春の七草のひとつ「すずな」。 実は蕪(かぶ)のことなんです。
古くから日本人にとって身近な存在で、小ぶりな丸い白い根と長い緑色の葉が特徴です。
捨てられがちな蕪の葉。
蕪は栄養満点で、捨てるところがない!と言われています。
そうなんです、蕪の葉にも栄養がたっぷりなんです。
旬の時期や選び方、そして、食品ロスを減らすためのレシピまで、そんな「蕪(かぶ)」の魅力をたっぷりとお伝えします。
蕪の基礎知識
蕪の歴史
蕪(かぶ)は、古代から栽培されてきた根菜で、世界中で広く食べられています。原産地はヨーロッパや中央アジアとされ、古代ギリシャやローマでも栽培されていました。
日本には弥生時代に伝わったとされています。日本書紀には、持統天皇が蕪の栽培を奨励した記録も残っており、古くから日本の食文化に根付いていたことがわかります。
種類
蕪は多くの品種があり、大きさや色、形状が異なります。
日本で栽培されているかぶは、赤かぶ、白かぶ、があり、サイズも大中小と多種多彩で、さらに地域独特の品種もあり、全国各地に約80の品種があるとされています。
日本の代表的な品種には、丸い形の「千枚漬け」で有名な京野菜の「聖護院かぶ」や、小さくて甘みのある「赤かぶ」などがあります。
かぶらラインと呼ばれる関ヶ原を境に、東と西では系統の違うものが栽培されています。
原産地がアフガニスタンからヨーロッパを経て伝わった西洋型の系統は、耐寒性があることから東日本の寒冷地で、中国を経由して伝わった日本型の系統は西日本で主に栽培されています。
ちなみに「かぶ」と「かぶら」は同じ野菜です。「かぶ」は一般的、日本全国で広く使われている呼び方です。関西地方や西日本の一部では「かぶら」と呼ばれることが多いです。
蕪の栄養と健康効果
蕪の栄養価
蕪は栄養豊富な野菜で、特にビタミンCや食物繊維、カリウムが豊富です。
【ビタミンC】
蕪に豊富に含まれるビタミンCは、免疫力を高め、肌の健康を保つ効果があります。また、抗酸化作用があり、体内の老化や病気の予防に役立ちます。
【食物繊維】
蕪には食物繊維がたっぷり含まれており、消化を助け、腸内環境を整える効果があります。便秘の予防にも役立ち、腸の健康をサポートします。
【カリウム】
蕪のカリウムは、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、高血圧予防に効果が期待できます。また、筋肉の機能や神経の伝達にも重要な役割を果たします。
しかも、蕪は低カロリーでヘルシーなので、ダイエット中の方にもぴったりな食材です。100gあたり約20kcalしかないため、手軽に食べられるのも魅力の一つです。
蕪の葉と根の栄養比較
蕪の葉、捨ててしまっていませんか?
