「夏のスイーツは冷たいもの」。その常識、今年は手放しませんか?
涼やかな喉越しが魅力の水ようかんやあんみつ、わらび餅。実は、これらを「温める」ことで、小豆の香りが格段に深まり、とろけるような食感へと劇的に変化するのをご存知でしょうか。
夏の和スイーツが持つ意外な健康効果を引き出し、寒い季節にこそ格別に美味しくなる秘密を公開します。今日から試せる簡単アレンジ術と、その甘さにぴったりな飲み物の選び方もご紹介します。
この冬、あなたの和菓子ライフが変わります。
なぜ“夏の和スイーツ”が冬においしい?

寒い季節に感じる甘味の深さ
ふと気づくと、冬は夏より甘いものが恋しくなる瞬間がありませんか。実はこれ、私たちの体が寒さから身を守ろうとする、ごく自然な反応なのです。
外気温が下がると、体は体温を維持するためにエネルギーを多く使い、カロリーを燃やして熱を生み出そうとします。そのため、基礎代謝は夏より上がり、手早くエネルギー源になる「糖分」を脳が求めやすくなります。
さらに冬は、同じ甘さでも「より深く、やさしい味わい」に感じられることがあります。これは、寒さによって味の感じ方が変わり、糖をより敏感に受け取るようになるためだといわれています。
だからこそ、冬の甘味はどこかほっとするような、心にしみるおいしさを持っているのです。
実際、嗅覚と味覚は気温の影響を受けやすく、温度が10℃下がると香りの立ち方が約2〜3割弱くなるという研究結果もあります。そのため、甘味や小豆の香りが「まっすぐ」感じられ、夏より濃厚に味わえるのです。
また一般的に、甘味は体温に近い35度〜50度付近で最も強く感じられ、冷たすぎると感じにくくなるという研究結果があります。つまり、キリッと冷やした和スイーツも素敵ですが、少し温めてあげることで、砂糖の量を足さずとも甘味を強く、深く感じられるようになるのです。
さらに、暖房で乾燥しがちな冬は、喉や胃にやさしい和スイーツの、とろりとした食感が心地よく響きます。夏のイメージが強い水ようかんやあんみつでも、寒い季節になると不思議と“しみるおいしさ”が増すのは、寒さに負けないよう、体が『冬モード』へとスイッチを切り替えるからです。
夏のスイーツの意外な健康効果
お中元でいただいた水ようかんや、買い置きしたあんみつの缶詰、棚の奥で眠っていませんか? これらを冬に食べることは、フードロス削減になるだけでなく、冬特有の不調を整える理にかなった選択なのです。
実は、夏向けに作られた和スイーツには、冬にも役立つ健康効果があります。
たとえば水ようかんやあんみつに欠かせない小豆は、ポリフェノール量が100gあたり約460mgとブルーベリー並みに豊富で、体のめぐりを整える働きがあります。さらに小豆の皮に含まれるサポニンやポリフェノールは、抗酸化作用が期待されており、免疫力が気になる冬にこそ積極的に摂りたい栄養素です。
また黒蜜にはミネラルが多く、冬に不足しやすい鉄分やカリウムの補給にも向いています。寒天は乾燥重量の約80%が食物繊維と言われるほど優秀な食材で、これを温かいスイーツとして水分と一緒に摂ることで、お腹の中からスッキリと整える手助けをしてくれます。低カロリーのわらび餅は、腹持ちがよいわりに脂質がほぼゼロなので、寒い季節の間食にもぴったりです。
夏の“さっぱり”を目指した素材が、季節が変わると“じんわり体を助ける”存在になるのは、昔から続く和菓子の知恵そのもの。冬にあえて夏の和スイーツを選ぶことは、実は体のバランスを整える小さな工夫になるのです。
温めで変わる食べ方
冷たいまま食べるイメージが強い夏の和スイーツですが、ほんの少し温めるだけで味わいは驚くほど変わります。
その鍵となるのが「香り」と「分子の動き」です。食品の香り成分は温度が上がると揮発しやすくなり、鼻に抜ける風味が一気に豊かになります。冷たい状態では閉じていた小豆やきな粉の香ばしさが、湯気とともにふわりと立ち上がるのはこのためです。
食感の変化も見逃せません。デンプン質を含む和菓子は冷えると硬くなる“老化”という性質がありますが、再加熱すると水分と再び結びつき、作りたてのような「とろとろ」の状態(糊化)に戻ります。多くのデンプンは60度以上でこの変化が起こることが知られています。
