用により、作業の効率を上げることが求められています。

これらの取り組みは、物流業界の持続可能な成長に不可欠な要素となっています。
しかし、効率化を追求しすぎると、労働者の負担が増加する可能性があります。

労働者の負担を軽減しながら、効率化を図るためには、働き方改革を進めることが重要です。


地域に根差した物流

地域に根差した物流システムの構築は、持続可能な物流を実現する上で重要です。地域特有のニーズに対応するためには、地域密着型の物流ネットワークの強化が求められます。

地域の産品を全国に発送したり、地域住民向けの配送サービスを提供したりすることで、地域の経済を活性化することができます。
例えば、地域の小規模な生産者や店舗と連携し、地元の商品の配送を効率的に行うなどです。また、地域住民のニーズに合わせた配送サービスの提供により、顧客満足度の向上を目指しています。

さらに地域に根差した物流は、災害時の支援にも役立ちます。災害発生時には、被災地域への物資輸送を迅速に行うことができます。

このような地域密着型の物流システムは、地域経済の活性化にも寄与し、持続可能な社会づくりに貢献します。



2024年問題は、私たちにとって大きな課題ですが、同時に、物流システムを見直し、より良い未来を創造するチャンスでもあります。
この問題を乗り越え、持続可能な物流システムを実現するために、一人一人が積極的に行動することが大切です。

 

未来に向けて、私たちができることを考えていきましょう。







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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に交換留学で訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。