アイスクリーム
ひんやり冷たい口当たりと、濃厚な味わいは、誰もが虜になる美味しさです。しかし、意外と知らないアイスクリームの秘密が実はたくさんあります。
アイスクリームの歴史や種類、保存方法、そして溶けたアイスクリームの意外な活用法まで、アイスクリームに関するあらゆる情報を網羅します。
さあ、あなたもアイスクリームマスターを目指して、一緒にアイスクリームの世界を探検しましょう!
アイスクリームを知ろう
アイスクリームの歴史
アイスクリームは長い歴史を持ち、その起源は紀元前にまでさかのぼるとされています。当時は果物や蜂蜜を雪に混ぜたシャーベットのようなものを楽しんでいたとされています。
この甘く冷たいデザートは、時間を経て世界各地に広まり、異なる文化が独自のバリエーションを加えてきました。
16世紀にはイタリアで牛乳や卵などを加えたアイスクリームの原型ともいえるものがつくられるようになり、これがヨーロッパ貴族の間で人気を博しました。アイスクリームはより滑らか、濃厚な味わいになりました。
19世紀にはアメリカで人工的な冷凍技術が開発され、製造・保存が簡単になったことから、商業的に製造されるようになりました。
日本では明治時代に最初のアイスクリーム「アイスクリン」がつくられ、時代の進化とともにアイスクリームメーカーが工業生産を始め、家庭でも簡単に食べられるようになりました。
現代ではいろいろなフレーバーがあり、健康志向に対応した低脂肪・低カロリーのもの、高級食材で作った高級感あるアイスクリームなどもあります。
アイスクリームは、さまざまな種類、多様なスタイルで、世界中で愛されているスイーツの一つです。
アイスクリームの分類
アイスクリームは、その製法や成分によってさまざまな種類に分類されます。
分類基準
アイスクリーム類は、乳固形分と乳脂肪分の含有量によって大きく4種類に分類されます。
アイスクリーム:乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上
アイスミルク:乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上
ラクトアイス:乳固形分3.0%以上
氷菓:乳固形分3.0%未満
乳固形分とは、牛乳や乳製品に含まれる、水分以外の成分の総称です。乳脂肪分は、乳固形分の中でも脂肪分を指します。
種類ごとの特徴
【アイスクリーム】
乳脂肪分が多いので、濃厚な味わい、滑らかな口当たりが特徴
コクと風味が豊かで、種類も豊富
【アイスミルク】
アイスクリームよりも乳脂肪分が少ないので、あっさりとした味わいで、カロリー控えめ
価格も比較的安価
【ラクトアイス】
乳脂肪分が最も少ないので、軽い味わいで、さまざまなフレーバー、形状がある
アイスキャンディーやシャーベットなどが多い
【氷菓】
乳製品を使用していないので、あっさりとした味わいで、カロリーや脂肪分が低い
フルーツや果汁を使ったものが多い
アイスクリーム類
アイスクリーム類とは、乳製品を主原料として、冷凍または冷蔵して固めたデザートの総称ですが、果汁や水を使ったもの、果物を凍らせたものなども含めることもあります。
【ジェラート】
分類:ラクトアイス
乳脂肪分:4.0%以上8.0%未満
空気量:20~40%
特徴:乳脂肪分が低く、あっさりとした味わい。空気量が多く、ふんわりとした食感。イタリア発祥のデザート。卵黄や洋酒を使用していることが多い。
【ソフトクリーム】
分類:ラクトアイス
乳脂肪分:3.0%以上8.0%未満
空気量:30~50%
特徴:気量が多く、軽い食感。牛乳の風味が濃厚。マシンから絞り出して提供される。卵黄や安定剤を使用していることが多い。
【アイスキャンディー】
分類:氷菓
乳固形分:3.0%未満
空気量:20%以下
特徴:串に刺して食べる。さまざまなフレーバー、形状がある。カロリー、脂肪分が低い。果汁やフレーバーシロップを使用していることが多い。
【シャーベット】
分類:氷菓