温めることで、口に入れた瞬間にほどける食感と豊かな香りが重なり合い、冬ならではのご褒美のような味わいが生まれます。実際、水ようかんは20〜30℃ほどに温めると甘味が際立ち、香りも広がりやすくなります。あんみつは黒蜜を軽く温めるだけでコクが増し、果物の酸味が優しくまとまります。わらび餅は電子レンジで10〜15秒ほど温めると、とろけるような食感に変化し、満足感が一気に高まります。
さらに、温度が上がることで甘味の感じ方は2〜3割増すといわれており、砂糖を足さずに“おいしさを深める”ことができるのも大きな魅力です。
季節に合わせて「温度を変えて食べる」という小さな工夫は、美味しくて環境にも体にも優しい、理にかなった楽しみ方なのです。
水ようかんを温で楽しむ

温めで引き立つ小豆の香り
水ようかんをほんのり温めると、小豆の香りがふわっと立ち上がり、冷たいままでは気づきにくい “豆そのものの深み” を楽しめます。
これは、温度が上昇することで食品に含まれる香り成分の揮発性が高まるためです。特に小豆特有の香ばしい風味は、温めることでより強く鼻腔をくすぐります。まるで和菓子屋さんの厨房で、職人さんが餡を練り上げている最中に立ち会っているかのような贅沢な気分になれるのです。
香りの感じ方は温度に影響され、20~30℃前後に上がることで香気成分の揮発が促進されるといわれています。特に小豆に含まれるアントシアニン系の香り成分は、温度が上がるほど甘くやわらかい香りへと変化していきます。
市販の水ようかんでも、電子レンジで10秒ほど温めるだけで、手作りのような風味を引き出せます。冬は空気が乾燥し、香りをキャッチしやすい季節でもあるため、小豆の香りがいっそう鮮明に感じられます。
砂糖の角が取れ、豆の自然な甘味が前に出てくる温ようかんは、冷やして食べるのが正解だと思い込んでいた常識が、良い意味で裏切られる体験です。
口どけが変わる驚きの食感
水ようかんを温めると、冷たい時の「つるんとした弾力」から「とろとろの口どけ」へと劇的に変化します。
寒天は10〜20℃前後で最も固まりやすい性質がありますが、温度が上がるとゲル構造がゆるみ、弾力がふっとほどけて、驚きの食感が生まれます。冷たい状態で固く締まっていたものが、30℃近くになるだけで一気に軽やかになります。
また、砂糖は温度が高いほど溶解度が上がる性質があるため、温かい水ようかんは甘味を舌に残さず「スッと消える」ように感じさせ、濃厚でありながらさっぱりとした印象を与えます。
さらに、水ようかんに少量の水を加えてレンジで加熱し、スプーンで崩すだけで、寒天が完全には溶けなくても(寒天は85度以上の高温でないと完全に溶けません)、絶妙なとろみを持つ「即席ぜんざい」のような状態に生まれ変わります。液体に近い温かい餡は、舌の味蕾全体に広がりやすいため、冷たい時とは対照的な濃厚さとコクが楽しめます。
この温アレンジは、冷蔵庫で食感が落ちてしまった水ようかんを美味しく復活させる、食材を無駄にしない賢い知恵でもあります。固くなった水ようかんを無駄にせず、最後までおいしく食べ切れる、サステナブルな楽しみ方としてもおすすめです。
自分好みに仕上げる簡単レシピ
水ようかんは、そのまま温めるだけでもおいしくなりますが、少し手を加えると“冬ならでは”のデザートに早変わりします。
おすすめは、500Wのレンジで40〜50秒ほど温めてとろりとさせたところに、「塩」をひとつまみ足すこと。これは「味の対比効果」と呼ばれ、少量の塩気が小豆の甘みをより際立たせてくれるのです。
アレンジして楽しみたいなら、牛乳と黒糖を少量加えて温める「ミルク水ようかん」がおすすめです。牛乳の乳脂肪は甘味をやわらげ、黒糖に含まれるミネラルがコクを深めてくれます。電子レンジで20秒ほど加熱し、好みで塩ひとつまみを加えると味がまとまりやすくなります。
さらにリッチに楽しみたいなら、有塩バターをひとかけら落としてみてください。温かい餡の熱でバターがじゅわっと溶け出し、乳脂肪分のコクが加わることで「あんバター」のような背徳感のある味わいになります。小豆と乳製品の相性は抜群で、栄養面でも互いの吸収を助け合うと言われています。