蕪の葉と根では含まれている栄養素が少し異なります。しかも一般的に、蕪の葉の方が栄養価が高いと言われているのです。
【蕪の葉の栄養】
蕪の葉は、緑黄色野菜に分類され、ビタミンCやβ-カロテンが豊富です。これらの栄養素は、抗酸化作用が高く、体のサビつきを防ぎ、免疫力を高める効果が期待できます。また、鉄分も含まれており、貧血予防にも役立ちます。カルシウムも豊富で、骨の健康維持にも貢献します。
【蕪の根の栄養】
蕪の根は淡色野菜で、ビタミンCやカリウムを含んでいます。ビタミンCは、コラーゲンの生成を助ける働きがあり、肌のハリや弾力を保つために重要な栄養素です。カリウムは、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、高血圧予防に効果が期待できます。消化酵素のアミラーゼも含まれており、消化を助ける働きがあります。
もちろん、皮にもしっかり栄養が含まれており、皮ごと食べることで、栄養を無駄なく摂取することができます。しっかり洗ってから調理し、硬い皮や汚れが付着している場合は、取り除くようにしましょう。(品種や状態によっては、食べられない場合もあります。)
蕪の葉と根、それぞれに特徴的な栄養素が含まれています。葉は緑黄色野菜ならではの栄養が豊富で、根は消化を助ける酵素を含んでいます。どちらもバランス良く摂取することで、より多くの栄養を摂ることができます。
家庭で調理するときは、葉も一緒に料理に活用してみてください。
蕪の選び方
新鮮な蕪の選び方
新鮮な蕪を選ぶポイントはいくつかあります。
蕪の根の部分は色が白く、ハリやツヤがあるものを選びましょう。シワがなく、表面が滑らかで傷がないもの、ひげ根の少ないものが理想的です。また、しっかりと硬く、弾力があるものが新鮮です。
葉がついている蕪は葉の状態も確認します。葉が青々としていて、しおれずにピンとしているものが新鮮な証拠です。
葉と根の付け根がしっかりとくっついていることも、新鮮さの目安になります。
スーパーで選ぶ際には、葉の鮮度や根の状態に注目し、見た目と手触りで判断すると良いでしょう。
料理別の選び方
蕪は料理に応じて最適な品種を選ぶことで、さらに美味しく楽しめます。
1.煮物
【選び方】
煮込んでも崩れにくく、甘みが引き立つ品種を選びます。
【おすすめ品種】
聖護院かぶ(しょうごいんかぶ):大きく肉厚で煮込みに最適。しっかりとした食感と甘みが特徴。
金沢かぶ:形が崩れにくく、煮込むと柔らかくなる。
2. サラダ・生食
【選び方】
甘みがあり、シャキシャキとした食感が楽しめる品種を選びます。
【おすすめ品種】
赤かぶ:色鮮やかで、サラダに彩りを添え、ほんのりと甘みが感じられる。
葉付きかぶ:小ぶりで柔らかく、瑞々しい食感がサラダに適しています。
3. 漬物
【選び方】
水分が多く、柔らかくて漬けやすい品種が向いています。
【おすすめ品種】
千枚漬け用の聖護院かぶ:大きくて甘みが強く、漬物にすると旨味が引き立ちます。
飛騨赤かぶ:色鮮やかで、漬物にすると独特の風味が楽しめます。
4. 炒め物
【選び方】
火の通りがよく、歯ごたえを楽しめる品種が適しています。
【おすすめ品種】
小かぶ:小さくカットしやすく、炒めるとシャキシャキした食感が残ります。
早生(わせ)かぶ:早く育つ品種で、柔らかく炒め物に適しています。
料理に合った蕪の品種を選ぶことで、味わいや食感を最大限に引き出せます。
蕪の保存方法
保存のポイント
蕪を長持ちさせるには、保存方法が大切です。
1.購入後、できるだけ早めに保存しましょう。
2.葉がついている蕪は購入後すぐに葉を切り落としましょう。葉がついたままだと根から水分が奪われ、鮮度が落ちやすくなります。
3.常温保存は不向きです。すぐに鮮度が落ちてしまいます。
4.キッチンペーパーで包むなど、乾燥を防ぐ工夫をしましょう。
5.生食の場合は冷蔵、加熱調理の場合は冷凍など、用途に合わせて保存方法を選びましょう。
6.特に冷凍保存の場合は、ブランチング処理を施すことで、より美味しく、栄養を保ちながら保存することができます。
長持ちさせる保存テクニック
蕪の葉
【冷蔵保存】
方法:葉を湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で立てて保存します。
