インドネシアの伝統的な大豆の発酵食品である「テンペ」はご存じでしょうか?
抗酸化物質が豊富・高たんぱく・低カロリーで栄養的にも優れている注目のスーパーフードで、世界中で人気を集めています。
テンペが好きすぎて、自分でいろんな豆を発酵させてテンペをよく食べているロスゼロスタッフが、テンペの魅力からテンペのおすすめレシピまでを語ってくれたので、ご紹介します。
テンペとは
テンペとテンペ菌
テンペとは、大豆にテンペ菌(主に「Rhizopus oligosporus」または「Rhizopus oryzae」)という種類のカビをつけて、発酵させた食品です。
テンペ菌の酵素は大豆のタンパク質を消化しやすい形に分解し、ビタミンB12などの栄養素を増加させます。また、テンペ菌による発酵によって、大豆の独特な風味と食感が生まれます。
この発酵過程は、テンペの健康効果と風味に不可欠です。
テンペの歴史
テンペの歴史は古く、その起源は12世紀頃にさかのぼると言われていますが、確実な記録はなく、その正確な起源は不明です。インドネシアのジャワ島がテンペの発祥地と広く認識されています。
テンペはもともとインドネシアの伝統的な農村地域の食品でしたが、20世紀に入ってから世界中でその栄養価と健康効果が認識されるようになりました。
タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富なテンペは、ヴィーガンやベジタリアンの代替肉として食べられており、多様な料理に応用されています。
また写真のように大豆以外にも小豆やひよこ豆など他の豆でもテンペを作ることができます。
現在でもインドネシアの農村地域では、ホームビジネスとしてテンペの製造・販売をしている家庭があるそうです。
テンペに期待できる健康・美容効果
健康効果
高タンパク質: テンペは大豆を原料としており、高品質の植物性タンパク質が豊富に含まれています。これは筋肉の構築や修復、全身の組織の健康維持に重要です。
消化の促進: 発酵プロセスは大豆の消化を容易にし、栄養素の吸収を促進します。発酵により、大豆が持つ消化しにくい成分が分解され、腸内環境の改善に役立ちます。
ビタミンとミネラル: テンペはビタミンB12の良い供給源で、特にベジタリアンやヴィ―ガンにとって重要です。また、鉄分、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルも豊富に含まれています。
低コレステロール: テンペはコレステロールを含まず、心臓病のリスクを減らすのに役立つと考えられています。
イソフラボン: 大豆由来のイソフラボンは、抗酸化作用があり、癌のリスクを減少させる可能性があります。また、更年期障害の緩和にも効果的だと言われています。
プロバイオティクス: 発酵食品であるテンペは、腸内の善玉菌を増やすのに役立つプロバイオティクスをとなります。
これらの要因により、テンペは栄養価が高く、多くの健康上の利点を提供する食品として、広く認識されています。
美容効果
【アンチエイジング】
テンペに含まれるイソフラボンには、抗酸化作用があり、活性酸素によるダメージを抑えて、アンチエイジング効果が期待できます。また、ビタミンEも豊富に含まれており、こちらも抗酸化作用によって、肌の老化を防ぐ効果が期待できます。
【美肌】
テンペには、イソフラボンやビタミンEのほか、ビタミンB群も豊富に含まれており、これらの栄養素は、肌のターンオーバーを促進し、肌荒れを防ぐ効果が期待できます。また、ビタミンB群は、肌の保湿にも役立ちます。
【髪の健康】
テンペに含まれるイソフラボンには、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きがあり、髪の毛の成長を促進する効果が期待できます。また、ビタミンB群は、髪の毛の生成にも欠かせない栄養素です。
このように、テンペには、さまざまな美容効果が期待できます。毎日の食生活に取り入れて、美肌やアンチエイジングに役立てましょう。
テンペの作り方・入手・保管方法
自家製テンペの作り方
家庭でできるテンペづくりについて紹介します。
1. 事前準備
大豆の準備: 大豆を一晩水に浸けます。
テンペ菌の準備:テンペ菌(※)と片栗粉または米粉を1:9の割合で混ぜておきます。(以下、スターターと呼びます)
※テンペ菌はネットで入手することができます。
2. 大豆をゆでる
指でつぶせるようになるまで煮ます。
その後、大豆を水洗いをするように皮を剥き、8割ほど剥けたらザルに移して水分をよく切り、大豆を冷まします。
3. 発酵させる
大豆をボウル等に移し、スターターをまんべんなくまぶしてビニール袋に入れて2~3cmの厚さに均等に揃え、袋にフォークなどで穴をあけます。
35℃前後で24時間発酵させます。後半数時間で白い菌糸が大豆を覆い、テンペが完成します。
家庭でテンペを作るのに一番大事なのは温度管理です。