また、抹茶を薄く点てて温かい抹茶を上からかけると、ほんのり苦味が甘味を引き締め、大人向けの上品な和デザートになります。
「温める」ことは、家にある材料で簡単に試せて、余りがちな市販水ようかんを最後までおいしく食べ切れるのも嬉しいポイントです。
季節に合わせてアレンジすることが、和スイーツを無理なく楽しむサステナブルな工夫にもつながります。
あんみつの簡単あたため術

黒蜜の温度で変わる風味
あんみつの決め手である黒蜜は、実は「温度」で風味が驚くほど変わります。
黒蜜は通常、冷たい寒天にかけるものですが、これを少し温めるだけで、まるで淹れたてのコーヒーのように香りが「爆発」します。黒糖は精製された白砂糖と違い、カルシウムや鉄分などのミネラルを多く含んでいます。これらが加熱されることで、独特の香ばしさがより一層際立つのです。
黒蜜に含まれる黒糖の香り成分は、20〜30℃に近づくと立ちやすくなり、甘さの角が取れてまろやかさが際立ちます。実際、糖類は温度が上がると溶解度が増し、甘味の広がり方が30%ほど滑らかになり、コクや深い香りがふわりと漂うのです。
おすすめは、別の耐熱容器に移して600Wのレンジで10秒〜20秒ほど加熱すること。沸騰させる必要はありません。ほんの少し温めるだけで、粘度が高かった蜜がサラサラの状態になり、寒天や豆への馴染みが格段に良くなります。
冷たい蜜だと素材の上に「乗っている」だけだったのが、温めることで素材の隙間に「浸透」し、一体感が生まれます。温めた黒蜜が寒天や果物に絡むと、口当たりが柔らかくなり、甘さの余韻も長く感じられます。
「温かい黒蜜をかける」という小さな工夫だけで、普段のあんみつがぐっと冬向けのご褒美デザートになるのです。
フルーツと酸味の妙
あんみつに欠かせないみかんや桃、パインなどの缶詰フルーツは、温めることでコンポートのような上品なデザートへと変身します。その最大の魅力は、温かいあんこの濃厚さに対する「酸味」の調和です。
科学的には、果物に含まれる果糖(フルクトース)は温度が上がると甘味が弱く感じる性質がありますが、これが逆に濃厚な餡と合わせる際、甘味を主張しすぎない絶妙なバランスを生み出します。みかんやいちごなどの酸味は温めることでやわらぎ、温かいあんこの後味をさっぱりとリセットする効果もあります。
また、フルーツの香り成分は30℃前後で揮発しやすくなるため、温めることで香りが引き立ち、寒天やあんことの調和が深まります。果肉の繊維がほどけて果汁が溢れ出す柔らかな食感になるのも魅力です。さらに、みかんに含まれるビタミンCは20〜30℃程度の温めではほとんど損なわれないため、冬の体調管理にも役立ちます。
缶詰のシロップごと耐熱容器に入れ、ラップをして500Wで40秒ほど軽く温めるだけで、「温かい甘味とほのかな酸味」という冷たいあんみつとは別物の奥行きのある組み合わせが楽しめます。
粒あんこしあんの温め方
粒あんもこしあんも、ほんの少し温めるだけで美味しさがぐっと引き立ちます。
しかしそのままレンジにかけると水分が飛んでしまい、パサパサになってしまいます。あんこは糖度が高く焦げやすいため、少しの気遣いが必要です。
美味しく温めるコツは「小さじ1杯の水分」を足すこと。耐熱容器に入れたあんこに少量の水を加え、ふんわりとラップをして500Wで30秒ほど加熱します。あんは温度が20〜40℃くらいになると粘度が下がり、舌ざわりがなめらかになります。
電子レンジを使う場合は、5〜10秒ずつ様子を見ると焦げつきを防げます。
こうすることで、粒あんであれば小豆の皮までふっくらと柔らかくなり、炊きたてのようなホクホク感が戻ります。香りも立ちやすくなるため、冬のあんみつに加えると温かさと心地よい食感が調和します。
一方、こしあんは水分となじんで滑らかなソース状になり、寒天によく絡む「お汁粉」のような楽しみ方ができます。
また、市販のあんみつは冷やして食べることを前提に少し硬めに練られていることが多いので、このひと手間で食感が劇的に良くなります。
砂糖は温度が上がると甘味の感じ方が増すため、あんの量を控えても満足度が高いのが嬉しいポイントです。