乳脂肪分:3.0%未満
空気量:2~5%
特徴:シャリシャリとした食感と、爽やかな味わい。果汁やリキュールなどを加えて作られることが多い。アイスクリームよりもあっさりとした味わい。
【かき氷】
分類:氷菓
乳脂肪分:3.0%未満。含まれないものも多い。
空気量:80~90%
特徴:わふわとした食感と、涼しげな味わい。削った氷に、シロップや練乳などをトッピングして食べることが多い。さまざまな味やトッピングを楽しむことができる。
アイスクリームの賞味期限
アイスクリームには期限表示がない場合があります。実はアイスクリームは食品表示基準により、賞味期限の省略が認められているのです。
これは、アイスクリーム類は冷凍で保存されるので、温度管理がされていれば、保存中の品質の劣化が少ないと考えられるためです。また「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令(乳等命令)」で、品質基準、製造方法が厳しく規定されているので、長期間品質が劣化しないためです。
つまり、一部メーカーを除いて、アイスクリームには賞味期限がありません。未開封で適切な温度管理がされていれば、長期保存が可能です。
しかし、家庭の冷凍庫で保存しているときは、開け閉めによる温度変化などによって味が変わることもありますので、なるべく早めに食べましょう。
アイスクリームの保存方法
アイスクリームを保存する際は、適切な温度管理と密閉性が重要です。
賞味期限を省略した場合には、一括表示の外側に「ご家庭では-18℃以下で保存してください」、または「要冷凍(-18℃以下保存)」などと記載して、アイスクリームを保存するときの注意が記載されています。
つまり理想的な保存温度は、-18度以下です。これによりアイスクリームはその質感と風味を長期間保つことができます。
家庭用冷凍庫の場合は、ドアを開け閉めすることにより庫内温度の変化が大きくなるので、冷凍庫の奥の方など、温度変化の影響を受けにくい場所に置くようにしましょう。
保存容器も重要で、空気に触れることを最小限に抑えるために密閉容器を使用するか、元のパッケージをしっかり閉じることが大切です。空気に触れると氷の結晶が大きくなり、質感が損なわれる原因となります。
また、アイスクリームは他の食品の臭いを吸収しやすいため、臭いが強い食品とは別に保管するか、しっかりと密閉することが望ましいです。
溶けてしまったアイスクリーム
アイスクリームが溶けるとどうなるの?
アイスクリームが溶けると、その食感や風味に大きな変化が生じます。
【質感の変化】
アイスクリームは、空気、脂肪、氷の結晶が複雑に混ざり合ってできています。冷凍庫で冷やされると、これらの成分が固まり、なめらかな口当たりとクリーミーな食感を生み出します。
しかし溶けると、アイスクリームの成分である乳脂肪分や糖分が水分と混ざり合っているため粘り気が増します。また氷の結晶が消失し、空気が抜けるため、本来のなめらかさやクリーミーさは失われ、密度が増し、食べた時の感触が重たく感じることがあります。
さらに溶けたアイスクリームは成分が分離しやすくなり、水分が上に浮き上がったり、脂肪分が固まって小さな塊を形成したりすることがあります。これにより、均一ではなく、一部が水っぽく、一部が固形化することがあります。
【風味が損なわれる】
アイスクリームの風味は、乳脂肪分、香料、チョコレートなどの添加物によって決まります。溶けると含まれている脂肪分が分離しやすくなり、風味の変化を損なう原因となります。また空気が抜けることでこれらの成分が薄まってしまい、元々の味が薄れることがあります。
アイスクリームが持つ繊細な風味成分は温度が上がると揮発しやすく、溶けたアイスクリームは元の味と異なることが多いです。
【見た目の変化】
溶けたアイスクリームは見た目にも変化が現れます。明るい色が褪せたり、元の均一なテクスチャが失われて液状や半液状になるため、魅力的でなくなることがあります。
溶けたアイスを食べても大丈夫?