一般的に特定の微生物を繁殖させるにはその微生物の好む温度・水分量・通気性を保つ必要があります。
テンペ菌は30~37℃でよく繁殖します。発酵器がない場合(ない方が多いと思います)、夏場であれば常温、冬場であればこたつ等に入れて温度管理をするのがおススメです。温度が高すぎると、納豆など他の菌が繁殖するので要注意です。
完成したテンペは冷蔵保存し、数日以内に消費するのが理想的です。
テンペ(完成品)が買える場所
日本ではテンペはほかの大豆製品に比べてメジャーではないため、スーパーで手に入らないことが多いのが実情です。自然食品店やオーガニックスーパーで購入できるほか、エスニック系の食材店で販売されています。
基本的には冷蔵または冷凍で販売されているので、購入後は速やかに冷凍または冷蔵庫に入れましょう。
テンペの保管方法
テンペは発酵食品のため、熱を加えないと発酵が進みます。発酵しすぎた加発酵の状態となると味が落ちてしまいます。発酵を抑えるためにテンペは冷蔵庫に保管し、数日以内に消費するか、冷凍庫で保管し1か月を目安に食べてください。
調理の手間を省くため、冷凍庫で保管する前にあらかじめ一口サイズに切って冷凍庫に入れるのもおススメです。
また保管状況によっては他の菌が繁殖してしまうことがあります。見た目やにおいなどに異変を感じたら食べずに捨ててください。
他の大豆発酵食品との違い
日本の伝統的な大豆発酵食品には、味噌や醤油、納豆などがあります。
テンペは特に納豆と比べられることが多いのですが、全くの別物です。
ここでは菌・味やにおい・食べ方の違いについてみていきます。
菌の違い
味噌と醤油は大豆と麹菌の発酵によって作られ、その種類や製法は地域によって異なります。納豆は納豆菌による発酵で、独特の粘りと香りを持っています。
納豆は大豆を納豆菌(枯草菌の一種)によって発酵させたもので、カビの一種であるテンペ菌とは種が異なります。
味・においの違い
納豆は特有の粘り気と強い香りが特徴ですが、テンペは粘りがなく硬めで、納豆に比べると匂いが少ないため、納豆が苦手な方でも食べやすい大豆発酵食品といえるでしょう。また日本で販売されているテンペはすこし硬めのものが多く、クセがないという意味でも食べやすく、炒めたり揚げ物にすることでパクパク食べるお子さんも多いです。
食べ方
納豆は通常、ご飯の上にのせて食べたり、納豆巻きとして楽しまれます。その独特な粘り気は、日本の食文化において重要な特徴となっています。
対してテンペは、スライスして炒めたり、グリルし、肉の代替品として使われることが多いのが特徴です。そのナッツのような風味としっかりした食感は、サンドイッチやサラダ、炒め物など、多様な料理に使いやすく、マリネやスパイスで味付けをして、アジア料理や西洋料理の中で幅広く使われています。
発酵食品の適量と摂取法
テンペの摂取適量
テンペは高タンパクで栄養価の高い食品ですが、適量を心掛けることが重要です。一般的に、成人の日々のタンパク質必要量の一部として、テンペを50~100グラム摂取することが推奨されます。
過剰な摂取は消化器系に負担をかける可能性があるため、他の食品とのバランスを考慮し、適量を守ることが肝心です。
テンペはそのまま食べるだけでなく、様々な料理に加えて楽しむことができます。
発酵食品の健康的な食べ方
発酵食品を健康的に楽しむためには、バランスの良い食事を心がけましょう。
発酵食品は単体で食べるだけでなく、野菜や穀物、肉や魚といった他の食品と組み合わせて摂取することで栄養バランスが保たれ、身体への負担が軽減されます。
また発酵食品を選ぶ際には、できる限り添加物や砂糖の少ない自然なものを選びましょう。
テンペの美味しい食べ方
素揚げ
テンペを1口大に切り、片栗粉をまぶし、熱した油で狐色になるまで揚げます。
シンプルに塩をまぶして食べるのがおススメです。
サラダ
こちらは、ご自身で作ったテンペで試してほしい食べ方です。食べ応えのあるサラダになりますよ!
できたてのテンペを加熱せずに食べやすい大きさに切り、お好きな野菜と一緒にお好きなドレッシングで合えて食べてください。ロスゼロスタッフのおススメは玉ねぎドレッシングだそうです。
照り焼き
食べやすい大きさに切ったテンペに片栗粉をまんべんなくまぶし、油をしいたフライパンで焼きます。
焦げ目がついたら醤油・みりん・砂糖・酒で味付けします。
お肉好きの方にも満足してもらいやすい食べ方です。
テンペを使った国際料理
この他にも、細かく砕いたテンペをトマト缶と煮込んで塩コショウで味を調えることでミートソースの代わりにしたり、タコスシーズニングで味付けしてタコスの具材として楽しむこともできます。
テンペの使い方は無限大なので、いろいろ試してくださいね!
大豆製品の中ではまだ購入できるスーパーは少ないですが、見つけた場合はぜひお試しください。
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