冷たいままでは気づきにくい“豆のやさしい風味”が、冬の温めアレンジでふんわりと引き出され、あんみつ全体の印象まで変わっていきます。
温わらび餅のやさしい魅力

とろける食感の温スイーツ
わらび餅を温めると、ひんやり状態のぷるんとした弾力がほどけ、舌に寄り添うような「とろり」とした食感へと生まれ変わります。主成分のでんぷんは30〜50℃で粘度がなめらかになり、冷たいときよりも口の中で軽やかに広がるのが特徴です。冷たいままのもちっと感も魅力ですが、温めると甘味がふんわり際立ち、冬にぴったりのやさしい味わいになります。
耐熱容器に移し、わらび餅が浸る程度の水を加えて500Wで30秒ほど加熱すると、白く濁っていた餅が透明感を取り戻し、箸で持ち上げられないほど“とろ~り”と伸びるようになります。これは、でんぷんが再び水分と熱で「糊化(こか)」し、できたてのような状態に戻るためです。
市販のわらび餅には、本来のわらび粉ではなくサツマイモやタピオカ由来のでんぷんが使われていることが多いのですが、温めることでその弾力が最大限に引き出されます。
電子レンジなら10〜15秒の軽い加熱でも十分に温まり、食後のデザートとしても負担になりません。
温わらび餅は冷えやすい冬の胃腸にもやさしく、冷たいスイーツが苦手な方でも心地よく楽しめる、「季節に寄り添う甘味」です。ひとくち食べれば、気持ちがふっと緩むような冬の小さな贅沢が味わえます。
きなこと黒蜜の美味しさ
温めたわらび餅にきなこと黒蜜をかけると、まるで和菓子屋さんの上質な甘味のような深い風味が広がります。
きなこは大豆を煎った香ばしさが持ち味ですが、温かいわらび餅と合わせることで香りが立ちやすくなり、その印象は約1.3倍ほど強く感じられるとも言われています。黒蜜も20〜30℃ほどで香りの広がりが増し、黒糖のコクがやわらかく、まるみのある甘さへと変化します。
冷たい状態ではそれぞれ独立していた味が、温かさによって驚くほど一体感を帯び、「甘いだけではない奥行き」が生まれるのです。
さらに、温わらび餅の嬉しいポイントは、きなこと黒蜜の“絡みつき方”が格段に良くなること。
冷たいときは粉が餅の表面ではじかれてしまい、最後に容器の底に残ることも多いですが、温まって粘り気が出たわらび餅には、きなこが面白いほどしっかり吸着します。わらび餅の熱と水分で、きなこが粉からペーストのように変わるため、口の中でむせることもありません。黒蜜も温かさでさらりと広がり、きなこの香ばしさと溶け合って、一体感のある上品な甘味になります。
きなこに含まれる大豆たんぱく質やイソフラボン、黒蜜に含まれるカリウム・カルシウムなどの栄養も無駄なく摂れるため、冬の体づくりにもぴったり。身近な材料でも、温度と組み合わせ次第でここまで風味が変わるのかと驚くほどです。これは美容や健康を気にする大人にも嬉しい、理にかなった冬の和スイーツの楽しみ方です。
温スイーツとしての新しい食べ方
最近、わらび餅をドリンクに入れるスタイルが流行っていますが、実はこれ、ホットでこそ真価を発揮します。
作り方はとても簡単で、温めてとろとろになったわらび餅をカップに入れ、その上からホットミルクやほうじ茶ラテを注ぐだけ。乳脂肪が甘味をやわらげ、なめらかな口当たりになり、黒糖やきなこをひとふりするだけで大人向けの一品になります。
また、抹茶やほうじ茶を温かいままかけると、香りの層が増し、温スイーツらしい落ち着いた風味が楽しめます。
タピオカを自宅で茹でようとすると1時間近くかかることもあり、ガス代も時間もかかってしまいますが、わらび餅ならレンジで数十秒。圧倒的な「時短・省エネ」スイーツです。
温かい液体の中にあるわらび餅は、時間が経っても硬くならず、最後まで柔らかいまま。太めのストローで吸うと、温かいラテと共に「つるん」と喉を通り過ぎていく食感はやみつきになります。
わらび餅自体のカロリーは100gあたり約170kcal前後と、洋菓子に比べて脂質がほぼゼロなのも嬉しいポイントです。
食べきれずに余ったわらび餅も、温アレンジなら無駄なく最後まで楽しめます。冬の食卓にそっと寄り添う、あたらしい和スイーツの楽しみ方です。
