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ミツバチの減少と食品ロスの意外な関係

公開日: 更新日:2026.01.26
白い花に止まるミツバチ

 

最近、道端や公園でミツバチを見かけましたか? 「刺されたら怖いな」なんて思う方もいるかもしれませんが、実は今、ミツバチが私たちの周りから静かに姿を消しつつあります

一見、食品ロスとは関係なさそうなミツバチ。でも、彼らのピンチは私たちの食卓のピンチでもあるのです。

 

いま、ミツバチに何が起きているの?

私たちの身近にいるミツバチ。
実は今、その数が世界中で少しずつ減っていることが問題になっています。

ニュースなどで耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、その背景には、いくつもの理由が重なっています。

巣をつくるミツバチ(巣の内部)

 

世界中で進むミツバチの減少

ミツバチの減少は、日本だけの話ではありません
ヨーロッパやアメリカなど、さまざまな国で「ミツバチが以前より少なくなっている」という報告が続いています。

すぐに姿が見えなくなるわけではありませんが、「毎年、少しずつ減っている」という点が大きな問題です。
この小さな変化が、のちに大きな影響につながると考えられています。

 

ミツバチを取り巻く環境の変化

ミツバチが減っている理由は、ひとつではありません。

農薬の影響:害虫から作物を守るための薬が、ミツバチの神経を狂わせたり、方向感覚を失わせたり、命を奪ったりすることがあります。
○気候の変化:異常気象で花が減少したり、花の咲く時期がズレてしまい、エサとなる蜜を十分に集められなくなることがあります。
住みかの減少:開発が進み、ミツバチが安心して巣を作れる自然豊かな場所が少なくなってしまいました。

これらはすべて、人間の生活を便利にするために進んできたものでもあります。その一方で、ミツバチにとっては生きづらい環境になってしまっているのです。

 

私たちの暮らしとの意外な関係

ミツバチの減少は、一見すると私たちの生活とは遠い問題のように感じられます。しかし、実は毎日の食べものや買い物とも深くつながっているのです。

効率を重視した農業や、大量に作って大量に消費する仕組みは、知らないうちに自然環境へ負担をかけてきました。
例えば、私たちが「一年中、安くて綺麗な野菜や果物が食べたい」と願うことで、効率を重視した農業スタイルが広まり、結果としてミツバチに負担をかける環境が生まれることもあります。 また、都市化によって身近な緑が減ることも、ミツバチにとっては大きな変化です。

ミツバチの減少は、そうした私たちの暮らし方が積み重なった結果とも言えるのです。

私たちの「当たり前」の裏側で、小さな命が少しずつ追い詰められている……。そんな現状を、まずは知ることから始めていきたいですね。

 

私たちの食べものに広がる影響

ミツバチの数が減っていると聞いても、「それで何が困るの?」と感じる方も多いかもしれません。
けれど実は、その影響は少しずつ、私たちの食卓にも広がっています。

受粉するミツバチ

 

野菜や果物が実りにくくなる

ミツバチは、花から花へと飛び回りながら、知らないうちに「受粉」という大切な役割を担っています。
イチゴ、リンゴ、メロン、カボチャ……私たちが普段食べている多くの野菜や果物は、ミツバチが花から花へと飛び回り、花粉を運んでくれることで初めて実を結びます

ミツバチが減ると、この受粉が十分に行われなくなり、実がつきにくくなったり、数が減ってしまったりする作物が出てきます。「当たり前にスーパーに並んでいる食べものが、そもそも作れなくなる」という、とても大きな問題に直面してしまうのです。

 

見た目や味に変化が出ることも

仮に実がついたとしても、ミツバチの助けが足りず受粉が十分でないと、作物の「質」に影響が出ることがあります。

形が歪(いびつ)になる:花粉がまんべんなく行き渡らないと、受粉できた部分だけが膨らみ、できなかった部分が成長しないため、形がゆがみます。
サイズが小さくなる:十分な受粉が行われないと、種が少なくなり、種が出す成長ホルモンが減るため、果実全体が小さくなります。
味が落ちる:しっかり受粉した果物ほど、種がしっかりできて、種が出すホルモンのおかげで甘みが増す傾向があります。

受粉が十分でないと、実はなっても「小さい」「形がいびつ」といった状態になることがあります。味や品質にもばらつきが出やすくなるため、同じ作物でも、出来栄えに差が生まれてしまいます。
私たちが普段お店で見ている、きれいにそろった野菜や果物は、実はミツバチの働きに支えられている部分が大きいのです。

 

農家さんの負担が増えてしまう

ミツバチがいなくなると、生産現場では大変な苦労が生まれます

ミツバチがやってくれない代わりに、人間が筆などを使って一つひとつの花に粉をつける「人工授粉」を行わなければなりません。これはとてつもない時間と体力が必要な作業です。 また、足りないミツバチを外部から借りてくるためのコストも上がっています。

こうした手間やコストが増えることで、価格が上がったり、十分な量を作れなくなったりすることもあります。最終的に、負担に耐えきれず農業を辞めてしまう人が増えたりすることにもつながりかねません。