期間:3日程度
【冷凍保存】
方法:葉を洗って水気を切り、使いやすい大きさにカットします。ラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
期間:約1ヶ月
用途:スープや炒め物など、加熱調理に利用できます。
蕪の根
【冷蔵保存】
方法:丸ごとの場合は、キッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。カットした場合は、切り口をラップで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
期間:約1週間
【冷凍保存】
方法:蕪を使いやすい大きさにカットします。カットしたものをラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
期間: 約1ヶ月
用途: スープ、ポタージュ、炒め物など、加熱調理に利用できます。
蕪の旬と楽しみ方
蕪の旬を知る重要性
蕪は、春と秋の年2回、旬を迎える野菜です。旬の蕪は、みずみずしさや甘みが増し、栄養価も高まるため、その時期に食べることで、より一層美味しく、そして健康にも良い状態で味わうことができます。
○鮮度が良い:旬の蕪は、収穫後すぐに市場に出回ることが多いため、鮮度が良く、みずみずしい状態です。
○栄養価が高い:旬の蕪は、栄養素が豊富に含まれており、特にビタミンCや食物繊維が豊富です。
○味が濃厚:旬の蕪は、甘みや旨みが凝縮されており、より深い味わいが楽しめます。
○価格が安定:旬の時期は、生産量が増えるため、価格が安定していることが多いです。
旬の蕪を食べることで、これらのメリットを享受でき、より豊かな食卓を彩ることができます。
季節ごとの蕪の楽しみ方
蕪の旬は年2回ですが、季節ごとにさまざまな楽しみ方があります。
【春蕪】
特徴:肉質が柔らかく、みずみずしい。
楽しみ方:生食に最適です。サラダや浅漬け、おろしなど、さまざまな料理に利用できます。煮物にしても柔らかく、口当たりが良いです。また、葉も栄養価が高く、さっと茹でて和え物や炒め物に使うと、栄養を逃さず楽しめます。
【秋蕪】
特徴:肉質が緻密で、甘みが強い。
楽しみ方:煮物やポトフなど、加熱料理に最適です。じっくりと煮込むことで、甘みが引き立ちます。漬物にしても美味しいです。また、秋の蕪の葉は少し硬めでコクがあるため、加熱料理に使うと風味が増します。
【漬物】
蕪は漬物や保存食としても活用できます。特に、千枚漬けや蕪の甘酢漬けは、主菜との相性も良く、箸休めとして喜ばれます。
また、夏場は蕪の浅漬けやピクルスとして、さっぱりとした食感を活かすことで季節感を楽しむことができます。
季節ごとの蕪の特徴を活かして、調理法を変えてみると新たな発見があるかも。
蕪の食品ロス削減レシピ
蕪の葉を使った簡単レシピ
蕪の葉は栄養が豊富なのに、捨てられてしまうことが多い食材の一つです。しかし、簡単にさまざまな料理に活用できます。
あく抜きは10分ほど水にさらすか、30秒ほどさっと湯通しします。
シャキシャキとした食感が特徴で、味噌汁やスープに入れるだけでも彩りが良く、栄養価がアップします。
☆蕪の葉のふりかけ☆
刻んだ蕪の葉を油で炒め、醤油と鰹節で味付けするだけで、ご飯のお供にぴったりな一品が完成します。
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☆蕪の葉のジェノベーゼソース☆
蕪の葉をバジルの代わりに使ったジェノベーゼソースです。
みじん切りにした蕪の葉、ニンニク、ナッツ(クルミや松の実)、オリーブオイル、パルメザンチーズをフードプロセッサーで混ぜ合わせ、ペースト状にします。
パスタやグリルした野菜、パンにかけると、栄養満点で風味豊かな一品になります。
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☆オレキエッテと蕪の葉のバスタ☆
オレキエッテ(耳たぶの形をしたパスタ)と蕪の葉を使ったイタリアの家庭料理です。
シンプルな味付けですが、オリーブオイルの風味と赤唐辛子のピリ辛さ、カブの葉のほろ苦さがチーズのコクとよく合い、食欲をそそります。