冬のアレンジに合うおすすめトッピング

スイーツに健康をプラス
冬は体がエネルギーを求める季節ですが、甘いものを食べると罪悪感を覚える方も多いと思います。そこで役立つのが、ほんのひと工夫で“健康をプラスする”トッピングです。トッピングで栄養を「ちょい足し」して、スイーツをサプリメント代わりに変えてしまいましょう。
きなこは大豆由来のたんぱく質が豊富で、100gあたり35g前後含まれています。少量でも栄養価が高く、温かい和スイーツとも相性抜群です。また黒豆はポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富で、抗酸化作用が期待されています。細かく刻んでトッピングすると、食感のアクセントにもなります。
冬はビタミンが不足しやすいため、薄くスライスした柑橘を添えるのもおすすめです。香りが立ち、甘味に爽やかな抜け感が生まれます。
そしてチューブ生姜。温めたあんこや水ようかんに生姜を少し加えると、ピリッとした辛味が甘さを引き締め、驚くほど味が洗練されます。実は生姜に含まれる辛味成分「ジンゲロール」は、加熱することで「ショウガオール」という成分に変化します。このショウガオールには、血流を促して体の深部から熱を作り出す働きがあるため、冷え性が気になる女性には最強の味方です。
また、砕いたアーモンドやくるみを散らすのも良いでしょう。ナッツ類に豊富なビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、血行促進効果が期待できます。
食べ過ぎを心配しつつも楽しみたい季節こそ、体にやさしいトッピングが活躍します。
抹茶を加えて大人のデザートへ
温かい和スイーツは、どうしても小豆や黒蜜の茶色一色になりがちで、見た目が地味になってしまうのが悩みどころ。そこで活躍するのが、鮮やかな緑色の「抹茶」です。そして抹茶は和スイーツを“ぐっと大人の味”に変えてくれるのです。
また、抹茶は単なる色付けではありません。茶葉を丸ごと挽いているため栄養価が高く、特に注目したいのがカテキンです。
カテキンには強い抗酸化作用や殺菌作用があり、風邪が流行する冬の季節には積極的に摂りたい成分の一つです。さらに、抹茶に含まれるテアニンという旨味成分には、リラックス効果があるという研究結果も報告されています。
抹茶はお湯の温度が70〜80℃ほどで香りが最も立つため、温スイーツとの相性は抜群です。わらび餅や水ようかんに抹茶をふわりとかけると、甘さの中に凛とした苦味が加わり、味に奥行きが生まれます。黒蜜やきなこを合わせると、香りの層が重なり、お店のような上質な仕上がりになります。
また抹茶ラテを添えると、同じ抹茶でもまったく違うニュアンスが楽しめ、満足度が自然と高まります。
甘いあんとほろ苦い抹茶のコントラストにより、普段の甘味が“大人のおやつ”に変わるのです。
洋菓子風に楽しむ
冬の和スイーツは、実は洋菓子風のアレンジとも相性がよく、新しい味わいを引き出してくれます。
たとえばホイップクリームやチーズを少量のせるだけで、小豆の糖分と乳脂肪分が混ざり合って、コクとまろやかさが加わり、満足感がぐっと増します。ホイップは脂肪分が20%前後あり、舌の上での甘味の広がりをゆるやかにするため、和スイーツの繊細な味を邪魔しません。
さらに、刻んだナッツをひとつまみ加えると食感が生まれ、洋菓子らしい香ばしさがプラスされます。アーモンドはビタミンEが豊富で、体調を崩しやすい冬にも嬉しい栄養源になります。バニラエッセンスを数滴だけ加えると、香りに丸みが出て、和と洋が自然に調和します。
シナモンもおすすめです。シナモンは、漢方では「桂皮(けいひ)」と呼ばれる歴史あるスパイス。毛細血管を修復し、体の末端まで血を巡らせる効果があると言われており、寒さで縮こまった体に染み渡ります。
和と洋の垣根を超えた自由なアレンジは、家にある材料で気軽に試せて、食べきれない和スイーツも飽きずに最後まで楽しめる、食材の新たな可能性に気づかせてくれます。
あったか和スイーツに合う飲み物の選び方

ほうじ茶で引き立つ甘味