溶けたアイスクリームを食べること自体に健康上の大きなリスクはありませんが、いくつか注意すべき点があります。
【温度管理の重要性】
溶けたアイスクリームは、すぐに食べれば問題ありません。
しかしアイスクリームが一度溶けて、特に高温で長時間放置された場合、細菌が繁殖しやすくなります。このような状態のアイスクリームを食べることは、食中毒のリスクを高める可能性があります。
溶けたアイスクリームは、室温で長時間放置されていない場合に限り、食べるようにしましょう。
【再冷凍の避け方】
アイスクリームが溶けた後に再冷凍すると、食感が損なわれるだけでなく、細菌の繁殖リスクも考慮する必要があります。
安全性を高めるためには、一度溶けたアイスクリームは再冷凍せず、可能な限りすぐに消費するか、他のデザートにリメイクして利用するのが良いでしょう。
【保存状態の確認】
アイスクリームがどのようにして溶けたか、保存状態はどうだったかを考慮することも重要です。
例えば、停電などで冷凍庫の温度が上がった場合に溶けたアイスクリームは、再び適切に冷凍されるまでの時間が長いと、食べるのは避けた方が安全です。
食べる、食べないはご自身で判断してください。
再冷凍はNG
アイスクリームを再冷凍すると、その構造と質感に大きな変化が生じることがあります。
【失われる美味しさ】
再冷凍過程で、アイスクリームに含まれる水分が大きな氷の結晶として再結晶化します。これが食感を硬くし、元々の滑らかな口当たりを損なう主な原因です。
さらに、一度溶けたアイスクリームには空気が抜けてしまっているため、再凍結しても以前のような軽やかさやふんわり感を取り戻すことは難しくなります。
また、風味についても、溶けた際に揮発した香り成分は戻らず、再冷凍することでさらに風味が損なわれることがあります。
【衛生面の問題】
溶けたアイスクリームは、常温に放置することで雑菌が繁殖しやすくなります。再冷凍しても雑菌は死滅せず、むしろ増殖してしまう可能性があります。
さらに雑菌が繁殖したアイスクリームを食べると、食中毒を起こす可能性があります。
食品安全の観点からも、一度溶けて微生物が繁殖し始めた可能性があるアイスクリームを再冷凍することは避けるべきです。
アイスクリームを美味しく食べるために
アイスクリームの食べごろ
アイスクリームを最も美味しく味わうためには、適切な温度で食べることが重要です。
理想的な食べごろ温度は、摂氏マイナス10度からマイナス14度の間とされています。この温度範囲でアイスクリームは十分に柔らかく、風味も最大限に引き出されます。
冷凍庫から取り出してすぐの硬すぎる状態では、舌の上でアイスクリームが溶ける前に味が感じられないことがあります。そのため、食べる直前に数分間室温に置いておくことがおすすめです。
ただし、アイスクリームの種類や好みによっても、食べごろは異なります。ジェラートやシャーベットなどは、比較的早く溶けてしまうので、冷凍庫から出してすぐに食べる方が良いでしょう。
溶けアイスのリメイク
溶けてしまったアイスクリームは、さまざまなリメイクレシピで再活用することができます。
スムージー:溶けたアイスクリームを牛乳やヨーグルト、フルーツなどと混ぜてスムージーにすると、栄養満点のデザートドリンクを作ることができます。
ホットケーキ:ホットケーキミックスに溶けたアイスクリームを混ぜて焼くと、リッチな風味と甘さが加わったホットケーキになります。シロップやホイップクリームの量を控えめにすることで、全体の甘さを抑えることができます。
焼き菓子:ケーキやブラウニーの生地に溶けたアイスクリームを加えると、風味豊かでしっとりした焼き菓子になります。
デザートソース:溶けたアイスクリームをソースとして、パンケーキやワッフルにかけるのもおすすめです。
これらの方法は、アイスクリームがもともと含んでいる砂糖や脂肪分を活用した、シンプルながら効果的なリメイク法です。
まさかのアイスクリーム料理
アイスクリームは、デザートだけではありません。アイスクリームを使った意外な料理もあります。
【アイスクリームマッシュポテト】
バニラアイスクリームをマッシュポテトに使用することで、意外なほど滑らかでクリーミーな食感と繊細な甘みをポテトに加えることができます。アイスクリームは通常のバターやクリームの代わりに使い、塩や胡椒で味を調整します。
【アイスクリームソースの鶏肉マリネ】
甘いアイスクリームを使ったマリネ液で鶏肉を漬け込むことで、肉に深い甘さとユニークな風味を加えることができます。メープルシロップやキャラメルアイスクリームをベースに、ソイソースやにんにく、酸味を加えるためのレモン汁などを組み合わせます。このマリネ液で鶏肉を数時間から一晩漬け込んでから、焼くかグリルで調理します。
賞味期限がないとはいえ、ちょっと古くて心配なアイスクリームは、砂糖やミルクの代わりにお料理に使うことで、食品ロスを防ぐことができます。
実は酸味や辛味ともマッチするアイスクリーム。いろいろなアイディアで、甘~いレシピを考えてみてはいかがでしょうか。
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