ベーコンやアンチョビなどを加えても風味が増します。
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☆蕪の葉入りチャーハン☆
蕪の葉を細かく刻んでチャーハンに加えると、栄養価がアップし、鮮やかな緑色がアクセントになります。
ごま油で炒めることで風味が増し、卵や人参、玉ねぎなど他の具材を加えることでより満足感のある一品になります。
蕪の皮まで活用する方法
蕪の皮も捨てずに活用することで、食品ロスを減らせます。皮には食物繊維が多く含まれており、根と同様に調理に使えます。
☆蕪の皮のチップス☆
蕪の皮を薄くスライスし、オリーブオイルを軽くまぶして塩をふります。オーブンでカリッと焼き上げると、ヘルシーな蕪の皮チップスが完成します。
レンジで加熱するだけでも簡単に作れます。 スナック感覚で食べられ、捨てがちな皮をおいしく楽しめる一品で、ビールのおつまみにもぴったりです。
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☆蕪の皮のマリネ☆
蕪の皮を酢、砂糖、塩、好みのスパイス(唐辛子、ローリエなど)で漬け込んでピクルスにします。冷蔵庫で一晩置くだけで、さっぱりとしたピクルスができ、蕪の皮の歯ごたえを活かした、簡単でおしゃれな副菜になります。
サラダやサンドイッチの付け合わせに最適です。
スライスした玉ねぎを一緒に漬け込んだり、色々なハーブやスパイスを加えても風味が増します。
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☆蕪の皮のきんぴら☆
蕪の皮を細切りにし、ごま油で炒めます。酒、醤油、砂糖を加えて味付けし、ゴマをふりかければ完成です。
ゴボウやニンジンの代わりに蕪の皮を使ったきんぴらで、少し変わった和風の一品が楽しめます。
食感がよく、ご飯のおかずにもぴったりです。
フードロスを減らす蕪料理
フードロスを減らすためには、蕪を丸ごと使うレシピが効果的です。丸ごと使うことで、栄養バランスのとれた食事となります。
☆丸ごと蕪のロースト☆
蕪を皮付きのまま丸ごとオーブンでローストする料理です。
蕪を洗って水気を拭き取り、フォークで数カ所穴を開け、オリーブオイル、塩、胡椒、ハーブ(タイムやローズマリーなど)をかけてオーブンで焼き上げると、外はカリッと、中はほくほくとした食感になります。
蕪の甘みが引き立ち、シンプルながらも贅沢な一品です。
葉は別に炒めてローストした蕪に添えると、彩りと栄養価がプラスされます。
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☆蕪の丸ごとスープ☆
蕪の実と葉を丸ごと使ったスープです。
蕪を適当な大きさにカットし、葉も一緒に鍋で炒めた後、ブイヨンや水を加えて煮込みます。柔らかくなったらミキサーで滑らかにし、クリーミーなスープに仕上げます。
仕上げにオリーブオイルや黒胡椒を加えると風味が増し、栄養たっぷりのスープになります。
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☆丸ごと蕪の浅漬け☆
蕪を皮ごと薄くスライスし、葉も細かく切って一緒に浅漬けにします。
塩、酢、砂糖、昆布、唐辛子を混ぜた調味液に漬け込み、冷蔵庫で数時間寝かせるとさっぱりとした浅漬けが完成します。
蕪のシャキシャキ感と葉の風味が活きた、一度に蕪の全てを楽しめる料理です。
蕪は、葉や皮まで美味しく食べられる食材です。これらの部分を捨てずに、料理に活用することで、食品ロスを減らすことができます。また、蕪を丸ごと使うことで、栄養バランスの取れた食事になります。ぜひ、色々なレシピを試して、蕪を無駄なく使い切りましょう。
蕪の魅力、伝わりましたか?
栄養満点で、捨てるところがない蕪は、食卓を豊かにするだけでなく、環境にも優しい食材です。旬の蕪を上手に選び、さまざまなレシピで味わってみてください。
蕪の旬の味わいや健康効果を楽しみながら、あなたの食生活がもっと楽しく、そしてサステナブルになりますよ。
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