和スイーツには日本茶、というのは定番ですが、温めた和スイーツに合わせるなら断然「ほうじ茶」がおすすめです。
ほうじ茶は茶葉を強めに焙じて作られるため、香ばしい香り成分「ピラジン」が豊富で、これは甘味と非常に相性がよいとされています。特に冬は、温かい飲み物で口の中がほどよく緩み、甘さが柔らかく広がりやすくなります。
また、ほうじ茶は高温で焙じることで、苦味成分であるタンニンが不溶性に変化し、口当たりが非常にあっさりとしています。温めることで濃厚さが増した水ようかんやわらび餅の余韻を邪魔せず、口の中の糖分をサラリと流してくれるのです。糖度の高い黒蜜やあんこも、ほうじ茶のロースト感によって後味が軽く感じられ、甘すぎるときにちょうどよい“整え役”になってくれます。
さらにカフェイン量が緑茶より少なく、100mlあたり約20mg程度と控えめなのも嬉しいポイントです。夜の甘味時間にも向いていて、体を温めながらスイーツの風味を丸く仕上げてくれます。冬の和スイーツとは、驚くほどバランスのよい組み合わせです。
ラテやミルクの相性
和スイーツとミルク系の飲み物は、一見ミスマッチのようでいて、実は冬こそおいしさを引き立てる組み合わせです。
牛乳に含まれる乳脂肪分には、舌の表面をコーティングし、強い甘味やえぐみをマイルドに包み込む働きがあります。温めて甘さがガツンと強くなった黒糖や小豆のコクをやさしく包み込んでくれます。
たとえばホットミルクやカフェラテは、温めた水ようかんやわらび餅のなめらかさとよく合い、甘いものを食べても後口が重くならないのが特徴です。
栄養面でのメリットも見逃せません。牛乳は100mlあたり約3.3gのたんぱく質を含み、冬場の栄養補給としても優秀です。
小豆などの豆類には植物性タンパク質が含まれていますが、そこに牛乳の動物性タンパク質とカルシウムを合わせることで、栄養バランスがぐっと良くなります。特に摂取量が不足しているカルシウムを手軽に補えるのは助かりますよね。
牛乳が苦手な方は、豆乳ラテやオーツミルクラテでも構いません。豆乳ラテならさらに軽い口当たりで、温アレンジとも好相性です。
濃厚になりすぎず、やさしい風味を足してくれるミルク系の飲み物は、冬の甘味時間を“ほっとするご褒美”に変えてくれます。
コーヒー紅茶の酸味
意外に思われるかもしれませんが、温かい和スイーツはコーヒーや紅茶とも絶妙にマッチします。ポイントは、これらの飲み物が持つ「酸味」と「渋み」です。
コーヒーの酸味はクエン酸やリンゴ酸などによるもので、温スイーツの甘味を引き締め、味の輪郭をはっきりさせてくれます。
浅煎りコーヒーは特に酸味が出やすく、水ようかんや黒蜜のこってり感を軽くしてくれるため、後口がすっきりまとまります。特に、温めることで香ばしさが増した「焼き餅」や「きな粉」系のスイーツには、深煎りのコーヒーがよく合います。これは「メイラード反応」と呼ばれる、加熱によって生じる香ばしい風味同士が共鳴し合うためです。
紅茶に含まれる「リモネン」や「リナロール」は温度変化に敏感な成分で、温かいものと一緒に味わうことで揮発しやすくなり、香りの立ち上がりが豊かになります。ダージリンは柑橘系の酸味が、温めた黒蜜やきなこの甘さを軽やかに調和させ、セイロンティーは爽やかな渋みが水ようかんや寒天のすっきりした甘みと好相性です。
甘味に“抜け感”を加えたいとき、コーヒーや紅茶の酸味はとても優秀なパートナー。選ぶなら、酸味が強すぎない中深煎りの豆や、程よい渋みのあるウバやディンブラなどの紅茶が良いでしょう。冬の甘味時間に、新しいバランスをもたらしてくれます。
冬に味わう“あったか和スイーツ”は、いつものスイーツにそっと手を加えるだけで、驚くほど豊かな時間を連れてきてくれます。
これらのアレンジは、特別な材料は不要ですぐに試せます。ぜひ、お気に入りの夏の和スイーツを温めて、その驚きと満足感を体験してください。
そして、甘さを引き立てるほうじ茶や、酸味がアクセントになる紅茶など、お好みのペアリングを見つけるのも楽しい時間です。
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