ミツバチの減少は、農家さんだけでなく、食べものを支える仕組み全体に影響を与えているのです。

 

見えにくいところで起きている“もったいない”

ミツバチの減少と食品ロス。
一見すると、あまり関係がないように思えるかもしれません。ですが、実はこの2つは、食べものの現場でしっかりとつながっています。

規格外とされるきゅうりとりんご

 

規格に合わず、行き場を失う作物が増える

ミツバチが減り、受粉がうまくいかなくなると、形がいびつだったり、大きさがそろわなかったりする作物が増えてきます。
日本の市場では、今でも「形が整っていること」「サイズが揃っていること」という厳しい「規格(ルール)」があります。中身は美味しくて栄養もたっぷりなのに、形が少し不恰好なだけで「規格外」となり、お店に並ぶことなく捨てられてしまう……。
こうして、本来は食べられるはずの作物が、出荷されないまま廃棄されてしまうケースが増えていきます。

ミツバチの減少は、こうした「食べられるのに売れない」野菜や果物を増やしてしまう大きな原因になっているのです。

 

不安から生まれる「作りすぎ」

ミツバチが少なくなると、農家さんにとって「どれくらい収穫できるか」の予想が非常に難しくなります。そのため、収穫量が安定しないと、農家さんや生産現場では「足りなくなるかもしれない」という不安が生まれます。

「もしミツバチが来てくれなくて、半分しか実らなかったらどうしよう……」という不安から、農家さんはあらかじめ多めに種をまいたり、苗を植えたりすることがあります。これを「リスクヘッジ」と言います。
その結果、思ったより収穫できた年には、今度は「作りすぎて余ってしまう」という事態が起こります。需要以上に作られた食べものは、結局誰にも食べられずに廃棄されてしまうのです。

つまり、こうした「備え」が、結果として食品ロスにつながってしまうこともあるのです。

 

価格が下がり、収穫されないという現実

形や品質にばらつきが出ると、市場での評価が下がり、価格がつかなくなることもあります

せっかく育てても、収穫して箱に詰め、トラックで運ぶ「経費」の方が高くなってしまう場合、農家さんは泣く泣く収穫を諦めなければなりません。 「畑にはたくさん食べものがあるのに、収穫しても赤字になるからそのまま土に還す」 そんな悲しい光景が、実はあちこちの生産現場で起きているのです。

ミツバチの減少は、こうした「見えないロス」を少しずつ増やしているのです。

 

ミツバチを守る、未来につながるやさしいアクション

ミツバチの減少や食品ロスと聞くと、「自分ひとりではどうにもできない」と感じてしまうかもしれません。
ですが、実は毎日の食べものの選び方が、ミツバチを守ることにもつながっています

規格外の人参や野菜が売られている市場

 

規格外でも「選ぶ」ことが、支えになる

見た目が悪くても、味や安全性に問題のない野菜や果物はたくさんあります。
「形が少し不揃い」「表面に小さな傷がある」、そんな理由で捨てられてしまう野菜や果物を、私たちが積極的に選んで買うこと。これは、ミツバチを救うためのとても大きな一歩になります。

私たちが「見た目よりも中身」を大切にして、規格外のものを「個性」として受け入れるようになれば、農家さんはミツバチが一生懸命運んだ花粉からできた作物を、無駄にすることなく出荷できます。それは生産現場の安心に繋がり、結果としてミツバチを大切にする心のゆとりにも繋がっていくのです。

また、こうした規格外品を選ぶことは、「きれいなものしか売れない」という状況を少しずつ変えていく力にもなります。売れる先があることで、生産者は無理に作りすぎる必要がなくなり、自然への負担も減らすことができます

 

食品ロスを減らすことが、環境にやさしい農業につながる

食品ロスを減らすことは、農業の効率を無理に上げすぎないことにも繋がります。

たくさん作って、たくさん捨てる」というサイクルから抜け出すことができれば、必要以上に作らなくてよくなり、農家さんは大量の農薬に頼りすぎる必要がなくなります。こうした循環が生まれることで、ミツバチをはじめとする生きものにとって、少しずつ暮らしやすい環境が戻っていきます。

「もったいない」を減らす私たちの意識が、ミツバチがのびのびと飛び回れる「自然の循環」を守ることになる……。そう考えると、毎日の食事がもっと大切に思えてきませんか?
食品ロス削減は、実は自然環境を守るための、身近で続けやすい取り組みなのです

 

 

特別なことをしなくても大丈夫です。ミツバチの未来を救うのは、特別な技術ではなく、私たちの「買い方」と「食べ方」です

○スーパーで「手前」から取る(期限が近いものを買ってロスを防ぐ)
○「不揃い野菜」を見つけたらラッキー!と買ってみる
○食べられる分だけ買って、最後まで美味しくいただく

こうした小さなアクションの積み重ねが、ミツバチを守り、食べものを大切にする社会へとつながっていきます。

今日のあなたの買い物が、明日どこかで一生懸命に花粉を運ぶミツバチの未来を、そして私たちの美味しい食卓を守ることになるかもしれません。

 

 



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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています♪

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。